元ゲヘナのシスターフッド   作:シャモ星

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モンハンワイルズのガンランスたーのしー!(投稿に少し時間がかかってしまいました)


サクラコとの出会い

 各地の教会には私達シスターフッドの人達が使えるセーフハウスが併設されており、そこに私は先程の生徒を運び込んでベッドに横たえさせました。

 流石に濡れた服のままにするというわけにもいかないので、勝手ながらもともと着ていた制服は脱がさせて頂いて、予備の修道服を着させていただきました。

 結構大柄なので、合うサイズの服があって良かったです。

 ひとまず今出来ることはやったので、シスターフッドの先輩にセーフハウスの一つを使うことを連絡しておきます。

 めったに使うことはないですし、いくら自由に使えるとはいえ、緊急時に来たら先客がいた、では困りますからね。

 それと寮の方にも事情を─もちろんゲヘナの生徒ということは伏せて─説明して今日は外泊する旨を伝えておきます。

 これだけ弱っていて、目が覚めた時に知らない場所で、側に誰も居なければ心細いでしょうから、目が覚めるまではこのまま側に居るつもりです。

 ひとまず、すぐに意識を取り戻すということも無いでしょうし、目が覚めた時に簡単なお粥くらいは作れるように材料を買ってきましょうか。

 

 そして予測した通り食材を買ってきてもまだ彼女は眠っていました。

 一旦食材を冷蔵庫にしまい、改めて体温を測ってみると、やはり熱があることがわかります。

 雨の降る外から室内になり暖かくなったからか、汗もかいているようなのでまずは汗をタオルで拭い、一緒に買ってきた氷を使って氷嚢を首筋に当ててみます、擽ったがる様子はありますが、冷たがったり拒否する様子もないので、そのまま体を冷やしておきましょう。

 まだまだ一年生ですが、これでもシスターとして様々な活動をしてきましたから、簡単な看病くらいなら可能です。

 おそらく大丈夫だとは思いますが、念の為彼女のことを知る人は少なくしたいので、体調が急変して私では対処できず救護騎士団を呼ばなくてはならなくなるまでは、このまま私がそばで様子を見ることにしましょう。

 


 

 目が覚めると私は知らない部屋のベッドの中で寝ていました。

 しかし体がだるい。

 病気の時特有の手足が重くて、頭がフワフワするあの感覚。

 でも、ゆっくり眠ることができたおかげか、ちょっとだけ神秘が回復しているのを感じます。

 本当に久しぶりにベッドで休むことができた、なんだかこれだけの事で涙が出そうです。

 服も気付いたら真新しいシスター服?になっていますし、一体どれだけ感謝したら良いのでしょうか。

 

「あら、目が覚めましたか?」

 

 声のした方向を向くと部屋の入口にシスター服を着た女の子が立っていました。

 お尻まで届く髪は、柔らかに降り注ぐ月光をそのまま(くしけず)って束ねたかのように優しく輝く銀色。

 その(かんばせ)にはほのかに朱が差し、雪のように鮮やかな肌を彩っていて、その中でも特に目を引くのは切れ長の瞳でした。

 瞳はアメジストのようにキラキラと輝いており、その宝石言葉が示すように高貴さと深い知性を感じさせます。

 顔の中心には小さな鼻がちょこんと主張して、その顔の黄金比を整えていました。

 今はまだ美少女と言えるどこか幼さを残していますが、あと数年もすれば美女へと変貌するのがわかる、とても整った顔立ちです。

 そんな彼女は手には桶を持っており、どれくらい寝ていたのかはわかりませんが、ずっと看病してくれていたのがわかります。

 

「ここは……」

「風邪を引いてますから、まだ無理をなさらなくて大丈夫ですよ」

 

