魔法科高校生の日日   作:千川 悠汰

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第七話

 一高校内にいる無力化したブランシュのテロリストを縛り上げながら、教職員と協力して警察に引き渡していく。

 あの後、委員長が香料の空中合成で作成して嗅がせた自白剤で、司甲が関与してることをテロリストから聞き出し、同時に壬生先輩が洗脳を受けていたこともわかった。思い込みに漬け込んだ洗脳ともなると、意外と解けにくいんだな。早めに精神干渉系の術式探さないとなぁ。

 そして小野遥先生ってマジで隠形得意なんだな。いるって知らなかったら分からなかったかも。()もあるとはいえ本当に達也はなんなの…?

 小野先生が見せてくれたブランシュの拠点位置を見る。いやほんとにちっか。歩いて行ける距離なんてレベルじゃない近さじゃん。流石の近さにレオも「すぐそこじゃねえか!舐められたもんだぜ…」と呟いてしまうほどだった。

 廃工場…まあ如何にもな場所だな。元々の持ち主も夜逃げ同然の売却だったらしいし。地脈的になんかあるんじゃね?

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 現在、会頭の運転する車に揺られながらブランシュ日本支部拠点に向かってます。

 

「レオ、門の衝突に合わせるように《装甲(パンツァー)》を車のフロントに発動してくれ」

 

 レオがちょっとばかし文句を言ったが、結果的にリクエスト通り瞬間的な硬化魔法を発動してみせた。レオって逐次展開が得意だけど、裏を返せば現代魔法でセオリーの瞬間的な魔法の行使がイマイチっぽいんだよな。実際、今めちゃくちゃ息上がってるし。

 

「司波、ここからはお前の指示に従う」

 

「では。レオ、エリカ、朔は正面を抑えてくれ。十文字会頭と桐原先輩は裏口から突入してください。俺と深雪は正面から突入します」

 

 言われた通り、俺とレオ、エリカは各々武器なりCADを構えて正面入り口から逃げ出そうとするブランシュの構成員がいないか見張ることにした。

 

「つってもよ、今更逃げ出すやつなんかいるのか?」

 

「アンタはバカねー。正面も抑えられてますよって圧を生むだけでもだいぶ違うものよ」

 

 レオとエリカの喧嘩を横目に4体の式神を浮かび上がらせる。レオの言う通り、今更出てくるやつがいるとは思えないけど、一応ね。

 

「あれ?朔のそれって式神?」

 

「知ってるの?」

 

「知り合いに式神とか使う古式魔法師がいるのよ」

 

 十中八九幹比古のことだろうな。原作通り会えたら色々と意見を貰おう。古式魔法を現代魔法の技術や知識で強化する先達だからな。

 なんて考えてたからなのか、はたまたさっきのレオの発言がフラグだったのか。3人、ブランシュの構成員がこっちに向かって走ってきた。

 

「ほんとに逃げ出してきた…って訳じゃなさそうな雰囲気だなー」

 

「どっちかっていうと俺らを排除しようとしてる感じじゃねえか?」

 

「どっちでも良いわよ。さっさとしないと私1人で全員切り伏せちゃうからね」

 

 それは困る。一高襲撃の時に試せなかったのがまだあるからせめてそれだけでも行使させてくれ。

 ()()()()()()()《縮地》でこっちに来る構成員の1人に接近し、思いっきりぶん殴る。拳が接触した瞬間、相手の身体が大きく痙攣し、そのまま拳の勢いで思いっきり吹っ飛んだ。

 

「うん。ちゃんと発動するな」

 

 俺が殴った時よりも大きい音、というか骨を折ったような音を出しながら構成員を殴り飛ばしたレオがこっちを見て尋ねてくる。

 

「それ魔法か?結構えげつないな」

 

「ちょっとー」

 

 エリカの非難を宥めながら説明する。

 

「《揺らし身》つって、殴ったときの衝撃を相手の肉体で増幅させる魔法だよ。多分元は仙術系なんだけど…うちのアレンジが加わってて詳しいところまでは分からなかったんだ」

 

 へぇーっと感心したような声が2人から上がる。

 この術式、実に古式魔法らしい魔法で。まず発動条件が絶対に()()を素手や道具で殴ったときに限られている。要は無機物どころか人以外の動物でも発動しないという。意味の塊で構成されてる古式魔法の特徴がよく出てると思う。一応現代魔法版を作れないか格闘中ではある。本音を言うと兵器相手に使えないのは結構不便なのが予想出来るんだよなぁ。特にコンペであの二足歩行戦車…じゃなくて直立戦車を相手にすることを考えると今のうちになんらかしら考えておきたいところである。

 

 なんて思考を巡らせてたら無事終わったようで、達也と深雪さんが出てきた。式神用意したは良いけど使わなかったな。

 まあひとまず一件落着…にはならないんだよなー。

 顧傑(グ・ジー)辺りはどうしよう。ま、なるようになるか。

 寧ろ直近のことで何か忘れているような…




恒例になるかもしれない蛇足
朔が使った縮地は達也が使用している武術の縮地ではなく、れっきとした古式魔法です。弊作では故事の神仙伝を元ネタとしました。
理屈としては指定した2点の表土を高速で向かい合わせの方向に移動させて上の人や物を運ぶ魔法、という感じです。
移動する表土は点で動くのではなく、直線状に流れていきますので、更に自己加速術式などで高速に走ればもっと早くなります。
運ばれた土は一点でぶつかるということはなく、下に潜り込む感じで起点側に運ばれます。有り体に言ってしまえばベルトコンベアです。
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