ありふれた降霊術師へ世界最凶の魔術師は贈る   作:sahala

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 今回の話こそ、この作品を書き始めた切っ掛けと言いますか……原作だと盲目的に光輝を好きになって暴走した扱いの恵里だけど、その想いまでは自分は否定したくなかったのですよ。


第四話「魔術師は少女へ道を示す」

「あのさ。お前、本当に何しに来たわけ?」

「ん? 見ての通り晩酌だけど?」

 

 ホルアドの宿泊施設で恵里は酒を飲みながら寛いでいるキャスターを睨んでいた。この宿泊施設はホルアドの中でも大きな物で、恵里達はオルクス大迷宮で訓練する時はここで寝泊まりしていた。対外的には“神の使徒”の協力者であるキャスターも出入りを許されているので、ここの食堂にいる事自体は問題ないのだが……。

 

「そういう事を聞いているんじゃないよ。お前、ボクに協力する為にここにいる筈で―――」

「あれ? エリリン、まだ起きてたの」

 

 恵里が声を荒げそうになった途端、背後から唐突に偽りの親友に声を掛けられた。もうじき就寝時間なので他人は来ないと油断していた恵里は、慌てて『内気な少女』の仮面を被る。

 

「っ……う、うん。ちょっとキャスターさんに聞きたい事があって……」

「降霊術をどうしたら慣れる様になるか、だとさ。仲間の為に自分の“天職”をどうにか使える様にしたいんだと」

 

 余計な事を言うな、と恵里は思わず睨みそうになるが、鈴はその説明で納得したらしい。

 

「そっか。キャスターさんも“降霊術師”だもんね。でも、エリリンもあまり無理しちゃ駄目だよ?」

「う、うん。でも、香織ちゃんも頑張っているから、私も出来る事は無いかな、と思って……」

「エリリンはやっぱり友達想いだなあ」

「だろう? 酒の肴にちょうど良いから話を聞いてるわけよ。お前も一杯どうだ?」

「もう、キャスターさん! 鈴はまだ未成年だよ!」

「俺が鈴と同じ頃には浴びるように飲んでたんだけどなあ……」

「……キャスターさんって、もしかしてロクデナシさんだったりする?」

 

 ケラケラと笑うキャスターに、鈴は少しだけジト目になる。

 

「まあ、いいや。エリリンにお酒は奨めないでよね! エリリンも明日は早いから早く寝るんだよ!」

「う、うん……お休み、鈴」

 

 鈴は肩をすくめながらも、恵里に一言を残して自分の部屋へと階段を上がっていった。その様子はキャスターは何だかんだ言いつつも、恵里に変な事はしないだろうと信頼している様だ。そして鈴が階段を上がりきった音を注意深く聞いて、恵里は『内気な少女の仮面』を脱いだ。

 

「で、さっきの話だけど。お前、本当に何しに来たんだよ。見てる限り、光輝くん達に取り入ってから好き勝手やってる様にしか見えないけど?」

「人聞きの悪い。これでもブラックな上司にこき使われながら働いているんだぜ? 酒ぐらい好きに飲ませてくれよ」

「ボクが言っているのは……何で王都の人間を僕の人形に変える手伝いをしてないのか、って話だよ!」

 

 バン、と恵里はテーブルを叩く。恵里は光輝を手に入れる為、周囲の人間を降霊術で意のままに動く死体に変える計画を立てていた。光輝を手に入れる為には彼の幼馴染みである香織や雫が邪魔だ。だが、彼女達に直接手を出せば王都にいられなくなる。そして他のクラスメイト達も邪魔をするだろう。だから彼等をまとめて排除する為にも王国の身近な騎士やメイド達を屍人形に変えて殺そうと考えていたのだ。

 ところがいざ実行しようとすると、キャスターがまるで先回りしたかの様に現れるのだ。騎士達を誘って酒盛りを開いていたり、メイド達には甘い声で囁いてナンパしていたりと自分の邪魔をしてる様にしか思えない。これだけ見るとキャスターはただの遊び人なのだが、オルクス大迷宮の攻略には十分に攻略してくれている。お陰で恵里達を含めたパーティーのレベルも全体的に上がり、今回の訓練では因縁のベヒモスすら倒せる様になった。だが、恵里自身の計画は全く進んでおらず、せっかく手駒にした檜山も半ば放置してる事もあって恵里はかなり苛立ちを募らせていたのだ。

