ありふれた降霊術師へ世界最凶の魔術師は贈る   作:sahala

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 久方ぶりにこっちを書きました。もうちょっと区切りが良い所までやりたいけど、とりあえずやる気の維持の為にも投稿します。


第十話「とある休日の出来事 上編」

 神山―――バーン大迷宮・最奥部。

 

 オルクス迷宮に遺されたオスカーの手記から、キャスターは他の大迷宮の場所に推測がついていた。その中で一番近場にあるという事で神山にある聖教教会総本部、その地下に隠された大迷宮にキャスターは来ていた。

 試練の内容は『神を信じよ。解放者こそ悪だ』と精神に響く囁き声が聞こえ、再現された歴代の教会騎士団長の幻影と戦っていくというもの。並の者なら精神を惑わされるか、幻影達に敗れて死ぬだろう。

 しかしながら、(エヒト)の邪悪さを身を以て知っており、魔術師の英霊として確かな実力を持つキャスターにはそれらは障害足り得なかった。最後にラウス・バーンの幻影を倒し、神代魔法の魔法陣まで辿り着いていた。

 

「………ふうん。ラウス・バーンが遺していたのは“魂魄魔法”というのか」

 

 魔法陣を解析し、手に入る神代魔法を調べたキャスターはつまらなそうに呟いた。

 この“魂魄魔法”によって恵里の降霊術のレベルは大幅に引き上げられるだろう。それを頭の片隅で考えながらも、別の事に思考の大半が費やされていた。

 オルクス大迷宮の“生成魔法”を見た時、ある予感はあった。そしてバーン大迷宮の“魂魄魔法”を見て、その予感は確信に変わった。

 オスカーの手記によれば、解放者が遺した神代魔法は七つ。キャスターが大迷宮で見つけたのはその内の二つだ。

 だが―――残りの五つの神代魔法は()()()()()()()。キャスターはそう確信していた。

 

「まあ……そうだろうな。こうなるのは自明の理か」

 

 どこか苦笑を交えながら、キャスターは独りごちる。そうしてオルクス大迷宮の時と同じく、試練を突破してない恵里でも神代魔法が習得できる様に魔法陣を改変し終わった後、ふとラウス・バーンが遺した手記が目に入った。

 中身はラウス自身の回顧録というべき内容であり、キャスターの興味を引くものでは無かったが、最後の一節に書かれた文章に彼は頷いた。

 

「“自由の意思の下にあらん事を”……か。その通りだ、ラウス・バーン」

 

 くつくつと笑いながら、手記を机に戻したキャスターは空間転移の魔術を使う。そうしてこの場から消え去る瞬間、ラウス・バーンへ語りかける様に呟いた。

 

「人も、魔術も……もっと“自由”であるべきだ」

 

 ***

 

 “神の使徒”として召喚された高校生達は基本的に王宮で騎士団の指導下で訓練するか、オルクス大迷宮で魔物を相手に経験値を積む事が日常だ。

 とはいえ、連日が訓練では彼等も精神的に疲弊してしまう。その為に週に一度は休日が設けられ、城下町を出歩く自由を許されていた。

 城下町は王宮のお膝元という事で活気があって栄えており、現代日本から来た高校生達にとっては中世風の街並みは観光気分を味わうのに十分だった。

 

「ねえ、エリリン。今日はどこ行こうか?」

「ん……鈴が行きたい所で良いよ」

 

 大通りを歩きながら、体面上は親友である鈴に恵里は応えていた。クラスメイト向けの物静かな少女の仮面を被って当たり障りのない返答をしたが、鈴は不満だったらしい。

 

「むぅ〜、エリリンってばテンション低〜い。お休みの日はアゲアゲでいくって法律で決まってるのですぞ?」

 

 無駄に高いテンションで話しかける鈴に表面上は苦笑した顔を見せたが、恵里は心の中で舌打ちしていた。

 

(フン、分かってないじゃないか。ボクは本当ならこんな事に時間を割きたくないんだよ)

