「リッカさん?どうしてここに?」
清隆がリッカに聞いた。
「もちろん、ゼノヴィアが何かしでかさないかの監視よ」
「でも、なんでこのタイミング?」
「それは、そこの何も分かっていない馬鹿たちに現実を教えるためよ」
リッカは再びリアスたちを見た。
「あなた、勘違いしてるわよ?」
「勘違い?何のことよ?」
リアスが聞き返す。
「その通りよ。あなたの口ぶりから、私たちから和平を結ぶよう言ったみたいに聞こえるけど真実はその逆よ」
その言葉にゼノヴィア以外は驚いていた。
当然、清隆もだ。
「ど、どういうことよ!それってつまり、お兄さまたちから風見鶏に頼みに行ったとでも言うの!?」
「えぇ。その通りよ。やっぱり知らなかったのね」
リッカはため息をつきながら言った。
「表面上は私たちとあなたたちは同等。でも、本当は風見鶏が上の立場なのよ」
「そんなの嘘よ!人間のあなたたちが私たちより上?それにお兄さまたちが頼み込んだ?嘘も大概にしなさい!冥界と風見鶏が戦争すればどっちが勝つかなんて考えなくてもわかるはずよ!」
「あなた、本当に今の状況を何も把握してないのね。ぶっちゃけて言えば、こちらとしては悪魔と戦争をしても勝てるのよね。そうでしょ、リズ。ワクワクしてないで出てきなさい」
リッカの呼び掛けに建物の影からエリザベスが現れた。
「何か面白そうだから見ていたのだけどやっぱりバレました?」
「最初からわかってたわよ」
エリザベスの登場に皆が驚いた。
「はじめまして、リアス・グレモリーさんとその眷属のみなさん。私はエリザベスといいます。風見鶏の責任者ですのでどうか宜しくお願いします」
「リズ、前置きはいいからさっさと答えてやりなさい。どっちが和平を申し込んだのかを」
「えぇ。リッカさんの言うとおり、ルシファーさん自ら私のもとに申し込みに来ました。でも、上下関係とかはないですけどね」
その言葉を聞いてリアスはまだ信じられないと言いたいような顔をする。
「う、嘘よ。そ、そn「嘘じゃないよ、リアス」お、お兄さま!?」
声の主はサーゼクスだった。
サーゼクスはゆっくりと、歩いてきた。
「嘘じゃないんだ、リアス。それに、彼らの言うとおり、今我々が彼らと戦争をすれば間違いなく負ける」
その言葉にリアスの顔に絶望の色が灯る。
「そ、そんな……」
「これが現実よ、リアス・グレモリー。あなたは本当に何も知らないのね。まぁいいわ。みんな、そろそろ行くわよ」
リッカの言葉に無理やり、清隆とゼノヴィアとエリザベスは連れて行かれた。
「お兄さま、なぜ風見鶏と和平を結んだんですか?」
リアスがサーゼクスに聞いた。
「風見鶏の魔法技術は人々を笑顔にできるんだよ」
「笑顔?」
リアスが聞き返した。
「そう、笑顔だ。彼らの魔法でイギリスのロンドンという町には笑顔がたくさん出来た。彼らのおかげでね。そして、彼らの魔法技術を少し提供して欲しいという勢力がいた」
「ま、まさか!?」
「そう、天界さ。その提供のかわりに彼らは天界と同盟を結んだんだ。私が和平を結ぼうと思ったのもそれがきっかけさ」
その言葉にリアスは唖然とした。
風見鶏と天界が組み、冥界と戦争したら、どうなるかなど考えなくても分かることだからだ。
「それよりも、そろそろ私たちも会談に向かおうか」
その言葉と共にサーゼクスたちも会談に向かった。
重い空気のまま。
皆が揃うと、それぞれの勢力についての説明があった。
当然その会話に風見鶏も入っていた。
そして、先日の事件について、リアスが言うこととなった。
その話を聞いた勢力は皆反応は様々だった。
それぞれの話が次々と片付いていく。
そして、神のシステムについても語られる。
ここにいるのは神の存在を知り、そして不在を知る者だけだ。
「なぁ、葛木清隆。お前はどう思う?」
話は終盤にさしかかろうとしているとき、アザゼルは清隆に聞いた。
