元ゲヘナのシスターフッド 作:シャモ星
「はじめまして
この体に流れる力のコントロールにもだいぶ慣れてきたと思ってきた頃、もうどこからどう見ても怪しいスーツ姿の人と出会いました。
そもそも人なんですかね?真っ黒の顔に右目と思われる場所からヒビが走り青い炎?がちろちろと漏れています。
というか黒服さんって見たまんまな名前ですね。
「えっと……どなたですか?」
いやもう本当にどこからどう見ても黒幕です。
見た目だけじゃなくて胡散臭い雰囲気がプンプンしてます。
「私は『ゲマトリア』というグループに所属している所謂研究者のようなものです、特に貴女の体に流れる『神秘』について色々と調べている所でしてね」
「この力『神秘』って名前だったんですか……」
同じ神秘を持つ女の子達も知覚できないこの力を研究してるこの人は一体何者なんですかね?研究者を自称してましたけど……
というかこの人からは全然神秘を感じませんね、もしかして神秘を知覚するには神秘を持たない状態を知らなければならない……とかですかね?
しかし、この力の研究って何をするんでしょうか。
今のところ身体能力強化くらいしか使い道がわからないんですけど。
「突然で驚いているみたいですね、こちらとしても神秘を完全に知覚して操作出来る方は初めて見たもので、少し性急過ぎましたかね?」
「まあその……なんでその事を知っているのかとかは……」
「先程も申し上げた通り私は『神秘』について研究していまして、田雪さん貴女は昔その力について病院や友人達にご相談したことがあったでしょう?」
「あぁ……なるほど……」
つまりそこから流れた噂を辿って私のもとにたどり着いたと。
その後聞いた黒服さんの話を纏めると。
・キヴォトスで暮らす生徒達はみんな多かれ少なかれ持っている力。
・生徒はこの神秘を無意識に使って身体能力を上げている。
・また神秘は銃に込めるとこで通常以上の力を引き出すことが出来る。
・他にも一部の力ある生徒は特殊能力と呼べるものを持っており超常現象クラスの出来事を起こせる人もいるらしい。
この力そんな凄いことができたんですね……銃なんて使ったことないから本当に気付きませんでした。
「それで、良ければ研究に協力していただけませんか」
「えっと、具体的な内容と私のメリットは何でしょうか」
「内容としては神秘を操作してもらいそのデータを取らせていただきます、報酬はわかりやすいもので言えば金品です、後は各地の実力者達が神秘を扱って行っている戦闘映像や能力の説明などですね」
うーん、独学での修行も同じことの繰り返しでどうにも行き詰まりと言うかどうすればいいのかわからなくなってきていますし……
それに身を守る上でも強い人の戦い方を知っておいた方が良いですよね。
「私の体で治験とか人体実験とかそういうことはしないですよね?」
「貴女は私が見つけた現状唯一神秘の意図した操作が可能な生徒ですから無闇なことはしませんよ、採血くらいはさせていただきますが」
「そういう事でしたら……あ、もちろん契約書を下さい」
人体実験みたいな事をされないなら……悪くないですよね?
クックックッ……疑り深い方ですねとか言いながら懐から契約書を取り出す黒服さん、つまり最初から用意してたってことですよね?
渡された契約書を隅々までしっかり読み込んで問題なさそうだったのでサインをして返します。
「では契約成立ですね、早速ですが私のラボの方にご足労いただいても?」
「予定もないですしいいですよ」
結局今日は黒服さんの言うとおり今日はデータ収集だけで終わることになりました。
やったことと言えばよくわからない機械に囲まれた部屋で黒服さんの指定された場所に神秘を集中させたり逆に抑えたりするだけでした。
報酬については映像データが今日はないという事で金銭だけ口座に振り込んでいただきました。
「しかし、すごい神秘の量ですね……主神格というわけでもないはずですが……」
「元々はこんなに多かったわけじゃないんですけど、毎日ヘイローがチカチカし始めるまで神秘を使って寝てを繰り返しているうちにこんな量になってましたね」
「……そんな原始的で危険な方法で……一応言っておきますが、気絶するまでやってはいけませんよ?二度と目が覚めなくても不思議ではないですからね」
「あ、あはは……覚えておきます……」
「……やったんですか?」
どうやら黒服さん曰く、神秘とはそのまま私達ヘイローを持つ生徒にとって生命線のようなもので、神秘が切れると外の人間と変わらない耐久力になってしまうそうです。
神秘の枯渇は場合によってはそのまま命の危機に直結しかねないらしいです。
あの特訓方法ってそんな危険だったんですか……私は普通に一週間で起きましたけど。
「呆れた生命力ですね……もしかするとそれが貴女の特性なのかもしれません」
「気を付けます……」
あれから自分流の特訓、黒服さんの研究、もらった映像データで勉強と充実した日々を過ごして来ました。
最近は身体に巡らせる他に体外に放出出来ないかと色々と試しているところです、かめはめ波とか霊丸とかみたいな。
ただこれがまた難しいというか……一体どうやってやるの?って感じです。
手のひらや指先に神秘を集めることは私にとってそんなに難しいことではありません。
問題はこの神秘にどうやって攻撃性を持たせるかなんですよね、これが全然わかりません、そもそも実体を持たないものでどうやって物を破壊するんでしょう。
今の所ただ単に拳や指先が頑丈になるだけです、一回試しにということで黒服さんが用意した鉄板に貫手を放ってみたところ見事装甲を貫けました。
元々私達は人間離れしてましたけどいよいよ人外になりつつある気がします。
……あの、なんか気のせいじゃなければなんか爆発が近づいて来ていませんか?