 

 エヒト神から光輝を守る為にも、恵里は休日の時間も自分の鍛錬に使いたかった。キャスターの指導のお陰で以前より強くなったとはいえ、今のレベルでは狂った神を相手するには力不足だと感じていたのだ。

 だが、そのキャスター本人から休日の鍛錬を断られたのだ。休みなく鍛錬をした所で逆効果だし、何やらやる事があると朝から姿を見せていない。

 キャスターがいなければ秘密の鍛錬を行なっているオルクス迷宮の深層には転移できないし、クラスメイト達の前では本来の実力を隠した緩すぎる鍛錬くらいしか出来ない。

 結局、今日は無理やり休むしかないと不満ながらに自室に篭っていた所を鈴に連れ出されたのであった。

 

「でもさー、今日は久々にエリリンと一緒に遊べそうで良かったよ」

 

 唐突に鈴がそう言った。

 

「最近のエリリン、なんか張り詰めていた感じだったから」

「……そう、かな?」

「うん。カオリンも南雲くんが生きてると分かってから訓練をすごく頑張ってるみたいだし、エリリンもカオリンの為に頑張ってるんだよね? 今日はちょっとでも息抜きになれば良いなあ、と思って」

 

 どうやら、この()()()の少女は彼女なりに自分を心配して外出に誘ったらしい。

 恵里からすれば、光輝に近付く為に鈴の親友を演じてるに過ぎない。しかし、そんな外面の為に作った友人から気に掛けて貰ってる事に意表をつかれた顔になった。

 

「……その、ありがとう」

「どういたしまして♪」

 

 ゴニョゴニョと口ごもる恵里に、鈴は笑顔で返した。それが何故か気恥ずかしくなり、恵里は顔を赤くしながらそっぽを向いた。

 

「でも本当に無理しちゃ駄目だよ? カオリンもそうだけど、体を壊したら元も子もないんだからね!」

「うん、気をつけるよ」

「それに今の私達って、すごく強くなってるから大丈夫だって! 天之河くんやキャスターさんもいるし、今なら魔人族とか来ても皆の力を合わせれば勝てるって!」

 

 

 それは天真爛漫で、無邪気な笑顔だった。

 転移初日に比べれば、着実に強くなっている自分達。

 伝説の魔物であるベヒモスすら倒せる様になり、強くなった自分達が力を合わせれば地球に帰れる日も遠くない。それを鈴は確信している様だ。

 

(……どうだか)

 

 だが、そんな無邪気な友人を見ても内心で恵里は冷めた目になっていた。

 確かに自分達のステータスは上がった。戦闘技術もオルクス大迷宮の訓練を経て、着実にレベルアップはしているだろう。

 だが、結局のところ自分達を使って戦争ごっこをさせようとしているエヒトルジュエの掌の上なのは変わらない。それを知ってしまった以上、無邪気に喜ぶ気などなかった。

 さらには魔人族との戦争。エヒトルジュエの事以前に、恵里達はいずれその問題に直面するだろう。しかし、魔物とばかり戦っているオルクス大迷宮の訓練では不十分だと恵里は感じる様になっていた。

 

(こいつら、分かってるのかな。魔人族との戦争って、要するに人殺しをやれと言われてるのに)

 

 王国や教会の人間は魔人族の事を『邪教に奉じる悪魔だ』と恵里達に言っているが、少し考えれば地球でもよくある宗教戦争だと気付けるだろう。だが、一部のクラスメイト以外は異世界という非日常に酔って、魔人族が“ヒト”である可能性に思い至ってない様な気がする。

 何より―――彼等は知っているだろうか。暗い水底に沈む様な冷たい死の感覚を。

 キャスターとの降霊術の訓練で臨死体験を経て、オルクス迷宮深層でも死と隣り合わせの戦闘を何度も行った。そんな恵里からすれば、一部のクラスメイト達は未だに自分達が殺し殺される立場にいるという事を自覚してない気がするのだ。

