ニセノの武器を修正しました。
初代Eye of Horus
ベネリM3ショットガン→ベレッタ1301ショットガン
二代目Eye of Horus
AA-12→Saiga-12Kフルオート改修型
AA-12に関しては某ゲームをしている人ならわかるニセノの戦闘力upの為の変更です
血の雨が降る。
文字通り、血のように赤く濁り染まった不気味で異様な雨がドス黒く分厚い雲から解き放たれ、滅多に雨など降ることのないこのアビドスの砂の海に豪雨の如く降り続ける。
俯いて、赤い雨に打たれるがまま砂漠に立ちすくむ私の姿は、はた目から見ればまるで生を果て、死を迎えてもなお現世に囚われ続ける幽鬼のようにも見えただろう。
だけど、そう…………そんな風に私を見てくれる人たちはもうこの世界には居ない。
傷ついた私の手を取ってくれる人も、汚れた私の背を支えてくれる人も。荒れた私の頭を優しく撫でてくれたあの人も…………
俯いて下を見るしかない私は、その視界へと両の掌を持ってくる。傷だらけの私の掌に溜まった、バケツをひっくり返したかのように上から降り注ぐ赤く濁った血のような雨で出来た小さな小さな水たまり。
「ッ!」
それがまるで本当の血のように、大切なあの子たちの最後を思い出させて。
脳裏の奥からフラッシュバックするその光景に私は声にならない声を上げて、掌に溜まった水たまりを握りつぶした。
泣きたい。
泣いて泣いて、助けてくれと大声で叫びたい。
「…………ハハッ」
だけど、私の瞳は涙を流すことはしない…………いや涙を流すことなんて許されない。
だってこれは、どんな
自ら願い咎を背負った人間が許しを願うなど許されない。自ら罪を犯した人間が泣いて助けてと叫ぶなど許されはしない。
結局は、
俯く私の視界の端に、懐かしい緑がかった薄い水色が僅かに揺れた。
無鉄砲でおっちょこちょいでとても頼りなくて、ドジだから生傷だって絶えなくて…………そのせいでいつも貼っていた絆創膏だらけの足と共に。
「ユメ………せん……ぱい」
思わず顔を俯いていた顔を上げようとして、私は自らのその行為を拒むように再び顔を落とした。
今更、私はどの面を提げてユメ先輩を見れば良いのだろうか。救えもせず、守れもしなかった私に、ユメ先輩へと顔を向ける資格がある訳がない。
「ごめんなさい…………恨んでますよね」
私はユメ先輩を救えなかった。
私はユメ先輩を守れなかった。
私が…………ユメ先輩を殺した。
何十、何百と
…………ユメ先輩が私を恨んでも仕方ない。
「ホシノちゃん」
かすかに何かを、ユメ先輩が喋った……そんな気がする。
ざーざーと降り注ぐ赤い雨の雨音の所為で、ユメ先輩が何を言ったのかまでは聞き取れないけど…………言いたいことは何となくわかる。
きっと私を、
何人ものユメ先輩がささやくような、そんな幻聴が嫌でも私の耳を刺激する。私を呪うように、私を苦しめるように。
「ホシノちゃん」
また、かすかに何かをユメ先輩が喋った……そんな気がした。相も変わらずざーざーと降り注ぐ赤い雨の雨音の所為で聴き取れはしないけど。
「でもごめんなさい…………あと少しだけ待っていて下さい」
死ぬにしても、私はまだやることが残っている。
ようやくたどり着いた奇跡なんだ。
…………だから。
「少しだけ…………あと少しだけ待っていて下さい。ユメ先輩」
急激に、私の意識が遠くなっていく。
テレビの電源を切った時のような、プッツリと途切れる感覚じゃない。
貧血の時のような、もしくは立ち眩みが起きた時のような。スゥーっと意識が遠くなっていく、そんな感覚が。
あぁ……やっぱりここは夢、だったかぁ。
何となく、そんな気はしていた。どんなに過去を思い出しても、アビドスに血のような雨が降った覚えは無かったからうすうすとは感じてはいたけれど。
意識が途切れる寸前、そっと私の頭に何かが触れたような感覚がした。
「生きて」
「…………ぁぁ」
目が覚めた時、最初に私の目に入ったのはアビドスの青空…………ではなく見覚えのない古びたオフィスの天井だった。