 久しぶりに喋ったのと、風邪で喉がカスカスになっていてうまく声が出せません。

 シスターさんは体を起こそうとした私の肩をそっと押して、再びベッドに横たえさせました。

 そして手に持った桶から濡れタオルを取り出して汗を拭いてくれて、更に首元にあった氷嚢も新しいものと交換してくれます。

 本当に、こんなに優しくしてもらったのは、生まれ変わって初めてかもしれません……アルちゃんたちももちろん優しかったですが、こうまで親身な献身というのはありませんでした。

 

「ここは、私達シスターフッドの持つセーフハウスの一つです、貴女がここにいる事は今のところ私以外は知らないですから、まずはゆっくり休んで下さい」

 

 そう言うとシスターさんは優しく微笑んで部屋から出て行きました。

 シスターフッドと言えば、トリニティの部活の一つでその名の通りシスターさんの集まりだったと思います、ゲヘナに居ても色々な噂を耳にしました。

 多くの秘密を抱えた組織で、トリニティの中でも後ろ暗い部分を一手に担う暗部と聞いていたんですが、少なくとも今会ったシスターさんはとてもそんな感じはしませんでした。

 助けてもらった恩義があるから補正が掛かっている、というのもあるかもしれませんが。

 風邪の影響もあって頭がぼーっとする中、また眠気でうとうとしていると、シスターさんがボウルを持って部屋に戻ってきました。

 それと同時に仄かに甘いいい香りがしてきて、空腹を刺激されます。

 

「ポリッジを用意したのですが、食べられそうですか?」

 

 サイドテーブルに置かれたボウルを見ると、中身はミルク粥のようで、上には様々なナッツ類が乗せられており、とても美味しそうな匂いがしています。

 もう何日もまともな物を食べられていない私のお腹は、今すぐ食べさせろと騒ぎ始めてしまいました。

 その様子を見てシスターさんに柔らかく微笑まれてしまいました……

 ひとまずシスターさんに手伝ってもらって体を起こして、サイドテーブルのボウルを手に取ろうとすると、先にシスターさんに取られてしまいました。

 そしてそのまま軽くかき混ぜるとスプーンに少し掬うと差し出されます。

 いや、まさかですよね……

 

「さぁどうぞ」

「いえ、あの……」

「あぁ、熱いのは苦手ですか?」

 

 そう言うとシスターさんはスプーンに乗ったお粥をフーフーと冷ましてから改めて私に差し出しました。

 あの、そうではなく恥ずかしいのですが……

 

「溢してしまったら大変ですから」

 

 まあ……それはそうなんですが……

 どうやら譲ってくれるつもりはなさそうですし、なにより私は救助されて何から何まで手伝ってもらっている身、なにか言える立場にはありません。

 それに、私のお腹はもう何でもいいから早く食べさせろと煩いですから、ここは大人しく食べさせてもらうことにします。

 早速口を開けて食べさせて貰うと、まず始めに感じたのは優しいミルクの甘みでした。

 ですが、ただ甘いだけでなく程よい塩気も効いていて、互いが互いを引き立て合う素晴らしいバランスが成り立っています。

 メインであるオートミールは、ほとんど嚙まなくとも飲み込めるほどとろとろに煮込まれていますが、トッピングとして乗せられたナッツたちのコリコリとした食感で飽きません。

 内容は本当にシンプルなミルク粥なのに、今まで食べてきた物で一番美味しいような気がします。

 空腹だから、というのは勿論あると思いますが、何よりこのミルク粥は、この方が私の為を思って作ってくださった、というのが伝わってくるからだと思います。

 

「あ、あら?もしかして何か失敗してしまいましたか?美味しくありませんか?」

「ち、違います……すごく美味しいです……すごく美味しくて……」

 

 ずっと辛いことばかりが続いていて、そんな中こんなに優しくしてもらって、ついに私は我慢できず思わず泣いてしまいました。

 そんな私を見て、シスターさんはハンカチで私の涙を拭ってくれました。

 そのまま少しの間泣いて、改めてきちんとミルク粥をしっかりおかわりまで食べきってようやく、私は落ち着くことができました。

 


 

