清隆の姿がみえると、サラはその場に座り込んでしまった。
その姿が清隆の目に入り、サラに駆け寄った。
「サラ!大丈夫か?」
「は、はい。私、信じてました。清隆ならきっと来てくれるって」
そう言い終わって、サラは意識を失った。
(あれだけの魔力を目の前で受けたんだもんな。すっごいプレッシャーだったんだろうな)
清隆は、サラをお姫様抱っこをして、姫乃たちの方に向かう。
「みんな、大丈夫か?」
「兄さん!遅いです!」
まず、一声が姫乃の罵倒だった。
「そうだぞ?清隆」
「マスターは何もしてないじゃないですか。まぁ、私もあまり役に立てませんでしたが」
「まぁまぁ、姫乃落ち着け。で、リッカはどこだ?確かリッカと共に行っていたはずでは?」
「あぁ、それなら、噂をすればってやつですね」
清隆のむいた方向に巴、姫乃、耕助、四季は振り向いた。
すると、その視線の先には葵に肩を借りているリッカの姿が見えた。
そして、リッカ達がみんなに近寄ってくる。
「みんな無事のようね」
「「「「いやいやいやいや」」」」
その言葉に4人が驚いた。
たしかに精神的疲労は4人が圧倒的に多いが、魔力の量ではリッカが圧倒的に消費しているからだ。
「ごめんね、少しだけ飛ばしてきたからもうほとんど魔力が無くてね」
「リッカさんがこんな感じだからみんなはここで待っててな。俺はこっちの用事を終わらせるから」
清隆はそう言うと、コカビエルの方に振り向く。
「待っててくれるなんて優しいところもあるじゃないか。堕天使」
「フハハハハ、最後ぐらい別れはするものだぞ?」
コカビエルがそう言った瞬間、さっき襲った緊張がさらにみんなを襲ってきた。
「に、兄さん!」
姫乃が清隆に叫ぶ。
「大丈夫よ、姫乃」
リッカは清隆の方に向かおうとするが、リッカに止められる。
「で、でも!」
「心配しないで。清隆は本物になったわ」
リッカは微笑みながら清隆の方向をむいた。
そこで皆が見たのは驚くべき光景だった。
皆が緊張に潰されそうになっているにも関わらず、清隆は平然としていた。
「お前は、俺の仲間を傷つけすぎた」
「だからどうした?ここは弱肉強食の世界だ」
「そのとおりだよ。でも、それでも!俺はバカだから!そんなもん関係ない!俺はただお前をぶっ倒す!『狂い桜』!」
先ほどと同様に桜を展開する。
「先程から見えているその桜。まさか!?貴様『芳乃』の末裔か!」
「見せてやるよ!人間の力をな!」
そして、ピンク色の桜は徐々に金色に変わっていく。
(見ていてくれよさくら、母さん。これが俺の想いの力だ!)
「キレイ……」
誰かがそうつぶやいた。
その声に皆は思わず頷いてしまった。
そして、清隆の桜の花びら全てが金色に変わる。
「これが俺の想いの力『金色桜』……行くぜ、コカビエル!」
すると、清隆の両足に桜が瞬時に集まり、一気に魔力が爆発した。
そしてその場から瞬時に消え、コカビエルの目の前に突如現れる。
「なっ!?」
そのスピードに驚いたのはコカビエル自身だった。
「砕け散れ!
金色の桜を両手に纏い、それでコカビエルを殴り続けた。
コカビエルも反撃に出るが、全てよけられた。
「小癪な!」
コカビエルは地面に魔法を放ち、一帯を爆破させた。
そして、コカビエルは上空に飛んだ。
「人間の分際で!」
コカビエルは両手を上空に掲げ、魔力を溜め始める。
しかし、瞬時にコカビエルの前に清隆が現れた。
そう、背中に金色の翼を生やした清隆が。
「お前!なぜ空に!?」
「お前だけは許さない!