学校から寮に帰ってる途中なんですけど、明らかに正面からとんでもない地響きと爆発音を鳴らした戦闘音が近付いてきます。
ゲヘナで暮らし始めて数年が経ちますけど、こんな規模の戦闘には初めて遭遇するかもしれません。
いや、マジでやばくないですか?しかもとんでもない速度でこっちに来てるんですけど!
なんて言ってるうちにもう戦ってる人達が見えてきました。
まあ大方の予想通りですが追ってるのは風紀委員で、追われてる人達の方はよくわかりませんがまあゲヘナでは暴れる人達に困りません、ほぼテロリストだろみたいな人も山ほどいますし。
とりあえず巻き込まれないように脇道に入りましょう……今なんか逃げてる側のリーダーらしき人目が合いました?
「おいお前!そんなとこにいたのかさっさと逃げるぞ!」
はあ!?あの人何言ってるんですか!
リーダーらしき人の一言のせいで風紀委員の何人かがすごい顔でこっちを見てます。
「ま、待ってください私はこんな人知りませんよ!?」
「どうしますか?」
「事実にしろ嘘にしろ後で確認すればいい!とりあえず拘束しろ!」
マジでこの学区治安終わってますね!?風紀委員までこうだなんて!
しかも任意同行とかじゃなくて初手発砲なんですけど!流石に撃たれてはいそうですかと付いて行きたくはないですよ、捕まったら何されるかわかったもんじゃないですし……つまるところ逃げ一択です!
神秘を脚に集めて屋根上に飛び移り逃走を始めます、このルートなら……
いや、なんで普通についてきてるんですか?
もしかして知覚は出来ずとも神秘を扱えるレベルの精鋭……いやそりゃそうですよね、だってあんな大暴れする程の人達を追ってるわけですし。
射撃も正確でさっきから直撃弾だらけです、まあ神秘パゥワーで防御力もりもりなので大したダメージにはなっていませんが。
「えぇい……あいつの硬さはどうなってるんだ」
さてどうしましょうか、いくら私が神秘の扱いに長けていても体はまだ小学生……にしては発育はいいほうですけど、相手は高校生なので完全に振り切ることは難しいですし、かと言って向こうも私に対して有効打がありません。
どうにかいい手段が思いつくまではこのまま逃亡を……待ってください、なんですかこの風切音は。
まさかと思い空を見上げると上空からいくつかの弾が降ってきていました。
いや、街中で迫撃砲って正気ですか!?というかあの推定テロリスト達は一体何をやらかしたんですか!
私全然関係ないのにとんだとばっちりです!
初撃からほぼほぼ至近弾といえる位置に着弾しました、私も全力で走っていると言うのに……どういう腕してるんですか。
砲手の腕に驚いているうちに第二射が……ってまずいです、丁度屋根から屋根に跳び移るタイミングで直撃弾……避けれません!
もしもろに食らってしまえばいくら私とてただでは済まない……と思います、耐久実験はしたことがないのでわかりませんけど。
一か八か、持てるリソースを使って全力で防御するしかありません、こんな巻き込まれ事故で逮捕なんてされたくないですからね!
いきます、バリヤー!
「やったか!?流石に迫撃砲の直撃で無事なわけが……」
すごい……初めて生でこんな見事なやったかフラグを聞きました。
えぇ、お察しのとおりです、気合でバリヤー!なんて叫んでいましたが、どうやら私は本当にバリヤーの展開に成功したようです。
不可視ではありますが、体の周囲に神秘のエネルギーを感じます。
衝撃こそありましたが、体どころか服にも傷ひとつついていません。
ふふ……これは良いですね、私はまたこの世界で平和に生きるための術を手に入れました。
とりあえずもうもうと土煙が立ち込めている間にそっと逃げてしまいましょう。
見つかったらまた鬼ごっこ再開ですからね……
正直サブタイを考えるのが一番面倒くさい。
早く書きたいシーンに行きたいので過去は巻いて巻いて行きますよー!