魔法科高校生の日日   作:千川 悠汰

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連日投稿間に合いませんでした!


第十五話

 いやあよく寝た。今日は2戦ぶっ通しになると考えるならあまり無茶は出来ないな。とはいえ昨日の一走に引き続き派手にやらないと印象には残らないだろうからなぁ…

 なんて思考を巡らせてた俺に体格の良い男が話しかけてきた。

 

「九十九、少しいいか」

 

「会頭。どうかしましたか?」

 

「別に大した話ではない。ただ、模擬戦であれだけの動きを見せたからには期待している」

 

 あ〜…稽古付けてやったんだから下手打つなよ?ってことか。んにゃ待てよ?そういやこの人天然なとこあったよな…となると、もしかして実力あるんだから頑張れっていうエールだったりするのか?真意はいかほどに。

 

「ちゃんと勝ちますよ」

 

 俺の答えに会頭は「そうか」と答え満足そうに笑った。やっぱ普通にエールだったっぽい。紛らわしっ。

 

 発表された対戦表を眺めつつ、一条将輝といつ当たるか確認する。…よし、決勝リーグまでは当たらないな。となれば仕込みも存分に出来る。

 まだ順番ではないので他の試合を眺めつつ、技術スタッフと作戦を練っていく。と言ってもシンプルなものだが。

 

「基本は加重系魔法と振動系魔法で攻撃、領域干渉で自陣は防御か。まあ、九十九の事象干渉力なら大丈夫かな」

 

「流石に同じ百家本流とかが出てきたら搦め手も使うつもりっすよ。練習も積んできましたし」

 

 会頭との練習もそうだがもう2人の出場生徒とも模擬戦はやったし、女子陣とも練習試合はやっている。その中でもやっぱり理不尽だったのは深雪さんだ。ギリギリ食いつけはしたものの、領域干渉は破れずジリ貧になりそこへ振動系魔法での温度操作で対応出来ずに負けた。本当に《誓約(オース)》に魔法力割かれてるんですか?

 愚痴ってる場合じゃなかった。もうそろそろ出番だな。

 

「行ってこい九十九!」

 

「ちゃちゃっとやってきます」

 

 コートである屋外フィールドは真っ直ぐ2等分されており、中に氷柱が計12本綺麗に並んでいる。冷んやりとした空気が漂ってきて非常に心地良い。

 それに相手選手の格好を見てみれば非常に洒落ている。ここもこのアイス・ピラーズ・ブレイクの特徴だろうか。男女問わず各選手が各々好きなように服装を変え屋外フィールドに立つためファッションショーのような雰囲気も出ている。かく言う俺は制服だが、別に何を着るのか決めてないわけじゃない。これも立派なブラフ用の作戦の1つだ。

 

 さて、物思いに耽るのはこの辺にして…速攻で行くか。

 試合開始のブザーと共に手元のCADを操作して一気に3つの魔法を読み込み、お家芸たる魔法の連続高速処理で魔法を組み立て先手を取る。加重系魔法で相手エリアの氷柱12本を全て上から潰し、氷柱と地面の設置面では振動系魔法で亀裂を入れる。自陣は領域干渉で相手の魔法を受け付けず俺は大して焦ることもなく魔法を行使し続ける。

 基本(カーディナル)コードを使わない加重系魔法は()に作用する。なので12本の氷柱上面全体を面として設定、そこに加重系魔法を作用させた。また振動系魔法は性質がほぼ同一な氷柱の設置面に作用させているのでこちらも発動は楽だった。

 

「クソっ!」

 

 相手は毒づきながら加速系魔法、加重系魔法、振動系魔法とあの手この手で攻撃してくるが俺の領域干渉は揺らがない。会頭の攻撃だって若干は粘れたんだ、これぐらいじゃ崩れねえよ。

 俺が発動する加重系魔法と振動系魔法の事象干渉力を僅かに増やす。それだけで相手エリアに残った氷柱が甲高い音を立てて崩れ去った。タイムは…4分弱か。

 試合終了のブザーを聞きながら屋外フィールドから降りる。我ながら中々良い速度で倒せたと思う。ドヤ顔で技術スタッフに歩み寄る。

 

「どうすか。中々良いもんだったでしょ」

 

「おう…ちょっと相手選手が可哀想になるレベルだったぞ」

 

「ま、そういうもんですからね。次はもうちょい工夫して戦ってみることにします」

 

 そんなわけで2回戦。相手もそれなりに強くなり、実際相手の1回戦は結構な圧勝だった。

 防御はさっきと同じく領域干渉、ただ攻撃方法を変えることにする。

 まず発散系魔法で氷柱の周囲の空気をプラズマ化、放出系魔法で陽極陰極を設定して氷柱に電子を流し込む。この2つの魔法を連続高速処理する。すると面白いように相手の氷柱が削れていった。要は水の電気分解を無理矢理発生させた訳だ。純水は電気を通さないが、幸いにも競技用の氷柱は一般的な水道水だったので僅かに含まれる不純物を利用させてもらった。

 相手選手が使用するべきだったのは情報強化だったな。性質を変化させない情報強化なら、直接魔法で作用させていない今回は簡単に塞がれただろう。だが、1回戦で俺が取った加重系魔法と振動系魔法の()()()()()物理的な破壊に印象が引っ張られてしまった。だから硬化魔法による水分子の固定という選択肢を取ったのだろう。俺の作戦勝ちですね。

 

「魔法力で勝負しに行ったかと思えば今回のように複数の魔法で翻弄…よくやるな全く」

 

「そこまで褒めてくださると恥ずかしいですね」

 

 多分褒めてるというより呆れてるんだろうけども、褒め言葉として受け取っておこう。他の技術スタッフからは褒められたし。

 

「明日はもっと搦め手マシマシで行こうと思うんですよ」

 

「もっとって…例えば?」

 

「《不可視の弾丸(インビジブル・ブリット)》とかね」

 

 スピード・シューティングで実物見せてくれて感謝するぜぇ吉祥寺真紅郎!お前の公開した術式の偽装部分全部丸裸になったからなぁ!




蛇足
朔はちゃっかり他の競技中も眼を使って他の選手がどんな魔法を使ってるのか視ています。なので吉祥寺真紅郎が使った不可視の弾丸と公開されている不可視の弾丸の起動式の差が分かった訳です。
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