ハイスクールD×D 桜物語   作:孤高の桜

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とある入院生活の一日 午前の部

各地でのこの戦いは各勢力に大きな打撃を与える形で幕を閉じた。

 

 

そして、特にケガと魔力消費の激しく、意識を失った巴と清隆のみ入院するという形をとった。もちろん別々の部屋だった。

 

 

「はぁ、暇だ……」

 

 

清隆は病院に用意された自室から外を眺めていた。

 

 

今の清隆にはほとんどの魔力がなかった。と言っても、徐々に回復しているのだが、回復速度が普段の数分の一程度だったのだ。

 

 

「これもあの力。『奇跡の桜』の後遺症的なもんなんだろうな……」

 

 

清隆は自分自身で自分の深層心理に飛んで、涼香達の場所に行くことはできない。だから確かめるすべもないわけだが。

 

 

すると、二人の男性が入ってくる。

 

 

「調子はいいようだね。清隆君」

 

 

「おぉ、もう立てるようになったか、清隆」

 

 

入ってきたのはサーゼクスとアザゼルの二人だった。

 

 

二人も目覚めたときに一度だけ来てくれていた。しかし、その時もすぐに出ていってしまいゆっくりと話せなかったのだ。

 

 

「よかったよ、君がそうして無事で」

 

 

「ハハッ、まぁ、あまり無事じゃないんですけどね」

 

 

サーゼクスの言葉に清隆が返す。

 

 

「で、今回は相談なのだが清隆君たちと妹のリアスでいざこざがあるじゃないか?」

 

 

「え?あぁ、まぁ。あまりいい印象はないですね」

 

 

「でだ、相談なのだが、夏休みに冥界の私の家にこないか?リアス達と共に」

 

 

その一言に清隆が驚いた。

 

 

「えぇ!?まぁ、それまでには魔力は戻ると思いますけど」

 

 

「グリーンウッドやエリザベスたちにはもう言ってあるよ。彼女たちは清隆君の自由にするといいと言っていた」

 

 

サーゼクスが嘘を言っていないことは清隆には直ぐに分かった。

 

 

そして、少し考える。

 

 

「えっと、じゃあ、ほかの人も数名でいいんでお願いしてもいいですか?」

 

 

「あぁ、構わないよ」

 

 

その返事でサーゼクスが笑って答えた。

 

 

「なぁ、清隆。あの時の戦いの途中で咲いた大きな桜の木ってのはやっぱりお前の力なのか!?」

 

 

「まぁ、一応は……」

 

 

清隆はあの時何が起こったのかを詳しく二人に話した。

 

 

その話を聞いたとき、二人は唖然としてしまう。

 

 

「そんなことが……」

 

 

「なんだよ、想いの力って……。死んだ人間も蘇るのかよ」

 

 

「まぁ、その代償が今の俺なんですけどね」

 

 

その後も3人はこれからのことを話し続け、グレイフィアがやって来て、二人は部屋を出ていった。

 

 

次に現れたのは、美琴、スバル、アスナ、シノンだった。

 

 

「清隆さん、お久しぶりです。お怪我大丈夫ですか?」

 

 

「清隆さんがそんなに魔力を使うなんて」

 

 

「は、はじめまして。あ、アスナ・L・ガブリエフです!」

 

 

「(ペコ)シノン・ストラトス。はじめまして」

 

 

美琴とスバルは清隆のケガを心配し、アスナ、シノンは初対面なため挨拶をする。

 

 

「あぁ。怪我って言ってもそんな深くないし、サラたちがいるからそんなに大変じゃないかな。それにガブリエフとストラトスは初めてだね。一応、『王将』させてもらってる葛木清隆です。俺のことは清隆で構わない」

 

 

清隆がそう言うと、

 

 

「私もアスナで構いません」

 

 

「……シノンでいい」

 

 

「シノン、あんた敬語使いなさいよ!」

 

 

シノンが大雑把に言うと美琴がそれに怒鳴る。

 

 

「まぁまぁ、俺としてはあんまり上下関係とか付けて欲しくないし。別に俺は敬語とかでどうとか思わないから、ね?それにここは俺の個室だけど一応病院だからさ」

 

 

清隆に言われ、美琴は顔を赤くして、一歩後ろに退く。

 

 

「ツンツン美琴のデレ期?」

 

 

「ウガーーー!!あんたは少し黙ってなさい!」

 

 

美琴の体から雷がビリビリと出始める。

 

 

「ちょ、美琴ここでは止めなさい!」

 

 

アスナが静止を促す。

 

 

そして、なんとか踏みとどまる。

 

 

「もう、シノンも清隆さんの前なんだからあんまり美琴にちょっかい出さないの。清隆さん、すみません。騒がしくて」

 

 

アスナは清隆に謝る。

 

 

「あぁ、別にいいよ。賑やかな方が楽しいしね。そう言えば、今日はティアナは一緒じゃないんだね」

 

 

清隆はティアナが今来た見舞いのメンバーの中に居ないことを不思議がる。そして、4人に尋ねた。

 

 

「えっとですね、ティアは少し用事ができたんですよ。それで今日は来れなくて」

 

 

「用事?」

 

 

「えっとですね、今日ティアのお兄さんの命日なんですよ。だから、それに行ってるんです。多分、夕方頃には顔を出すとは言ってました」

 

 

スバルは丁寧に答えた。

 