ゆっくりと顔を動かして部屋を見渡しても、やはり周りは見覚えのないものばかりだった。
いや本当は一つだけ見覚えのあるものはある。ただ、出来ることならば目を逸らしたい…………エプロンを着て銀色のトレーを持つ黒服という異色の組み合わせだけは。
「おはようございます。ホシノさん、お体に異常はありませんか?」
「黒服が
「クックック。では大丈夫そうですね。いやはや随分と長い間眠っておられましたが、急に魘され始めたので起きられた時のためにお食事をご用意しておりましたゆえ」
黒服の言葉に、私は体を起こしながら深いため息を吐いた。起き抜けになんてものを見せつけるのだこいつは。
出来ることならば、私の目の錯覚であって欲しかったと、そう思わずにはいられない位には黒服が普段から着用するスーツの上から白いエプロンを着ている姿はシュールだった。
「念のため、ホシノさんの脳波を観測していましたが、ずっとノンレム睡眠から変化がありませんでしたので」
「…………夢を見るのは脳が覚醒状態にあるレム睡眠だけ。だから私が魘されていたのは目を覚ます前兆だった…………って言いたい訳ね」
「流石ですね。その通りですよ」
私が横になっていたベッドの隣に簡素なパイプ椅子を展開しながら、黒服は楽しそうにそう告げる。
通常、入眠時では四十五分~六十分以内にノンレム睡眠まで達し、やがて約一時間~二時間ほどで徐々に浅くなってレム睡眠へと移っていく。
以後はこのノンレム睡眠とレム睡眠が交互に移り変わり、一時間半~二時間のセットで繰り返される。一晩の平均的な睡眠時間である六~八時間睡眠ではだいたい四回~五回のレム睡眠が現れる。
だけど黒服の語った言葉を信じるならば、私は目を覚ます直前のレム睡眠以外すべてが夢を見ないノンレム睡眠だったということらしい。
「…………黒服」
「わかりますよ。貴女の身に何があったのか? 貴女が眠っていた間何が起きたのか? ですね? 」
「教えて」
私の言いたいことを見透かしたかのようにそう口にした黒服。
黒服はカチャカチャと食事の準備をしながら、ゆっくりと私に何があったのかを喋りだした。
「ホシノさんはシャーレの先生たちとゲヘナ風紀委員会の戦闘に乱入し、これを治めた……ここまでは覚えていますか?」
「そこまでは覚えてる」
「結構。ホシノさんはことを治めたあと急に血を吐いて倒れたのです……これは?」
「そう…………だったかもしれない。……ごめん、うろ覚えだ」
「かまいませんよ。貴女が倒れたあと、シャーレの先生とアビドス高校の皆様は小鳥遊ホシノ……貴女ともうひとりを病院へと運びました」
「待って…………ということは、ここは病院?」
「いえ、ここは私の隠れ家の一つですよ?」
「???」
病院に運ばれたと語った黒服の言葉に、私はどう見ても病院には見えない部屋の内装を思わず見渡しながらそう口にした。
だが黒服はまるで先ほどの言葉は何だったのかと言いたくなるほどあっけらかんと、まるで軽い冗談のような軽い口調で私の言葉を否定した。
「…………ごめん、もう一度言ってもらえる?」
「ですから、ここは病院ではなく私の隠れ家の一つです」
思わず半ば無意識的に聞き直した私に、先ほどと同じく何でもないように口を開く黒服。
変わらぬ答えを聞いて、私の脳内に無限に広がる大宇宙が放たれた。ついでになんとも言えない表情をした猫と共に…………
力が抜けて、起こしていた体が再びベッドへとボフっという音と共に沈み込む。エラーを吐いた私の脳の一部が、黒服のことだから何かやらかしてはいないかと警告のような心配を上げるのが分かった。
「呆けているところ一応言っておきますが、きちんと正規の手順で貴女を引き取りましたので安心してください」
「…………本当に何もしてないよね?」
「クックック…………少しだけですよ。少しだけ」
恐る恐る問いかけた私の言葉に、黒服は指先で何かを摘まむような仕草をしつつ笑いながらそう返してきた。
絶対何かしただろうこの顔面マゼラン星雲野郎!
