黒いスーツの転生者   作:実力と発想が見合わない人

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急~展開、急展開。


どうしようもない事

 

 

◇アリウス自治区・訓練場

 

 

アリウス自治区の奥地に存在する開けた土地。そこではアリウス生徒たちの訓練が行われていた。

基礎的なトレーニングから水泳や射撃、格闘訓練などをしている。その様子をウォーデンは遠くの丘から眺めている。

 

 

『今日も朝からご苦労なこった。』

 

 

現在、ウォーデンは暇だった。

何故ならあの要塞攻略から数か月で紛争が終わったからだ。最後の戦いは随分と呆気なかったが、敵は文字通り最後の一兵まで抵抗していたらしい。まだ残党は残ってはいるが、所詮は残党であり逃げるか、最後の力を振り絞って抵抗する位しかないようだ。

 

 

『お、アツコだ。頑張ってんな~。』

 

 

遠目からでもわかる特徴的なガスマスクを付けた少女が見えた。今は射撃訓練をしている様だ。

それと、どうやら俺が要塞攻略をしている時からアツコにも軍隊並の訓練が課せられるようになったらしい。おかげで俺は護衛をしなくてよくなり、代わりに脱走兵の回収や抵抗を続ける残党勢力の制圧が仕事となった。それらが無い時はこうやって訓練を眺めたりしている。

 

それはそうと、俺はいつまでここに居ればいいんだろうか?

 

 

『聞いてみるか・・・今更だが。』

 

 

携帯端末を取り出し操作していると、アツコの近くにいる4人のアリウス生徒に目が付いた。

 

一番背が高く黒キャップに一つにまとめた黒い長髪の少女、アツコや残りの3人に指示を出している辺りあれが錠前サオリだろう。

 

ただひたすらに指示に従い光の無い虚ろな目をしたショートヘアの少女は戒野ミサキだろうか・・・まだ手首などには包帯は見られないが。

 

緑がかった薄い水色の髪の少女は槌永ヒヨリだろう、常にオドオドしており大きな音が鳴るたびに恐怖故か体を震わせている。

 

最後の少女はここ(アリウス)では珍しい白い羽をもち、見た目はボロボロだが何にも屈しない強い目をしている。おそらくあれが白洲アズサだろう。

 

 

『アリウススクワッド・・・ねぇ。』

 

 

正直、部外者である俺にできる事は無い。

今、ここに居るのも黒服の指示があったからであるし、それが無ければ今頃は別の場所で何かしていただろう。結局のところ、ベアトリーチェの支配下にある以上は俺からの手出しはできないってことだ。エデン条約後の離脱した時なら保護くらいはできるだろうが。

 

そんなことを考えていると、黒服へと通信がつながる。

 

 

『お、つながった。』

 

「あぁ、ヨハネですか。どうかされましたか?」

 

『いや、俺はいつまでここに居たらいいのか聞くの忘れてたからよ。紛争終わったし仕事が無くていい加減暇になってきた所なんだ。』

 

「特に期限は決まってませんが・・・そうですね、そろそろ戻ってきてもらいましょうか。」

 

『わかった。なる早で頼む。』

 

「話は通しておきますので、詳しいことは彼女に聞いてください。」

 

 

そう言って黒服は通信を切る。

正直、帰るにはもっと時間が掛かると思っていた為、もう少し原作知識を生かして何かしておきたかった気持ちもある・・・まぁ、アリウスで俺ができる事なんて無い訳ですが。

 

ともかく、後でベアトリーチェに話を聞く必要が出来たわけだ。

そんな中、俺の方に向けて誰かがやってきた。

 

 

「ウォーデン、久しぶり。」

 

 

仮面を着けた状態のアツコだった。

どうやら今日の訓練は終わったらしく、他の奴らも解散していた・・・少し離れた場所にスクワッドの4人が居るが。しかし、彼女の言う通り護衛が無くなってから会うのは久しぶりだ。

 

 

『ああ、久しぶりだな。元気してたか?』

 

「うん、相変わらず訓練は厳しいけど・・・みんなもいるし大丈夫。」

 

『そうかそうか、それは良かった。』

 

「ウォーデンは何してるの?」

 

『俺か?・・・正直暇だった。』

 

「そうなんだ・・・今からちょっとお話しできないかな?」

 

『あー、すまんが今からベアトリーチェ・・・マダムの所に行かきゃならん。無理だ。』

 

「そっか・・・分かった。じゃあ、その後ならできる?」

 

『ああ、そうだな。』

 

「約束だよ?」

 

 

そう言うとアツコは手を伸ばしてきた。

その手は小指以外が握られており、何かを待っているような様子だ。

 

 

『・・・どうした?』

 

「指切り・・・約束するときにするってヒヨリの雑誌に載ってた。」

 

『そうか・・・分かった。』

 

 

こちらからも小指を出し、結ぶように絡める。

ぎゅっ、と少し固く結ぶ。どうやら満足したらしく、アツコは指を離した。

そして宿舎の方を指した。

 

 

「それじゃあ、待ってるね。」

 

『・・・分かった、早めに戻るとしよう。』

 

 

そう言って、俺はベアトリーチェの所へと向かった。

 

 

 

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『お久しぶりです、マダム。』

 

「えぇ、黒服から話は聞いています。あなたにはかなり働いてもらいましたし、予想以上の戦果を挙げてもらいました・・・それに、これからは秘匿性重視でやっていきたいですし、もう黒服の元へ戻っても構いませんよ。」

 

『そうですか、ありがとうございます。』

 

「想像以上に被害を出さずにアリウスを統一できましたし、一応感謝はしておきます。」

 

『・・・まぁ、俺も少しは戦闘慣れできたしな。それじゃあ、俺は帰るとするよ。』

 

 

そう言ってさっさと建物を出る。

そのあとは、約束通りアツコと話をした後、お別れを済ませる。何故か引き止められたが、決定事項だから仕方ない。

そうして俺はアリウス自治区を後にした。

 

 

 

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◇D.Uシラトリ区

 

 

 

『やっぱりアリウスとは大違いだな。』

 

 

アリウス自治区から出て数日。俺はD.Uシラトリ区の中を散策していた。

黒服からはしばらく休暇を言い渡されたため、手に入れたオーパーツを売り払って入手した資金をもとに色々と見て回っているところだ。

しばらくは任務も無い為、仮面も外して思う存分羽を伸ばすとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、珍しい人発見‼・・・リンちゃんに内緒でスカウトしてみようかな?」




今回はここまでです。

次回は少し視点を変えてみたいと思います。アツコとの最後の会話も書きます。

それではまた次回・・・
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