ありふれた降霊術師へ世界最凶の魔術師は贈る 作:sahala
でも、職場がアレでもSSの執筆だけは止められそうにないですね(笑)
カツン、カツン。
迷宮の中でキャスターの足音が響く。舗装されてない道を歩くには不向きそうなプレーントゥの革靴でありながら、彼は全く苦にする様子もなく軽い足取りだった。
ここはオルクス大迷宮。地球から召喚された高校生達と共に戦闘訓練に参加しているキャスターが迷宮にいる事はおかしくないが、周りにはその少年少女達はいなかった。
それもその筈、ここはオルクス大迷宮の深層と呼ばれる場所であり、表向きは地下百階が最深層だと言われている為に、彼等は存在すらも知らないのだ。しかも深層の魔物は表層にいた魔物とは一線を画しており、“神の使徒”と呼ばれている彼等の力でも歯が立たないだろう。
「~♪ ~♪ ~♪」
だが、そんな凶暴な魔物がうろつく深層をキャスターは鼻唄を歌いながら歩いていた。まさに散歩でもしてる様な軽い足取りで、迷宮の奥へ奥へと進んでいく。
やがて、彼は無数の巨大な柱に支えられた広大な空間についた。柱の一本一本に見事な彫刻が施され、厳かな神殿を思わせる様な空間だった。巨大な柱が乱立する奥―――二百メートル先ぐらいに、七角形の紋様が刻まれた巨大な扉があった。それを見たキャスターは足を進める。
『クルゥァァアアンッ!!』
だが、キャスターの行く道を遮る様に障害が現れた。突如として地面に現れた魔法陣から、巨大な魔物が現れた。
体長三十メートル、それぞれ色違いの紋様が刻まれた六つの頭と長い首、鋭い牙と赤黒い目。
それは神話における怪物――――ヒュドラの様な見た目だった。
「これはこれは……まさに最奥を守る守護獣といったところだな。魔力量も今までの魔物とは段違いか」
扉への番人の様に現れたヒュドラに対して、キャスターは暢気な感想を漏らした。
ヒュドラ達が動く。赤い紋様のある頭は灼熱の炎を吐き、少しダメージを与えると白い紋様のある頭が回復を行い、黄色の紋様のある頭が盾役で白い紋様の頭を守り……と、それぞれの頭が各々の役割を連携で補っていた。
「おお、こりゃすごい。多頭でありながら、各々の頭がこうも自律思考できる魔獣は、中々お目に掛かれなかった。これを作ったのが“反逆者”という連中なら、時計塔でも一級の魔術師になれたろうな」
だが、とキャスターはヒュドラ達の攻撃を避けながら言葉を切る。その顔は相手の技術を称賛しつつも、“自分こそが最強”と自負する不遜なまでの自信に満ちていた。
キャスターが銀のステッキを振る。まるで宙を描く様に振った形は、円の形と同時に何故か『青』という色まで錯覚させた。
『“ヴァユ”』
描いた青い円を投げる様に杖を振る。それは空気の巨大な断層となり、ヒュドラ達の首を全て斬り飛ばしていた。
『シャアアアアァァァッ!!』
六つの頭が消えた事で、胴体に隠されていた七つ目の頭が出てくる。肉が盛り上がる様にして現れた銀紋様のある頭は、急速に生やした頭で魔力を放とうとし――――。
「遅い」
それより先に、キャスターの銀のステッキが銀紋様の頭を小突いていた。それこそコン、と軽く叩く様な仕草。
だが、ステッキで叩かれた瞬間、銀紋様の頭が込めていた魔力は暴走し、行き場のない魔力が破裂する様に自分の頭を消し飛ばしていた。
「幻想種でもない竜など恐くもない」
ドウッ!! と全ての頭を失ったヒュドラが地に崩れ落ちる。もはやヒュドラに対して興味を失ったキャスターは、最奥にある扉に手を掛けた―――。
***
恵里は夢を見ていた。
『二度とその顔を見せないで!! この……神を信じない穢れた悪魔め!!』
