Bar_00様から素敵なタイトルロゴを頂きました!
凄いですよ!挿絵じゃなくて特殊タグで作ってあるんです!
こんな凄いの貰って嬉しいやら期待が怖いやら……
他にも色々特殊タグで作られたアートを貰ったので、今後作中で使えそうなのは使って行こうと思います。
もしそういう特殊タグが苦手な人がいたらごめんなさい。
改めて、Bar_00様有り難うございます!
───ある世界線。
───キヴォトスD.U.シラトリ区。連邦生徒会所有の秘密セーフハウス。
───【Operation LastMiracle】作戦前夜。
『ねえ、ホシノさん…………ちょっといいかしら?』
『なにか用? 社長さん。』
『実は一つお願いがあるのよ。』
『何かな? …………明日に備えないといけないから無茶なのは聞けないよ』
『私をなんだと思ってるのよ貴方…………』
『ん…………』
『まあいいわ。それでお願いなんだけど…………明日が私たちの最後でしょう?』
『だから最後に一度だけ、私のことを名前で呼んで欲しいのよ』
『…………はぁ?』
『ホシノさん、私だけじゃないけど…………出会ってから一度も皆のこと名前で呼んでくれないじゃない?』
『そうだね』
『だからこそ…………最後に名前を呼んで欲しいのよ。お別れが他人行儀だなんて嫌よ? 私』
『そうだね…………じゃあ』
『じゃあ? 』
『作戦を成功させたら。会長さんを無事に届けることが出来たら名前で呼んであげる』
『…………』
『嫌だった? 』
『フフッ…………いいえ。それで良いわよ。それじゃあ、
『もちろん。
『じゃあ、お休み……ホシノさん』
元ゲヘナ学園所属:陸八魔 アル
キヴォトス連邦生徒会、最後の作戦、【Operation LastMiracle】に参加。
類まれなる狙撃支援により後方より作戦をサポートするも、大量の敵を相手に弾薬欠乏、作戦支援不可能に。
最後は少しでも作戦成功確率を上げるため、被弾しそうになる同元ゲヘナ学園所属、 を庇い負傷。
───作戦参加者:小鳥遊ホシノ、陸八魔アル、
─── KIA :陸八魔アル、
─── MIA :小鳥遊ホシノ
───作戦目標のキヴォトス脱出を確認
───【Operation LastMiracle】作戦成功
新しい朝が来た。この
東から昇る太陽が眩しく世界を照らし、まるで砂金で出来た大地のように、金色に輝くアビドスの砂漠。もしこの砂漠の砂が全て砂金であったなら、アビドス高校の借金なんて大した苦労もなく返せてしまうだろう。
…………もっとも、そんなことになったら金の価値が暴落してキヴォトスが別の意味で終わることになるので、流石にお断りだけれど。
「朝焼けが眩しいな…………凄く懐かしい」
赤く染まった空に慣れきってしまった私には、無性にこの朝焼けの景色が美しく見えた。
結局、あの後も私と黒服はこれからどうするべきかを夜が明けるまで話し込んでしまった。この美しい
私というイレギュラーがどうすれば黒服の言うより良いハッピーエンドへと
夜が明けるまで黒服と話しても、結局の所
結局の所、先生の居ない
記憶の彼方へと過ぎ去り、擦り切れた記憶の中のアプリの先生の知識も誰々の脚を舐めたとかヨコチチとか太ももとか…………正直なんの役にも立たない。
だからこそ、プレイヤーの代弁者たる先生ではなく、今この世界で確かに生きる先生の動き次第で私たちの今後も決まる。
そして何よりも、私と黒服が共通して認識していることがある。それは先生に【大人のカード】を絶対に使わせないこと。