 

(まあ、白崎とか八重樫みたいな例外はいるけど……でも、もしも魔人族と殺し合う時が来ても光輝くんはボクが守る)

 

 その為にも今は力を蓄えなくてはならない。恵里は決心を再確認する様にギュッと拳を握り―――。

 

「美しいお嬢さん。突然、声を掛けてすいませんね」

「あら……お上手な方ね♪」

 

 前方に、とても見覚えのあるシルクハット姿の男の姿が見えた。

 まだ距離がある為に恵里達に気付いてないのか、キャスターは持ち前のイケメンスマイルで身なりの良い令嬢に甘い声で囁く。

 令嬢の方も、相手が紳士風のイケメン男という事で悪い気はしない様だ。

 

「こういう事は初めて? それは勿体ない! あなたの様な美しい人を放っておくなんて、今までの男達は全くもって見る目がない!」

「もう、そんな風に言われたら照れてしまいますわ」

 

 まさに巧みな話術でキャスターは令嬢を口説いていく。それを鈴は苦笑いしながら遠巻きに見ていた。

 

「あはは……キャスターさんは相変わらずだね」

 

 つい先日も、そのまた前の日も、別々の女の子に声を掛けているのを鈴は見ていた。教会からの依頼で来た冒険者という事でそれなりの期間を共に過ごしているが、鈴を含めたクラスメイト達の中でキャスターは「強くて腕は確かだけど、女好きな遊び人」というのが共通認識になっていた。とはいえ、香織や優花の様に世話になった生徒もおり、遊び人ではあるがその事に嫌悪感を持つ生徒は実は少ない。

 

「まったく困った人だよねえ……エリリン、どうかしたの?」

「………ふ、ふふっ」

 

 少し呆れた様子になりながら恵里に話しかけた鈴だが、恵里は聞いていなかった。

 

 お前、やる事があるってそれか。

 こっちが色々と悩んでるというのに朝から女遊びしてたわけか。

 

 先程まで真剣に考えていた自分が馬鹿らしくなり、ついでに自分の修行をボイコットしやがった魔術の師匠に無性に腹が立つ。人間、本気で頭にくると感情が振り切れて笑顔になるのかもしれない。

 

「エ、エリリン? なんか笑顔なのに顔が怖いんだけど? ゴゴゴゴ、と音が聞こえそうなんだけど!」

 

 鈴が何やら喚いていたが、どうでもよかった。

 ふと恵里は唐突にある事を思い付いてニヤリと邪悪に笑った。隣で「ひぃっ!?」と聞こえた気がしたが、それに気を留めずに歩き出す。

 

「ははは、どうです? お互い独り者同士、ランチタイムを一緒に……ん?」

 

 様々な言葉で令嬢を褒めちぎり、首尾よくナンパを成功させようとしていたキャスターだが、近付いてきた恵里にようやく気付いた。

 そして―――恵里はキャスターの腕を絡め取った。

 

「パパ、こんな所にいたの? ママが待ってるよ」

「………はぁっ!?」

 

 わざとらしい程に良い笑顔でそう言うと、キャスターの顔が面白い程に変わった。そして同時に先程まで甘い言葉を囁かれていた令嬢も急激に冷めた顔になる。

 

「……ちょっとお待ちになって? どういう事ですの、パパって?」

「は、はは……いや本当に何を言ってるんでしょうね、このお嬢さんは」

「ひどい、パパ!」

 

 冷や汗を流しながら誤魔化そうとするキャスターだが、恵里は涙声で訴える。もちろん嘘泣きだ。

 

「ママと私の事を捨ててその女に乗り換えるの!?」

「おい、ちょっと!?」

 

 キャスターが引き攣った声を出すが、時は既に遅し。

 周りの通行人の目も思いっきり浮気者を批難する目になっていた。

 

「……最低っ!」

 

 令嬢のビンタがキャスターの顔に炸裂した。

 

 ***

 

