「お、清隆。小猫が来たようだぞ」
巴の言葉に清隆が振り向くと、荷物を持ってくる小猫とその後ろに居るリアスとアザゼルに気づいた。
リアスは清隆達睨む。
「な、何かスゲェ睨まれてるんだけど……」
「はいはい、嫉妬嫉妬。どうせ、小猫が風見鶏に行くのを止めようとしたら、裕斗とアザゼル辺りに言われて渋々OKを出したみたいなことがあったんでしょ?」
「お前は俺たちのことを監視でもしてるのか!?」
リッカの余りにも的確すぎる答えにアザゼルが驚く。
「心配しないでも大丈夫ですよ、グレモリーさん。小猫をさらったり、監禁とかはしないですから」
「当たり前よ!小猫に何かあってみなさい!あなたを消すわよ!」
「あなたが挑んだところで清隆には勝てないわよ」
リアスの怒鳴り声にリッカが笑いながら答えた。
清隆はアザゼルに手招きをされ、二人を置いて少し離れた。
「何です?」
「お前たちは何を狙っている?」
「狙うとは?」
アザゼルの質問の意味が清隆には全くわからなかった。
「お前らにはメリットがない。なのになぜ、塔城を救おうとする?」
アザゼルの質問に清隆は笑ってしまう。
「何かおかしいことでも俺は言ったか?」
アザゼルは自分が真剣な話をしているのになぜ清隆が笑うのかわからなかった。
「す、すみません。そうでしたね。風見鶏で居るとですね、小猫みたいな子はほおって置けなくなるんですよ」
「どういう意味だ?」
「だから、ただの自己満足ですよ。困ってる人がいるから助けたいというね。俺、一度困ってる子を見るとその子を助けたくなってくるんですよ」
「ただの偽善だぜ、それは」
清隆の答えにアザゼルも笑いながら返した。
「それでもです。俺は、助けたい。ただそれだけなんです。これっていけないことなんですかね?」
「いんや、全然悪くねぇよ。何となく、グリーンウッド達がお前に惹かれていった理由が分かったよ」
「清隆ぁぁ!そろそろ列車出るわよ!」
「あっ!そろそろみたいです。じゃぁ、次はレーティングゲームの前夜祭で」
「あぁ。じゃぁな、葛木!」
清隆はアザゼルとの会話を終わらせ、列車に乗り風見鶏へ向かった。
「なぁ、そんなに睨む必要なんてないんじゃないか?」
アザゼルがリアスに言った。
「……」
しかし、リアスは黙ったままだった。
「はぁ、小猫の気持ちに気づけなくて悔しいのか?」
「っ!?」
アザゼルの言葉にリアスは動揺を見せる。
「はぁ、やっぱりか。まぁ、身近にいたからこそ気づけなかったことなんだろうな」
「そんなこと許されないわ!」
リアスはアザゼルに怒鳴る。
「私は小猫の主よ!なのにあの子の苦しみや悲しみに気づいてあげることもできなかった!」
リアスは悔しそうに語る。
「それなのに、葛木たちは一度見ただけですぐに気づいて、きちんとフォローもしてくれていた!」
アザゼルは必死のリアスの肩に手を乗せた。
「よく聞け。葛木清隆はお前やイッセーと同じものを持ってるんだ。そう、魅力がな」
「魅力?」
「そうだ。それに、お前たちは次のレーティングゲームに勝たなきゃいけねぇ。そのために塔城は風見鶏に行ったんだ。なら、お前がすることはもう一つしかないだろ?」
アザゼルの言葉にリアスは気づいた。
「……そうね。もう、負けられないものね。私たちも」
そう言いながら、小猫を乗せた列車の方向を一度だけ見て、リアスはアザゼルと共にその場を離れた。
「という訳で、レーティングゲームをすることになったわ」
『何が!?』
清隆達が風見鶏に到着するとそこには公式新聞部のメンバーが全員ひとつの教室に集まっていた。
そして、突如リッカさんが今の一言を言い放ったわけだ。
もちろん、みんなはなんのことか全くわからないでいた。