 まさか、ひとくち食べただけで泣かれるだなんて思いませんでしたが、とりあえず料理に失敗していたわけではなくてよかったです。

 でも、こんな簡単な料理を食べただけで泣いてしまうだなんて、この方はいったい今日までどれだけ苦労してこられたんでしょうか。

 ひとまず食事も終えて落ち着いたところで、自己紹介をする事にしました。

 

「改めまして、私はトリニティ総合学園一年生、シスターフッド所属の歌住サクラコと申します」

「ご丁寧にありがとうございます、私はゲヘナ学園中等部三年生、帰宅部の田雪アヤです」

 

 中学生だったんですか……私よりずっと身長があったので、てっきり高校生だとばかり……

 しかし、偏見は良くないことだとは思うのですが、本当にゲヘナらしくないと言いますか、とても物腰柔らかで丁寧な方ですね。

 そんな方が、どうしてあんなにボロボロな状態でトリニティに居たのか伺わなければなりません。

 

「お話ししにくい事かもしれませんが、何があったのか伺ってもいいですか?」

「大丈夫です、まずは─」

 

 それから聞いたことは、とても胸が痛くなるような内容でした。

 いじめというのもそうですが、ずっとそれを我慢し堪えてきたのに、たった一度、それも友人を引き合いに出されて怒ってしまっただけで、こんな事になってしまうなんて。

 勿論怒って暴れてしまった事も、大怪我をさせてしまった事も良いことではありません。

 それでも、ここまでの目に遭わなければいけない事だとは思いません。

 もし彼女がゲヘナに戻ったとして、今まで通り過ごせるとは考え難いです、それだけの武力を見せてしまった以上、きっと直接の虐めではないにしても遠巻きにして腫れ物扱いは逃れられないでしょう。

 それならまずは、少なくとも体調とメンタルが完全に回復するまでは、ここに居てもらった方が良いかもしれません。

 

「──こんなところです」

「大変でしたね……貴女は本当によく頑張ったと思います、まずはここでゆっくり休んでください」

「良いんですか?」

「勿論です」

 

 その後少しだけ日常会話を挟んで、まだ体調が回復しておらず、また食事で満腹になったからか、眠そうにし始めたため、私はサイドテーブルに薬に水差しとコップを用意して部屋を出ました。

 まだ朝までは時間もあるので、私も日が昇るまで少しだけ仮眠を取ってから、聖堂へと向かいます。

 私の目的は朝のお祈りも勿論有りますが、私達シスターを束ねる部長です。

 部長は毎朝必ずこの時間に聖堂でお祈りをしている為、すぐに見つける事が出来ました。

 まずは私も部長の隣りでお祈りを済ませます。

 

「おはようございます、サクラコさん」

「はい、おはようございます部長」

 

 私は他の方が来る前に早速アヤさんについての事をお話しする事にしました。

 部長なら、何か手立てや良い案が思いつかないかというのを期待してのことです。

 部長は少し思案してから、一つの紙の束を差し出してきました。

 

「部長、これは……?」

「ゲヘナの風紀委員から、ティーパーティーに向けて逃亡者の目撃情報と、捕まえた場合の引き渡しの要求がありました」

 

 紙の内容を見ると、急いでシスターフッドの情報網で集めた、アヤさんが暴れた事件の内容が写真付きで纏められた報告書でした。

 それなりの量の爆薬を使用したかのようなクレーターがいくつも出来ており、その戦闘の激しさを物語っています。

 もしアヤさんの言っていたことが正しいなら、このクレーターのうちいくつかは、アヤさんがハンドガンで作ったものなのでしょう、実際にやっているところを見ていないのでなんとも言えませんが、本当に可能なのでしょうか?