 

「落ち着けよ……大体なあ、お前の計画はかなり無理があったと思うぞ」

 

 恵里がテーブルを叩いた衝撃で倒れそうになったグラスを庇いながら、キャスターは溜息交じりに言った。

 

「周りの人間を自分の操り人形に変えて、勇者くんの周りにいる少年少女を排除する………倫理観とかこの際置いとくとして、それをやった後の逃亡先とか考えてあるのか?」

「それは……魔人族に取り入るつもりだよ。奴等は人間族の国を滅ばしたいんだろ? それならハイリヒの王様とか、ついでに光輝くん以外の奴等の首を差し出せば……!」

「まず、どうやって魔人族にコンタクトを取る気だ? そんな都合良くあちらから来ると思うか?」

「そんなの……戦争が激化するタイミングで会う可能性があるだろ! その時に交渉すれば……!」

「その交渉も大分綱渡りになると思うぞ。王都の人間を殺す手伝いをするのは奴等もありがたいだろうが、肝心要の勇者くんは自分と一緒に生かせ、って要求するつもりだろ? 強力な強制(ギアス)を掛けるとして、魔人族側が条件を飲んでくれると思うか? 事を済ませば、用済みなのでハイ、サヨナラという可能性もゼロじゃないだろ?」

「うっ……で、でも! お前のバックにエヒト神がいるんだろ! そいつに頼れば!」

「人間の小娘如きが自分と交渉とか調子こくな。まずは自分を愉しませてからにしろ、だとよ。そりゃ神様からしてもそこまで協力してやる義理は無いだろうからな」

「……っ!!」

 

 淡々とキャスターに指摘され、恵里は地団駄を踏みたい気持ちを必死に堪えた。残念ながら、それだけ彼女の計画はキャスターから見て穴だらけに見えたのだ。幸運や偶然が味方してくれない限り、確実性は薄いと言わざる得ない。

 

「俺も聖職者じゃないから人を殺してはいけません、とか宣う気は無いけどな……。ただなあ、やるにしてもまずこの方法ならイケる! と見通しを立ててからでないと。このままじゃお前、全部御破産になって王都から逃げ出す羽目になって、良くて俺と仲良く神様のパシリになるだけだぞ?」

「うるさいんだよ、さっきからグチグチ……! 良いんだよ、神様の奴隷になっても! 光輝くんさえ……ボクの王子様さえ手に入れば!」

 

 キャスターから指摘された見通しの甘さは認めるものの、自分の思い通りに動かない協力者に恵里は苛立った声を上げる。そんな恵里をキャスターは溜息を吐きながら見つめ、コトンと酒のグラスをテーブルに置いた。

 

「……なあ、一つ聞きたいのだけど。なんでそんなに勇者くんに固執してるんだ?」

「何だよ、突然。お前には関係ないだろ」

「いや、あるだろ。条件つきの協力関係とはいえ、お前は俺のマスターだからな」

 

 キャスターは恵里の手袋した手を指差す。他の人間にバレない様に普段はつけている手袋の下には、マスターの証である三画の令呪が刻まれていた。

 

「マスターが欲しいというなら、協力してやるのがサーヴァントの筋だろうけどな。でも理由が分からなければ、こっちも協力し甲斐がないというか……いや、勇者くんが見た目はハンサムだというのは分かるよ? でもさあ、明らかに勇者くんは白崎香織と八重樫雫の二人にしか興味無いだろ。もっとも、その二人からは別に好かれてもいなさそうだけどな」

 

 “神の使徒”の協力者としてそれなりの時間を過ごしているキャスターだが、段々と彼等の人間関係も見えてきていた。

 彼等の中心人物である天之河光輝。

 正義感のある好青年ではあるが、どうにも自分の価値観を疑わない性格の様だった。本人は長年の幼馴染みの少女達が自分の側にいる事を当たり前と思っている様だが、話を聞く限り香織は行方不明になったハジメという少年をずっと想っており、雫は単に暴走しがちな光輝を諫める為にいるだけの様なのだ。それだというのに本人は香織と雫を独占している気でいるのだから、キャスターの目には一人芝居をしている役者の様に映っていた。

