そういや魔法科世界の古武術には
実際は身体に重なるようにして
「えーと、意思で肉体を動かすんじゃなくて精神で想子情報体を動かすのか。そしたら身体がついて来ると」
「理論としてはそうだがそんなに理屈っぽく考えるな。これに関しては結構感覚だ」
どうにも親父の言うことがいまいち信じられん。というか想子情報体の把握からしないといけないのにそこのヒントはないのかよ。いやまあ何となくは分かるけど。
「気合いだよ気合い。無系統魔法使う時に体より先になんか動く感じがするだろう?」
「いや分かんねえよ!つか無系統魔法言っても俺そんな使えないし」
そう文句を言いつつ、ふと思い立って想子塊を親父に向かって撃ってみる。せいぜい命中してもちょっと体の制御が効かなくなるぐらいだし、その制御が効かなくなるところをちゃんと視れば肉体と重なっているはずの想子情報体が分かるのでは?
「セイッ!」
親父が一瞬で想子塊斬っちゃった。いやまあ
「あ〜!」
親父がニンマリと笑ってこっち見て来る。うざいなおい。
ともかく、親父は今明確に視てから斬るまでが早すぎた。通常の人体の反応速度を大幅に超える速度で想子塊に想子塊をぶつけていた。そして俺の
今一度自身の体を視てみる。今の感覚を元に改めて視てみると確かに想子の塊に似た何かがあることが分かった。これはだいぶデカいぞ。
想子を操作する感覚が想子の放出を伴わずに得られるか試す。同時に
数十分か、数時間か。かなり疲弊した頃、肉体の右腕を上げる意識はなかったにも関わらず、イメージで右手側を振ったところ見事にその通りに身体が動いた。
「…っ!出来た!?今出来たよね!?」
「そうだな。だけどやってみなきゃ何も始まらんぞ。ほら、組み手だ」
「はぁー…ぜってえぶん殴る」
親父との組み手は基本的に武器以外なんでもありになる。いつもは魔法をバンバンぶつけるが、今回は無系統魔法だけに絞って戦う。
想子を身体全体に張り巡らせるイメージを描きながら、そのまま想子で出来た脚を前に出すイメージを脳で描き出す。するといつもより遥かに早いレスポンスで脚が出た。
「おらあぁぁっ!」
いつもよりも明らかに早く考えた通りに四肢が動く。自慢ではないが鍛えているので普通よりも格段に速さと重さがあると自負していたパンチの出だしが親父が受けきれない速度になる。
キックも同様に、フェイントのために一度折り畳んだ脚がもう一度蹴り出されるまでが速い。親父の掌打を見てから弾き、腕を抱えて捕まえるぐらいの動きが簡単に出来る。
ついでに掌に想子を固めて集め、親父の腹にぶつける。ドンっ!と鈍い音が広がるが、それ以上に親父の肉体が飛び跳ねるのが目立った。俺の
「やりすぎだ…」
親父が落ちた。まあいいか。
◇ ◇ ◇
ちょっと時間は飛んで想子情報体操作の稽古を始めて2日目。昨日に引き続き組み手形式で想子情報体操作の稽古をしている。
「シイッ!」
「っと!お返しだオラッ!」
親父の想子を纏った手刀を避けながら足裏に想子塊を作って蹴りを繰り出す。流石に親父は綺麗に後方に飛んで避けた。
どうも想子情報体操作をしている時に想子塊をぶつけられると、通常時に術式解体を喰らった時よりもダメージが深刻になるようだ。なので遠慮は…しません!思いっきりぶん殴るし、蹴ります。
打撃を繰り出す瞬間に想子塊をぶつけたり、先に想子塊を爆発させて目眩しにするなどとりあえず思いつくもの、思い出したものを繰り出していく。流石に網にするとかは未だ無理だが、柏手で周囲にばら撒くぐらいは出来てきたぞ。ていうか遠当てだの徹甲だのが出来る達也はなんなの?
ダアァン!!!とハイキックが交差するように衝突する。そしてお互い想子塊を纏っており、ぶつかった時に想子光が周囲にばら撒かれた。
「眩し。うーん、目が痛い」
「ギャアアアアっっっっ!?!?!?
可視光ではないので網膜が焼けているわけではないのだが、普通の魔法師である親父が軽くふらつくレベルの光だったのだ。練習のために
たっぷり数分間その場で蹲っていたところに親父が声をかけて来る。
「もうそろそろ掴んだだろう。それが意気の操作だ」
「目が溶けるぅぅ…」
確かにだいぶ操作方法は掴んだ。想子操作を体外ではなく体内で完結するようにすればいいという問題だったのだが、難しく考えすぎていた。こればっかりは親父の言う通りだと思う。
とはいえまだ達也みたいな身体能力の上昇までは行ってないんだよな。あれどうやったら出来るんだ?
取り敢えず強くなったことはよしとするべきか。あーでも、まだまだ練習する段階に入ってないものもあるんだよなあ。実験して改良点見つけて、んで実験しないと。
いつもの蛇足
朔の眼は魔法式の形や想子が見えても意味がわからない、というのはこれまで説明した通りです。が、単純に想子光が見え易くなるというのは説明していなかったと記憶しているのでここに書いておきます。
そもそもが霊子を視認できるようにする眼の派生であるため、そういう肉眼で視えないようなタイプの光には過敏です。だから九校戦のボードでSBの光をいち早く探知できた訳ですね。
ちなみに、オンオフができます。