場所は本校舎内の廊下。
「あらあら、仲間を陽動に使って自分たちが相手の本陣に奇襲なんてなかなか大胆なことやってくれるじゃない?」
廊下を走っていたリアス、イッセー、アーシアがその声に驚く。
「やっぱりあなたね?グレイフィアから聞いてるわよ、『孤高のカトレア』さん?」
「あらら、その二つ名まで知ってるんだ。まぁ、いいわ。ここであなたたちを倒せばゲームセットよ」
その言葉を聞き、
「イッセー、あいつは私が食い止めるから早く相手の本陣でプロモーションしてきて!」
「分かりました!」
そう言い、イッセーは反対方向から走り抜けていく。
その光景をリッカはつまらなそうに見つめていた。
そのリッカの姿を見たリアスは静かにだが、リッカに聞こえるようにつぶやいた。
「あなた、余裕そうね?」
「えぇ、私一人でもあなたたち全員相手にしてもいいくらいだもの。それに」
「それに、何?」
リッカの挑発的な言葉にリアスは苛立ちを覚えていた。
「あの兵士を倒す必要はないわ。私は個人的にあなたが許せないのよ。来なさい!魔王の妹!」
「望むところよ!『孤高のカトレア』!」
孤高のカトレアと魔王の妹の戦いが始まった。
生徒会室side
イッセーが生徒会室に入るとすぐに魔力に反応があった。
「プロモーション!『女王』!」
プロモーションで最強の駒になるイッセー。そして、イッセーに向けられるひとつの視線。
その視線に気づき、イッセーはその方向を向く。
「誰だ!」
その呼び声と共に現れたのは王である葛木清隆だった。
「兵藤か。付いてこい。お前の力はここではあまり使えんだろ?屋上でやろうか」
(屋上……あそこなら広いし、それに相手の王さえ倒してしまえばこのゲーム俺たちの勝ちだ!」
その言葉にイッセーは少し渋ったが、付いていくことにした。
そして、清隆とイッセーは屋上で対峙する。
「前回はやられたが今回は勝たせてもらう、兵藤一誠!」
「部長のために勝たせてもらうぜ!桜野郎!」
「狂い咲け!俺の想い!」「赤龍帝の篭手!」
清隆は桜を展開し、イッセーは左手に篭手を装着する。
『Boost』
イッセーの篭手からその掛け声が聞こえた瞬間イッセーの魔力が膨れ上がったことに清隆は少し驚いた。
「なるほど、自分の魔力を増やす篭手か。なら短期決戦だ!」
清隆は一気に桜を展開し、一気にイッセーの方角に向かわせる。
「うぉっ!?」
間一髪の反射神経でイッセーは桜を寄ける
「逃がさないぞ!」
さらに清隆はイッセーに追い打ちをかけるために桜を展開し、一気に攻める。
『Boost』
何度目かのその声を聞き、そして、かなりイッセーの魔力が増えていること清隆は気がつく。
『transfer』
「ぶっ飛びやがれ!ドラゴンショット!」
transferの掛け声と共にイッセーは魔力の衝撃波を桜全てにあたるように放つ。
そして、ドラゴンショットによって清隆の桜の半分前後が飛散してしまう。
「なんつう、破壊力だよ」
「へっ、俺を倒したけりゃ、神様でも連れてくるんだな」
そして、再びイッセーがドラゴンショットを撃つ体勢に入る。
「おらぁ!もう一発くらいやがれ!ドラゴンショット!」
そして、イッせーからもう一発のドラゴンショットが清隆の方に向けて放たれる。
先ほど撃ったとは思えないほどの威力を持っていることは清隆では容易に分かった。
それに、先ほど桜が半分前後もっていかれたのを見ると今のは先程の3分の2程しか手元にない。
「さすがにこれをまともに食らうのはいただけないかな」
清隆はそうつぶやき両手を目の前で交差させる。
そして、桜を清隆とドラゴンショットの間に置く。
「俺に同じ技は二度も通用しない。見せてやる。俺がカテゴリー5である証を。おれはもう一歩も譲れないんだ!」
そして、魔方陣が桜を包み込み、桜の雰囲気が少しだけ変わるとそれをドラゴンショットの方に向かわせる。
「行くぜ!この桜は想いの結晶。俺の希望だ!狂い咲け!『暴食桜』!」
