次はもっと早く書けるよう頑張ります。
「えっ?達也、論文コンペの代表に選ばれたんだ?」
「えマジ!?九校戦だけじゃなくこっちでも代表入りか……凄えな!」
幹比古に追随して達也を称賛する。幾何学研究室に呼び出されたとは深雪さん経由で聞いていたので十中八九論文コンペの代表入りだろうなとは予測がついていたが、いざ本当にそうだと聞くと驚き2割称賛8割ぐらいの感情が湧き出てくる。全校生徒で3人だけだもんなあ。この友人を凄いって言葉でしか称賛出来ない己の語彙力が少し憎い。
「達也くん……感動薄そうだね」
が、肝心の当人はめちゃくちゃ反応が塩だった。同じことを思ったエリカの質問にさも当然と答えた達也に対し美月さんは絶句、エリカは呆れ、レオは爆笑と三者三様の反応を見せている。
「こんぐらいの事なら達也は余裕で対処可能ってことなんだろ?」
「それにインデックスに乗るような魔法を作れる天才だからな。職員室も無視はできるはずねえって」
「天才は辞めてくれ」
本気で嫌そうな声と顔だったのでレオと揃って謝罪しつつ、確かに人の努力を一言で片付けるのは違うと思い直す。とはいえ何と称せばいいのか分からないのもまた事実。どう讃えればいいのか分からず唸っていると深雪さんが助け舟を出してくれた。
「お兄様、2人も悪気があった訳ではないと思います。現に…とても悩んでいらっしゃいますし」
深雪さんが苦笑気味にこちらを見る。男子高校生が唸りながらああでもないこうでもないと友人を称賛する言葉を捻り出そうとしているのはまあ、滑稽に見えるだろう。
流石の達也も呆れと苦笑半々といった感じの微妙な笑みを溢す。
「でもやっぱり凄いよ!」
幹比古が声と身振り手振りに勢いを乗せて力説し始めた。
まあ、確かに幹比古の言う通り論文コンペメンバー入りは凄い。国内外問わず注目度が高いのは事実で、有名学術誌のスーパーネイチャーが毎年1位の論文を態々掲載するぐらいのレベルなのだ。2位以下も学会誌なんかに取り上げられることも多い。それぐらい権威と実績のある機会なのだ。
「ん?てか残り日数って8?9日無いよな?」
ちょうどいい言葉が思いつかなかったので諦めて残り日数を指で数えていたのだが……これほんとに大丈夫か?前世の大学時代の基準で行くともうだいぶ苦しい感じだが…
「まあな。ただ、俺はサブだし執筆そのものは夏休み前から行われていたから問題ないさ」
というか、と一言置いてから達也が尋ねてくる。
「細かいところまでよく知ってるな」
「実は俺も論文コンペのやつ出そうか迷ってたんだよね」
「「「えっ」」」
達也除く7人から驚きの声が上がる。俺そんなに頭が良いイメージ無いのか?面は割とインテリ系イケメンなんだけど?
「その反応は酷くない?」
「それは……ごめんなさい。でも、そんな素振り見せてなかったから…」
「あー、えっと今年は横浜開催じゃん?内容的には来年の京都開催を待った方がいいかなって思って。まあ言ってなかった俺も悪いな」
聞きたくてしょうがないという雰囲気をレオ、エリカ、挙げ句の果てに幹比古までもが見せている。そこまで期待されちゃったら言わないのは野暮ってものだ。
「いやね、
「「「……え?」」」
「何だよ、嘘じゃないぞ?振動のプラス系統のコードを発見したんだよ。来年のコンペには間に合うんじゃないかな」
みんながシーン……と黙ってしまう。そんなに俺が発見したのが意外か?結構頑張ったんだぞ!達也に答え合わせしてもらったから全然自力じゃないけど!あと、正直発表するような論文書きたくないな…とか思い始めてる。前世の博論がギリギリの出来だったのにあんな大勢と専門家の前でやるようなレベルのヤツ書けるわけねえだろ!!!