大人のカードとは、アプリゲームとしてのブルーアーカイブへと、現実の命と時間を捧げて稼いだ貴重なお金をゲームへと課金する、プレイヤーたる先生たちへの課金のメタファー。
それが
先生の命を対価とした等価交換の錬金術。しかもその効果が曖昧な奇跡だというのだから、
もちろん、私と黒服の考察が間違っている可能性もある。むしろ、私としては出来ればこの考察は間違っていて欲しいとすら思う。
だけど、可能性が0じゃない以上、私と黒服が
可能な限り、先生に大人のカードを使わせない。既に先生という奇跡が起きているこの
「…………頼んだよ黒服」
「クックック…………えぇ、私たちの知識もこの世界では十全に活かせない以上、不確定要素は排除するに限ります」
「
もっとも…………原作通りに進めるのなら、申し訳ないけど
まあ、かつて…………十全とは言えずとも、
私がやらなければいけないのは、先生の
それには武器がいる。弾薬がいる。それら武器弾薬を私が手に入れるために…………お金がいる。
「黒服、この世界でも私の銀行口座は使えるかな?」
「
「助かるよ。今は最低限の装備しかないから、色々と揃えたいんだ」
「分かりました。手続きしておきましょう」
私はポケットに入れていた財布からカードを取り出して黒服へと渡す。最後の世界ではもはや通貨として意味を成していなかったお金だけど、今は多少なりとも持っていて良かったと思う。
捨てなくて良かった。ぐっじょぶ、過去の私。
「では、私もそろそろ行かなくては。宜しければ、アビドス高校の近くまで送りましょうか?」
私のカードを預かった黒服はパンパンとスーツに付いた砂を払いながらそう私へと提案してくれた。
私は一度黒服から視線を外して、もう一度朝焼けに染まるアビドスの砂漠を見る。
かつて、私の守りたかった場所。砂に埋もれ、オアシスも枯れて、かつてキヴォトス一を誇った栄華など見る影もない、大好きな砂の街を。
「有り難う黒服。でも大丈夫、時間はあるし少し歩きたいんだ」
「そうですか、では……私はこれで失礼します」
「うん…………あ、黒服」
「何でしょうホシノさん?」
この場を離れようとしていた黒服を、私は呼び止めた。
「たぶん、私ひとりじゃ雁字搦めになっていたかもしれない」
「ひとりで悩んで苦しんで、今も完全に吹っ切れている訳じゃないんだけど」
「だから…………先に伝えとく、有り難う。私を肯定してくれて」
「私を背中を支えるべき子供と言ってくれて」
「貴方のお陰で、少しだけ…………幸せになってもいいんだって想えた」
上手く笑えているか分からない。けど、どうしても伝えれる時に伝えておきたかった。
だって、私が伝えたかった言葉は、伝えたかった想いは、もう彼女たちに届かないから。
「有り難う、黒服」
だから、言える時に私は言おう。ブリキのおもちゃのようにぎこちなくても、笑顔を浮かべながら。
マネキンのように固まった黒服にまたねと言って、私は砂金のように光り輝く砂漠へと歩き始めた。夜の帳を抜け、白んだ空は雲一つない。
今日はいい天気になりそうだ。
⏱
「はぁ……? 先生が居ない? 」
意気揚々……とまではいかないけれど、昨日の不安が多少拭えた私が黒服と別れ、アビドス高校に着いたのは東から昇っていた太陽が頂点に来ていた頃だった。
懐かしさを感じる高校の正門をくぐり、昨日ぶりに再会したシロコたちから聞かされたのは、まさかの先生が不在だということ。
「その……午前中まではこちらにいらっしゃったんですけど、シャーレに届く幾つかの書類が期日ギリギリだと泣く泣く…………」