「なんで分からないのよ!」
「そこで怒るんですか!?」
公式新聞部の一番の苦労人であるサラがツッコむ。
「……リッカ。流石にそれだけ理解するのは少し難しいと思う」
「静流の言うとおりだ。一番大事なことしか伝わっていないと思うぞ」
静流と巴の言葉にリッカはかったるそうに首をかしげる。
「はぁ、かったるいわねぇ。こんな時こそ清隆、出番よ!みんなに分かりやすいように説明しなさい」
「そこで俺にフッてくるんですか!?まぁ、いいですけど。みんな聞いてくれ。俺たちが冥界に行ったことは知ってるな?」
清隆の言葉に皆が頷く。
「それでな―――――」
清隆は冥界に行って起こったことを細かく全て皆に伝えた。
その内容に怒る者もいれば、悲しむ者もいた。
「なんで、権力をそんなに主張するのでしょうか……」
「姫乃の言うとおりです」
姫乃の言葉にサラが同調する。
「……斬りに行こう」
「奇遇だなゼノヴィア。私も共に行こう」
「待て待てゼノヴィア、愛紗。お主ら、主達の言葉をよく聞かんか」
ゼノヴィアと愛紗が自分を失いそうになるので星が止めに入る。
ほかのみんなも同じような感情だった。
「ハイハイ、みんな暗い顔をしないの!だいたい内容はつかめたわね。で、次は小猫のことよ。小猫前に出て」
リッカの呼び声に小猫が前に出る。
「小猫の事情も話すわね―――――」
次にリッカが小猫の事情について話し出す。
リッカが話している間、みんなは真剣に聴き続けた。
「―――――ってな感じだから、小猫もレーティングゲームまでは一緒に修行するから。よろしくね」
「……よろしくお願いします」
リッカの話が終わり、小猫は頭を下げながら言った。
「ってなわけで、早速修行っていきたいんだけどもう時間が遅いから、ここで解散!小猫の部屋はシャルルに聞いて頂戴。あと、修行内容は明日発表するから、明日の9時にグニルック場に来て頂戴。清隆、静流、巴、杉並、来なさい」
リッカは4人を連れて出ていく。
4人ともリッカに付いていき、ついたのは学園長室だった。
皆が入るのを確認すると、外に音がもれないように結界を張った。
「で、杉並。黒歌の情報は手に入った?」
リッカの質問に杉並は「やはりか」と答え、清隆をみた。
「それが、黒歌はヴァーリチームに所属しているらしく、何処に居るのかの情報が掴めんのだ。すまんな」
「そうですか」
杉並の言葉に清隆は残念そうに応える。
「そうだ、杉並。こちらからも情報があるんだ。清隆、最後にやった夢見の情報を杉並に伝えたらどうだろうか」
「そうだ!あのですね、小猫の夢に入り込んだとき、おかしな感覚に陥ったんです」
「おかしな感覚?」
杉並は清隆の言葉に興味深そうに聞く。
「小猫の夢から黒歌の気持ちが読み込めるようになったんです」
「それはどういう意味なんだ?」
「そのような状況に陥るには黒歌自身がリアルタイムで同じ環境になる必要があるんです。あいにく、黒歌は夢に入った瞬間に追い出されましたけど」
「ほぉ。その意見から考えると、近い未来に小猫に黒歌が接触してくる可能性があるな。大きなイベントなどで目立たないように。そう、例えば、次に行われるレーティングゲームとかな」
その言葉に緊張が走る。しかし、だれも杉並の意見に反対はしなかった。
なぜなら、杉並の意見が間違っておらず、可能性もかなり高いからだ。
「まぁ、今回の報告はこれぐらいにして、私たちも解散しましょか」
リッカの言葉で4人も解散したのだ。
まず、最初にするのは力を見るための模擬戦……
それぞれの模擬戦が今、幕を開ける……
次回「模擬戦開始 午前の部」
学年主席の力、見せてもらうよ。『狂い桜』!!