ハイスクールD×D 桜物語   作:孤高の桜

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とある入院生活の一日 午後の部

リッカと静流が帰り、次にやって来たのは、

 

 

「ご主人様!大丈夫ですか!」

 

 

「愛紗よ、そんなに急がなくとも主は逃げんよ。っと、皆はちょうど帰った後か」

 

 

愛紗と星だった。

 

 

「愛紗に星も来てくれたのか。ありがとな」

 

 

「いえいえ、私どもがしっかりしていれば、巴もあれほどの傷を負うこともなく、ご主人様もこれほど傷つくこともなかった。誠に申し訳ありませんでした」

 

 

「愛紗の言うとおり、世界の広さを思い知りました。我々が、どれだけ未熟者なのかを……」

 

 

愛紗と星は拳を握り締め、悔しそうにする。

 

 

それもそのはずなのだ。二人の実力はかなり高い。それは清隆達から見ても明らかだった。

 

 

だが、それを覆すのが、魔法使いの戦いに必須スキルである経験だった。

 

 

魔法使いの戦いにおいて、ほかの戦いと違うのは相手の魔法がどのようなものであるかや、どのような対抗策があるかによってかなり変わってくる。

 

 

そして、相手はカテゴリー4の魔法使いだ。経験は嫌というほど積んでいる。もちろん、愛紗や星などのようなタイプの対処法などもだ。

 

 

それと比べて、愛紗や星は魔法に関する知識もなければ、魔法使いなどと戦う時の経験などもない。自分の世界でしか戦ってこなかった彼女たちには少し危険な戦いだったのだろう。

 

 

「まぁ、いいんじゃない。相手はカテゴリー4の魔法使い。負けて当然なんd「当然なんかじゃありません!」、愛紗……」

 

 

清隆が当然と言おうとした瞬間、愛紗が涙を流しながら言う。

 

 

「愛紗の言うとおり、当然ではないのですぞ、主よ」

 

 

愛紗の横で星も愛紗に便乗するように言った。

 

 

「当然ではないのです。負けていい戦いなんてないのです。絶対に……。巴が来てくれなければ確実に我々は負けていました。何が任せろですか!私たちは弱すぎる……っ!?ご主人様!?」

 

 

愛紗が懺悔をするかのように跪き、嘆くように叫んでいると清隆がゆっくりと愛紗を抱きしめる。

 

 

「いいんだよ、生きて帰ってきてくれさえすれば。悔しいという感情は生きているからこそ感じる感情だ。たしかに負けることは当然じゃない。でも、死ぬなんてのは負けるよりも馬鹿げているとは思わない?」

 

 

「ですが、我々は」

 

 

「死んじゃったら、何も意味ないじゃない。強くなるために必要なことは死なないことなんだよ?愛紗や星は」

 

 

「「死なないこと……」」

 

 

清隆は愛紗から離れて、二人に問いかける。

 

 

「そう。死んで得るものなんて何もないんだ。それに、二人は自分の弱さを改めて知ることができた。そして、自分の弱さを認めることができた。これはとてもすごいことだよ」

 

 

清隆は二人を見ながらさらに続けた。

 

 

「だからさ、もっと強くなればいいんだ。今回負けたことは次に活かせばいい。ダメなことは、負けたことをいつまでも引きずることだ。負けることも時には必要なんだ。特に、強くなるためにはね」

 

 

「ご主人様……」「主……」

 

 

二人はじっと清隆を見つめる。

 

 

「まぁ、俺だってカテゴリー5の中では最弱だからな。一緒に強くなろうぜ。な?」

 

 

「はい、ご主人様!」「任された!」

 

 

そんな会話をしながら日が沈みかける頃、二人も用事があり部屋を出ていく。

 

 

「それにしても、今日はやけに来客が多いような気がする。っと言ってたらまた来た」

 

 

清隆がドアの方を見ると、息切れをしているティアナの姿があった。

 

 

「どうしたんだ、ティアナ。そんなに息を切らして」

 

 

「ハァハァ、す、すみません。お見舞いに行こうと思ってたんですが、少し用事があって」

 

 

「あぁ、そんなのいつでもいいのに。まぁ座れよ」

 

 

清隆は椅子を出し、ティアナを座らせる。

 

 

「俺に、聞きたいことでもあるんじゃないのか?」

 

 

清隆の言葉にティアナはじっと清隆を見る。

 

 

「どうして、私を風見鶏公式新聞部のメンバーに選んだんですか?」

 

 

「即戦力になる。じゃダメなのか?」

 

 

「私は、みんなと違ってカテゴリー1ですよ!スバルだって、私とタッグなんて組んでるからカテゴリー1のままだし、スバルの実力はカテゴリー2並です!なのになんで私を選んだんですか!」

 

 

ティアナは必死に清隆に問いかける。

 

 

「ティアナはわかってないな」

 

 

「分かってないのは清隆さんの方です!清隆さんには分かりませんよ!才能のかけらも無い自分がどれだけ努力しても皆には追いつけない!そんな気持ちを抱き続けた私の心なんて!」

 

 

「ティアナ……」

 

 

ティアナは泣き崩れた。清隆はティアナが落ち着くまで待ち、ティアナが落ち着いたところで話しかけた。

 

 

「ティアナ。よく聞いてくれ。ティアナは力を一括りにしすぎだ」

 

 

「……」

 