「そ、そうなんだ…………」
物凄く、物凄く申し訳なさそうにそう私に伝えるアヤネに…………私はなんと声をかけていいか分からなかった。
どうやら、その後のアヤネの話を纏めてみるに、先生はアヤネの出した嘆願書を見つけて必要な物以外、殆ど手ぶらに近い状態でアビドスに来ていたようで。
先生が不在でも、シャーレ宛の書類は毎日届く。
本当なら日帰りでシャーレに戻って毎日届くシャーレ宛の書類を片付けるか、もしくは日帰り出来ない場合はシャーレ宛の書類を先生が赴く自治区宛に変更する手続きを連邦生徒会に連絡する必要がある。
先生はその両方をサボっていたことで、今現在そのツケを払いにシャーレに戻る必要があったということらしい。
(…………はぁ)
これは困ったことになったと、思わず私は内心で溜息を吐いた。
本当ならば今日、私は先生とアビドスの皆にささっと簡単に私のことをある程度ぼかしながら伝えてしまい、そのあとはなるべく先生たちとは不干渉を貫こうと思っていたのに。
「で、でもでも! 明日は無理してでも来ると先生は言っていたので!」
「いや…………それで体を壊しても私が困るから。シャーレの先生には、私が時間がある時でいいと言っていたって伝えといて」
内心で留めていたはずの溜息が思わず零れてしまいそうになる。
まさか、会って次の日に約束をすっぽかされるとは思いもしなかった。
申し訳なさそうなアヤネと、彼女の後ろでまじまじと私を見つめるシロコ。私の記憶ではいつもニコニコと笑っていたノノミも、今はシロコと同じようにじっと私を見ているからなおさら溜息が出そうになる。
セリカと
セリカは多分、バイトかな? 先生のストーリーでも私の巡った
「それじゃあ…………用件もなくなったし、私は帰るね」
約束が無くなったのなら、私が此処に残る理由はない。
「ちょっと待ってください!」
じゃあね。と、彼女たちに背を向けて帰ろうとしていた私を呼び止めたのはアヤネ…………ではなくじっと私を見ていたノノミだった。
「えっと……そう! お礼を! 昨日セリカちゃんを助けてくれたお礼をしていないので」
本人も咄嗟の行動だったのだろう。戸惑ったかのように言い淀み、そこから慌てて取って付けたかのような理由を述べるノノミ。
これは困った。本当に…………本当に困った。
「あれは私が勝手にやったこと。ノノミたちにお礼を言われることではないよ」
「で、ですけど、セリカちゃんを助けてくれたのは事実ですし!」
「だから…………あの場に居たのは偶然だし、私が勝手にやったことに感謝されても困るんだよ」
先ほどまで静かだったノノミのこの態度に、止めて貰おうと他の二人へと視線を移しても、アヤネやシロコはノノミの変化についていけていないようで、私の袖を掴むノノミをポカーンと呆けた顔で見ているだけ。
早くこの場を離れようと、食い下がるノノミを私はなんとか突き放そうとするけれど…………
「あの……ホシノ先輩……その…………どうしても、だめぇ…………でしょう……か?」
私の袖を摘まみ、そんな捨てられた子犬のような顔で小さく聞いて来るノノミの姿に、私は思わずかつて
「…………」
「…………あの?」
「はぁ…………しょうがないから柴関ラーメン。替え玉なし」
「え?」
「丁度お腹が減っていた所だし…………それでチャラでいいよ」
まったく、この娘たちにはちゃんと
私は
私の返事を聞いて…………愛おしい、一輪の花が咲いているのを横目に私は、そう断り切れない自分に呆れてしまった。
