魔法科高校生の日日   作:千川 悠汰

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ギリギリ間に合いませんでしたすみません


第九話

 さあどうする。今、パッと思いついているのは加重とか振動の単一工程魔法を開始と同時にぶつける、要は速度勝負の早期決着。ただ、一条将輝という十師族の嫡男相手に速度で勝てるのかという。しかし干渉力やキャパシティで勝てるとも思えない。

 なら奇襲しかないでしょ!ということで達也経由で知り合った幹比古に質問攻めしてる最中です。

 

「幹比古!これどうかな!!!」

 

「うわぁ!?わ、態々クラスまで来なくてもいいんじゃないかな?昼食の時に集まるわけだし」

 

 ちょっと引き気味の幹比古の横にスッと移動して端末に書き起こした結界の内容を見せる。レオとやはり魔法研究をしている達也も興味ありげな顔をするので3人に見える位置に端末を動かす。

 

「結界か。にしては起動式の規模が小さいな」

 

「神道系のものだね。だいぶアレンジが加わってるみたいだけど…自作かい?」

 

「家の倉にあったやつをアレンジした奴。元は空間の性質を安定させる魔法だったんだけどよ、()()って部分が使えるなと思ってさ」

 

「もしかしてピラーズ・ブレイク用か」

 

 流石レオ、鋭い。

 

「その通り。対一条将輝を考慮して魔法を選別してる途中なんだよね」

 

「それ以外の選手だって油断は出来ないと思うけどな」

 

「それはそうだけど、どっちにしろ策とか用意せずに自力で決勝までいけるぐらいじゃないと優勝は難しいだろうからさ」

 

 なるほどねえと唸るレオを横目に結界の説明を続ける。形としてはシンプルな五芒星と六芒星の二重結界で性質を気温と形状に絞ることでなんとか効果を強められないかなーと考えついたのだ。

 

「着眼点は悪くないと思う。ただ…結局魔法は魔法だ。事象干渉力で負けたら一気にダメになるよ」

 

「そこなんだよなぁ…まあ、破られたら《情報強化》と《領域干渉》でなんとか延命するしかないよ」

 

 考えた作戦としてはこう。開始初っ端から移動魔法で12本中11本を操作して結界を構築、1本だけを集中して守る形にし、その間に相手陣地の氷柱をぶち壊す。とまあ、書くだけなら簡単なのだが、やはり壁は十師族のあの脅威的魔法力だ。それに幹比古の言った通り、結界は全部揃って効果を発動する。どれか1つでも失ったら意味がなくなる。そこら辺考えてないわけじゃないが…まだ不確定すぎて相談するのも難しい。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

「九十九、今日も通常のルールでやっていくぞ」

 

「お願いします!」

 

 軽くおなしゃーすみたいな勢いで頭を下げる。放課後になったので場所を借りて3回目の会頭との対決を行う。

 1回目はご存じの通りボロ負け。2回目からは通常ルールで対決し、やはりボロ負けだった。とはいえ何も出来なかったわけではなく、確かに成長していると自分でも感じているし、会頭からも目に見えて魔法力が上がっているとお褒めの言葉を頂戴している。

 

「セイッ!」

 

 裂帛の掛け声とともに11本の氷柱が五芒星と六芒星の形にそれぞれ組み変わり、想子(サイオン)光が氷柱を結ぶ。狙った通り、それぞれ気温の一定化と形状の一定化が発動しているようだ。

 魔法には世界の修復力とも言うべき力が必ず干渉してくる。この2つの結界はそれを逆手に取り、この極低温状態と氷柱の形が()()なんですよ、と世界に刷り込むのだ。そうすれば世界は勝手にこの氷柱を対象にしたとき、要求される事象干渉力を引き上げてくれる。

 

「ほう」

 

 会頭の片眉が持ち上がったのを見て内心ガッツポーズしながら、加速系統魔法で1本穴を開けようとするが…会頭の領域魔法に阻まれた。

 どうやら会頭もそれなりに本気を出してくれるらしい。

 続いて氷柱と床の設置面を発散魔法で切り離そうとするが、今度は氷柱と床の設置面におそらく収束魔法のバリエーションと思われる障壁で防がれる。ならばと会頭側の氷柱全部を上面から加重系統魔法で潰しにかかり、横からは僅かに発生した水滴を振動・発散系統複合魔法で爆発させて破壊しようとしたが、加重系統魔法は情報強化で、水滴は対物障壁で防がれた。

 

「行くぞ」

 

 対物障壁が飛んでくるが、結界の効果通りなんともない。防御は気にせず攻めていく。

 さっきの2つの魔法に加えて移動系統魔法で空気塊を一つの魔法として処理する。これで1本も倒れなかったら絶望だったが1本倒れてちょっとホッとした。連続的に展開される十文字家のファランクスだが連続で高速発動すれば割り込めるっぽい。流石に会頭も驚愕の表情だ。会頭のびっくり顔が結構面白い。

 が、この後かなり本気になった会頭の対物障壁のファランクスと加速系統魔法や移動系統魔法の単一工程の魔法の圧倒的事象干渉力であっという間に破壊された。

 肩で息をして頭も上げられないが、なんとなく会頭がこっちに来るのがわかったのでお礼を言う。

 

「ありがとうございました…」

 

「かなり焦ったぞ。あの高速発動は九十九家のか?」

 

「はい…まさか先輩のファランクスに割り込みかけられるぐらい速いとは自分でも思ってませんでしたけど」

 

 どうにか息を正して顔を上げる。お、マジで会頭焦ってたっぽいな。汗の量が全然違うわ。

 

「俺は部活連本部に戻る。よく休め」

 

 頭を下げて見送る。あ、古式の攻撃魔法試すの忘れてた。

 しっかし魔法の連続処理、意外と通用するのか?




蛇足
朔の魔法の連続処理は異様なレベルで速いです。それこそファランクスに割り込みかけられる程ですから。ただ、本人はあんまり気にしていなかった、というか複数魔法をまとめて順次発動する速度が速くてどうすんの?という思考に染まっていたために中々有用性に気付いていませんでした。
魔法一個一個の処理速度はまあ優秀だね程度ですし、何より面識のある親戚にその連続処理で有用性を示せる人がいなかったというのが大きいです。
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