めちゃくちゃ投稿遅れましたすいません
あと朔の九校戦での出番は終わりです
本日はアイス・ピラーズ・ブレイク3回戦の日にして決勝リーグの日である。
あと3回戦で負けたら目も当てられないので可能な限り魔法を変えてきた。勿論全部チューニング済みだ。
「なんじゃ、随分と青い顔をしとるの」
「…ん?あ、四十九院。久しぶりだな」
「なんじゃ随分と気の抜けた返事をして。にしても古式魔法は封印か?使えないわけではないじゃろ?」
「…流石に道具が足りない。キャリーケース一個で全部持ってくるのは幾らなんでも無理だっただけだ」
めちゃくちゃ嘘吐いてるし目泳いでるかもしれないけど押し通さなければ。バレたら元も子もないし勝ち目がなくなる。
「…まあよい。昨日のは見事だったぞ」
「そりゃどうも。そして帰った帰った。こちとら決勝リーグ行けるかどうかでだいぶ違うんだ。集中させてくれ」
無理矢理四十九院を観客席に追い返し、屋外フィールドに向かう階段を見上げる。いやほんと、胃腸が痛い。
───アイス・ピラーズ・ブレイク3回戦
「だぁらっしゃあ!!」
加重系魔法に収束系魔法、振動系魔法と叩き込む。相手は二高の生徒で、流石に3回戦に勝ち上がって来てるだけあってかなり防御が固い。決勝リーグのこともあるしそろそろ決めなければマズいか。
現状の手持ちで1番火力の高い魔法を
先にマイナスの振動系で熱量を下げておき、コンマ何秒の差で発動したプラスの振動系で上昇する熱量に先ほど下げた熱量が移動して《擬似・氷炎地獄》の完成となる。先にどれだけ下げるか決めておけるからいきなり釣り合うよう設定するのより楽なんだよね。
まあ、本物より劣るとはいえ、A級ライセンスの試験問題にもなる魔法の効果を再現出来ていると自負するぐらいには効果がある。想定した通り相手エリアの残りの氷柱が溶け去った。
「セーフ…でも焦ってるな俺」
自分でもノープラン過ぎんだろとは思うが、ここまで来てしまったので致し方なし。それと、おそらくだがここまでの俺の印象は系統の得意不得意もない1年にしてはかなり強い魔法師、で固まっているのではないだろうか。こっち側が他校の情報をあまり集められなかったように、向こう側も大して情報を持っていないという想定の上に成り立つ予想だが。
「はてさて…時間はあるし着替えて富士山拝んで、待つか」
◇ ◇ ◇
「九十九…なんだよその和服」
「
大昔は神社と仏寺の区別が薄かったとはいえ、実家が代々神職をやっていたのに違いはなく、それなりの数の正装が倉や押入れにあった。まあ、俺が着てるのはただの正装ではなく裏地に隙間なく幾何学模様が縫われてある代物だが。
「正直な話、一条に勝てるか?」
「随分な質問ですね戸口先輩。勝てる算段がなきゃここまで手は尽くしてませんよ」
点数で言えば準優勝だって30ポイント貰える。ポイント差が詰められるのはあまり歓迎出来ないが、まあそこら辺は先輩方も織り込み済みだろう。だが俺は勝てる見込みが立ったし、勝てると踏んでるからここに立っているのだ。あと普通にプライドが許さん。死ぬ危険性の少ないピラーズ・ブレイクでさえプライド張らないとか前世の俺が許さない。
「んじゃ行ってきますわ。十師族ぶん殴って来ます」
「いや殴るなよ…」
冗談飛ばしつつ氷柱前の舞台に立つ。両手には24枚ずつ
試合開始のブザー音と共に人形を12枚フィールドにぶん投げ、手印を組みながら同時に祝詞を唱え結界を構築する。氷柱周りの温度が下がったのが目に見えて分かった。こうなればそう簡単には状態変化させないし、形状への干渉も防げるだろう。まあ、結界を構築する柱が崩れたら次の結界を構築しなきゃならなくなるが。
攻め手は一先ず加重系、振動系の魔法を以て小突いてみたが…領域干渉が強いな。分かりきってはいたが単純な手で勝てることはなさそうだ。
「取り敢えず1本行くか!」
声に出し気合を入れて起動式を読み込む。
結界2個に情報強化で既に3種同時発動しているので残り3つの魔法でなんとかするしかない。《擬似・
程なくして氷柱が1本溶け落ちた。なんなら5本ぐらい持ってくつもりで行使したんだけどな…流石に十師族直系は伊達じゃないか。
ところで、この状況における俺の取るべき行動は何か。
答えは複数あると言っていいだろう。まず1つに一条将輝を倒し優勝すること。これは直接ポイントになるし士気の観点からも最大限狙うべきことだろう。次に一条将輝を限りなく損耗させること。これはもちろんモノリス・コードへの布石になるからだ。ただ、これらは全て俺が一条将輝に並ぶ、或いは超える魔法力を持っていなければならない。一応会頭からのお墨付きは有るが…