思わず自身の喉元まで出かかったその言葉を何とか飲み込み、相も変わらずガサガサに荒れた肌をした私の腕、そこにつけられていた点滴の針を引き抜きながら私は再びゆっくりと体を起こす。
「たまたま先生とお会いしましてね? 貴女を引き取るついでにと少々先生とお話させていただきました」
「何をやらかした今すぐ言えこの顔面マゼラン星雲野郎」
黒服のやらかしに、結局飲み込んだはずの言葉を出してしまった私。だがこれはしょうがないだろう、私は悪くないはずだ。
「では、朝食がてら貴女が目覚めるまでのお話でもしましょうか」
そういって、黒服は私に温かなお粥を差し出しながらそう口を開いた。
⏱
「…………自惚れるなよ小僧」
どんなに先生に好印象を持っていたとしても、黒服にとってそこだけは譲れないものがある。
先生の語った覚悟の言葉に圧を籠らせてそう答えた黒服の内心は、まさにその一文に尽きた。
あの夜の出会い以来、黒服にとって小鳥遊ホシノという存在が、言葉が、意味が指すものは自身の戦友であり、仲間であり、教え子のようでもある
だからこそ黒服は先生へとそう言葉を発したのだ。
ニセモノでもホンモノでもなく。黒服にとっての小鳥遊ホシノという戦友をよく知らない先生、彼に対しての覚悟を込めて。
「彼女の過去を、彼女の覚悟を、何も知らないお前が容易く肯定するな」
カツンと、静けさに包まれた病室に響いた音が先生たちアビドス勢の耳を刺激する。音の発生源は黒服の足元、彼が一歩前へと足を進めたことで床を叩いた革靴の音だった。
「何度も帰る場所を失い」
「何度も大切な人を守れず」
「あの日、その日に超えてきた人生の分岐点に絶望し、それでもなお
また一歩、革靴の乾いた音と共に黒服が足を進めた。
少しずつ、少しずつ先生と黒服の距離が近づいてくる。が、生徒の誰一人としてそれを止めることが出来なかった。
黒服の言葉と雰囲気に呑まれた……恐らくそう表現したらいいだろう。誰一人先生と黒服との間に割って入るどころか頭から足の指先まで固まらせて、黒服の発する言葉の領域に囚われていた。
「貴方に出来ますか、先生?」
「咎に苦しみながら、罪に苛まれながら」
「たった一つの奇跡を生かす為、大切な
「最後には己が
言葉を発するたびに鳴っていた革靴の音が止まった。
黒服と先生の距離はもはや目と鼻の先と言っていいほど近づいていた。黒服が手を伸ばせば、容易く先生の首を絞め殺すことが出来る。そんな距離まで。
「先生、貴方は彼女……ホシノさんを自分の生徒だと言いましたが」
「彼女との約束すら守れない貴方は、今も
カラカラと、黒服の言葉と共に先生は自身の喉が渇いていくのが分かった。
黒服に言い返したい。先ほど宣言したことと同じように、それでも自分は確かに彼女の先生なのだと…………しかし、何度口を開こうとしても黒服に言われた約束というその言葉が先生の言葉をどうしても喉元でせき止めてしまった。
当たり前だ。どんなに言い訳を口にしようと、どんなに言葉を重ねようと、小鳥遊ホシノとの約束を破ったのは先生自身なのだから。
”…………”
「先生、先ほども申し上げた通り私個人は貴方と敵対するつもりはありません」
「ですが、逆を言えば私個人として貴方の味方をするつもりも無いということです」
「私が味方するのは、どうしようもなく誰かの為に血の道を歩き続けた
悔しそうに口元を歪めながら黒服を睨む先生をしり目に、とうの黒服は会話を締めくくるようにそう言葉を紡ぐ。
息苦しいほどの静寂が病室を支配する。黒服が発していた殺気ともいえる重い威圧感は鳴りを潜め、息苦しかった場の雰囲気も融けた雪のようにいつの間にか霧散していた。
それでも、先生を始めノノミも、シロコも、ヒナやアヤネにセリカまで…………この病室に居る誰もが、黒服に対して言葉を口に出すことが出来ないでいた。
はっきりと言って、この場の全員が黒服の語る言葉を十全に理解出来たか…………と言えばそうではない。
まるで一つの英雄譚を詠う吟遊詩人のような黒服の言葉は、彼と
だが、それでも自分たちが容易く触れてはならないタブーに近いナニカに関わろうとしてしまっているのではないか?
