皆が駒王学園に帰ってくるとそこには風格のある男性とグレイフィアが立っていた。
「やぁ、はじめまして。君が葛木清隆君だね?」
その男性が清隆に話しかけてきた。
「は、はい。俺は葛木清隆です。で、こっちが」
「大丈夫だよ。今のレーティングゲームは拝見させてもらった。実にいい戦いだった。それに放送自体をジャックするというとても奇抜で効果的な作戦にも驚かせてもらったよ」
「は、はいありがとうございます。えっと、お名前よろしいでしょうか?」
「あぁ、そういえば名乗ってなかったね。私はサーゼクス・ルシファー。冥界の魔王をしているものだ」
「はーーー!?」
その言葉に声を上げたのは清隆だけだったが、リッカ以外は皆驚いていた。
ちなみに言うと、杉並はもちろんそこにはもういなかった。皆が集まったとき、姫乃と巴に何か言われ「では、少し情報を集めよう」といい、先に帰っていった。
「でだ、葛木君。君が望むものは何かな?今回のレーティングゲームに勝った君にはその権利があるのだが?」
「えぇっと、そ「保留よ!」ってリッカさん!?」
清隆が何か言おうとするときそれにかぶせてリッカが入ってくる。
「君はたしか……」
「私はリッカ・グリーンウッドよ。今回の望みの件は保留よ。それに清隆だって特に叶えたい望みなんてないでしょ?」
「え?は、はい。俺は今の生活に満足してるんで」
「そういうことよ、ルシファー。もしかしたら今後、何かあなたたち悪魔に助けて欲しいことがあるかもしれないからその時にでも助けて欲しいのよ」
「ウム。そちらがそれでいいというならそれでも構わないよ。もともと、こちらに拒否権はないのだから。では、今回の望みは保留という形でいいかね、葛木君?」
「は、はい!それで俺は構いません」
「では、それではな」
そう言い残し、サーゼクスとグレイフィアは姿を消した。
その瞬間周りに張り詰めていた緊張が一気に崩れ、リッカを除く皆が地面に座り込んだ。
「終わったんだよな……」
「えぇ」
「うん」
「はい」
「うむ」
「そうです」
「そうだな」
「勝ちましたね」
「みんなの勝利ですね!」
清隆の言葉にリッカ、シャルル、姫乃、巴、四季、耕助、サラ、葵の順で答えた。
少し皆が感傷に浸っていると本校舎の方からグレモリー眷属が歩いてくるのが見えた。
向こうもこちらに気づいたのか少し、気まずい空気になる。
リアス、イッセー、朱乃、アーシアは睨みつけてくる一方で小猫と裕斗何か悩んでいるような顔を見せる。
その光景を見る清隆に姫乃と巴が話しかけてきた。
(兄さん、後で少しだけ頼みがあるんですけど)
(清隆、私からも少し話がある)
(まぁ、別にいいけど)
気まずい空気を壊したのはやはりリッカさんだった。
「なぁにみんなで気まずい空気にしてんのよ。私たちは勝ったのよ。それで向こうは負けたの。私たちが縮こまる理由なんて見当たらないわよ」
「あははは、リッカさんは少し空気を読むことを覚えましょうね」
葵も違う意味で空気をぶち壊した。
「な、なんだと!てめぇら、少し美人だからって調子に乗ってんじゃねぇ!」
イッセーはその二人に食ってかかる。
「え?何?妬み?嫉妬?男の嫉妬は醜いわね。負けたのだから何を言われても仕方ないんじゃないの?」
「てめぇ!いい加減にs「やめなさい、イッセー!」っ!?部長!……部長」
イッセーの暴走をリアスが止めた。しかし、イッセーはそれに動じずなおも食ってかかろうとするがリアスの顔を見て一気に静かになった。
「私たちは負けたのよ。何も言えないわ。ごめんなさい」
「その通りよ。兵藤一誠。あなたたちは負けたのよ。王であるリアスグレモリーの投了によってね」
『っ!?』
リッカの言葉にグレモリー眷属全員の顔に動揺が浮かんだ。
「まぁ、同じ負け方をして成長してないというか「リッカさん!」分かったわよ」
リッカが続けようとするのを清隆が止める。
「グレモリーさん、すみません。では、俺たちは先に帰らせてもらいます」
清隆はそう言い、みんなを立ち上がらせ、ゆっくりと校門の方に向かう。
「そうそう、リアスグレモリー、あなたに忠告よ。今のままだと、取り返しのつかないことになるわよ」
そう、リッカが言い残し、そのままグレモリー眷属がその場に残された。
皆が清隆の家に着くと、そのまま皆は自分の家に転移して帰っていった。リッカ、姫乃、巴はその場に残っていた。
「で、姫乃、巴さん、リッカさん。話って?」
