魔法科高校生の日日   作:千川 悠汰

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なんと10話目です


第十話

 今日は8月1日。九校戦会場ホテルに向かう日である。

 

「おはよう、九十九。随分と荷物が多いな。何をそんなに持っていくんだ?」

 

「あ、委員長。おはようございます。競技の時に使う仕込みの道具が嵩張って…」

 

 そうか。と不思議そうな顔をして離れていく。ぶっちゃけると中身は人形(ひとがた)とか護符用の耐水加工した和紙だ。

 半月の間に行なった会頭との試合の結果から言って結界はかなり有効だし、魔法の連続処理も突破力って面でかなり優秀みたいだった。ならばと結界の魔法式はSBから引っ張り、手元のCADは攻撃とかに専念する方向に切り替えることにした。あと継続して作用する古式魔法は現代魔法の対抗魔法と相性が悪いかと思っていたが、やりようによっては徐々に作用するズラしが悪用出来そうなのでこれも用意した。

 まあ、簡単に言っちゃえば物量作戦の為の下準備である。車内でもちまちま作っていくつもりだ。前日に作っておけと言われたら何も言い返せないが…こういう道具で重増しが出来ることを思い付いたのが結構ギリギリだったんだ許してくれ。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 人形6個目の作成を終えたところで一度大きく伸びをする。ついでにストレッチをすると身体のあちこちからゴキゴキと音がした。

 

「だ、大丈夫か!?今凄い音したぞ」

 

「大丈夫大丈夫。ちょっと同じ姿勢を取りすぎただけだから」

 

 勢いよくこっちを見た森崎に手振りを交えて問題ないことを示す。森崎はそのままバッグと手元の人形を指差して聞いてきた。

 

「なあ、差し支えなければ教えてくれないか?」

 

「ああ、これ?ピラーズ・ブレイク用にちょっとね。準備しとこうと思って。結構良い出来だろ?」

 

 一枚持ち上げて森崎に手渡す。興味深そうに一通り見た後さらに気になったようで追加で聞いてきた。

 

「こういうのは専門じゃないから分からないんだが…まだ魔法的な処理はしてないのか?かなり想子(サイオン)が出てるんだが…」

 

「まだしてないね。こっから現代魔法で言うところの刻印魔法を書き込む感じ。これだけでも使えるんだけどねー」

 

 7個目の作成に取り掛かりながらそういやと思い出した。会長遅くね?

 

「ごめんなさ〜い!」

 

 とか思ったら来たわ。市原先輩が乗降口の方に向かっていった。というわけでようやく出発となり、時間にして1時間半ぐらいの遅れのようだ。

 そんな事を考えながら手先は和紙を折るのに集中する。ちょっとの差異は影響が無いが、とはいえ綺麗に作ることに越したことはない。

 

 ───人形は既に作り終わり護符の作成に移っていたとき、()()は起きた。

 

「なんだっ!?」

 

 対向車が突如柵を飛び越え転倒、炎上しながら突っ込んできた。

 そういやあったなこれ。すっかり忘れてたわ。どうしよ、《術式解体(グラム・デモリッション)》で想子の嵐を吹き飛ばすか?でも達也が吹き飛ばすもんなぁ…合わせればバレないかな?いや合わせられるかなぁ!?達也の想子操作技術高いから想子塊の射出速度速えし。でも座視ってのもなんか癪だしな、やるか!

 

 ここまで凡そ1秒程度。雫とかも立ち上がって魔法を行使しようと起動式を読み込み、魔法式となって世界に投影されようとした瞬間、嵐は発生した。まだ、まだだ。もう少し、深雪さんが会頭に対応の指示を出したら式神を呼び出す。

 

「私が消火を行います。十文字先輩は車の方をお願いします」

 

「承知した」

 

 いよっし今だ!緊急なので人形には仕舞わず、SBを単独で操作する。喚起魔法で呼び寄せたSBを起点に想子を練り上げ、意味はないかもしれないが()を全開にし想子的な知覚をフルで使って迫ってくる想子塊に集中する。もうちょっと…あと10cm…今!

 横方向から飛んできた想子塊と俺が下から射出した想子塊が同時に想子の嵐を吹き飛ばし、その後は深雪さんが消火して会頭が車を止めた。

 

 やべえ、クソ疲れた。あんなコンマ何秒以下の世界の認識なんてもうやりたくない。そりゃ、良い経験にはなったけどさ。あと予想通り構造もへったくれもない想子塊は俺の眼では正確には捉えられなかったが、黒い濁った塊みたいなのが動いていたのは分かった。これも収穫といえば収穫だろう。

 

 技術スタッフ陣の現場検証の後、バスはそのままホテルに向かい無事何事もなく着いた。

 

「おー、すげえホテルだ。ってん?」

 

「あ、朔君だ!やっほー」

 

「エリカじゃん。ていうかみんないるじゃん。どうした?」

 

「応援に決まってんだろ!親友の活躍を間近に見ないでどうするんだよ」

 

「サンキュ。醜態晒さないよう気をつけるわ」

 

「達也たちはまだかい?」

 

「多分後ろに…ほら来た」

 

 相っ変わらずの2人の雰囲気に俺含めた5人はまたやってるよとなったし、そのさらに後ろにいた雫とほのかさんはもはやそれが普通と言った顔をしていた。

 




はい!なんとか連日投稿となりました!
それと前書きにも書かせていただきましたがなんと10話目です。ここまでこの二次創作SSを書けて来れたのも読み、評価してくださった皆さまのお陰です。ありがとうございます。
そして蛇足
朔の使う式神はなんらかしらに封じて使います。今回は封じる簡易儀式をするのも面倒だったのでSBをそのまま起点にしての魔法行使でした。そして今回の術式解体使用で達也には確実にバレました。朔も薄々バレてるだろうな、とは思っているので新人戦で使うと思います。対一条戦の仕込みになることは全部使うので…
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