アバン先生の特訓を受けて一日目。
アバン先生に海岸で特訓すると言われ、海岸に来た。
「ヒャダルコ!!」
ポップが波をヒャダルコで凍り付かせる。
おお……原作で見たけど実際に見るとポップすごいな。これで僕より年下なんだからすごいな。
「さすがだなポップさん」
「へへっ、まあな! おれはもう1年以上先生の下で修業してるんだ!これくらい朝飯前だぜ!」
ポップは得意げに言った。
「てかポップでいいって言ったろ! 敬語もなしだ!」
「ですがポップさんは兄弟子じゃないですか」
「良いんだよ! トールは俺より年上じゃないか! そのトールに敬語使われると調子くるっちまうぜ」
……ムムム。仕方ないか。
「わかったよ。ポップ」
そうこうしているうちにアバン先生がポップの作った氷の波をノックした。するとポップが作った氷の波が砕け塩水が噴き出てくる。
「あ、あれ!?」
「いつもながら詰めが甘いですねぇ。魔法は集中力ですよ。集中力!! さぁ、次はトール君の番ですよ」
アバン先生に促されて、僕は波打ち際に進む。
「……行きます! ヒャダイン!!」
僕が放ったヒャダインはポップのヒャダルコと同じように波を凍り付かせる。……よし!
「うぉおお!? トール、お前ヒャダイン使えるのかよ!?」
「ああ、メラゾーマ以外の魔法はだいたい使えるぞ」
「まじかぁ……」
俺の言葉を受けてポップががっくりとうなだれる。……ふふっ。僕の方が修業期間が長いから当然だけど、ちょっとだけ優越感を感じちゃうな!
「……ふむ」
アバン先生が僕の作った氷の波をノックする。するとポップの時と同じように波が砕ける。
「トール君もまだまだですねぇ」
「……う。ま、まぁ僕は魔法剣士だから……」
「ノンノン! 言い訳はよくないですよぉ。ポップもトール君もまだまだ集中力が足りませんねぇ」
「頑張りましょう!」とアバン先生が締めくくって魔法の特訓は終わった。
「ええ!? 模擬戦ですか!?」
「はい! そのとーりです!」
アバン先生は胸を張って僕の発言を肯定した。
「昨日の戦闘と魔法の特訓を見てわかったのですが……あなたには既に魔法剣士として最高の力を備えています。しっかりとした体力。豊富な魔法の種類。昨日のガーゴイルとの戦いで見せた海を割る斬撃……しょーじき、私が教えられることがあるかわかりませんねぇ!」
アバン先生はカラカラと笑いながら僕に木刀を2本渡してきた。
「なので、私に君の実力を見せてほしい……と、いうわけです!」
「な、なるほど……」
正直、僕が独学で訓練してきただけの戦闘能力だけだったらアバン先生に教わることなんて山ほどあるんだろうけど、あのアバン先生に認められてるのはめちゃめちゃ嬉しい。
それにしても木刀を2本渡してきたってことは……
「君の本来の戦い方は二刀流ですね? 筋肉の付き方から大剣術も修めているみたいですね。ベリーベリーグッドです!」
…っ! この人はやっぱりすごいな!
「さぁ! 実力を見るためにも全力で来てください!」
アバン先生も木刀を取り出し、構えた。
「……!」
す、隙がない。
僕は島の魔物の皆と戦闘訓練をしてるんだけど、当然、剣を使ってくる魔物は居ない。だから剣を使う相手は初めてなんだけど、それでもアバン先生に全く隙がないことがわかる。
「どうしました?」
攻めあぐねていた僕にアバン先生が声をかけてきた。
「来ないならこちらからいきますよー!」
アバン先生が僕に向かって走り寄ってきた。
「ちょえええ!」
「くっ!」
斬りかかってきたアバン先生の剣を左手で受け止め右手で打ち返す。
「おおっと! やりますねぇ」
打ち返した木刀がアバン先生にいなされる。僕の体勢を崩すとともに、僕が打ち返しずらい位置に移動してくる。
まずいな。さすがに剣の戦闘ではアバン先生に分がある。一旦、下がって体勢を立て直さなければ……
僕は跳んでアバン先生との距離を話した。だが……
「メラ!」
「んなっ!? 斬空剣!!」
アバン先生がメラを放ってきて、僕は斬空剣でメラを叩き落した。
「…………」
「全力で、と、言いましたよトール君」
私が放ったメラをトール君は斬空剣という技で切り払った。
「全力で、と、言いましたよトール君」
トール君に発破をかける。トール君は驚き戸惑ってまだ行動してこない。
トール君は少々勢いに欠けるところがありますね。ここまでやれば怒りっぽい人はいきり立ってきそうなものなのですが……我慢強い性格のようですね。ベリーグッド。
「困りますねぇ。これは君の実力をみる模擬戦なのですから本気で来てもらわないと。実力がわからなければちゃんとした特訓が出来ません。最強の魔法剣士になりたいんでしょう?」
「……わかりました……はぁ!」
トール君から魔力の奔流が放たれる。ふむ……どうやら自身の力を上昇させる魔法のようですね。まさかそんな魔法まで修めているとは……
「いきます!! はぁ!!」
トール君が離した距離を一瞬で詰め、殴りかかってくる。受け流したが流れるような連撃がトール君から放たれる。
すさまじく上昇した力とスピードに木刀を吹き飛ばされそうになりながらいなし続ける。これはバイキルトとピオラですね。
素晴らしいですねぇ。まだまだ甘い部分はありますがここまでとは思いませんでした。
それではこれはどうですか?
「メラ!」
「うぐっ!?」
トール君はそのままメラを受けてしまう。ふむ、近接戦での魔法はあまり経験がないようですねぇ。
「ちょぇえええ!」
「ぐぁあ!」
む? 私の剣が魔力の防壁に防がれた……なるほど、スカラまでかけていましたか!
「はぁああ!」
スカラで防御力を上げていたので、ダメージはほぼ無かったようですね。少し下がった程度でまた殴りかかってきました。
ですが、同じ方法では私の防御は突破できませんよ。君はどうですかトール君?
「メラ!」
先ほどと同じようにトール君の攻撃を受け流し、メラを放つ。どうします?トール君!
「バギ!」
「むぅ!?」
ベリーグッド! 海岸の砂地を利用して、バギを使い、メラを吹き飛ばすと同時に砂を巻き上げましたか!
目つぶしと防御を同時にこなすとは! 考えましたねトール君!
「いきます!アバン先生!」
そしてトール君は踏み込んだ姿勢のまま、腕をクロスする姿勢を取った。トール君の木刀が光り輝く。
「――奥義!!」
「こ、これは……っ!?」
「なっ! ななななっ!?」
私たちの模擬戦を見学していたポップが驚いている。すごい戦闘でしたからねぇ。
「いやぁ、驚きましたねぇ。私としたことが加減を失敗して必殺技まで使わされるとは……」
私は気絶して倒れているトール君を見る。
彼は強かった。少々未熟なところもあれど、戦士としての完成が近い……彼の習熟が進めば、どれだけ強い戦士になることやら……
そして、どれだけの鍛錬を積んできたのでしょう。師もおらず、魔物の皆さんが居たとはいえあれを完成させるのは容易では無かったはず。
「トール君。あなたはいったい……」