「ったく、酷いじゃないの。もうちょっとであのお嬢さんと素敵なデートだったのに……」

「あら、ごめんなさい。私はか弱い女性を毒牙から救っただけですので」

 

 顔に紅葉マークを作ったキャスターに恵里は笑顔で返した。鈴の前なので猫を被った喋り方だが、いつもより強気だ。

 

「毒牙とは酷い、俺は全ての女性を愛する博愛主義者だというのに。隣人を愛せと神様も言ってるだろう?」

「う~ん、それはイエス様も助走をつけて殴ると思うなあ」

 

 さすがに聖書の一節は鈴も知っており、ジト目になってキャスターを睨んだ。

 

「キャスターさんが女の子と遊ぶのが大好きなのは分かるけど、ちょっと自重した方が良いと思うよ? いつか女の子絡みでトラブルになっても知らないからね?」

「なあに、ご心配なく。その手の裁判は何度も経験済みだ。判事の印象が良くなる方法など百は知ってる」

「マジで刺されろ、女の敵」

 

 グッ! とサムズアップするキャスターに恵里は思わず素の口調でつっこむ。

 極寒の視線でキャスターを見ていた恵里だが、ふと鈴が興味深そうに自分を見ている事に気付いた。

 

「ふふ、なんだかエリリン楽しそう。ひょっとして、そっちの方が素だったりする?」

「え……い、いやだなぁ、鈴。このスケコマシ……じゃなくて、キャスターさんにはちょっと口が悪くなったというか!」

「そう? でも、鈴はそっちの方が好きだな。なんだかいつもよりエリリンが屈託なく笑えてる気がするの」

 

 慌てていつもの「大人しい図書委員」の仮面を被ろうとした恵里だが、鈴は気にしてない様に言った。

 

「だってエリリン、いつも人を観察してるから控えめにしてるんだよね?」

 

 恵里は一瞬、言葉に詰まった。“大人しそう”、“引っ込み思案な図書委員”……それらは全て光輝の側にいる為にクラスの中で作り上げた仮面だ。香織や雫以外に目立った性格の女の子がいると、光輝のファン達に目の敵にされる。それを小学校時代に恵里は経験していた。

 だが、その仮面を打算で友人になっただけの少女は見抜いていたらしい。その事に驚き、次の言葉がすぐに出なかった。そんな恵里を見てキャスターは意味ありげにニヤニヤと笑っていた。

 

「いいんじゃないか? 愛しの王子様はこの場にいないんだし、友達の前くらい猫を被らなくても」

「っ、余計な事を……」

 

 どうにもこの魔術師の前では上手く仮面を被れない。というより、こいつは喜々として人の本性を暴きにかかるタイプなのだろう。そして暴かれた以上、もう鈴の前で演じるのも馬鹿馬鹿しく思えてしまった。

 

「……ああ、もう! はいはい、分かりました! 今まで引っ込み思案なフリをしてただけ! これでいい?」

「へえ、エリリンって本当はそんな喋り方だったんだね」

 

 大人しい図書委員の仮面を脱ぎ捨て、本来の顔を恵里は見せた。だが、鈴は特段驚くことなく受け止めていた。

 

「どうして今まで引っ込み思案なフリをしてたの?」

「……別に。前に学校でいじめられた事があったから、目立たない様に振る舞っただけ」

 

 半分ほど事実を隠して理由を語る。しかし、それで鈴は納得した様だ。

 

「そっか……恵里も辛かったんだね。でもね、鈴は恵里の友達だからね! 恵里が本当はちょっと口の悪い子だったとしても、そこは変わらないよ!」

「フン……そりゃどうも」

 

 この脳天気に振る舞う少女は自分の素顔の一部を見せても友人役でいてくれるらしい。

 

(本当にめでたい奴。でも………)

 

 でも、何故か恵里はその事に安心感を覚えていた。それは鈴が友人でいてくれる事で光輝との繋がりを維持できるからか、それとも………。

 

「いやはや、友情とはかくも美しきかな」

 