バタン! と扉が閉められる。僅かな私物を鞄につめた少年は、寒空の下に放り出されていた。
少年を家から追い出したのは、彼の実の母親だった。彼女は我が子に向けるとは思えない―――それこそ悪魔でも見る様な目付きで、息子を追い出していたのだ。
『………』
少年は私物の入った鞄を持ちながら、しばらく佇んでいた。それは実の母親に悪魔呼ばわりされた事にショックを受けて立ちすくんでいる様であり―――同時に扉が再び開くのを待っている様でもあった。
さっきは言い過ぎたわ。戻ってらっしゃい。
そんな言葉と共に、母親が再び家のドアを開けてくれるのではないか。そんな期待をしてる様にも見えていた。
だが、待てども待てども母親が再びドアを開ける気配は無い。やがて、自分はこの家の敷居を二度と跨げないと悟った少年は、くるりと家のドアに背を向けた。
『……さぁて。今日は独立記念日だ。何処に行こうか?』
誰に聞かせるまでもなく、楽しげに少年は呟く。
『もう僕は自由だ。朝のお祈りをしなくて良いし、夜通しで聖書の暗唱をしなくてもいい。僕は自由なんだ!』
足取りは軽やかに、もう厳格な教義を押し付けてくる家に縛られる必要は無いと、少年は新たな生活を頭に思い浮かべていた。
『あんな母親に、もう従わなくていいんだ! だから……だから、今日は……最高の独立記念日だ!』
少年は歌を口ずさむ。家では讃美歌以外に許されなかった為に歌えなかった、巷の流行りの歌だ。それを口ずさみながら、まるで行進する様に住み慣れた我が家から離れていく。
『~♪ ~♪ ……っ、~♪』
そうして一度も生家を振り返らず、少年――――キャスターは何処へともなく全財産の入った鞄を持って歩いていく。
その目に―――キラリと光る物に、気付かない振りをしながら。
***
「……最っ悪な目覚めだ」
恵里は今し方に見ていた夢の内容を思い出し、思わずそう毒づいた。
今いるのはハイリヒ王国の王宮にある恵里の私室だ。迷宮探索の訓練から久しぶりに王宮に帰って来ており、夕食もそこそこに、疲れから寝間着に着替える事もなくベッドに寝転がった恵里だが、そのままうたた寝をしてしまったらしい。
地球から持ち込んでいた腕時計―――トータスには時計が無いから、日の傾きなどで直感的に時刻を合わせただけだが―――を見ると、まだ夜の八時といった所だ。
「ハァ………なんだってこんな夢を見る様になったんだか……」
恵里は大きなため息を吐くが、その原因は分かっていた。
これはあの胡散臭い魔術師の過去だ。彼と契約したあの夜から、恵里は定期的にそれを夢という形で見ていた。最初は何だったのか分からなかったものの、こうも何回も見せられれば察しはつく。
「……まあ。母親が自分の子供を愛せないとか、そんなもの珍しくもなんとないよね」
先程までの夢で陰鬱になりそうな気分を吹き飛ばす様に、恵里はそう独りごちた。
珍しくなんてない。家庭内の不和など何処にでもある話だし、それこそ地球でもテレビをつければ、連日の様にストレスから実の子を殺した親のニュースを見るぐらいだ。
だから、キャスターの幼少期もありふれた内容だ。そう思おうとしていたが―――。
「………」
恵里は何となく、自分の生い立ちを思い出す。大好きだった父親が交通事故で死に、その事故の原因が恵里にあると思い込んだ母親は、恵里を虐待する様になった。再婚しようと連れ込んだ男が恵里に性的暴行を加えようとした時も、恵里の事を「この泥棒猫!」と罵ったくらいだ。
結果的にその母親とは今は離れて暮らしているが、その時の事を今でも悪夢に見るくらいだ。
