元ゲヘナのシスターフッド   作:シャモ星

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 なんか急にUAが10000超えて伸びて何事!?と思ったら日間ひと桁に居ました。
 こ……こんなことが……こんな思いつきで始めたSSが伸びてええんか!?
 皆様応援ありがとうございます!


別れと出会い

 あの惨事から目を逸らすように、私は廃墟街を彷徨っていました。

 アルちゃん達から貰ったプレゼントを壊されて、そして次の標的はアルちゃん達にすると言われて私は未だかつてない程怒ってしまった。

 頭が真っ白になって、滅茶苦茶に暴れて、いじめっ子たちをあんなボロ雑巾もかくやという姿になるまで痛めつけてしまった。

 彼女達は、生きているのだろうか?

 私は、それを確かめる勇気を持てなかった。

 未だに手や脚に相手を芯まで打ち据えた、骨を打ち砕き内蔵を押しつぶすような感触がこびりついている。

 自分の中に、あんな残虐な本性が隠れているだなんて思いもしなかった、恐ろしかった。

 あれだけ暴れておいて、風紀委員から逃げるべきではないと考える理性と、事実を突きつけられる事を恐怖し、逃げるべきだと感じた本能。

 結果、私は逃亡を選んだ。

 もし私が彼女達を死なせてしまっていた場合、どういった処罰が下されるかわからなかった、矯正局に送られたり、ゲヘナを退学になるかもしれない。

 しかし、それ以上にアルちゃんやムツキちゃんに会う事が怖かった。

 もし彼女達に会って、そして拒絶されたら、私は今度こそどうなってしまうかわからない。

 だから、私は逃げることを選んでしまった。

 もう二度とアルちゃん達には会えないかもしれない、でも少なくとも会わなければ二人には嫌われずに、嫌われてても知らずに済む。

 私は、間違ったのだろうか?

 もし私が、もっと早く戦うことを拒否せずやり返していれば、きちんとこの世界に馴染もうとしていれば、こうはなからなかったのだろうか……

 だが、もしもの世界は存在しない、私は既に行動してしまった、過去は変えられない。

 

「見つけたぞ!こっちだ!」

 

 後ろから風紀委員の方達の声が聞こえてくる。

 私は意を決してM93Rをホルスターから引きぬき、背後から迫る風紀委員達に向けます。

 あの時怒りに身を任せてとはいえ一度は抜いたからか、抵抗感は少なくなっていました。

 それに、私の身体能力で殴るより、こっちの方がずっとダメージは少ないはずです。

 神秘を込めすぎないように、しかし小さく圧縮して弾頭に込め、放つ。

 そうすることで着弾時に開放された神秘が拡散し爆風を発生させる事が出来るようになる……っぽいです。

 さっき初めてやったんですが、なんとなく感覚を覚えてます。

 当てないように、進路上の足元を狙って2トリガー。

 3点バーストが2回で計6個の決して無視できない爆風が発生し、更に砂埃を巻き上げます。

 爆風と砂埃、2つの目隠しに隠れて私は廃墟の屋根上へと跳躍し逃走を再開。

 流石に風紀委員達全員が見失ってくれる、なんて都合のいいことはなく、何人かの生徒が屋根上によじ登り追いかけてくる。

 逃げる私を追いかけて屋根から屋根へ跳び移る瞬間、回避不可能なタイミングを狙って着地先にもう一度弾丸を放ち屋根を崩す。

 着地先を失い落下していく人達を見送り、その場を離れる。

 いくつかの屋根を飛び移ってから地上に降りて、再び路地の中に身を隠し座り込み、膝を抱える。

 ゲヘナに残ることは、多分できないでしょう。

 アレだけの騒ぎですし、何より風紀委員の人達にも怪我をさせてしまいましたし、逮捕を拒否して逃走に反撃、指名手配は間違いなくされます。

 かと言って、ゲヘナ以外の事は何もわからない。

 それに財布だったりスマホは現場に置いてきたカバンの中に入ってましたから、今私の手元には何もありません。

 私は本当に、これからどうしたら……

 