 いつもの軽薄な態度でキャスターはそう話し出す。だが、その目付きはどこか優しい。

 

「本音を言える友人が一人くらいはいてもいいもんだ。苦しい時は荷物を半分に出来るしな」

「余計なお世話だよ。大体、お前に僕の気持ちなんか分かるわけないだろ」

「そんな事はない。これでも学生の頃はいじめられっ子だったんだねぇ。唯一の友人が酒と女と教えてくれた叔父だったくらいだ」

 

 拗ねた様に言う恵里にキャスターはカラカラと笑う。

 

「むう~……恵里ってば親友である私より、キャスターさんと仲が良さそう」

 

 少しだけ頬を膨らませながら鈴は冗談めかして言った。

 

「ひょっとしてキャスターさんとつき合ってるとか?」

「は?」

「……ごめんなさい。だからそんな目で睨まないでお願い」

 

 掛け値なしの殺気をぶつけられ、鈴は即座に謝った。

 

「ふむふむ、そうか。さっきの事も、実は寂しくてやったのか」

 

 キャスターはわざとらしく頷いた後、慈愛の表情を浮かべながら両手を広げていた。

 

「寂しかったら胸に飛び込んでおいで、マイ・ドーター」

「その口閉じないとぶっ殺すぞ、万年発情期」

 

 ゴミを見る様な目でキャスターを見る恵里。

 そこでふと鈴が何かに気付いて遠くを指差した。

 

「あれ? あそこにいるの、天之河くんじゃない?」

「え、本当!? こ、光輝くん!」

「うわぁ……すげえ変わり身……」

「女の子というのは好きな子の前では可愛いらしくするものだよ?」

 

 一転してしおらしい女の子の仮面を被って走り寄る恵里にキャスターと鈴が苦笑する。

 するとそこには大通りに光輝がいたが、どこか様子がおかしかった。

 

「光輝くん、こんな所で会うなんて偶然だね」

「え、恵里? ああ、うん。そうだな……」

「あれ? どうかしたの、天之河くん」

「やあやあ、勇者くん」

「鈴? それに……キャスターさんも」

 

 遅れて来た鈴には少しだけ笑顔を見せたが、光輝はキャスター相手にはどこか隔たりを感じさせる態度だった。

 光輝からすれば、公然と女遊びをしているキャスターは“正しくない”人間だった。それだというのに実力はあり、ともすれば勇者である自分以上にクラスメイト達から頼られているのが気に入らない相手だ。

 その事を知らずか、あるいは知った上で然程問題と思ってないのか。キャスターは光輝を見て気になった事を馴れ馴れしく聞いた。

 

「んん? 勇者くん、背中の聖剣はどうした? お前、いつも持ち歩いていただろうに」

 

 光輝が王国から与えられたアーティファクト、“聖剣”。

 それは今まで誰も鞘から抜く事が出来ず、“勇者”である光輝の手で初めて鞘から抜けたハイリヒ王国の至宝とも言える剣だ。

 聖剣はまさしく“勇者”の証ともいえる剣であり、“勇者”がハイリヒ王国に存在すると国民に宣伝する為にも光輝は聖教教会から聖剣を片時も手放さずに持ってる様にと言われていた。

 その聖剣が見たところ、光輝は持ってない。それを指摘したキャスターだが、彼に反感を持つ光輝は不機嫌そうに顔を逸らした。

 

「……あなたには関係ないです」

「ねえ、光輝くん。教えて。その……もしかしたら、私達が力になれるかもしれないの」

「恵里……」

 

 キャスターの代わりに、“しおらしい女の子”の仮面を被った恵里が聞いた。好意を持つ光輝の力になりたいという乙女心と、ここで自分が光輝の問題を解決すれば彼の中の株が上がるという計算高さが半々といったところだ。

 そして最近は親しくなった友人である恵里に聞かれ、光輝はようやく重い口を開いた。

 

「分かったよ……実は―――」

 

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