光輝に出会うまで、恵里は自分が世界一不幸な少女だと思っていた。光輝を手に入れて、初めて自分の新しい人生が始まる。そう思っている。
だが……キャスターの過去を見ると、いつも飄々とした彼も幸せとは言えない生い立ちだった。何より―――母親に愛されていなかった、という点で恵里は奇妙なシンパシーを感じていたのだ。
「やっほー。起きてるか?」
「………お前さ、普通にノックして入る事を覚えられないの?」
唐突に部屋に現れたキャスターに、恵里は先程とは違うため息を吐きながら振り返った。彼が言うには霊体化して壁をすり抜けられるそうで、こうして気儘に部屋に入ってくる事に恵里も慣れつつあった。恵里の文句にキャスターは肩をすくめながら応える。
「だってなぁ、さすがの“雇われ冒険者のキャスターさん”も王宮の中をうろつく許可は貰ってないし……というか女子寮の部屋のドアの前に、俺みたいな伊達男がいたら騒ぎになっちゃうだろ?」
「じゃあ、乙女の部屋に来る前に一報ぐらい入れろ。それで今日は何の用?」
恵里は面倒そうにキャスターをジト目で睨んだ。光輝の事で彼に手伝って貰ってるし、生い立ちに少しだけ共感を覚えても、やはり恵里にとってはいけ好かない魔術師だった。
そんな恵里の冷たい態度を気にする様子も無く、キャスターは用件を述べた。
「ちょっと良い修行場を見つけたからさ、夜のデートといこうぜ?」
***
「ここは………?」
恵里は目の前の光景に思わず目を見開いた。先程まで自分は王宮の自室にいた筈だ。だが、キャスターが何やら印を結ぶと同時に空間に穴が現れ、呆気に取られる恵里が半ば強引に連れて来られた先は見た事のない部屋だったのだ。
「ようこそ。オルクス大迷宮の
キャスターがいつもの胡散臭い笑みを浮かべながら、ホテルのドアボーイの様に一礼した。
恵里の目の前に広がっていたのは、居心地の良さそうな屋敷のある空間だった。一瞬、ここは外かと思ったものの、よく見ると壁には精巧な空の絵が描かれ、天上の照明器具が太陽の代わりを果たしていた。屋敷の他にも小川や大きな畑もあり、更には大きな露天風呂まであった。
「ちょっと待てよ。ここがオルクス大迷宮の中だって?」
「そ。実はいま訓練でも目指してる地下百階より更に下があって、なんと教会から“反逆者”と呼ばれた人間の秘密基地がありましたとさ」
大迷宮にこんな場所があったなんて……と恵里は目を瞬かせていた。
「ちなみについ最近まで誰かが住んでた形跡があったぞ。どうやら前に話したハジメ少年はここに辿り着いてた様だな」
ふうん、と恵里は気のない返事をする。恵里にとって南雲ハジメは、光輝から香織を引き剥がす為に使うつもりだった駒ぐらいの認識だ。最弱だった彼があの迷宮の中でよくぞ生きてこられたものだと思うものの、生きていたからといって別段生存を喜ぶ程の情も無かった。
「まあ、それはともかくこちらが本題なんだが……どうやらこの迷宮を作ったオスカー・オルクスという奴は、この世界の神代魔法を習得させる試練として用意してたみたいだな」
「神代魔法? 確かにそんな魔法が昔にあったという話は聞いたけど……」
王宮で行われた座学で習った知識を思い出している恵里に、キャスターは頷く。
「そう。教会ではエヒト神への“反逆者”と呼ばれている人間達……その正体は、狂った神を討つ為に戦っていた“解放者”だったわけだ。だが、奴等は力足りずに敗れ、後世の人間に望みを託す為にこの様な場所を作ったのさ」
「なんでそんな事まで分かるんだよ?」
ついて来な、とキャスターは歩き出す。恵里が訝しみながらもキャスターの後ろを歩き、屋敷の中へと入る。そして屋敷の一室に、地面に精密な紋様の魔法陣が描かれた部屋があった。その魔法陣の近くにはどういうわけか、空っぽの椅子が置かれていた。
