魔法科高校生の日日   作:千川 悠汰

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なんと4日連続。どこまで行けるでしょうか。


第二十三話

 前略

 北山(きたやま)家所有のプライベートビーチに誘われました。(しずく)たちの計らいで俺も夏のイベントを無事過ごせそうです。

 つか水着の時間だオラァァァァァァァァ!!!!!!!やったー!!!

 

「アンタ水着持ってたっけ?」

 

「あっ」

 

 街に入って水着を選びつつ、その他日焼け止めとか色々購入した。なんか色々と前世より性能高そうなのがいっぱいあるわ。

 ただお袋も姉貴も何故か海パンの柄とか形については選ばせてくれなかった。そんなに俺のセンスが酷いって言うのか!

 

 ◇ ◇ ◇

 

 という訳で出発当日。船だかクルーザーだかで行くとかで港が集合場所だった。

 

「うおお海行くぞおっ!」

 

「随分と盛り上がってるね」

 

「こういうイベントごとじゃないとそもそも海とか行かないからな」

 

 元々インドアだしな俺。前世も全然外で遊んだりとかしないでずっとゲームしてたわ。誰かの予定に乗っかる時以外はあんまりね。

 とはいえ前世は家族旅行で海行ったし、一応今世でも海は行ったが…えーと、それでも10年とちょっとぶりの海か。やっぱいざ行くとなると楽しみになって来るのは人の性というものだろう。何するかは知らん。考えてない。

 

 と、どうやら達也(たつや)深雪(みゆき)さんの挨拶が終わったようだ。というかあの人がそうなのか。明確に凄え人みたいな雰囲気はしないけど…実績が物語る通り、やり手ではある筈だ。

 みんなから順に挨拶していき、お礼を言っておく。そう、先ほどから言っていた人とは北山潮(きたやまうしお)*1である。何故かは知らないが船長の格好をしている。いやほんとになんで?

 

「おお、君たちが娘の新しい友達か。歓迎しよう。それに、今後とも娘と仲良くしてくれ」

 

 勿論です、と返す。邪険にする理由がないというか、前世ならこっちからお願いして仲良くしてくださいって頼み込むレベルだしな…令嬢で美人、魔法も強いって非の打ち所がないよね。ま、そんな下心や打算がメインで仲良くしようとは微塵も思わないが。

 なんて考えてたらほのかさんが北山さんとお小遣いの攻防をしてた。雫曰く会うたびにあれらしい。

 

「さて…残念ながら私は行かなくては。向こうでは自分の家だと思って寛いでください」

 

 部下の人にかなり急かされるようにして北山さんは車に乗り込み去っていった。うん、なんていえばいいんだろうな。なんというか。

 

「癖強えな…」

 

「思ってたよりだいぶひょうきんな人だったわね…」

 

 エリカの言葉に首を縦にぶんぶん振って同意する。ビジネスマンとして必要な類の能力なのだろうか?生憎と経営者側だったり敏腕ビジネスマンなんて呼ばれるような立場になったことがないから想像でしかないが。てかすぐ帰っちゃうならなんで船長の格好してたんだよ。

 

 雫に大体あんな感じなの?と聞いてみるが、どうも彼なりに浮き上がってたんじゃないかということらしい。ただ同時にあの手のは少なくはないとも返ってきた。大変っすね…

 っと、気付けばクルーザーが来ていた。え、これマジ?

 

「いやデケェ!?」

 

 えっえっデカくない?えったかが小笠原行くのにこのサイズなの!?

 焦って周りの面々の反応を見てみるが…良かった、美月さんとか達也除く男子組はみんなびっくりしてるわ。俺だけ感覚が安っぽいのかと思った。

 

 船内はお高めの船といった感じで。うん、多分こういうことがなかったら一生乗らなかっただろうなこのレベルの船。いい経験になったわ。ちなみに船酔いはしませんでした。あそこまででかい船だとスタビライザーがしっかりしてるらしい。

 そしてものの数時間で小笠原諸島のうちの北山家のプライベートビーチがある島に到着した。船内からも島の様子がよく見える。The南国って感じがする植物が生えている。

 

「ふぃ〜。暑いというより陽射しが凄いな。日焼け止め買っておいて良かった」

 

「へえ、朔ってそういうのしっかり買うんだな」

 

「日焼けはねぇ、焼けてからが面倒なのよ」

 

 レオが意外そうな顔で見てくる。失礼な、前世の反省を生かしてるんだよこっちは。

 日焼けでもヒリヒリして痛くなるか皮が剥けるかとか色々ある。ちなみに自然と剥がれるのを待たないで剥くとシミとかになるから絶対に手で剥くなよ!あと、ヒリヒリするのは火傷と一緒だから患部はちゃんと冷やそうね。

 

 それはさておき。着替え含め諸々の準備が終わったのでビーチに出てきたが…何しようかな?スイカ割り?ビーチバレー?あとは単純に海水浴か。んー、まあここは海水浴かな。

 

「すげー、このビーチ俺らだけで使えるのかよ!幹比古(みきひこ)(さく)!泳ごうぜ!」

 

「ええっ!?ちょっと待っていきなり!?」

 

「おーし行くかぁ!」

 

 ちょうどいいタイミングでレオから誘いが飛んできた。有り難く乗っからせてもらおう。これ以上この場にいると挙動不審な俺が完成しかねない。

 最初はまあ平泳ぎでのんびり進む───いやちょっと待てアイツら何初っ端からクロールで飛ばしてんの!?帰って来れなくなるだろうが!?