そう全員に感じさせてしまう重い覚悟のような、
「…………一つ、聞かせて頂戴」
誰もが一言も口を開けず沈黙している中で、短くそう口を開いたのは先生でもノノミたちアビドス生でもなく、たった一人の部外者であったヒナであった。
「これはこれはゲヘナ風紀委員会の空崎ヒナさん。えぇ、答えられる範囲でしたらかまいませんとも」
冷えついた場の空気を裂くヒナの発言に、黒服は先ほどまでの雰囲気を感じさせない…………例えるならそう、生徒の質問に答える教員のような軽い雰囲気でヒナへと返事を返したのだ。
「私は部外者だから貴方と先生、そしてこの娘たちと小鳥遊ホシノがどういう関係なのかはわからないのだけど」
「今まで風紀委員会として培った経験と勘が、貴方の声音や話の間、息遣い、そのすべてで嘘を吐いていないと告げているわ」
「だからこそ聞きたいの。何故、入院している彼女を態々この病院から連れ出す必要があるの?」
「彼女の…………ホシノの体は既にボロボロだわ。出来ることならこのまま完治するまでゆっくり休んでいて欲しいほどにね」
「教えてくれるかしら?
カチャッ……と自身の持っていたデストロイヤーを再度握り直しながらそう黒服へとそう問い詰めるヒナに、今度は黒服が驚愕と共に口を閉ざす番であった。
「やはり……セ…いや……シリス………神秘が……」
「答えなさい。黒服」
「予測…り…時間が……」
「答えろ黒服ッ!」
ブツブツと、ヒナの質問を聞いてから何か思案するように独り言を呟く黒服に、ついヒナは声を荒げてしまった。
先ほどまでは一歩引いたような、どこか淡々としていた雰囲気であったはずのヒナの表情はいつの間にか、どこか怒りを孕んで……そのきれいな銀髪を獣のように逆立てながら射殺さんばかりに鋭く黒服を睨みつけている。
そんな様相のヒナの態度に、固まっていた先生を含めたアビドス生の全員がぎょっとしてしまった。
いや、先生やノノミたちアビドス生としては黒服がホシノの味方であるということに未だ納得は出来ていない部分もある。
だがそれはそれとして、何故味方と言いながらボロボロのホシノを連れ出そうとするのかと問うたヒナの言いたいことはしっかりと理解出来た。
先生たちが驚いたのは声を荒げた本人であるヒナ自身も、思わず感情的に声を荒げてしまった自分自身に驚いていた様子だったからである。
確かに、ホシノたちが倒れた際に現場にいたヒナも一応の当事者の一人ではあるのだが、しかし言ってしまえばヒナ本人とホシノの接点はその一回だけであったはずであるし、あの日の二人の態度や会話から以前から接点があったとも先生たちには思えなかった。
風紀委員であるがゆえにヒナ自身の正義感が強いから…………と考えられなくもなかったが、しかしそれにしては彼女、ヒナの黒服に対する態度は違和感がぬぐえない。
先生たちにとって未だ信用出来ない黒服のことを、どこかホシノの味方であると理解しているかのような…………もしくはそれに近い感情を持っている気がしてならなかった。
「フゥ…………いいでしょう」
思考の海に潜っていた黒服が、小さいため息とともに現実へと戻ってきた。