「何がですか?」
「神がいない世界についてだ。神がいない世界は間違いだと思うか?」
「俺は、神の存在を知りませんでしたから、どうとも言えません」
「だが、お前は知ってしまった。神の存在を。そのことについてどう思う?」
アザゼルの言葉に清隆は少し考える。
そして言った。
「興味ないですね、神様なんて。だってそうでしょ?神と呼ばれる存在がいたのに何で『芳乃』が表舞台に立たなきゃいけないんですか?おかしくないですか?神様ってみんなの笑顔のために居るんじゃないんですか?それなのに、話を聞いてる限り、神様のせいで皆の笑顔が奪われていることないですか?神は誰も救えなかったんですよ。神も他より、少しだけ力のあったちっぽけな存在だったってことですよ」
「ほぉ、なかなか面白い考え方だな。それで?」
「はっきり言います。神様なんてものは不要なんです」
「なぜそう思うんだ?」
清隆の言葉にアザゼルは首をかしげながら聞いた。
「神が存在しなくてもこの世界は回っているからです。俺たちは今を生きています。過去でもなく未来でもない今を歩んでいるんです。よく考えれば分かることです。いなくても回るのにいる必要はないじゃないですか?」
「やるじゃねぇか。俺もお前に賛成だ。神がいなくても、世界は回るのさ―――――」
アザゼルの最後の言葉の「神が居なくても、世界は回る」という言葉は皆の脳内に深く刻まれた。
「あと、もう一つ聞いていいか、葛木清隆?」
「別に構いませんが?」
「神滅具の存在についてどう思う?」
清隆はその質問に空気が凍りつくのが感じられた。
「質問の意図がよくわからないんですが?」
「すまない、なら言い方を変えよう。なぜ、神は神滅具を作ったと思う?」
「なぜそんな質問を?」
「ただの疑問さ。純粋な。俺たちじゃなく、同じ強大な力をもつお前からみたら、なぜだと思う?」
「あなた、ふざけないで!」
アザゼルの言葉に返したのは清隆ではなく、リッカだった。
「リ、リッカさん?」
「アザゼル、あなた何もわかってない!強大な力を持つ事の怖さが!」
リッカの変わりようにリズ以外は皆が驚いた。
「グリーンウッド、俺だって堕天使の総督をしてるんだ。でかい力がどれだけ危ないかも理解できているつもりだぜ」
「違う、そんなんじゃない!私が言いたいのは!あなたが理解できていないってこと!あなたに分かる訳がない!『芳乃』の力のことを!どれだけの想いを背負っているかを!私やあなた、ルシファー、レヴィアタン、ミカエルじゃわからないような想いがあるの!そr「リッカさん!」清隆……」
「それ以上はいいです。先程の質問ですが、なぜ自分を殺すような武器を人間に持たせたかと言う質問ですが、俺は、殺して欲しかったんだと思います。強すぎた自分の力を。ここからは想像の域ですが、もう、限界だったんだと思います」
「限界?」
「えぇ。自分の力の暴走ですよ。おそらく、限界だったんですよ。自分の力の制御が。だからこそ、自分を殺せる力をどこの勢力にも属していない人間に渡した。そう俺は思います」
「すまなかったな、俺が無神経だった。グリーンウッドも気分を害す様な発言をしてすまなかった」
アザゼルは清隆とリッカに謝罪をした。
「まぁ、では話は変わりますが―――――」
ミカエルはそう区切り、新しい話をし出した。
そこからはそれぞれの保有している戦力についてなどの話が交わされた。
もう会談が終わるという時に異変が起きた。
一瞬の間に時が止まったのだ。
運命の和平会談……
しかし、静かに終わることはなかった……
テロリスト『禍の団』が4勢力を襲う……
そして、ついに風見鶏とガーディアンとの戦いの幕が上がる……
次回「風見鶏VSガーディアン」
どんなことがあっても絶対に生きてください。こんなことで死ぬなんて馬鹿げてますから……