清隆の桜はドラゴンショットに消されることなく、逆に飲み込むようにドラゴンショットを包み込む。
そして、桜がドラゴンショットを包み込み数秒が経過すると、そこには跡形もなく桜のみが舞っていた。
「なっ!?俺のドラゴンショットが一瞬で……」
「たしかに、俺以外には今の魔力でも十分な破壊力を持っていた。だが、詰めが甘かったな。今の技は『暴食桜』。単なる魔力に過ぎない兵藤の技は簡単に飲み込めた。では、次はこっちのターンだ!」
先程のドラゴンショットを食らったために先程よりも桜の花びらの枚数は増え、イッセーを襲う。
「くっ!?畜生!俺はもう負けるわけにはいかないんだ!」
イッセーは桜をよけながら叫ぶ。
「もうあんな思いはしたくないんだ!部長に涙は似合わねぇんだ!」
しかし、徐々に桜に追い詰められていく。
「もう二度と負けるわけにはいかないんだよぉ!」
イッセーが桜に捕まり、包まれていく。
清隆はその姿を黙って見届ける。
イッセーside
「もう二度と負けるわけにはいかないんだよぉ!」
その叫びと共に俺は桜に飲み込まれた。
体中に打撃が入ってくるのがわかる。どんどんダメージを受けていくのがわかる。
でも、俺は負けたくない!俺が負けて部長が涙を流す姿なんて見たくないんだ!
(小僧、守りたいか?)
その声は……
(今回は無料でくれてやろう。桜にも出会うことができたしな)
桜?どういう意味だ?
(まぁ、俺の気まぐれだ。頑張れよ、小僧)
言われなくてもわかってるよ!
俺の中に禁手の力がみなぎってくるのがわかる。
ありがとな、相棒。
「行くぜ!輝きやがれぇぇぇぇ!!!オーバー・ブースター!!」
『Welsh Dragon over booster!!!!』
俺は一気に俺を包み込んでいる桜をはじき飛ばした。
決着を付けてやる!
side out
目の前の光景に清隆は声を発することができなかった。
自分の桜には絶対的な自信があった。自意識過剰などではなく、この技はリッカさん以外に破られたことがなかった。
なので、今の目の前の現状を見て信じられなかった。
自分の作った桜が赤い鎧を身に付けたイッセーによって粉々にされたのだ。
さらに、イッセーからはとてつもない魔力を感じていた。
(これがドラゴンの力……でも俺だって、負けるわけにはいかないんだ)
「見せてやるよ、桜野郎。龍の帝王の力をな!」
さらにとてつもない魔力になっていく。
「やってやるよ!俺だって、もう負けられないんだ!お前にはわからないぐらいのを背負ってんだよ!」
桜が清隆の体を包み込む。
「その赤いのが『赤龍帝の鎧』なら俺は『狂い桜の鎧』だ!」
赤い鎧をつけたイッセーとピンク色の鎧をつけた清隆が中央で交差した。
ここからはただのガキの喧嘩だった。
ひたすら殴り殴られ、蹴って蹴られの繰り返しだった。
そして、運命の10秒がたとうとするとき、
「これで終わりだ!ドラゴンショット!」
その最後の攻撃と共にイッセーの鎧は解けてしまった。
清隆の方向にドラゴンショットが飛んでくる。先程の『暴食桜』を使うにもさくらの花びらの枚数が圧倒的に足りない。
(ここ、までかよ。俺は結局弱いままで。それでも、みんなの役に立ちたくて……。俺は強くなりたい。もう誰にも負けないようにって誓ったのに。リッカさん怒るだろうな。)
どんどん、ドラゴンショットが清隆に近づいてくる。清隆はイッセーの方を見る。
イッセーはもう魔力切れで倒れている。
(これを防げば俺の勝ちなのに)
『なら、強くなればいいんだよ』
(え?)
突然の声に清隆は驚く。その瞬間時が止まったような感覚に陥る。
『清隆にはその才能があり、資格もある。そう『桜』を受け継ぐ資格が』
顔はよく見えないが少女が話しかけてきた
(君は一体?それに桜を受け継ぐ資格って?)
『魔法は想いの力。桜は想いの結晶。そして奇跡を、希望を叶える力……』
(何を?)
『どれだけの季節をめぐろうと変わることのない想いを清隆は持ってる』
(……)
『清隆は受け入れなきゃいけない。過去を……』
(過去……?)