清隆は片腕に金色の桜を集め、渾身の一撃をコカビエルに与え、グラウンドの端に吹き飛ばした。
そして、清隆はゆっくりと地面に降りた。
コカビエルは体中がボロボロの状態だった。
「ハァハァ。またしても、邪魔をするのか!芳乃ぉぉぉぉ!!」
コカビエルが魔法を放つがそれを清隆は片手で、誰もいない方向に弾き飛ばした。
「チェックメイトだ、コカビエル。今のお前じゃ俺には勝てない」
しかし、清隆の言葉を無視して、コカビエルは立ち上がる。
「まただ!いつだって、芳乃は俺の邪魔をする!なぜだ!なぜそれだけの力があるのに力を誇示しようと思わない!」
「力を誇示?」
「そうだ!お前たち芳乃のその桜の力はいつだってどの勢力のトップと同じだけの力を持っている!なのに!なぜその力を自らのために使おうとしない!なぜだぁぁ!」
「そんなの簡単じゃないか」
清隆はリッカ達を見渡した。
「仲間といる日常のために。みんなで笑って暮らしたいために俺は戦ってるんだ。別に戦いが好きなわけじゃない。痛いし、怖いから。でも、それと同じ思いを仲間がするくらいなら、俺は!」
清隆はコカビエルの方向に手を向ける。そして、金色桜を手に集めていく。
「俺の運命を受け入れる!それが俺の役目なら!その運命を受け入れ、この力でみんなを守る!失せろ、堕天使!
金色桜がコカビエルを包み込む。
そこには、気を失っているコカビエルの姿だけが残された。
「兄さん!」
清隆が振り向くと姫乃が抱きついてきた。
すると、ほかの風見鶏の連中も近づいてきていた。
「ただいま、みんな」
清隆の桜はピンク色に戻り、そして消滅した。
すると同時に清隆は膝から崩れ落ちた。
「大丈夫か清隆!」
すぐに巴が肩を持ち、抱きかかえた。
「ハハッ、少し魔力を使いすぎたようです」
そう言ったあと、突如全身白い鎧の男性が降りてきて、コカビエルを掴んだ。
「赤いのを見に来て、少し残念だったが、まさか桜がいるとはな。面白い」
そうつぶやいた。
「お前は白の龍を持つ者だな?」
「あぁ。『桜の守護者』よ」
「コカビエルをどうするつもりだ?」
「心配するな。こいつはきちんと処分する。もうこいつがこの世界に出てくることはないだろう。それに」
白い鎧の男性は空へ舞い上がった。
「すぐにまた会えるだろうな。二天龍と『桜の守護者』はいつだって同じ破滅なのだから」
そう言い残し、その場を去った。
そして、巴達に神の死などを聞かされた清隆の起こした行動は皆が分かっていたことだった。
「なぁ、ゼノヴィア?」
「き、清隆?」
今にも泣き出しそうなゼノヴィアに清隆は近づいた。
「私は、私はこれからどうすれば、いいんだ」
「それは、俺にもわからない。お前の人生だからな」
「私は……わたs「でも!」え?」
清隆はしゃがみゼノヴィアの肩を持つ。
「お前が望むなら、俺たちのところにこないか?風見鶏に」
「しかし、私は……」
「お前が決めることだ。俺はただ、手を差しのべることしかできない。でも、俺はゼノヴィアを助けたい」
清隆の言葉にゼノヴィアは少し考える。
「い、いいのか?私のような者が行っても?」
「別にいいんじゃないか?なぁ、リッカさん」
清隆が後ろにいたリッカに話しかける。
「はぁ。まぁいいんじゃない?今回は結構お手柄だし」
その言葉を聞いた瞬間ゼノヴィアは清隆に抱きついた。
「ありがとう!ありがとう!清隆ぁ!」
ゼノヴィアの声は駒王学園中に響きわたった。
無事に清隆はコカビエルの野望を打ち砕いた……
しかし、物語の歯車は回り始めたばかりだった……
清隆は風見鶏へ向かう。
そして、その途中二人の学生に出会う……
次回「動き始める歯車」
私もいつかなれるかな……葛木さんみたいに
次回からほかの作品のヒロインを入れる予定です。