⏱
「なんで皆がここに来るのよ!」
ノノミの提案を拒めず、妥協案としてやってきた柴関ラーメン。
私が逃げ出さないように左右をアヤネとノノミ、後ろにシロコというがっちりと皆に囲まれた状態でやって来た柴関ラーメン。そこで私は、案の定と言うべきかバイトしていたセリカと遭遇してしまった。
店員の制服を着て、手ぬぐいで頭を覆い、エプロンを腰に巻いたセリカは、お店へと入って来た私たちを見て顔をひくつかせながらそう叫んだ。
どうやらセリカの反応やノノミ達三人の態度から、既にセリカがバイトしていたことはアビドス高校の面々にバレているようだ。
そうなると恐らく、既に先生も遭遇しているのだと思う。だとすれば、私が関わる前までのアビドスでの成り行きは原作のストーリー通りといってもいいだろう。
「実は、ホシノ先輩にセリカちゃんを助けたお礼をしたくて~!そしたら柴関ラーメンで良いっておっしゃられたので来ちゃいました☆」
ご機嫌にセリカへとそう語るノノミに、やはり選択を間違えたかなと私は少しだけ後悔してしまう。
お店の奥からは、セリカの声を聞いたのか柴犬の大将がなんだなんだと顔を出す。
「お! 嬢ちゃんたち今日も来てくれたのかい?」
「はい~! 大将さん、柴関ラーメンを一つと味噌ラーメンを一つ。シロコちゃんとアヤネちゃんはなんにしますか?」
「では、私も柴関ラーメンを一つお願いします」
「ん。豚骨ラーメン……チャーシューマシマシで」
「あいよ! 直ぐに作るから座って待っててくれ。セリカちゃん、皆を席まで案内してあげてくれ」
「あ、わかりました大将…………じゃなくて、なんで今日も此処に来たのよ!」
わいわいガヤガヤと一人増え、二人増え、にぎやかに騒ぐ彼女たちを後ろから眺めつつ、私はセリカが案内してくれた席へと座った。
こぢんまりとしたテーブル席、私が先に座ると後に続くようにノノミたちが私とは反対側の席へと座る。
私の側が私ひとりだけなのに対して、反対側に三人というのは随分とバランスの悪い構図だと思うけど、まぁ…………彼女たちからすれば私のような得体の知れない人間の隣に座りたい訳もないだろうと、そうひとりで納得することにした。
食事の邪魔になるからと、私は羽織っていた茶色のマントを脱いだ。
「……? なに? そんなにジロジロ見て」
「あ! いえ!? その…………凄い衝撃的で」
「ん…………凄い傷」
「…………凄いですね」
なんとなく視線が気になり、マントを横の席へと置いてからそう私が尋ねると、目を見開いて驚いていた三人が次々にそう口を開いた。
ああそうか、そう言えばこの
「…………ごめんね。気持ち悪いでしょ?」
私は驚いている彼女たちへとそう告げて、少しだけ自身の腕を撫でる。
改めて思えば、前回の
鏡が無いから私は見えないけれど、顔の左側にも傷痕が走っていて、淀んだ瞳と合わさって
彼女たちにとっては、大切な先輩である
だけど、これが私だ。
今見える傷痕だけじゃない…………私の体には
私は、決してその傷痕を忘れることは出来ない。
忘れてしまえば、私が守りたかった…………私が救えなかった人たちを、
「そんな…………気持ち悪いだなんて」
私の言葉を聞いて、小さく否定するアヤネに小さく苦笑を漏らす。
アヤネだけじゃない。シロコやノノミも、アヤネの言葉に同意するかのように頷いている。
本当に…………お互いに良い後輩をもったね。
守らなければならない。残念だけど、この娘たちと一緒に戦うのは私の役割じゃないから。
その役割を果たせるのは