「ですが空崎ヒナさん……答える前に私からも一つよろしいでしょうか? 」
「…………なにかしら」
「では、連邦生徒会長、陸八魔アル、美甘ネル、聖園ミカ、槌永ヒヨリ…………彼女たちの名前はご存じですか?」
「そのヒヨリ? って娘は知らないけれど…………まさか、貴方たちには連邦生徒会まで関わっているの?」
黒服の問に答えつつも、怪訝な表情を浮かべながらそう答えるヒナ。
その槌永ヒヨリという一人を除いて、黒服の口から並べられた名前は知らないほうがおかしいほどヒナは知っていた。
連邦生徒会長はもとより、かつての小鳥遊ホシノ同様、ゲヘナの諜報部が特記戦力や危険人物として情報を集めている他自治区の有力者。だが黒服は自身の顎に手を当てながら彼女の答えを否定した。
「いえ、どうやら知らないようですね…………では、空崎ヒナさん」
『
『
『
「これらはどうでしょう。何か聞き覚えはありますか?」
そう、黒服からヒナへと投げかけられた新たな問い。
だがヒナにとって新たに聞かされた三つの単語も、正直に言って全く聞き覚えのないものであった。
何かの暗号であろうか……だが、TF-404? 第404任務部隊という意味だろうか……それにOperation(作戦)ということは過去にヒナでも知らない何かしらの軍事作戦でもあったのか。
どちらにしても、黒服の口にしたそれらの単語に聞きなじみのないヒナは小さく首を横へと振って答えるしかなかった。
そんなヒナの反応を、黒服は小さく息を吐きながら見ていた。
「では最後に、貴女にとってホシノさんはほぼ初対面のはずです…………何故そこまで彼女の為に必死になれるのですか?」
黒服が口にしたヒナへの問いの問いはそれまでのものとは違い、つい先ほどから先生たちの心に浮かんでいた疑問を代弁するものでもあった。
全員の視線が黒服からヒナへと集まる中で、当然のような黒服の疑問にヒナは少しだけ視線を床へと落とす。
「…………わからないわ」
「私にもわからない。私と彼女は会ったこともない、精々が資料で一方的に知っていたくらいのはずよ」
「何故あそこまで感情的になってしまったのか、わからない……」
「けど、咄嗟に思ってしまったの。
「休んでいるホシノを無理やり連れて行こうとする貴方に、何故か怒りがこみ上げて来たわ」
「…………ごめんなさい。私も上手く言葉に出来ないの」
静かにそうこぼすヒナ。
自分自身に困惑する彼女に、黒服は小さく微笑みをこぼす。
いや、実際にその表情が変わることはないのだが、黒服の纏うその雰囲気がヒナや先生たちには微笑んでいるようにそう感じられたのだ。
「…………わかりました。お答えいただきありがとうございます」
「ではそうですね。約束通り今度は私が空崎ヒナさんの質問にお答えいたします」
「私がホシノさんを連れ出す理由、先生や生徒の皆さんはともかく空崎ヒナさんは少しばかり知っておいた方がよろしいでしょうから」
そういって黒服は、先生たちに背を向けて先ほどまで自身が立っていた場所…………窓の側へと歩き出した。
”……どういうことだ?”