 

「だからなあ、なんで自分しか見てない奴にそこまで夢中なってるのか理解できないんだよ。それにお前の計画だと勇者くんも殺して自分の人形に変える気でいるだろ。やってて空しくないか? 結局、自分を見なかった奴に好きとか愛してるとか、適当に言わせようとしてるだけなのだから」

「………そうでもしないと、光輝くんがボクなんか見てくれるわけないだろ」

 

 ある意味でキャスターの真っ当な指摘に、恵里は低い声を出す。だが、それは触れられたくない部分を触れられ、逆上を通り越して却って冷静になった様な怒りを押し殺している声だった。

 

「ボクにとって、光輝くんはたった一人の王子様(ヒーロー)なんだ……ボクの最悪な人生を救ってくれたんだ」

 

 そうして恵里は親友ごっこをしてる鈴にすら話していない過去を話し出す。

 

「実の父親が死んでから、ボクの人生は最悪だったんだ……母親に殴られる様になって、その母親の再婚相手から犯されそうになって、それを阻止したら母親から“泥棒猫”呼ばわりされて……そんな、死んだ方がマシな人生に陥ったんだ」

 

 あるいは、それは彼女なりの苦しみの発露だったのだろう。長年、誰にも話す事なく内側に秘め続けた感情。それを仮とはいえ協力者であるキャスターにぶつけていた。

 

「でも、自殺しそうだったボクを光輝くんが救ってくれた。光輝くんの言葉で、ボクは救われたんだ……でも、光輝くんにとっては、ボクは“光輝くんが救ったモブの一人”でしかない……!」

 

 それは本当にありふれた言葉だったのだろう。だが、暗闇に沈みそうだった恵里にとって一筋の希望となった事に違いなかった。だが、光輝にとっては特別な事をしたわけではない。彼にとって、恵里の事は“解決済み”となってそれ以上の興味を持たれなかっただけだ。

 

「だから、光輝くんにといってモブに過ぎないボクが特別になるには………唯一無二のヒロイン(特別)になるには、周りの女を排除しなきゃいけないんだ……ボクだけを見てくれる様に、しなきゃいけないんだよ……! そうでなければ……ボクなんか、愛されるわけないんだよっ!」

 

 最後の辺りはもはや怒鳴っていた。怒鳴り声に気付いて寝静まった誰かが起きてしまうとか、そういう考えすら恵里から吹き飛んでいた。

 現代社会では諸々の事情からほぼ不可能であり、異世界召喚などという非常事態だからこそ、やっと巡ってきたチャンス。だが、それも暗礁に乗り上げていた、元凶とも呼べる狂った神は自分の企みに協力してくれるわけでもなく、協力者である筈の魔術師は全く乗り気ではない。恵里の精神の許容量は既にレッドゾーンに差し掛かったいたのだ。

 ハァ、ハァ、と恵里は荒い息で、今まで協力的ではない協力者を睨んでいた。まさに子供の癇癪をぶつけられたキャスターは……神妙な顔になっていた。

 

「なるほど………話は分かった」

 

 グイッとグラスに残っていた酒を飲み干す。そうして再び恵里に向き直った顔は、先程の酒飲みの様なだらしなさは消えていて、かつてなく真剣な顔に恵里は思わず意表をつかれていた。

 

「形は歪んではいるが、意志は本物というわけだ。むしろ、それこそが聞きたかった」

「な、なんだよ突然……ボクの光輝くんの想いなんて、他の奴にはどうでも良い事だろ」

「でもお前にとってはそれが命を掛ける願いなのだろう。なら、それは本物の意志(True Will)だ。極限の意志をもって、現実を変革しようという強い想いだ。大きな意志をもって行う愛を俺は()()()()

「………ふ、ふん! 分かれば良いんだよ!」

 

 真剣なキャスターの目から逃れる様に、恵里は悔し紛れにそっぽを向いた。

 だが、同時に恵里の中で奇妙な感情が生まれていた。自分の光輝への想い………それが一般的に見れば、正しくないという事は恵里にも分かっていた。他人に話せば、十中八九は否定されると理解してる。だからこそ、恵里は今まで心の中でずっと隠していたのだ。

