ハイスクールD×D 桜物語   作:孤高の桜

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『桜の守護者』として

清隆はゆっくりと公園を歩いていく。

 

 

そして、咲き乱れる桜の木の下にやって来た。

 

 

「来たぜ。隠れてないでさっさと出てこいよ、初代様。いや、”さくら”」

 

 

清隆がそう桜に問いかけると桜はその言葉に応えるかのように清隆の目の前で桜の花が集まり出した。

 

 

「ボクをそう呼ぶってことは全てを知ったってことでいいんだよね?」

 

 

そう言葉が聞こえてきた。

 

 

桜は徐々に人のような形をしていき、そして女性が現れた。

 

 

「それが、さくらの本当の姿なのか?」

 

 

「うん。そうだよ。あの時のボクは力の大半を失っていたからね」

 

 

寂しそうにさくらが呟く。今のさくらは清隆の知っていた頃のさくらとは違い、金髪のロングヘアーでどこか大人びている空気があったからだ。

 

 

「再会を祝ってパァーっとやりたいけど。今はそんなことをしてる時じゃないんだ。聞かせてくれる?清隆の覚悟を……」

 

 

さくらは真剣な顔で清隆に問うた。

 

 

「俺さ、この力が破滅に向かうって言われたとき、すっごく苦しくて怖かったんだ」

 

 

清隆は語りだした。

 

 

「みんなを守るために。みんなと一緒にバカやって笑ったりするさ。そんな普通の日常を送りたかっただけなんだ。たったそれだけのために強くなりたかった。でも、俺が力を求めれば、みんなが破滅に向かっていかなきゃいけないなんて言われてさ。俺は訳が分からなくなった」

 

 

清隆は一度桜の木を見上げて再びさくらの方を見る。

 

 

「でもさ。よく考えたら簡単なことだったんだ。破滅ってやけに抽象的だと思わないか?」

 

 

「抽象的?」

 

 

清隆の言葉にさくらが聞き返した。

 

 

「そうだ。人にとって破滅ってなんだ?そう考えた時さ、俺はみんなが死んでしまうことだと思った。でも」

 

 

清隆はゆっくりと目を閉じた。

 

 

「俺は少しだけ考えたんだ。俺にとっての破滅ってなんだ?って。するとな。見えてきたんだ。俺にとっての破滅は忘れられることなんじゃないかって」

 

 

「忘れられる?」

 

 

「そうだ。だからみんなが破滅に向かうって俺に忘れられるとかそういうんじゃないかなって思ったんだ。でも、破滅の未来は変えることができない。なら、破滅させないようにするにはどうすればいいか」

 

 

その言葉をさくらは理解できなかった。

 

 

「それは、みんなと共に死ぬことだと思ったんだ。俺は、これからの人生はみんなと共に生きる。どんなことがあろうとも絶対にみんなを守って、俺も生きる。それが葛木清隆。いや、芳乃清隆の『桜の守護者』としての覚悟だ。だから」

 

 

ゆっくりと、清隆はそっとさくらを抱きしめた。

 

 

「俺が、さくらの今まで背負ってきたもんを全部チャラにしてやる。さくらの残したこの力はこんなにもたくさんの人を笑顔にできるって証明してやる」

 

 

清隆の言葉にさくらは涙を流した。

 

 

しばらくして、さくらが泣き止むと恥ずかしそうにテレた。

 

 

「そういえば、さくら。聞きたいんだが、なんで俺の中にいたんだ?」

 

 

「そういえば、それも話さないといけないね。僕はね。あのループ世界から戻ったあとその先の世界でみんなと出会って、花見をして幸せに暮らしたんだ。ボクは生涯を終えたとき、この桜に飲み込まれて全てを思い出した。全ての桜はみんな繋がってるんだ。だからここに戻ってこれた。そして、この桜と清隆の体の中にある桜も繋がってる。だからあそこにいけたんだ」

 

 

「なるほどな。じゃぁ、もう一つ。何で昨日、芳乃さんの夢を俺に見せたんだ?俺にメッセージを残すだけなら、そんな必要ないんじゃ?」

 

 

「あぁ、それはね……。本人も来たようだし最後の儀式をはじめようか」

 

 

「え?」

 

 

さくらの言葉に清隆が振り返ると、涼香がこちらに歩いてくるのが見えた。

 

 

「どうして?芳乃さんが?」

 

 

「聞いてないの?受け継ぎのこと」

 

 

清隆の驚きようにさくらも驚いていた。

 

 

「お久しぶりです。初代様」

 

 

さくらと清隆の前に歩いてくると、涼香は頭を下げた。

 

 

「ほんとにいいんだね?」

 

 

「はい。これが私にできる最後の償いですから」

 

 

「ど、どういう意味だよ、さくら!」

 

 

話についていけず、清隆はさくらに怒鳴った。

 

 

「清隆に知っていて欲しかったんだよ。涼香の本当の想いを。同じ”母”として最後を」

 

 

「え?な、何言ってるんですか?それじゃまるで芳乃さんが」

 