黒服の放った言葉に、最初に反応したのは先生だった。
彼女が本当に小鳥遊ホシノであるならば、一度しか会っていない先生自身はともかくとしても、一番関りがあるであろうアビドス生ではなくほとんど無関係に近いゲヘナ生であるヒナだけが知っておいたほうがいいのか。
その疑問が、先生の閉じていた口を再び開かせた。
「私がホシノさんの味方であるのは先ほども話しましたね先生?」
窓際まで歩いた黒服は、そこで立ち止まって静かにアビドスの空を見つめながらそう口を開いた。
「私とホシノさんはある目的の為に行動しています」
”……目的?”
「そうです。本来であればもっと先になる予定でしたが」
深く息を吐きながら、黒服はそう口にした。
「しかし…………いえ、もしかしたらこれも偶然の中の必然だったのかもしれませんが」
”…………”
「私がホシノさんを連れ出す理由……それは目的の為に残された時間が私とホシノさん、二人の予想を遥かに超えて繰り上がってしまったからですよ先生」
「それはまるで、誰かが時計の針を掴み無理やり針を回しているかのように」
「本当なら私としてもホシノさんには少しでも休んでいて欲しいところです…………が」
「……私たちに残された時間はあまりにも少ないのですよ」
そう…………この世界を
「「「「 “!?”」」」」
静かに紡がれた黒服のその言葉に、先生とノノミたちアビドス生は息を呑んだ。
紫関ラーメンで
「この言葉は私がホシノさんと出会った頃からの彼女の口癖のようなものですが、本当は少しだけホシノさんは間違っているのです」
「もう既に、ホシノさんは
「それは先生、貴方やホシノさんの大切な後輩や友人たちが
「そして再び、彼女と
「空崎ヒナさん。貴女とホシノさんの
「
「……どういう………ことですか?」
平坦な声でありながらも、黒服の声音がほんの少しだけ申し訳なさそう聞こえたのは果たして困惑したヒナの錯覚だったのか。沈黙の中で何も答えられないヒナに代わって声を上げたのはノノミだった。
ヒナと同じく困惑からか…………はたまた黒服への緊張からか。震える声でそう返されたノノミの言葉に、黒服が答えることはない。
黒服が語ったヒナと
ヒナにも先生にも、ノノミたちアビドス生にも残念ながら理解出来なかったのだが、ただ一つだけヒナと先生たちとの間で違うものがあるとすれば…………チクリと、ヒナの心に小さくだが痛みを刻み付けたことだろう。
「私が貴女や先生に話せるのはここまでです。より詳しいことを知りたいのであれば、私ではなくホシノさんに聞くべきでしょう」
「そして先生、これは私からの忠告です」
「暫くはそちらのホシノさんをアビドス砂漠へと近づけない方がいいでしょう」
全員が黒服の発した言葉に気を取られているうちに、まるで手品か奇術のようにいつの間にかベッドで眠っていたはずの
”ま、待て!”
「嵐が来ますよ……とても激しい、死の嵐が……」
その不吉な言葉を言い放ち、黒服と
「と、まぁこんな感じでした」
「おま…………やっぱりやらかしてるこの野郎ッ」
『TF-404 Not Hound』
連邦生徒会麾下 第404任務部隊ノットハウンド
ニセノ以下、アル、ヒナ、ネル、ヒヨリ、ミカが所属していた部隊。
キヴォトス全域が壊滅していたためかつての学園の区別なく集まった精鋭部隊で、その設立時の特殊性から一切の資料に記載されることはない。
名前の由来はもちろん404 not found。
公式には存在しない部隊という意味+既に守るべきキヴォトスが存在しないというダブルネーム。
なぜnot foundではなくNot Houndなのか、こちらも守るべきキヴォトスが存在しないという意味+ハウンド(猟犬)ではないという意味のダブルネーム。
例えキヴォトスが滅ぼうと、私たちは最後まで犬ではなく人間だ!という意思の表れ。
Q、なぜ今まで出さす今出すのか?
A、だってnot found(存在しない)っていう設定だから……でも最初から温めてた設定だから今回出せて少しうれしい。
旧版と改修版……どっちが読みやすい?
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旧版
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改修版