風見鶏から帰ってから数日が経った今、清隆は次に何するかを考えていた。
「やばいなぁ、マジでやることがないなぁ」
そう、帰ってきたのはちょうど昼間。
本当にやることがなかったのだ。
そう考えていると、ひとりの訪問者が来たことに気づく。
すぐに階段を上がってくる音がする。
そして、勢い良く扉が開かれた。
「やぁやぁ、清隆。今日も暑いなぁ。時間空いているか?暇か?暇だよなぁ?清隆は時間を持て余しているよなぁ?そうかそうか。よかったよかった。なら、私に付き合え」
勢いよく入ってきたのは巴だった。
「な、なんなんですか!?いきなり入ってきて!たしかに俺は暇ですけど。でも、突然どうしたんですか?」
そう清隆が尋ねると、巴は満面の笑みを浮かべた。
普段ならどこの誰が観ようが可愛いと思えるような笑顔だが、清隆には恐怖以外の感情が浮かび上がってくることはなかった。
「いやいや、別に私は怒っていないよ?姫乃が終わってやっと私の方に気を回してくれると思っていたら、いきなりぶっ倒れて、それで体が治るまで待っていて治ったからこっちのことも頼もうと思ったら風見鶏に飛んだ件になんて全然怒ってないから心配しなくても大丈夫だ」
「いやいやいや!?無茶苦茶怒ってますよね!?」
そして、巴はゆっくりと清隆が寝転んでいる布団のそばまで行き、清隆の首元をつかんだ。
「でだ、今から塔城のいる学校に行こうと思うんだが、一応聞いてやる。来るか?」
最後の来るか?というところだけ強調して巴は言い放った。
その巴の言葉に清隆は
「はい!行かせていただきます!」
反論なんてする勇気は持ち合わせていなかった。
巴に連れられて、清隆は駒王学園の方向に向かう。しかし、リアスたちの魔力は校舎ではなくプールサイドの方向からしていた。それにとても強い魔力の持ち主と共に。
「うむ?向こうだな」
巴も気づいたらしく清隆を引っ張っていく。
清隆は反論せずに無言で巴についていった。
そして、清隆たちが本人たちの方に近づくと、白龍皇の男性もいた。
「そして、『二天龍』と称されたドラゴン。『赤い龍』と『白い龍』、そして、桜の守護者。過去、ドラゴンに関わった者はろくな生き方をせず、桜の守護者に関われば、破滅に向かっていく。っと、噂をすれば」
向こうも清隆に近づき見てくる。
その視線に気づいたグレモリー眷属も清隆達を見つめてきた。
「やぁ、白龍皇。君がこんなところにいるとは驚きだよ?こちらの情報では、おっとこれ以上は秘密だった」
巴はわざと意味深な言葉を言い放った。
その言葉に白龍皇の男性は眉をひそめた。
「なるほど、お前たちが。まぁいい。黙っていてくれるならありがたいな。まぁ、今日は戦いに来たわけじゃないから安心しろ。だが、何度見ても桜の守護者からはとてつもない力を感じる。赤龍帝とは大違いだな」
そう言い残して白龍皇はその場を去っていった。
「で、あなた達は何の用でここにいるの?」
リアスは睨みつけ、明らかな怒気を含ませた口調で清隆と巴に言った。
その言葉に反応したのは巴だった。
「ん?私たちか?私たちは……っといたいた、私たちは約束を守りに来たんだ」
巴はグレモリー眷属を見渡しと目的の人物を見付けると、すぐにその人物に近づいていった。
その人物は小猫だ。
「ちょっと!小猫に何の用よ!イッセー!」
リアスの声に反応し、すぐにイッセーが動いた。
巴が小猫に近づこうとするとその間に入ったのだ。
「なぜ邪魔をするのだ、兵藤?」
「お前らこそ何の用だよ!小猫ちゃんは俺たちの仲間だ!勝手に手は出させねぇ!」
「その通りよ。あなたたちの目的がわからない以上、勝手なことはさせないわ」
巴はリアスとイッセーを見るとため息を吐いた。
「はぁ、と言っているが?塔城、私はあの時の約束を守りに来たんだが?私達がキミを誘うのはいけないらしい。どうする?」
巴の言葉を聞いて、小猫は一度清隆の方を向いた。
「ん?」
「……分かりました。部長、私葛木先輩の家に行きます」
「な!?待ちなさい、小猫!彼らの家は危険かもしれないわ」
「そ、そうだぞ、小猫ちゃん。なんでそんな野郎の家に行くんだよ」
小猫の返事を聞いて必死でリアスとイッセーは止めようとする。
「……すみません、言えません」
「女性のプライベートに付け入ろうとすると、嫌われるぞ?兵藤?」
巴も半分からかいながら言った。
「なっ!?それでも!小猫ちゃんをお前らみたいな危ない人間の場所になんて連れていけるかよ!」
「ふむ、なら……木場も来い。お前なら私も信用できる」
巴はグレモリー眷属を見渡すと木場を見つけ言った。
「な!?だからそういう問題じゃn「……部長」小猫!」
リアスの言葉を無視して、小猫は巴の下へ行こうとする。
「小猫ちゃん!木場なんで止める!」
イッセーが小猫を止めようとした瞬間、間に裕斗が入った。
「ごめんね、イッセー君。部長、大丈夫です。彼らなら信用できます」
そう言って、裕斗も小猫と共に巴の下へ向かう。
「ごめんな、変に話がこじれたみたいで。まぁ、付いてきてくれ」
そう言って、清隆と巴は裕斗と小猫を連れてその場から去っていった。
裕斗と小猫は清隆の家に入り、リビングに腰掛けた。
清隆も向かい合って座り、巴は後ろの壁に寄りかかっていた。
「さて、始める前に二人には頼みたいことがあるんだ」
「「頼みたいこと?」」
清隆に言葉に首をかしげる。
「今からする俺の魔法は皆に言わないで欲しいんだよ。たとえグレモリーさんに言われても」
その言葉に一気に二人に緊張が走った。
「いやいや、危ないことをするってわけじゃないんだ。ただ、このことがばれると、あまりいい印象を与えないっていうか、あんまり好かれないやり方でさ。約束できる?」
その言葉に二人は気づいた。
清隆は自分たちのことを信用してくれていることに。
「分かりました。僕からは何も答えません。なんたって葛木さんのお兄さんですから」
「私も言いません」
二人の返事に清隆の顔に笑顔が浮かぶ。
「ハハッ、姫乃は信用されてるんだな。よかったよ。ここで断られたらどうしようって思ってたから」
「……でも、どうやって私のトラウマを?」
小猫の言葉に清隆は真剣な顔に戻る。
「それはね、俺の得意な魔法である夢見と呼ばれる魔法でのカウンセリングさ」
夢見……
それは他人の夢を見る魔法であり、本当の自分を見ることのできる方法の一つ……
清隆は小猫の夢の中にダイブする……
そこで見たのは妹思いの優しい姉の姿と悲しい事件だった……
姉妹猫の壁は大きく分厚い……
次回「姉妹猫」
白音。絶対に生きて、もがいてもがいて生き抜くにゃ。そうすればいつか会えるから……