 

「でも、それって俺に言っても良かったの?」

 

 

「多分、大丈夫ですよ。ここにいるみんなは知ってますし、清隆さんにならしゃべっても構わないと思います」

 

 

少し暗いムードになるがその時、

 

 

グゥゥゥゥ~

 

 

誰かの腹の音が鳴る。

 

 

その視線はスバルと美琴に向けられていた。

 

 

「~~~~~~っ!!」

 

 

「あ、あわわわわ!!」

 

 

二人はすぐに自分のことだとわかると顔を赤くしてテンパる。

 

 

「フフッ、二人ともお腹すいてるの?って、もうお昼前だもんね」

 

 

清隆は微笑みながら二人に言う。その言葉にさらに二人は赤くなる。その光景を見ていたアスナとシノンは笑いをこらえるのに必死だった。

 

 

「ん~、お昼前だしな。二人ともこっちにきてくれる?」

 

 

清隆は二人を手招きする。

 

 

「えっと、そのぉぉ~~~~ッ!!」

 

 

「み、美琴そんなにテンパらないでよ」

 

 

二人とも必死だった。

 

 

「二人ともそんな慌てなくても。食欲は人間の大事な欲のひとつだよ?いいから二人とも手をだしてみて?」

 

 

清隆の言葉の意味が分からず、二人はそれぞれ片手を出す。アスナとシノンもその光景を見る。

 

 

清隆はそっと自分の手を握り、目を瞑る。

 

 

すると、清隆の両手から綺麗な桜餅が二つ現れる。

 

 

「これぐらいならお昼ご飯には差し支えないはずだからさ。食べてみて」

 

 

清隆に差し出された桜餅を二人は受け取り、ゆっくりと口に運ぶ。

 

 

「お、おいしい……」

 

 

「な、なによこれ。そこらへんに売ってる和菓子なんかと比べ物にならない」

 

 

二人はそれぞれ桜餅の感想を述べた。

 

 

その味は今まで食べてきた和菓子の中で一番おいしいものだった。

 

 

そして、二人はいつの間にか落ち着いており、自然と笑みがこぼれていた。

 

 

「今の、魔法ですか?」

 

 

不思議に思った美琴が清隆に聞く。

 

 

「そのとおり。これは手から和菓子を出す魔法。って言っても、俺自身のカロリーを使うからこれを食べても俺は満腹にはならないけどね」

 

 

清隆は微笑みながらそう言った。

 

 

「食べた人がちょっとだけ笑顔になれる魔法なんだ」

 

 

「食べた人が笑顔になる魔法……」

 

 

美琴がそうつぶやく。

 

 

「あのぉ、清隆さん」

 

 

アスナが控えめにおずおずと手を挙げた。

 

 

「どうしたの、アスナ?」

 

 

シノンも不思議がってアスナに聞く。

 

 

「その、私、和菓子を食べたことないというか、えっと」

 

 

アスナのその言葉で清隆は何が言いたいのか直ぐに分かった。

 

 

そして、アスナとシノンの二人の下に歩いていって、二人にも和菓子を出してあげた。

 

 

「はい、アスナ。それにシノンも食べてみな」

 

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

「……ありがとう」

 

 

二人は笑顔になり、桜餅を食べた。

 

 

そのあとも5人で雑談をして、お昼ごろに4人は帰っていった。

 

 

清隆も病院食を食べ、ちょうど午後1時を過ぎる頃に次の来客が来た。

 

 

「ハロォ!清隆!」

 

 

「……失礼する」

 

 

やって来たのは、リッカと静流だった。

 

 

「また来たんですか、リッカさん。あと、静流も来てくれたんだな。直接話すのはあの事件以来だな」

 

 

リッカは頻繁に清隆の魔力を見に来てくれていたのだ。

 

 

「すまない、清隆。私自身、今まで正式に風見鶏に入る為に色々手続きして来れなくて」

 

 

「あぁ。そんなの別にいいって。それよりも、もう、大丈夫なのか?」

 

 

「ダイジョーブだ。もう、私は二度と道を踏み外さない」

 

 

静流は胸もとで拳を握りしめる。その時、片手の甲に見覚えのある文字があるのに清隆が気づいた。

 

 

「静流?それって」

 

 

「ウム。リッカに貰ったんだ。私はこれから、風見鶏公式新聞部『角行』として任務などにあたるつもりだ」

 

 

「そっか。静流もとうとう、俺たちの仲間になったのか」

 

 

「私はもう二度とルチアのような子も私のような子も出したくない。だから、清隆。私に力を貸してくれ」

 

 

静流は真剣な眼差しで清隆を見つめた。

 

 

「あぁ、構わない。俺に出来ることならなんでも言ってくれ」

 

 

「そうか。なら私とけっ(ゴツン!)~~~~っ!!何をするリッカ」

 

 

「あんたふざけたこと言ってんじゃないわよ!この前のことだって私は許してないんだから!」

 

 

静流が何かを言おうとしたときリッカがその先の言葉を察知し、静流に拳骨を落とした。

 

 

静流はその一撃に痛がりその光景を清隆は笑いながら見ていた。

 

 

 




次々に現れる仲間達……


そして、時間は午後に移る……


次回「とある入院生活の一日 午後の部」


力に飲み込まれた魔法はただの傷つける武器でしかないんだ。そんなの悲しすぎないか?
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