第八話
定期試験を忘れてた。寧ろこの後にある九校戦の方に意識がいってた…
なんで九校戦の方に集中してたのかは後で話すとして、幸いにも定期試験のことを思い出せたのはブランシュ日本支部を潰した翌々日。そこから授業毎にイマイチ理解してない理論なりを担当の先生に相談しに行き始めたのが5月。試験範囲の大体がわかったので本格的に対策を取り始めたのが6月入る直前。
前世の10何科目よりは科目数が少ないが、本当に高校生がやる内容か?ってレベルで専門性を求めてくるので難易度的にはこっちの方が高いんじゃないかと思う。2年生以降ちゃんとやっていけるかは授業の内容を自分なりに理解出来るかによる。ちゃんと勉強しなきゃ…
まあ、初めての魔法科の定期試験は総合で8位と入試の時とさほど変わらない結果だった。終盤はもう勉強する内容なんてねぇ!と半ばやけっぱちで実技の対策をしたのが効いたのかもしれない。実技は6位と良い結果だったし。理論?聞かないでくれ。
で、なんで九校戦の方に意識を割いてしまっていたのか。
それは単純に言うとどの種目に出れば良いのか、ということ。いや、そりゃ適性の高いものだろ、と思われるかもしれない。が、家の特性的にあんまりずば抜けた強みがないのと相手関係があるのだ。
ちなみに、そもそも出場しないという選択肢は委員長直々の競技の希望を出しておいた方が良いぞ、という有難いお言葉によってぶった斬られた。
九十九家の特徴は一言で言うなら魔法の連続高速処理。要は古式魔法に有りがちな複数の魔法を1つの魔法として組み上げる*1のが得意という、元が古式魔法師だったからというだけで別にも特段凄いやつでもないのだ。
んで俺は近、中距離戦が得意なんだが…モノリス・コードは
バトル・ボードの妨害は原作を超えて新人戦に仕掛けられてても問題なし。精霊は俺も扱えるからね。クラウド・ボールはクラウド・ボール部*2の人が出るでしょ。
───なんて楽観視してた時期もありました。
「え゛っ!?アイス・ピラーズ・ブレイクの選手!?」
「別におかしな話でもないだろう九十九。中距離が得意だったと把握しているが…何が齟齬でもあったか?」
「いや全然ですちゃんと合ってます」
会頭が不思議そうに首を捻るので慌てて止め、同時に頭を抱える。
「十文字の言う通りだ。襲撃の際の対応といい試験の結果といい、お前の実力は十分なものだと思うぞ」
「いやでも!相手には恐らく一条がいますよ!?どうやって勝てって言うんですか!」
「だがお前以外にまともに相手出来る奴もいない。森崎はスピード・シューティングの方に出るし、モノリスにも出るからな」
「むしろ九十九、お前がモノリスを断ったのは驚きだったな」
殴れない近接はダメなんです、と会頭に説明しながら必死に頭をフル回転させる。委員長と会頭揃って当然みたいなテンションなのを鑑みるに、会長やその他出場選手、それどころか技術スタッフにまで決定といった感じの話が出てるんだろうな。また断れない雰囲気になってる…
「分かりました…本番までに何とかしてみます…」
頼むぞ、とだけ言って委員長はどっか言ってしまった。それに対して会頭は
「俺もピラーズ・ブレイクに出場する予定だ。練習相手になろう」
「アッハイ、ヨロシクオネガイシマス」
胃が痛い。
あー、まあでも本番までに十師族と対戦出来るってのはかなりのアドバンテージになるか。というかそう考えないとほんとに胃がもたない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
十数分後、俺は顔面を床に突っ伏してぶっ倒れていた。
「初めての試合にしては上出来だろう。時間一杯まで氷柱を残せただけでも見事だ」
「ありがとうございます…」
息も絶え絶えの俺に比べて拭える程度の汗をかくだけってどういうこっちゃ。いやまあ、首都の最終防衛云々が十文字家って考えるとこの程度でぐらついたらダメか。
ポジティブに行くなら、それなりの数の領域魔法を引き出させたし、干渉力も一方的に力負けするほどの差ではないってこともわかった。手加減貰ってるだろうけど3本は残せたし。となると…本番はやっぱ奇襲しかないか。
ということで蛇足です
アイス・ピラーズ・ブレイクには本来時間制限はありませんが、今回初めてのしかもぶっつけで対戦ということもあり、克人から制限時間10分というお情けを貰いました。最終的な倒した氷柱のスコアは克人9本の朔6本です。朔の予想通り克人はそれなりに加減はしていましたが、順調に行けば優勝出来るのでは?と感じた程評価はしています。
まあ、朔が勝つには本人も気付いたように現代魔法一本では難しいですが。