清隆の質問に皆はお互いを少し牽制するがまっさきに口を開いたのは姫乃だった。
「私は、木場君についてなんですが「何、姫乃?もしかして惚れたの?よし!ライバルがひとり減ったわ!」いやいや、違いますから。てかそこで巴さんもリッカさんの冗談に悪乗りしてガッツポーズしないでください」
「ひ、姫乃。別に悪魔とかそんなもの俺は気にしないぞ?」
「兄さん……それに二人もそれ以上悪乗りすると鬼姫を抜きますよ?」
「「「はい、すみませんでした!!」」」
姫乃の目が据わり鬼姫に手を伸ばしてそういうと皆は直ぐに謝った。
「はぁ、話が脱線しちゃったじゃないですか。それでですね、私が言いたいのは木場君を助けてあげて欲しいんです」
「助ける?」
姫乃の言葉に清隆が聞き返す。
「はい、木場君の過去は皆さん知ってますよね?」
その言葉に皆は頷いた。
「それで、私は木場君と武器を交えて彼の負の感情に触れました。それで、私は彼の手助けをしたいと思ったんです」
「お節介ね」
「お節介だな」
姫乃の言葉にリッカと巴がため息を吐きながら言った。
「まぁ、姫乃だしな。それで、杉並先輩に情報を頼んだのか?」
「はい」
「分かった、俺も出来る限り手伝うよ。だからあまり無理せず、みんなに頼れよ?」
清隆の言葉に姫乃は強く頷いた。
「で、次はどっちが話す?」
「では私から行こう。私からは、塔城の件だ」
「姫乃と似たような内容か?」
清隆の質問に巴は「いいや」と返す。
「私が気にしているのは塔城は過去の姉の事件を見て、完璧に自分を見失っているところだ。彼女自身自分の力を恐れてしまっている。もし、自分がミスを犯したらどうしようという、な。まるで、過去のシャルルのようだとは思わないか?」
巴の言葉を聞いて3人は黙ってしまった。
皆知っているのだ。彼女がどれほど苦しい思いをしていたのかを。
だからこそ、清隆にはそれを断ることができなかった。
「ってことは、塔城さんの姉の居場所を杉並先輩に?」
「あぁ。姫乃に先を越されたが終わり次第、そちらに移ってくれるそうだ」
「ってことは、それまでの過程で俺がカウンセリングをすればいいということですね?」
「さすが清隆だ。確かに情報もでかいが、彼女自身が力についてどう思ってるかも重要だからな」
巴が答え、二人の話は終わらせた。
「じゃぁ、最後は私ね。二人には悪いけど清隆と二人きりにしてくれるかしら?」
リッカはとても真剣な顔をして二人に頼む。
久しぶりの真剣な表情に二人は大事な話のことだと察し、それぞれ部屋を出ていき、それぞれの家に帰っていく。
誰もこの話を聞いていないのをリッカと清隆は確認して、話し始めた。
「清隆、私が言いたいこと。わかってるわよね?」
リッカのその言葉に清隆は静かに頷いた。
「さくらに出会ったんです」
「さくらってあのさくら!?」
清隆の言葉にリッカは驚いた。
もう自分の世界へ帰っって二度と会うことができないと思われていた人物の名前が出てきたからだ。
「えぇ。それで、さくらに言われたんです。『芳乃』を受け入れろって」
「『芳乃』?それって清隆の旧姓よね?」
「はい。そして、初音島で待ってるって言われました」
「初音島……」
その言葉を聞いてリッカは少し、考える。
「行くのね?」
リッカは静かに清隆に聞いた。
「はい。レベルアップするにはそれしかないと思うんです」
清隆は真剣な眼差しでリッカを見た。
「はぁ、分かったわ。ただし、今回は私が同行するわ。それに……」
「それに?」
「嫌な予感がするのよ。強くなるにはそれだけの対価が必要。『芳乃』を受け入れるという意味がどれだけのものなのか清隆だけに背負わせるわけにはいかないわ」
「分かりました」
「じゃぁ、明日にでもみんなにメール送っておくわ。もう眠りなさい。私も少し、調べ物をしたら眠るわ」
リッカがそう言い、話を終わらせる。清隆は自分の部屋の方向に向けて歩いていく。
ロビーにはリッカがひとり残される。
「清隆……。とうとう、金色の桜に行き着いたのね。世界を敵にまわそうと私はあなたを守る……」
リッカのつぶやきは闇に飲み込まれた。
清隆は初音島に向かう途中、空港で懐かしの人物に出会う……
そして、清隆たちは初音島の『芳乃』へ向かう……
次回『初音島へ』
久しぶりだな、ゼノヴィア!
次から、初音島編をします。その分、原作3巻のほとんどを省かせていただきます。