 だが、キャスターは恵里の想いを聞いても否定しなかった。その願いは恵里にとっての真実であり、その愛は本物なのだ。だから、笑う事はしないと。こんな風に素の自分の感情を認めて貰えたのは、いつ以来だっただろうか。それはきっと………まだ自分が、親から無償の愛を向けられていた―――。

 

「さて、そういう事ならやっぱりやり方は変えるべきだろうな」

 

 キャスターの一言に恵里はハッと回想から戻った。

 

「とりあえず、王都の人間をゾンビに変える案は忘れろ。王国を滅ぼすにしても、()()()()()()()()()()()()()。こっちは俺が平行して進めるから、お前はプランAといこうか」

「プランA? 何だよ、それ」

「ああ。まずは………」

 

 胡散臭そうな顔になる恵里に、ふとキャスターは手を伸ばし……眼鏡をヒョイと奪った。

 

「こ、こら! 返せ!」

「やっぱり伊達眼鏡か。それに、眼鏡が無い方が可愛いじゃないか」

「なっ………!」

 

 恵里からすれば、香織や雫みたいなAAA級の美少女が近くにいたから地味で目立たない容姿にする為の伊達眼鏡。しかし、その眼鏡を取ったありのままの自分の顔を褒められて顔が赤くなる。

 

「猫を被るのは良いけどな、なんで愛しの勇者くんがいるのに眼鏡をかけて根暗な振りをしてるんだ? せっかくキュートな顔つきなんだからアピールすれば良いじゃないか」

「そんなの……ボクなんかが白崎や八重樫に勝てる筈が………」

「だから、なんでやる前から諦めてるんだという話。王国を滅ぼすくらいなら、好きな男を振り向かせる方が簡単だろ?」

 

 それとな、とキャスターは恵里をジッと見つめる。あまりに真剣な表情に恵里はたじろいだ。

 

「自分なんかが他の奴に敵わない、とか弱気な事を言うのは止めろ。自分の事を嫌いな奴が、誰かに好かれたいというのは無理がある話だ。なにせ、売り出す自分自身でケチをつけてるのだからな……自分の事を信じてやれよ。他の誰よりお前を味方できるのが、他ならぬ自分なのだから」

「自分を……信じる……?」

 

 それはある意味、とてもありふれた言葉だった。それなのに恵里はキャスターの言葉に耳を傾けていた。そんな恵里を見てキャスターはニカッと笑う。

 

「なあに、上手くいかないなら俺が王国をぶっ壊して逃避行の手伝いでもしてやるよ。その時まで、愛しの勇者くんにアプローチをかけてれば良いって話だ。簡単だろ?」

 

 ***

 

 翌朝。朝食を済ませ、光輝達は宿をチェックアウトしてホルアドの広場に集まっていた。

 トータスの歴史上では誰も倒せなかったベヒモスを倒した事で、今まで“神の使徒”に興味を持つ素振りも無かったヘルシャー帝国が急遽来訪すると聞き、王城へ戻る事になったのだ。

 

「みんな、揃ったか?」

 

 引率役であるメルドが点呼を取る。しかし、そこで鈴が手を上げた。

 

「メルドさん、エリリンがまだです!」

「まったく、遅刻は厳禁だというのに」

「もう! メルドさん、女の子の支度には時間が掛かるんですよ?」

「いや、それで団体行動を乱されても困るのだが………」

 

 ぷりぷりと怒る鈴にメルドが何とも言えない顔になっていると、噂をすればというべきか恵里がやって来た。

 

「恵里、遅かった……じゃないか……?」

 

 遅刻を咎めようとしたメルドだが、徐々に叱責の言葉が尻すぼみになる。それは鈴や光輝達も一緒に驚いていた。

 転移前のクラスでの恵里の印象は地味で目立たない眼鏡っ子というイメージだった。

 だが、今の恵里はトレードマークとも言える眼鏡を掛けておらず、それによって彼女の顔の印象を変えていた。眼鏡のレンズによって小さめに見えていた目は裸眼となった事で今はくっきりと大きく見え、恵里の小ぶりな顔を印象づけさせる瞳となっていた。髪型も以前と変わらないショートボブであるものの、眼鏡が無くなった分、顔の丸みが強調され、顎のラインに沿って髪が緩やかに流れる事で可愛らしさが増していた。