 

「いいか。カテゴリーは確かに魔法使いの実力をはっきりと表す基準だ。だが、その基準はあくまで基準なんだ」

 

 

「どういう意味ですか?」

 

 

「考えてみろよ。俺とリッカさんはカテゴリー5だけど全然違うだろ。戦闘を行なったら間違いなく俺が負けるぞ?」

 

 

「それは清隆さんがまだ成り立てだからじゃないですか」

 

 

清隆の言葉にティアナは納得しなかった。

 

 

「それは違う。純粋にリッカさんが強いからだ。それに力を求めるのは否定しない。でもな、力に飲み込まれた魔法はただの傷つける武器でしかないんだ。そんなの悲しすぎないか?」

 

 

「清隆さんに相談しようとした私が馬鹿でした!帰らせていただきます!」

 

 

「ま、待て!」

 

 

清隆の言葉を無視して、ティアナは病室を去っていった。

 

 

「努力しても身につかない、か。そんなセリフ前にも聞いたな」

 

 

「き、清隆!」

 

 

すると突然、サラが清隆の方に走ってくる。

 

 

「サラか?どうしたんだ?今日は来ないんじゃなかったのか?」

 

 

「近くに来る用事が急遽出来て寄ったんです。そしたら、ティアナが泣きながら走っていくのが見えたんです。一体何があったんですか?」

 

 

サラは心配そうに尋ねてくる。

 

 

「実はな―――――」

 

 

そして、清隆はサラにさっきのティアナと自分との会話をそのまま伝えた。

 

 

するとある程度事情を理解したサラはため息を吐いた。

 

 

「なんか、昔の自分を見ている気分です……」

 

 

「まぁ、このままいかせるわけにはいかないよなぁ」

 

 

清隆とサラの二人は考える。

 

 

「まぁ、私も最近は風見鶏で術式の研究をしているのでティアナを気にかけておきます」

 

 

「ありがとな、サラ。俺も、夏休みの数日は冥界に行かなくちゃいけないからな」

 

 

「そ、それってどういうことですか!?」

 

 

清隆の発言にサラが驚く。

 

 

「あぁ、そう言えばこのことはまだみんなに言っていなかったな。俺、少しの間冥界に行くことになってんだよ」

 

 

サーゼクスとの会話を掻い摘んでサラに話した。

 

 

「……清隆も大変ですね」

 

 

「まぁな。これでも一応『王将』なんてものやってるからな」

 

 

「で、清隆は他に連れていく人を決めているんですか?」

 

 

「一応、リッカさんは悪魔と面識持ってるっぽいから来てもらって、静流にはまだ危なっかしいところがあるから連れていって、巴さんには個人的に用事があるから来てもらう。あと、杉並先輩ってところかな」

 

 

「あっ!」

 

 

清隆の言葉にサラが何かを思い出すように叫ぶ。

 

 

すると、自分の持っていたカバンのたくさんの資料が入っているところから、ひとつの封筒を取り出した。

 

 

見ただけでわかるが杉並先輩のよく使う術式がかけられているようだ。杉並先輩の術式はサラでも解くのに数時間やらなければ難しいぐらいの術式なのだ。

 

 

「これ、杉並先輩から清隆に会いに行くだろう、そのついでに渡しておいてくれと」

 

 

清隆が杉並の封筒を受け取ると自動的に術式が解けた。

 

 

清隆はその封筒を開け、中を開けると数枚の資料のようなものが出てくる。

 

 

「何だろう……っ!?」

 

 

清隆が資料に目を通していると資料を持っていた手に力が入れられる。

 

 

「どうしたんですか、清隆。そんな怖い顔をして」

 

 

「ごめん、サラ。今から杉並先輩を呼びたいから席を外してくれないか?」

 

 

「え?はぁ。それは構いませんが。では、また今度」

 

 

サラは行儀良く頭を下げ、部屋を出ていこうとする。

 

 

「あ、サラ!」

 

 

清隆が呼ぶ声にサラが振り向く。

 

 

「ティアナのこと。無茶しないように頼んだ」

 

 

「はい、任されました!」

 

 

サラは微笑み、部屋を退出する。

 

 

清隆はすぐさま杉並に連絡を取る。すると、すぐに向かうと返事が来た。

 

 

すると十数分で杉並が清隆の部屋に来た。

 

 

「早かったですね」

 

 

「うむ。呼び出される頃かと思ってな。で、資料のことだろう?」

 

 

「はい、この資料って全て事実なんですか?」

 

 

清隆の言葉に杉並は目を瞑る。

 

 

「あぁ。和平が結ばれ、冥界にも出入りがしやすくなったからな。全て事実の情報だ」

 

 

清隆の顔が怒りの表情になる。

 

 

「心配するな葛木兄。手は打ってある。後は黒歌を探すだけだ。俺を信じろ、お前の気持ち分からないでもない」

 

 

「ありがとうございます、杉並先輩」

 

 

清隆は杉並に冥界についてきて欲しいことを最後に伝え、一日が過ぎた。




ついに清隆は冥界へ向かうことを決意する……


そして、時は冥界へ向かう列車の中で起こる……


列車の中で一人でいる少女に清隆は話しかける……


少女の想いは自らの恐怖と嫌悪……


そんな彼女に清隆はある提案をする……


次回「提案」


ならさ、俺たちと修行でもするか?
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