 ってそうか、《水蜘蛛(みずぐも)》みたいな魔法使えば帰って来れるか。つかレオに至っては島渡っても大丈夫なぐらいの体力あるだろうし。なら遠慮なく追いかけよう。

 

「置いていくなよおい!!!」

 

 全力とは行かずとも8割ぐらいの速度で直線的に進んだことで2人のケツに追いつく。というか別にクロールで追いかけなくてもいいわな。よし、1番得意なので泳ぐとしよう。

 

「お先〜」

 

「えっ背泳ぎ!?」

 

「おわっ!?負けてらんねえな!」

 

 なんか顎の方から凄い気迫を感じるけど無視して泳ぐ。前世の頃から得意だと自負する泳法だけあって我ながら速い。なんか1人凄い勢いで来てるけど。

 つか確か1年次の夏の海ってなんかあったような…あ、あれだ。ほのかさんが達也に告るやつだ。うん、無視でいいな!てかどこまで泳ぐんだろう。

 

 ◇ ◇ ◇

 

「ゼーっ…ゼヒューッ…ゲホッゲホッ」

 

「ハァー…ハァーっ、ゼー…」

 

「いやー泳いだぜ」

 

 なんでレオはこんな元気なんですか?俺と幹比古は死にかけだというのに。

 結局あの後マジで遠泳になり、挙げ句の果てに帰りはタイムを競い合うような感じになってしまっていた。いやまあ、レオを煽ったのは俺なんだけど。にしても元気すぎんだろ…うわコイツ紅茶とアイス食い出した。

 

「ん?あれ?達也と光井は?」

 

「向こうに…いるね…」

 

 息も絶え絶えの幹比古が指差した方を見てみると、2人乗りの後ろ漕ぎボートに達也とほのかさんが乗っていた。

 

「…あれ、結構いい感じじゃない?」

 

「あっ、こ…コラ!」

 

 幹比古…それは多分禁句だぜ。あーほらひんやりしてきた。あんだけ泳いでホカホカだった俺の身体が冷え始めたんだけど。

 ニッコリと一切目が笑っていない深雪さんがカットオレンジが入ったガラスの皿を持って幹比古に差し出す。

 

「吉田くん。よく冷えたオレンジは如何かしら?」

 

 幹比古は黙ってコクコクと頷き、皿を受け取る。自業自得だね。まあオレンジ食いたいから堂々と横から取るけど。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 薄らと日も傾き始めた頃。みんなだいぶお腹が減っていたので早めの夕食となった。海辺なのでバーベキューである。いっぱい食べるぞー。

 

「んお?うちの箱じゃん。もしかして」

 

「うん。野菜は九十九くんのとこから定期購入してるんだ。お父さんが美味しいのが纏めて用意出来るから助かってるって」

 

「ご契約ありがとうございます。つきましては今後ともご贔屓にお願いします」

 

 なんかうちの段ボール箱があるなと思ったらまさかの太客でした。お買い上げあざーす!

 というかそれ潮さんに会う前に教えて欲しかったな。あそこで一言購入についてもお礼言えてればだいぶ印象良くなってかもしれんのに。

 

「ごめん。私からお父さんに伝えておくから」

 

 それなら一応義理は通るか?まあまた会うこともあるでしょう。多分。

 

「あの、九十九くんの家って農家さんなんですか?」

 

「正確に言うと農業をやってる企業だね。企業的農業ってやつ」

 

 家のことについてみんなに話しながら、時には話が飛んだりなど駄弁りながら時間は過ぎていった。

 

 夜になると部屋でトランプだの将棋だのをやっている。あ、因みに俺とレオは外でキャッチボールをしてる。ただ、なんかこの後あるっぽいから海岸沿いからちょっと内陸側に移動したところでだが。

 

「ナイスピッチング!朔って野球やってたのか?」

 

「いや?()()()()()()()()()球技はやったことないなあ。見様見真似でやってるんだけど、出来てる?」

 

「結構上手いぜ。つっても俺もちゃんとやったことある訳じゃないけどよ」

 

 うん、まあ特段面白みもなく夜が更けていった。強いて言うなら俺の投げたスライダーが思ったより曲がって危うくボールを無くすところだったぐらいかな。それ以外は特になんも。あ、あと熱中し過ぎ思ったより戻るのが遅くなって軽く怒られた。

 

 因みに、どうもほのかさんの告白の方は結果的には綺麗に収まったようだ。残りの滞在中も深雪さんとほのかさんが達也にべったりで、こっちの胃が胃もたれを引き起こしたこと以外は。

*1
ビジネスネームは北方潮




いつもの蛇足
朔の実家の家業は主に旧関東と旧東海向けに収穫した野菜を流通させています。
地球の寒冷化による世界中の農業の生産量の低下と二十年世界群発戦争も併せて農作物の値段上昇があってめちゃくちゃ儲かりました。元々あそこら辺一体の地主をやっていたこともあり企業化は結構スムーズでした。
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