 まさに別人。今まで地味な図書委員だと思っていただけに、他の男子生徒達はおろか光輝すらも恵里のイメージチェンジにポカンと口を開けていた。そんな一行を余所に、やって来た恵里はメルドに頭を下げる。

 

「ごめんなさい。なかなか髪の感じが決まらなくて……」

「あ、ああ。次からは気を付ける様に」

 

 メルドも以前とは印象が異なる恵里に面食らい、言葉少なく注意するだけになっていた。そして恵里は光輝の元へ歩いていき、微笑みながら小首を傾げる。

 

「どうかな、天之河……光輝くん? ちょっとイメージを変えてみたんだ」

「え? ああ、うん……その……」

 

 自分に話し掛けられると思っていなかったのか、光輝は咄嗟の言葉に詰まった。だが、恵里がモジモジと光輝の返事を伺っているのを見て、雫が光輝の肩を小突く。常に周りへの気遣いを忘れない彼女は、恵里がイメチェンした理由を悟ったのだ。雫にどうして小突かれたのか光輝は分からなかったものの、とりあえず恵里に返事をしろという意味だと解釈して答えた。

 

「その……驚いたよ、まるで別人みたいだ。それに前より顔の印象が明るくなったと思う」

「……! 本当? えへへ、嬉しいな」

 

 恵里ははにかんだ顔を見せる。それはとても綺麗な笑顔で、光輝も思わずドキッとしてしまった。その様子を見ていた鈴もまた、親友の変貌の理由を悟った。

 

「むむむ……! これはもしかして、もしかするのかな? かな?」

「いや~、若い奴の恋は見てて初々しくなるな」

「うんうん、そうだね……って、のわあ!? キャスターさん、いつの間にいたの?」

「さっきからいたぞ、失敬な。大体、影が薄いキャラはもう間に合ってるだろうに」

「……あの、ひょっとして俺がディスられてます?」

 

 近くで聞いていた“暗殺者”の少年のツッコミを軽くスルーして、いつの間にやらいたキャスターはケタケタと笑っていた。

 

「でも、そっか~。エリリンは光輝くんの事を……うん、親友として応援してあげなくちゃね!」

「………ああ、そうしてやれよ。恵里自身以外で恵里の事を応援してやれるのは、お前くらいだろうからな」

「うん! ところで、ひょっとして昨日の夜にキャスターさんに話していたのも、もしかしてこの事? キャスターさんはどうして恵里の事を応援してくれるの?」

「ん? ふふ、さあな………」

 

 不思議そうに見る鈴に、キャスターは軽く笑った。

 かつて―――彼にも愛した女性がいた。その女性と結ばれ、子供を授かった事もあった。

 だが……結局、魔導の探求を止める事が出来ず、全てを台無しにしてしまった。

 そんな生前の過去を思い返しながら、キャスターは好きになった異性に振り向いて貰おうと歩み始めた少女(マスター)を暖かく見守っていた。

 

「なんとなく、他人の気がしなかったから………な~んてな♪」

 




そんなわけで……恵里の事を真っ当に応援してあげる存在が欲しいと思い、自作のキャスターという人物を作ったんですよ。あと書きそびれましたが、キャスターは“降霊術師”の天職として、光輝達と共に戦っています。(まあ……歴史上の彼を見ると、“降霊術”が得意なのは嘘ではないけど)

>キャスター・マテリアル②

かつて、彼は所帯を持っていた。そこで魔術師の道を諦め、普通の家庭を築く選択もあった。
だが、彼は魔術の探求を止める事が出来ず、結果として家庭を失ってしまった。

だからこそ、と言うべきか。彼は恵里の想いを否定せず、成就する様に動く事にした。彼にとってマスターが善人か悪人かは問題でなく、どの様な形であれ強い意志をもって突き進もうとする人間を応援したくなる様だ。

何故なら―――彼もまた、()()()()()をもって自己と世界の変革を夢見た人物だったからだ。
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