「この魔法陣が迷宮を踏破した人間に神代魔法を与える物だ。そこに立った時にオスカー・オルクスが遺したメッセージが流れてベラベラと説明してくれたというわけ」
「あっそ。じゃあ、それを使えば神代魔法が手に入るわけ……いや、ちょっと待て。さっき試練と言ってたよね? そうなるとボクはその試練をまだ突破してないんじゃない?」
キャスターの話が本当ならば、自分はまだ迷宮の奥底に辿り着ける力すら無いのだ。ここにはキャスターの魔術で転移したが、そんな抜け道を使った者に神代魔法をくれる程、オスカー・オルクスも甘くはないだろう。
「ああ、それなら問題ない。だって―――魔法陣の内容を書き換えたからな」
「……何だって?」
「だから、書き換えたんだよ。迷宮の試練を突破しなくても、魔法陣の上に立つだけで習得できるイージーモードに。ついでに何度も再生してきてウザかったから、メッセージの方も削除させて貰ったけどな」
ケラケラとキャスターは笑いながら応える。キャスターのやった内容はともすれば、神に抗う者を育てようとしたオスカー・オルクスの願いを踏み躙る冒涜的な物だ。だが、そんな事より現代の魔法とは格が違うと座学で習った神代魔法に、目の前の男が好き勝手に干渉できたという事が恵里にとって驚きだった。
「Fais ce que tu voudras sera le tout de la Loi」
唐突にキャスターが何やら日本語ではない言葉を呟いた。“言語理解”のスキルで要約は伝わったが、咄嗟の言葉に恵里は戸惑った様な表情になる。
「昔から俺はルールという物に縛られるのが嫌いなんでね……よく分からん教義だの、昔からの仕来りだのと聞くと敢えて破ってみたくなるんだよ。ルールを破ってこそ、見れる景色という物もあるだろう?」
歯を見せながらキシシシとキャスターは笑う。
その顔は―――つい先程、恵里が夢に見ていた少年と同じ顔で、思わず息を呑んでしまった。
「昔から術式の解析やら再構築というのは得意なものでね……それに
「………フン。腐っても魔術師の英雄というわけか。お前みたいな奴が過去にいたって事は、ボクが思っている以上に地球もファンタジーな世界だったんだな」
「それはもう。堅気の皆様に気付かれない様に、化け物同士が殺し合ってますとも」
相変わらずケラケラと楽しそうに笑うキャスターを横目に、恵里は魔法陣の上に立つ。
瞬間―――魔法陣から赤い光が灯る。本来ならば、魔法陣から白い光と共にオスカー・オルクスの幻影が現れ、“解放者”の真実を語る場面だ。だが、キャスターによって歪められたオスカーの遺産は、試練を突破してない恵里に神代魔法の知識を与えていた。
「これが……神代魔法……」
「よし。その様子だと問題なかったみたいだな」
恵里が新たに神代魔法を習得した様子を見て、キャスターは頷いた。
「それは生成魔法。無機物に魔法を付与できる様になる」
「それって……アーティファクトを作り放題になるという事?」
「まあな。もっとも、お前に相性が良いかは別だけど」
恵里は新たに得た力を確かめる様に自分の手の平をまじまじと見つめた。仮に恵里が“錬成師”なら生成魔法は存分に活用できたかもしれないが、自分の天職とどう組み合わせるかはまだ思い付かなかった。
「さて、これでお前にも神代魔法を習得していく下地が出来たわけだが、ここで今日の本題だ。お前自身のレベルアップに、この場所を使わないか?」
「それは……お前から魔法を教われ、という事?」