 

 あれから、私はずっと逃亡生活でした。

 どこへ行くにも人目を気にして、昼間は廃墟の中で過ごし、夜中に行動する逆転生活。

 食料については支払う方法が無いので、コンビニ等の廃棄品をこっそり回収させて頂いていました。

 そして、極力監視カメラも人目も避けたつもりだったんですが、それでも全てを避けることはできませんでしたし、それで大凡の潜伏ポイントを絞り込んだのか検問も敷かれ段々と包囲網が狭まっていき、再び風紀委員との戦闘を余儀なくされました。

 一旦切り抜けることは難しくはありませんでしたが、しかし風紀委員達も本気で私を捕らえに来ているようで、ドローンやヘリを動員して追跡を続けてきます。

 昔はハンドガンで3点バーストは携帯性、火力、取り回しとどれを取っても便利だと思ってたんですけど……今となっては弾薬の消費が激しすぎます。

 弾薬の補充もできず、もうマガジン1本分もありません。

 いつまで私はこんなことを続けなければならないんでしょうか……

 ひとまずゲヘナ自治区を抜けないと安心して休むこともできなくなってしまいました。

 こうなったらとにかく一旦強行突破して、まずはゆっくり体を休めたいです……

 今までは追ってくる人を足止めしたりするだけでしたが、ことここに至っては仕方ありません、もう満足に寝ることも出来ずにずっと動きっぱなしで疲労が抜けないんです、動けなくなる前に何とかするしかありません。

 ごめんなさい、風紀委員の皆さん……

 

 結論から言うと、包囲網の突破には成功しました。

 最も人手が減り集中力が落ちる明け方、日の出前に検問を襲撃し、報告させない為に今回ばかりは直撃させて貰いました。

 襲撃したのはトリニティ方面の検問、まさかゲヘナ生がトリニティに逃げこむなどとは思っていないのか、最も手薄なのはここでした。

 不意打ちで倒れた風紀委員さんの持つ通信機を壊してゲヘナ自治区の外へ急いで向かう。

 いくら風紀委員とは言え、自治区外へはそう簡単には手出しができない筈。

 最後に一度、後ろを振り返る。

 最後の最後に辛い思い出が出来てしまったけれど、それでも楽しい思い出も沢山あった。

 アルちゃん達と出会えた事、色々なところに遊びに行ったし、たくさんのトラブルに巻き込まれた、将来の夢だって誓い合った。

 でも、それもこれでお終い。

 

「さよなら……アルちゃん、ムツキちゃん」

 


 

 その後、なんとかトリニティ自治区に入ることには成功したのですが、何故か問題は何も解決しませんでした。

 

「いたぞゲヘナ生だ!」

 

 何もしていないのに、ゲヘナ生というだけで襲撃を受けてます。

 黒セーラーではないということは、正義実現委員会じゃないはずなんですけど……

 彼女達に私側から攻撃するわけにはいかないですし、こっちに来ても相変わらず逃亡生活に変わりはなさそうです……指名手配されていないので流石にゲヘナよりはマシなんですけど……

 いや、ある意味ゲヘナより酷いです、ゲヘナのアレは仕事ですけど、こっちは完全に個人の……いや、帰属している集団、すなわちトリニティという組織単位の恨みだ。

 私は正直トリニティとかゲヘナとかどうでもいいですし、アルちゃん達もあんまり気にしない人だったので、まさかここまで敵愾心むき出しで襲撃されるとは思わなかったです。

 別に全生徒からという訳ではないですし、むしろ襲撃してくる派閥の方が少ないくらいなのですが、それがかえって厄介と言いますか……

 まだ問題を起こしたわけではないし、反撃もしていないので正義実現委員会は襲ってきませんが、少数のゲヘナを恨む生徒から襲撃、風紀委員と違って服装による判別ができないので、ある意味ゲヘナより気を使って活動しなくてはいけません。

 

 誰が敵で誰か敵ではないのかわからない、食料もろくに手に入らない、満足に休めない。

 そんな生活がしばらく続きました。

 ゲヘナと違ってゴミあさりもおちおち出来ず、もう何日も食べていません、疲れました、疲労困憊で神秘も全然回復しませんし、昨日から雨まで降り始める始末。

 いつぞやのように路地裏に座り込み、膝を抱える。

 冷たい雨が全身を濡らしても、それを遮るための傘すら手に入らない。

 私は、また間違ったのだろうか?