「はい! 柴関ラーメン二つと味噌ラーメン一つ、あとチャーシューマシマシ豚骨ラーメンよ」
少しだけ、静かになった空間にセリカの勝気な声が響き渡る。
私の前に置かれる、名物の柴関ラーメン。食欲を刺激する美味しそうな匂いが鼻腔をくすぐり、昨日から黒服に貰ったココアしか胃に入れていない私のお腹を匂いと見た目の暴力で刺激する。
「なに? 皆変な空気だけど、何かあったの?」
各々が注文したラーメンを配膳したあと、大将から昼休憩をもらったらしいセリカは自身も柴関ラーメンを持ってきながらそう疑問を口にする。
彼女が座るのは、何故か私の隣。
確かに向こうは三人も座っていて狭いとはいえ、詰めれば十分に四人で座れるだろうに、何故セリカは好き好んでわざわざ私の隣に座るのか…………
「何でもないよ。少しだけ、私の肌を皆が気にしているだけだから」
既に座ってしまったものはしょうがない。大人しくセリカを受け入れて彼女の疑問にそう答えた。
気づいていない彼女は私の顔を見て、そして視線を下へとさげてぎょっとした表情をした。やっぱり彼女たちには刺激が強すぎるのだろうか。
「ちょ!? ホシノ先輩その傷はなんですか!」
「一応言っておくけど、セリカを助けた時に付いた傷じゃないから安心して」
「そうだけどそうじゃなくて!」
「いいから…………ほら、折角のラーメンが伸びちゃうから早く食べよう」
未だ何かを言いたいセリカへ、私はこれ以上やめるように彼女が次の言葉を出す前にそう遮った。
割り箸を割って、ゆっくりと麺を持ち上げる。スープが絡まったつやつやと輝く太い麺を、私はそっと口へと運ぶ。
久しぶりに食べた大将のラーメンは、思い出に残るものと何一つ変わらない、ホッとする味だった。
⏱
「…………ご馳走様」
久しぶりに食べた柴関ラーメンに満足して。両手を合わせてそう言葉を紡ぐ。
これまでの生活ですっかり胃が縮んでしまったのか、全部食べるのにそれなりの時間が掛かってしまったけど何とか残さず食べきることが出来た。
「それで…………セリカが残っているってことは、何か私に聞きたいことでもあるのかな?」
食べきるのに時間が掛かってしまった所為で、とっくに昼休憩は終わっているはずなのにこの場に残るセリカに私はそう告げる。
お客さんが私たち以外に居ないのできっと大将が気を利かせたのだろう。
私の言葉に、隣に座っていたセリカは小さく体を震わせる。
おおかた、セリカが言いたいことは何となく解っているつもりだ。だから私はあえてセリカより先に先手をうった。
「昨日のことなら、ノノミたちにも言ったけど偶々近くにいただけだから気にしなくていい。私が来なくても最悪、先生と彼女たちがセリカを助けていただろうしね」
「まあそれでも、セリカに怪我がなくて良かったよ」
私の言葉を聞きながら俯く彼女に、私は昨日と同じようにセリカの頭を優しく撫でる。
例えこのキヴォトスで銃撃戦が日常茶飯事とはいえ、未だ子供である彼女にとって誘拐とは恐怖だっただろう。
衝動的に飛び出した所為で今こんな状況になっているとはいえ、それでも…………彼女を助けることが出来て良かったと、私はそう思える。
「ホシノ先p「それと」?」
「私のことを先輩と呼ばないでくれないかな?」
「えっ…………」
何かを言おうとしたアヤネに、私は彼女の言葉を遮ってそう口にした。
「何でですか…………だってホシノ先輩はホシノ先輩なんですよね?」
「確かに私は小鳥遊ホシノだ。それ以上でも、それ以下でもない」
「だったら! 」
同じじゃないですか!