 

「清隆。桜の力は先代の想いと力を受け継ぐんだよ?もしかして、聞いてなかったの!?」

 

 

さくらはすぐに涼香の方を見る。

 

 

既に涼香の足は桜になりかけていた。

 

 

「な、なんだよ……なんなんだよそれ!ふざけんなよ!」

 

 

さくらの言葉を聞き、すぐに清隆は涼香に近づいた。

 

 

「なぁ、何で消えるんだよ!せっかく、真実知れて、あんたのこともやっと理解できたのに何で消えるんだよ!」

 

 

「清隆。よく聞きなさい。私は『桜の守護者』芳乃涼香。そして、『桜の守護者』として、最後の責務と罪を償いたいの」

 

 

「罪を償う?」

 

 

「そうよ。この力の譲渡は別にしなくてもいいの。その場合あなたは力を手に入れることは出来ない。でも、『桜の守護者』の役目は必ず血筋に受け継いでもらわなければならない。それが責務。そして、私は、あなたの望む力を与えることができる。私の命を対価にして」

 

 

「ふざけんじゃねぇ!あんたがもし俺を捨てたことを後悔しているなら生きて、生き続けて俺の姿を見続けるべきだ!それに、芳乃さんの命と引換えに力を得たって意味ないじゃないか!」

 

 

「清隆、あなたは覚悟を決めたはずよ?それに」

 

 

どれだけ、清隆が叫ぼうとも涼香の体が桜の花びらになるのは変わらなかった。しかし、涼香は清隆の目を見てさらに続けた。

 

 

「大丈夫よ、清隆。私は永遠にあなたと共にいるわ。さっき言ったじゃない。私の力と想いはあなたに受け継がれるって」

 

 

涼香は清隆の頬を触りながら言う。

 

 

「母さん……」

 

 

清隆の呟きを涼香は聞き逃さなかった。

 

 

「清隆……」

 

 

自然と二人の目から涙が溢れてくる。

 

 

「母さーーーーーーん!!」

 

 

清隆が涼香に抱きつく。そして、一度だけ、キスをした。それは恋人がするようなキスではなく、親子のするスキンシップのキスだ。

 

 

「俺、もう二度と振り向かない!だから、俺を見守っていてくれ!」

 

 

清隆は消えゆく涼香から離れてそう宣言した。

 

 

「行ってきなさい。私の息子、芳乃清隆!」

 

 

その言葉と共に涼香と桜の花びらとさくらの姿が清隆の目の前から姿を消した。

 

 

花びらのない木を清隆は見て、そっと撫でながらつぶやいた。

 

 

「行ってきます。母さん。さくら」

 

 

そして、清隆はリッカのいる公園の入口まで歩いていった。

 

 

リッカの姿が見えると、リッカも清隆に気づき、走ってくる。

 

 

「清隆。涼香は?」

 

 

「俺の中にいます。俺の桜と想いの中に」

 

 

清隆は微笑んでそう言った。

 

 

「そう。辛かったわね」

 

 

そうリッカが言った瞬間、清隆のシェルに反応があった。

 

 

内容は

 

 

『兄さん、こちらで追っていた「聖剣計画」の首謀者であるバルパー・ガリレイと堕天使の上層部の一部に動きがあるようなので、悪魔勢と共に迎撃に入ります。おそらく時刻は今日の夜中になると思われます。戻れるなら早く戻ってきてください。こちらのメンバーは、私、巴さん、サラ、耕助君、四季さん、のみです。ほかのみんなは連絡が間に合いませんでした。すみません。一応、つながり次第すぐにくるようにメッセージをいれてますが間に合うか分かりません。できる限り、早く帰ってきてください

 

 

 

姫乃』

 

 

そのメールを見た瞬間、清隆とリッカは絶句したがすぐにもとに戻った。

 

 

「リッカさん!やばいです!それに今の時間だと夜中なんて間に合いません!」

 

 

「落ち着きなさい!転移魔法は皆は動けてもあなたは動けない。なら!」

 

 

リッカは清隆の腕をつかみ、飛翔した。

 

 

「ちょっ!?リッカさん!まさか!」

 

 

「えぇ!ここから一気に飛ぶわよ!」

 

 

リッカは初音島から駒王学園まで飛ぼうとしていたのだ。

 

 

「そんなことしたら、リッカさんの魔力が!」

 

 

「清隆、あなたは涼香やさくらに誓ったんでしょ!なら、あなたが助けなさい!あなたがみんなを助けるの!」

 

 

「リッカさん……。はい!分かりましたお願いします!」

 

 

リッカと清隆は駒王学園に急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




『芳乃』を受け入れた清隆……


しかし、戦いは始まったばかりだった……


清隆たちは姫乃の連絡を受け、駒王学園へ向かう……


しかし、戦いは清隆たちを待ってくれなかった……


騎士は自らの想いを武器に伝える……


次回「『騎士』の覚醒」


ほら、やっぱり。武器は答えてくれましたね、木場君。
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