反対に、今一条将輝はかなり重い選択を迫られている。さっさと
となれば、俺のやる事は1つ。無理矢理にでもこの試合に長く縛り付け、尚且つ勝利を目指す。中々に難しいが…まあ、やってみるさ。
CADを操作して《
同時に収束の工程で集めた空気を加速の工程で爆発させる《擬似・爆裂》を使用する。側から見れば工程も魔法式の内容も全く違うのが分かるが、常にチラつく重い選択肢と一般には使用されていない魔法が飛んできた状況があれば多少は選択を誤るだろう。つか効いてくれ頼む。
「あ゛っっ!!」
とか考えてたら3本持ってかれた!六芒星だしもうちょい持つかなって思ってたんだけどなぁ。詳しい事は知らない付け焼き刃の近代魔術じゃ流石に無理あったか。
仕方ない、五芒星に四方の合わせ技で行こう。
手印を組み祝詞を述べ、想子を残っている氷柱の上面にある人形へ注ぐ。すぐさま描いた通りに氷柱が移動して内側に五芒星、外側に正方形の形に並び替えられる。五芒星は言わずもがな陰陽道の基本だし、四方については鬼門その他諸々である。現状の手札で言えば最高の退魔術式だ。
そして手持ちの24枚の護符のうち半分をぐしゃぐしゃに握りつぶしながら経を唱える。気体の流動性を保持するSB*1を大量に喚起し、凝り固めて叩きつける魔法を行使するためだ。一応、儀式魔法とも呼ばれる魔法で、本来ならばそれ相応の祭壇と手順を以て発動する古式魔法なので威力はかなりある。今回は略式かつ護符と氷柱の結界という手抜きも手抜きの祭壇で行使したため本来よりも効果が発揮されていないが。
「なっ!?」
へっ!遂にあの一条が声を上げたぞ。いや一気に4本も氷柱が打ち上げられたらそうもなるか。…あれこれ周りに飛び散らないよな?大丈…大丈夫だセーフ。
ついでに今飛び散った氷の幾つかを加速魔法で打ち出す。明智英美の砲撃魔法とは比べ物にならないが、超至近距離で俺が出力出来る最大速度の氷をぶつけたからか流石に対抗魔法を貫通してひびが入るぐらいの威力は出たようだ。
1+4本ぶっ壊したので残りは7本。対してこちらは9本も残っている。
さて、正直なところ残りの切り札で通用しそうなのは4つ。1つ目は流動性保持のSBを使用した《
ここまで考えた俺の結論は、氷獄で思いっきり形を捻じ曲げながら振動系統を当てて引き裂くだった。
「させるかっ!」
「マジか!?」
多分、情報干渉ではなく俺の魔法とは反対方向への形状変化か?確かに魔法は定義が向かい合わせなら破綻して霧散するけども…
とはいえ初見で基本コードの魔法に全部対抗するのは難しかったのか、3本はへし折り氷柱の花を咲かせることに成功した。だが相手は腐っても十師族直系。返す刀の《爆裂》に似た魔法で此方の氷柱も4本持って行かれ、それに付随して結界の効果も五芒星のみになってしまった。
もう防御は考えずに行くしかない。つか考えてたら残りの5本もぶっ壊される。
「だぁぁぁぁもうどうとでもなれえぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!
全く祝詞や経とかそういうのに聞こえない祝詞を唱え、歯で指の腹に傷を付ける。瞬間、血がドバッと溢れ出し足元に血の池を作る。あ、ヤバい失血性ショック引き起こすかも。
根性で踏ん張りながら血で染まった12枚の護符を握り、床に叩きつける。地面には血と同色の図形が出ている。問題なく発動しそうだ。
「俺の勝ちだぜ一条」
良い音を立てながら一条側の氷柱全てが横一直線に斬られた。
蛇足
《龍刃》…簡単に言えば自爆技。本来は血どころか肉や骨ごと飛ばして攻撃する一回ぽっきりの術式だったが、朔がチューニングしてどうにか血だけに納めた。
プラス振動系統の基本コード…試合直前に必死こいて書き上げ達也にokを貰った代物。基本コードはエイドスの改変をせずに魔法の効果を及ぼすので一条将輝のような優れた魔法師ほど刺さると読んだ(普通に同程度の規模のマイナス振動系統の術式で定義破綻を起こされる可能性はあった。気合い万歳)。今回の効果としては狙った範囲を乱雑に振動させて軋ませる。方向とか振動数とか考えない取り敢えず割ることに注視した術式。
あとアイス・ピラーズ・ブレイクの決勝戦は3人の総当たりだが…どうする?