『そう、『芳乃』の力を……』
(なっ!?なぜ芳乃のことを!?)
『ボクは清隆のことならなんでも知ってるよ。今回だけ力を貸してあげる』
(だから、さっきからどういう……)
『強くなりたければ、『芳乃』を受け入れて、ボクの下に来て欲しい』
(『芳乃』を受け入れる……)
『そう、そうすれば、強くなれる』
(……分かったよ。俺はもう迷わない。この勝負が終わったら君の下に行くよ。名前、なんて言うんだ?)
清隆がそう聞いた瞬間、少女の顔が清隆の見覚えのある顔へと変わっていく。
『ボク?ボクは芳乃さくら。覚えているかな。ループ世界のことを』
(さくら……なのか?)
『うん!そうだよ。久しぶりだね』
「あぁ、でもなんでさくらが俺の中に? 」
『そこから先は教えられないかな』
そう言いながらさくらの体が薄れていく。
『じゃぁ、まずは目の前の魔力を吹き飛ばすよー!ボクに続いて!』
(さくら!体が……)
『そろそろ、タイムリミットみたいだからね。続きは初音島で待ってるよ』
その言葉と共にさくらの姿が消えていく。
『我、金色の想いを胸に秘め……』
さくらの声が頭の中に響いてくる。
(我、金色の想いを胸に秘め……)
『我、金色の願いをこの手に宿し……』
(我、金色の願いをこの手に宿し……)
『満月と共に咲き乱れる……』
(満月と共に咲き乱れる……)
『無限の時が進もうと……』
(無限の時が進もうと……)
『変わらぬ希望と共に……』
(変わらぬ希望と共に……)
『汝を夢の世界へ誘おう……』
(汝を夢の世界へ誘おう……)
詠唱が終わった瞬間、止まっていた時が動き出す。
しかし、清隆はさっきまで恐れていた気持ちが嘘のような感覚だった。
清隆は瞬時に桜を右腕に集める。すると異変が起きる。
先程まで、ピンク色だった桜が今は、金色の桜だったからだ。
「これがさくらの言っていた桜の力……」
清隆は金色の桜をドラゴンショットに向けて放つ。
「これで終わりだぁぁぁ!!!!!」
金色の桜はドラゴンショットとイッセーを包み込む。
数秒の静寂が訪れたあと、
『リアス様の「兵士」1名リタイア』
グレイフィアさんの声が俺のイヤホンに聞こえてきた。
「俺、勝ったのか……?」
清隆がそうつぶやくと、入口からシャルルと葵が走って向かってくる。
「清隆君!大丈夫!?さっき、かなり大きい爆発があったようだけど?」
「清隆さんってボロボロじゃないですか!?これサラから受け取っている術式の魔法です。すぐにかぶせるんでじっとしておいてください」
すぐに清隆の体に治癒魔法がかけられ、体中の傷が治っていく。しかし、魔力のほとんどを失っているのには変わらない。
「それよりも、他のみんなは?」
清隆は二人に尋ねた。
「大丈夫だよー。耕助君が少し深手を負っちゃったみたいだけど、すぐに向こうに転送されたから大丈夫だと思うよ。ほかのみんなも、私が全員回収して回復させてる途中だよ。みんな命に別状もないけどかなり魔力を使っちゃったみたいで動けないけど」
「そっか。なら、作戦は成功だな。葵ちゃん」
清隆の声に葵はシェルを素早く取り出す。
「分かってます、リッカさんに連絡を入れるんでしょう?」
そして、葵はリッカに連絡を入れた。
「リッカさんですか?」
『分かってるわ。さっきの魔力について清隆には聞きたいけど、作戦は成功ね!じゃぁ、みんなはもう休んでていいわ』
リッカの声はすぐに切れた。
(まぁ、リッカさんらしいかな)
清隆とイッセーが戦う中、校舎の廊下では「紅髪の滅殺姫」と「孤高のカトレア」が対峙する……
リッカの圧倒的な力の前にリアスの攻撃は届かない……
そして、さらなる絶望がリアスを襲う……
次回「『紅髪の滅殺姫』VS『孤高のカトレア』」
リアス・グレモリー、あなたじゃ、私達には勝てないわ。チェックメイトよ!
感想を書いてくれたら嬉しいです