「正確には魔法ではなく魔術だが……まあ、この際は置いておこう。この場所はエヒトルジュエすら気付いてないオスカー・オルクスの工房だ。秘密の特訓を行うにはもってこいだと思わないか?」
確かに、恵里は内心で思う。現状、恵里を含めた高校生達はエヒトルジュエに命運を握られてると言っても良い。このまま光輝達と一緒に王宮や迷宮で訓練をしていても、エヒトルジュエの手の内から逃れる強さを手に入れるのは難しいだろう。今はまだ迷宮で魔物を倒すだけの訓練だが、いずれは魔人族達、そして場合によってはエヒトルジュエそのものと対峙する必要があるかもしれない。
「……一つ、聞いていい? お前さ、エヒトルジュエの手駒にされてるんだよね? お前自身は監視とかされてないの?」
「ああ、そこは心配しないで良いぞ。あの
よく分からないが、キャスターにはエヒトルジュエの監視を誤魔化す手段があるらしい。そうでなければ、そもそもこの場に自分を連れて来る事も無かっただろう。
(あとはこいつそのものが信用できるかだけど………まあ、今更か。どうせ利害が一致したから手を組んでる仲だ。利用できる間は利用させて貰うさ。光輝くんを狂った神様から守る為にも、ね)
何より―――キャスターのお陰で、光輝との距離は以前よりも近くなったのは事実だ。そしてキャスターの過去を夢で見た為に、恵里の中でキャスターに対して「ほんの少しだけ信用しても良いかもな」という心変わりが起きていた。
「分かった……じゃあ、教えろよ。僕が強くなる方法を」
「おいおい、仮にも俺は先生になるんだぜ? まずは礼儀から学んで貰おうか」
やれやれと肩をすくめるキャスターに、恵里はフンと鼻を鳴らした。
***
「いや、本当だって。俺はこう見えて“神の使徒”様達と同じくらい強い冒険者だぜ?」
「あはは、キャスターさんってば面白ーい!」
王都のとある酒場。夜も更けて、夜遊びが目的の者達への商売が掻き入れ時となる時間に、キャスターの姿があった。彼は酒を飲みながら、傍らに接待を行う女達を侍らせながら饒舌に話していた。
「おう、兄ちゃん! 俺にも聞かせてくれよ! 教会が宣伝してる勇者様というのはどんな奴なんだい?」
「おう、良いぜ! 実はなあ―――」
周りの客もキャスターの気さくな様子に心を許し、キャスターもまたペラペラと話していく。自称・“神の使徒”に並ぶ冒険者のキャスターの話は面白可笑しい語り口で、キャスターはすっかりと酒場に溶け込んでいた。
その人間達を―――見下ろす様に、空から監視する者の姿があった。
「…………」
人間達には気付かれない様に不可視化の魔法を使い、“真の神の使徒”であるノイントは真下の建物を見下ろす。主である神の命令であの魔術師を見張っているものの、キャスターは夜になるとほぼ夜遊びに興じてばかりだった。お陰で彼は今や王都では夜の店で知らぬ者はいない人気者となっているが、そんな事はノイントにとってはどうでも良い。エヒトルジュエから奴を見張れ、と命令を受けてるものの、こんな事に意味はあるのかとノイントの中で呆れた感情が出始めていた。
「……所詮は低俗な人間ですね。エヒトルジュエ様が警戒される価値も無いでしょうに」
まだまだ夜遊びを終える気のないキャスターを見て、ノイントは溜息と共に神山へと飛んでいく。表向きは聖教教会本部のシスターであり、教会本部の監視もノイントの仕事なのだ。いつまで堕落した人間なんかに付き合っていられなかった。
「………」
「ん? 兄ちゃん、どうかしたか?」
「ん~、いや。やっぱり女は人形より生身に限るな、って」
何だそりゃ? と周りが失笑する中、キャスターはケラケラと笑った。
最後まで誰も―――ここにいる彼が精巧に作られた分身だとは気付いていなかった。