そう言おうとしたのだろうアヤネの口を、私は自身の人差し指を彼女の口へと当てることで制した。
「確かに私は小鳥遊ホシノだけど、君たちにはちゃんと
「紛らわしいだろうから、私のことは好きに呼んでくれていいけど、先輩という役割だけは彼女の物だ」
私は、先輩と呼ばれていい人間じゃないから。
そう口にして、私はアヤネの口から手を引いた。同じ見た目の人間である私にこんなことを言われて、彼女たちは戸惑うかもしれない。
それでもいい。もしこれで彼女たちが離れてくれるのなら、私も黒服も多少動きやすくなる。
「ホシノせ…………ホシノさんは」
今度はノノミが口を開いた。やっぱり、
「…………どうしてホシノさんは、ここに来たんですか?」
この中で、もっとも小鳥遊ホシノという人間を知っているのはノノミだろう。だから、私は少しだけノノミの質問に答える。
「詳しくは言えないし、話すのも先生との約束の時に纏めて話したい。けど、そうだね…………」
この世界を
ガラガラと少しだけ、柴関ラーメンのお店の扉が開く音がする。
小さく開けられた扉から顔を覗かせる、おどおどとした態度の紫がかった黒い髪の女の子。
私たち以外に居ない店内に嫌に響く音を聞きながら、彼女は口を開く。
「……こ、ここで一番安いメニューって、お、おいくらですか?」
知識があるから知っている、彼女のことを。
知識があるから分かってしまう、これから起こることを。
「いらっしゃいませ! 一番安いのは……580円の柴関ラーメンです! 看板メニューなんで、美味しいですよ! 」
座っていたセリカがすぐさま店員モードで彼女へと対応をし始めた。
セリカの話を聞いて一度扉を閉める女の子。ノノミ以外の子たちも彼女のことを不思議がって扉を見ていて、私のことを聞く雰囲気ではなくなっている。
ノノミは私が言った言葉の意味を考えているのか、深く考え込んでいて動いていない。
「…………多少関わっても変わりがない、か」
誰にも聞こえないような小さい声で、私は独り言のようにそう呟いた。
ちょうど良かった。彼女たちが来たことで少しだけだけど、これから起こるであろう展開に余り変化がないことが分かった。
「それじゃあ、ラーメンご馳走様。もう用はないだろうし、私はもう行くよ」
扉を見ている彼女たちにそう私は口を開いて、隣に置いていたマントを手に立ち上がる。
「ちょ、ちょっと待ってください! まだ聞きたいことが!」
唐突に、私がそう言ったことで扉の外から意識が戻って来たアヤネが引き留める。
だけど、ごめんね。私もやることが出来たからもう行かなきゃいけない。
「申し訳ないんだけど、今日はもうこれ以上は話せないよ」
そっと、私の分のお金を机に置いてから私はマントを羽織った。
茶色いボロボロのマントが私の体の傷を覆い隠して、後ろから引きとめる声を私は無視してカツカツとブーツを鳴らし外へと出て行く。
「…………っ! ごめんなさい。直ぐにどくわね」
扉を開けようと腕を伸ばした所で勝手に扉が開いた。扉を開けた主は、目の前に私が居たことに驚いたのか慌てて避けながらそう口を開いた。
ワインレッドの綺麗な髪を伸ばしていて、後頭部から生えているゲヘナ生らしい悪魔の角が一際目を引く。レディーススーツに豪華なコートに身を包む、その姿は学生と言うよりも社長のようで。
「大丈夫。お店は空いているからゆっくりしていって」
「え、えぇ…………ありがとう」
「それじゃあ、さようなら」
「っ!? 貴女!」
学生でありながら便利屋68という、なんでも屋のような会社を経営する彼女、陸八魔 アル…………私のかつての戦友にそう告げて、人の少ないアビドスの町の中へと歩き出していく。
…………ちゃんと守るよ。
取りあえず、黒服に会いに行かなければ。今後のために必要なものが増えたから。
「アルちゃん、さっきの娘……アルちゃんの知り合い? 」
「…………」
「アルちゃん? 」
「いえ…………なんでもないわ。大丈夫よ、ムツキ」
さて、特殊タグを頂いてしまい喜びブーストでまさか万文字を書いてしまうとは…………
いやはや、久しぶりに小説書いていて良かったと思いました。
正直今回あたりからニワカ知識によるガバと、短編で妄想していたが故の設定の矛盾や表現の稚拙さが出てくるかも。
なのでハッキリいいます。
幻滅するかもしれません。戻るなら今の内ですよ。
PS.AIイラストアプリでニセノを頑張って書いていたらお小遣い消し飛びました。
旧版と改修版……どっちが読みやすい?
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旧版
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改修版