 そして報告書の中で一際目を引くのが大破したMBTです。

 内側から外に向けて装甲が剝がれており、普通に考えたら内側から爆発したと思うのですが、内部には爆発や燃えた痕跡が無い、つまり外側から素手で引き剥がしたという事です。

 本人からこのことを聞いていなかったら、とてもではないですが信じられなかったと思います。

 同級生のヒナタさんもすごく力持ちですが、ここまでのことが出来るかというと、流石に難しいと思います……多分。

 

「部長、アヤさんをトリニティで保護するのは難しいのでしょうか……」

「そうですね……」

 

 そう言うと部長は僅かに俯き再び思案し始め、少しした後に顔を上げました。

 

「彼女は力を示しすぎました、その力に風紀委員が興味を持っています、おそらく戦力として運用したいのでしょう」

 

 確かにこの資料が示す通りアヤさんはとても強いのでしょう。

 ですが、アヤさんは戦うことが好きではありません、それにあれだけ追い回された事もあって、きっと素直に風紀委員に所属することはないでしょう。

 しかしアヤさんは現在ゲヘナでは指名手配されており、ゲヘナに引き渡されれば間違いなく、その後一旦は拘束されて留置所に入れられることでしょう。

 風紀委員としても、アヤさんという強大な戦力は逃したくないことでしょうし、どういった〝交渉〟になるかわかりません。

 

「確かに彼女をそのままゲヘナに引き渡すのは避けたいですね……それならシスターフッドで〝保護〟した方がいいかもしれません」

 

 彼女が風紀委員に所属すれば、何かがあった時にはその力がトリニティに向くかもしれません。

 部長がその心配をすることもわかります、私はそんなことにはならないと思っていますが、部長がそれでアヤさんを助ける方法を考えてくれるのならば、私は黙って聞くことを選びました。

 

「彼女がトリニティに入学する事を希望するのなら、ですがそうですね……来年からトリニティの高等部に通ってもらいましょうか、調べてもらった彼女の成績的に問題はないとは思いますが、入試は自力で合格してもらう事になると思います、それ以外の入試の準備と合格後の手続きや今までの経歴などは私の方でなんとかしましょう」

「……!ありがとうございます、部長!」

 

 勿論、これは私達が勝手に進めている話でしかないので、アヤさんの意志が最も尊重されます、もし彼女がゲヘナに戻りたいと希望するなら、可能な限り穏便にゲヘナに戻れるように、私も部長も協力すると話もまとまりました。

 アヤさんはゲヘナに友達を残してきていますから、戻る可能性は有りますからね。

 

「あとはそうですね、入学後はシスターフッドに所属してもらって……サクラコさん、貴女の付き人として行動を共にしてもらおうと思いますから、しっかり彼女の事を見ておくようにしてあげて下さい」

「はい、かしこまりました」

 

 元ゲヘナということもあって、お目付け役が必要と考えたのでしょう。

 短い時間でしたがアヤさんと接して、とても真面目で優しい方だと感じましたから、その必要はないかと思いますが、万が一のことを考えれば、シスターフッドの部長として、そしてアヤさんを入学させる手続きをした者として当然のことだと思います。

 それでも私は彼女の理解者として、友人として、平等に接していこうと思いました。

 彼女が今度こそ平穏な学生生活を送れるように。

 


 

 

 

 

 

 

 

 おまけ(部長の発言全文)

 

「確かに彼女をそのままゲヘナに引き渡すのは(再びのイジメや風紀委員に強制的に所属させられてしまうかもしれないので彼女の為にも)避けたいですね……それならシスターフッドで〝保護〟した方がいいかもしれません(保護した方がいいかもしれないの意)」

 

「あとはそうですね、入学後はシスターフッドに所属してもらって……サクラコさん、貴女の付き人として行動を共にしてもらおうと思いますから、(なれない環境や習慣で苦労することもあるかと思いますから)しっかり彼女の事を見ておくようにしてあげて下さい」




サクラコ様の美しさは私の文章力ではこんなもんしか出力できなかった、クズが……
あとシスターフッドの部長は代々こんな人という事にした。

投稿も終えたことだしOBTが始まったら早速レ・ダウを征伐に出かける、ついてこいブロリー(オトモネコ)
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