「ん゛っ゛……まあほら。俺のことは良いじゃん。今は達也の話だろ?論文コンペは何やるんだ?」
めちゃくちゃ露骨な話題逸らしに数名が不満を表すが、達也がしれっと繋いでくれたことで事なきを得た。
「重力制御魔法式熱核融合炉の技術的問題点とその解決策について。朔のと比べればインパクトは落ちるかもな」
「いやいや、それもめちゃくちゃ難しいヤツだろ。『加重系魔法の三大難問』って、魔法工学系齧ったことあるなら誰だって聞いたことあるレベルじゃねえか」
俺が間を空けずに反応したのは流石に意外だったのか、達也も僅かだが驚いたような顔をした。俺だって頑張ってるんだぞ!
「達也さんが選ばれたのですから、てっきりCADプログラミングに関係する類のものだと思っていました」
柴田さんが単なる驚きというよりも意外感を多分に含んだ驚愕の表情を見せる。まあ、気持ちは分かる。九校戦での活躍もあったし、完全にソッチのイメージが浸透してるよな。あと五十里先輩もメンバーに居るから余計にか。
雫とエリカも概ね同意見のようで本当にそんな壮大なテーマで大丈夫か?と心配した雰囲気を醸し出していた。実際、加重系魔法の三大難問に数えられるだけの内容ではあるので達也も言い切りはせずに笑って曖昧に誤魔化していた。
ま、
◇ ◇ ◇
めちゃくちゃ司波小百合が運んでくる八尺瓊勾玉の実物を見たい!が、どう考えても達也の家に行ける道理がないので泣く泣く皆んなと別れて旧栃木県方面の個型電車に乗り込んだ。
「
うちの倉は計4つほど存在しており、1つはもう日用品とか季節行事用とかそういうガチの倉庫。もう1つは会社のあれこれとかが入ってる俺だと見れない倉庫。そして残り2つはご先祖様たちが集めたり貰ったり押し付けられた魔法具が収められた保管庫である。俺が現代魔法に直した古式魔法の大元の術式が記述された諸々は、全てここに保管されていたものだ。勿論、あの《竜刃》も。
そしてこの2つもただ古い順に収められている訳では無く、明確かつ厳格な基準が設けられている…らしい。あくまで親父からの又聞きだが、最初の
実際《鎌鼬》とか《氷獄》は2つ目の倉の方だしな。他にもCADとか魔法剣だったり魔法を使用した射撃のための銃だったりが置いてある。家の配下の魔法師のために呪符とかも結構まとめて置いてあるはずだ。ちなみに俺のCADもそこから拝借したものだったりするんだがバレなきゃいいだろ。
問題は最初の蔵だ。《竜刃》もここに保管───というか封印されていた物で、手前側にあったのと目録を読んだ限りではそこまで危険ではなさそうという事で蔵から出したのだった。めちゃくちゃ危ないし使い所アホほど限られてたけどな!
でもまあ、それは置いておいて。この蔵の収蔵品、内容が危なっかしすぎて出して確認するのが遅れておりどれが使えてどれが使えないのか不明なのだ。それゆえに俺はあの蔵に手を入れたい。万に一つでも使えるものがあれば今後の支えになるし、何より直近の問題である大亜連合の侵攻の際に対抗できるようなものがあるかもしれない。
「……帰ったら親父に相談だな」
願わくば、対戦車になるようなものがありますように。
久しぶりの蛇足です
上記にある通りですが九十九家には4つの倉庫があります。家庭用、仕事用、魔法関係×2ですね。
建てられた順番としては魔法関係の危険物保管用→通常の魔法具用→家庭用→仕事用ってな感じです。なので最初の蔵は木造で年季が入っており、仕事用のコンクリで出来た倉庫と比べると年月を感じられる作りとなっています。
また目録にはその物品の取得日と蔵置日が記述されており、その物品の詳細な効果や分かる範囲での使い方、それらが不明であれば噂などが記述されています。