場所は旧校舎の裏の森。
木場裕斗はいそいで、裏の森に入った。
そして辺りを見渡していると、向こうからも一人キョロキョロとしている女性が目に入った。
そして、二人は同時に目があった。
「「あ……」」
二人はとても気まずい空気になってしまった。
「え、えっとはじめまして。私葛木姫乃って言います」
「こ、こちらこそ。僕は木場裕斗って言います。早速ですが」
裕斗は剣を前に構えた。
すると、その意味をすぐに察したのか姫乃も自分の持っている刀を鞘から抜き出した。
「木場君には悪いですけどここは通させてもらいます!」
「ここは譲るわけにはいかないな!」
二人は同時に駆け出し、剣と刀が交差する。
武器と武器が中央でぶつかり力は拮抗し、つば競り合いになる
「なかなかやりますね」
「君の方こそ、女の子とは思えないよ!」
二人が一旦距離を開けた。
「やっぱり、速いですね」
「君も人間にしては十分早いと思うよ!」
すると、次は裕斗の方から攻めに入った。
二人はお互いの『騎士』を意識したのか、少しずつ加速していく。
お互い、切り札を隠し、徐々にお互いの生傷が増えていく。
しかし、拮抗は少しずつ崩れているのがわかる。
肉体スピードでは、裕斗が。武器のスピードでは、姫乃が。少しずつ圧倒していく。
二人とも徐々に相手のスピードに慣れようとしているがそれもなかなか出来ない。
「ハァハァハァ」
「ハァハァハァ」
お互い、肉体的にも精神的にもかなりのダメージを受け、お互い息切れを起こしていた。
お互い武器を構えたまま、お互いを牽制しあう。
しかし、牽制するといってもお互いの精神をどんどん削っていく。
お互い仕掛けどころを見計らうように少しずつ距離を詰めていく。
二人の間合いに入っても二人は行動しなかった。
カツンッ
そして、お互いの武器が交差するが二人は武器を合わせたまま動かなかった。
「「……」」
お互い目と目を見つめあいそして、その状態が数分たつ。
周りの木から1枚の葉っぱがひらりと落ちる。
それが二人の合図となったのか突然、二人は動き出した。
そして、お互い武器で攻撃しあう。
先ほどまでの疲労が信じられないぐらいのスピードでお互い攻撃を繰り返す。
お互いフルスピードで動く。
まるで、先ほどまでの戦いがなかったように。
しかし、お互いの疲労はどんどんたまっていく。
さっきよりも早い時間で二人は間合いを空けた。
「やっぱりです。木場君。あなたは何のために剣を振るっているんですか?」
「え?」
さっきまでお互い武器を交えた仲だけあって、裕斗は驚いた。
しかしすぐに冷静を取り戻す。
「もしかして、言葉で揺さぶろうとしてるのかい?」
「いえいえ、ただ木場君の剣からは、力が感じられなかったんでつい」
「力が感じられない?」
「はい、木場君は私を見ていない。それに憎しみにとらわれすぎている。相手を見ないのは仕方なくないけど仕方ないかもしれない。でも、武器すら見えていません。それじゃ、武器がかわいそうです」
姫乃の声に裕斗は淡々と答えた。
「そんなの君には関係ない。そろそろ本気でいかせてもらうよ」
そう言いながら裕斗は持っていた剣をしまい、新しい一本の剣を作り出し、両手で剣を握った。
「それが、木場君の本気ですか?」
「たしかに僕は葛木さんみたいに太刀筋は速くない。でも、この剣は僕の一番のお気に入りでね。名前を
「そう、ですか。昔の友の恨みを晴らすために剣を握る。たしかに否定はしません。でも……」
そう言いながら、姫乃はゆっくりと居合のポーズをとった。
「それじゃ、武器がかわいそうです。武器にだって意思はあるんです。お願いします、鬼姫!」
姫乃がそう叫ぶと、姫乃の瞳に変化が訪れた。姫乃の瞳が赤く染まっていき、魔力がどんどん膨れ上がっていく。
「君は、本当に人間なのかい?」
「立派な人間ですよ。少し特殊ですけど。では、木場君。次で決着を付けましょう。もうお互い打ち合うだけの力は残ってないでしょうし」
二人は、それぞれ相容れぬ構えをとっている。
裕斗は攻めの姿勢。上半身を前に少し傾け、一気に相手の懐まで走り込んで一気に切りつける攻撃的な構え。
逆に姫乃は静かに相手の動きを待ち、相手の太刀筋にあわせてカウンターで切りつける返しの構え。
姫乃の想定内のスピードだと姫乃の勝ち。それを上回ることができれば裕斗の勝ちというわけだ。
お互いの魔力が膨れ上がり、風が一瞬だけ止んだ。
その瞬間、裕斗が動いた。
裕斗が上から切り落としに来た。
それをカウンターで姫乃も攻撃に入る。
それは、コンマ数秒の世界。
それを制したのは……
「や、やりました……」
「負け、かな……」
姫乃だった。しかし、勝ったと言えど、魔力がほとんど切れてしまった状態なので立っているのもやっとの状態だった。
姫乃の瞳は普段の色に戻っていて、座り込んでいる。
裕斗は倒れ込んでいた。
「葛木さん、さっき恨みとかなんとか言ってたよね?」
「はい、たしかに復讐も大事かもしれません。でも、もう少し武器に目を向けてもいいのではと思います」
「武器に目を向ける、か」
「それに、木場君の欲しい情報も手に入るかもしれませんし」
「!?……さっきから、気になってたけどどうしてそんな情報まで持ってるんだい?」
「こっちの情報通の人は誰にも縛られない人ですから。其方の世界で言うなら、魔王や神でも縛れないんじゃないですかね」
「ハハッ、面白い冗談だね」
姫乃の言葉に裕斗は笑って答えた。
「でも、もし木場君が武器に目を向けていこうとするなら、協力しますよ?」
「えっ?」
「私たちは皆兄さ、王である葛木清隆に救われたんですから。それに」
「それに?」
「最強魔法お節介が発動してますし」
その言葉に枷が外れたような顔を裕斗がした。
「フッ、なら。少しだけ考えてみるよ」
そう答えた瞬間、裕斗の体が青白い光になって消えた。
『リアス様の「騎士」1名リタイア』
グレイフィアの声が姫乃のイヤホンから鳴り響いた。
「それにしても、ほんと鬼姫の燃費ってわるいですね」
姫乃は苦笑いしていた。
繰り広げられる戦闘……
そして、グラウンドでは、最強の駒『女王』と人形使いが出会う……
圧倒的な力の前に人形使いも切り札を使う……
次回「人形使いVS女王」
大丈夫です、マスター。私が必ず守ってみせます