 まだゲヘナにいた方がマシだった?

 でもゲヘナで捕まれば、今度こそ本当に全てを失ってしまうかもしれない、大切な思い出も、何もかも。

 何を間違ったの?どうすればよかったの?

 もう、何もわからない……

 私には、もう何も無い……

 


 

 その日、私はシスターとしての務めを終えて、寮に帰るために急いでいました。

 まだ入学したばかりの慣れない仕事ですっかり日も落ちてしまい、早く帰ろうと普段は使わない裏道を通って近道をしようとした時に、傘もささず壁に寄りかかり座り込む一人の生徒を見つけたました。

 服はボロボロで、元々は鮮やかな金髪だっただろう髪も、もうしばらく手入れがされずくすんでしまっていました。

 シスターとして、彼女のように傷付き弱っている人に手を差し伸べなければと思った私は、声をかける直前、彼女の頭部から天に向け生えている二本の角に気が付きます。

 その特徴はトリニティではなく、ゲヘナの生徒が持つ特徴。

 

「ゲヘナの人……?どうして……」

 

 私が思わず漏らしたその声に反応して、彼女は両手で角を握るように隠して、急いで立ち上がろうとしましたが、足に力が入らないのかその場に倒れてしまいました。

 

「大丈夫ですか!?」

「ご、ごめんなさい……すぐ出て行きますから……」

 

 私に謝りながら、彼女はボロボロの体を引きずって何処かへと立ち去ろうとしていました。

 私はゲヘナの生徒に対して特に思うところはありません、私自身が何かされたというわけでもないのに、相手を恨むなんてできませんから。

 しかし、一部の生徒はゲヘナ生というだけで憎しみ、攻撃する方もいます。

 彼女ももしかするとそんな生徒達に見つかって襲撃されたのかもしれない。

 シスターである前に、こんなにボロボロの人を放っておくことなんて出来ない、そう思ったので私は改めて彼女に駆け寄り、肩を貸します。

 身長は私より高いのにとても軽い、それに体温が高い、もしかすると風邪を引いてしまっているのかもしれない。

 

「助けて……くれるんですか……?」

「当然です、安心してください」

 

 安心して貰えるように、目を合わせて努めて優しい笑顔を浮かべます。

 私が敵じゃないとわかったからなのか、彼女の体から力が徐々に抜けていくのを感じる。

 

「ありがとう……」

 

 安心したのか、完全に意識を手放してしまった彼女をおんぶして、移動します。

 流石に彼女を連れて寮に向かうわけにもいかないので、近くの教会に向かいましょう。

 教会には殆ど使われることはないけれど、宿直の生徒が使うセーフハウスも兼ねた個室がありますから、まずはそこで休ませてあげましょう。

 何故ゲヘナの生徒が、トリニティに居るのか、なぜこんなボロボロなのか、行く宛はあるのか、目が覚めたら色々なことを聞かなくてはならない。




 アイドルサクラコ様を無事引けたのですが、出撃して早々に「すぐに楽にして差し上げます」みたいなことを言われ、こんな小説を書いてるからついに頭と耳がおかしくなったのかと思いボイスを確認したらちゃんと「すぐに楽にして差し上げます」と言ってて安心しました。
 無駄なことを……今楽にしてやる!

 ちなみに私の好きな生徒はサクラコ様、ミカ、フウカたん、セイア、イチカです。
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