「対向車の時のやつか?確かに俺は《
《術式解体》のことはもうバレてる*1ので達也が聞きたいことは1つだろう。
「頼むから他言無用でな?」
式神を8体呼び出し、4体ずつに分ける。片方のグループは静音結界を、もう片方のグループは追儺結界を。これで良し。あ、いやこのホテルには独立魔装大隊がいるんだっけか。流石に風間少佐とか藤林少尉相手には突破されるかも知れない。
「どう説明しようかな…まあ、単純に言えば俺の
「知覚魔法系の能力でも持ってるのか?」
「広義的には多分当て嵌まる筈。魔法とかSBの構造が見えるんだよね」
達也の目付きがより鋭く、冷たくなる。多分最初の頃の俺と同じ勘違いをしている。ただ、残念ながら
「見れるだけなんだよね。お陰で現代魔法師相手だと相手が魔法使うのが普通より早く分かる程度の恩恵しかないんだわ。SBは意味ごとに構造が作り上げられてるから似寄りやすくて相性良いんだけどな」
「…なるほどな。つまり、構造が見えても意味が分からないから複数工程が高速で構築される現代魔法相手には効果が薄いのか。随分と難儀な
達也が苦笑いといった感じで返してくる。そりゃアンタの
こっからは俺の愚痴ターン。
「難儀なんてもんじゃないぜ?慣れてない頃は相手の魔法式だけは皆んなより早く認識出来るから防御姿勢取らなきゃって身体が反応しちまうんだよ。この矯正が大変だったわ。とはいえ、出来ることもあってさ。達也ほどの技術者なら直感的に分かるかもだけど、四系統魔法の魔法式には共通してるものがあるのよ。それの順番から推測出来るんじゃねって思ってひたすら読み込んだよね。その所為で工程数が少ない魔法は暗記しちゃったんだよ」
「苦労は察するよ。それと、その共通してる部分は
「えっ?」
マジで?全然その可能性思い付かなかったわ。あーでも、それなら納得行くかも?
「達也、ものは次いでなんだけどさ…」
この際だ。達也にも対一条戦の為に相談に乗ってもらうことにしよう。そしてあわよくばCADの調整もやってもらおう。本来の担当スタッフには申し訳ないがシルバー・トーラスのシルバー部分を逃す手はないんでね。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
本日は8月3日。夏の太陽光がサンサンと照らすが前世と比べたら遥かにマシだ!
というわけで本日行われる競技はスピード・シューティングとクラウド・ボールだ。もちろん応援の為客席に座っている。
「男子は早々に一高の生徒で決まったわねー。上々の滑り出しなんじゃない?」
「それに、次は七草会長の出番ですから。男女両方で優勝もあり得るんじゃないでしょうか」
エリカの感想に美月さんが肯定する。あの人《マルチ・スコープ》使えるの良いよなー。魔法戦なんて多角的に見れるのとんでもないアドバンテージだよほんと。
「あっ!会長さんが出て来ましたよ!」
スタートのブザーと共に2色のクレーが飛び交う。会長は《ドライ・ブリザード》を使って自分の色のクレーを壊していく。
「エルフィン・スナイパーだっけか。納得だなこれは」
「会長はあまりその二つ名をお気に召していないようですよ、九十九君」
深雪さんが苦笑気味に注意して来たのでマジっすか、と返しながら試合に注目…というところで試合終了のブザーがなった。大差圧勝。心配要らないのでは?
「なんつうか…一方的だな」
次々と対戦相手を打ち破っていく会長にレオがそんな感想を漏らす。自分はクレーを全部パーフェクトで割る、相手がミスしたら勝ち。確かに一方的としか言いようのない理不尽加減だ。
「十師族直系の実力ってやつかね」
「九十九君だって百家本流」
雫のツッコミに軽く笑いが起きる。いや家は結構下の方だし、なんて返してたらあっという間に会長が優勝してしまった。
「結局、会長は結局予選も決勝も同じやり方で勝ったな」
「七草会長は同じ戦い方でやるのが有名なのよ」
達也の疑問に答えたエリカの解説に思わずへぇと言ってしまう。まあ、あれだけ圧倒的なら戦術そのものは変える必要もないのか。その魔法力が羨ましい。
少しインターバルが設けられ、次に行われたのはクラウド・ボール。残念ながら一高男子は4位に終わってしまった。
「結構面白そう」
「な、ラケット使っても良いし魔法オンリーだけOKってのは個人の特色が出てて面白いわ」
雫に同意しつつ、でもこれ九校戦から外された後一高だと暫く低迷するんだよなぁ…とか未来に耽ってみる。いや、まずそこまで生き残るのを目標にしなきゃな。
会長の試合になり、コートに上がる。どうやら特化型CAD1個で試合に挑むらしい。
「なあ幹比古。古式魔法なら何使う?」
「また随分と急だね…そうだな、僕なら風精とかを使うかな」
「まあそれぐらいしかないか」
風の精霊で物を弾き返して…なんか使えそうか?
なんて俯いてたらまた直ぐに会長が勝ってしまった。どうやらベクトル関係の術式で全部の球を対応したみたいだな。どんな魔法力だよ。
「さっきの魔法って何だ?」
「《ダブル・バウンド》だろう。移動物体の速度を2倍にしベクトルを反転させる魔法だ」
俺の疑問に達也がすかさず答えてくれる。さっきの構造は《ダブル・バウンド》って魔法なのね。
「サンクス。結構強くね?」
「俺もそう思うぜ。物によってはとんでもない威力になるだろ」
「そこは干渉力の問題が出てくるんじゃないかな」
「というか、九十九くんって時々古っぽい言葉遣いするよね」
ほのかさんの指摘にウッとなる。中身は20年代の人間だからな、90年代の今の人たちからしたら古すぎるだろうな。気をつけよ…
結局、会長はまたスピード・シューティングの時のように圧勝で終わらせた。マジであの魔法力羨ましい〜!
恒例の蛇足
はありません!
正直眼も明かしちゃったので朔の手札に隠している切り札はない状態です。さあどうする。