清隆、リッカ、静流、巴、小猫はレーティングゲーム開催の前夜祭の為に冥界に来ていた。
会場に入るとすぐに視線が清隆達を捉える。
「小猫!!」
真っ先に清隆達に近づいてきたのはリアスとイッセーだった。
「ただいま帰りました、部長」
「おかえり!小猫ちゃん」
イッセーも小猫の帰還に喜んでいた。
「小猫、何もされてない?体は無事?」
「……はい、大丈夫です。それに、強くなれました。全て清隆先輩たちのおかげです」
リアス達はその言葉に少し驚くが、直ぐに平常心を取り戻す。
「そうね。積もる話もあるから向こうで一緒に話を聞かせて欲しいの」
リアスは小猫の手を握ろうとするが、小猫が手を前に出し静止をかける。
「すみません部長。まだ清隆先輩達に用事があるので今すぐは帰れません」
「ッ!?」
「な、何でだよ。せっかく部長だって来てくれてんのに、さっさと皆のところで一緒に話そうぜ!」
小猫の言葉にリアスは驚かされ、直ぐにイッセーがフォローに入る。
「すみません、本当に。全てが終わったら直ぐに戻ってきますから。行きましょ、清隆先輩」
小猫は清隆の手を引っ張って会場を後にする。
リアスとイッセーが追いかけようとするとそれを阻むようにリッカ、巴、静流が立ちふさがった。
「な、何よ!そこをどきなさい!あなた達、一体小猫に何をしたのよ!」
「てめぇら、絶対に許さねぇぞ!」
リアスとイッセーもキレていた。しかし、リッカはため息を吐いた。
「はぁ、あなた達は本当に気づかないのね。ねぇ、リアス・グレモリー。あなたは一体小猫の何を見てきたのよ」
「リッカの言うとおりだ。お前達には小猫を任せておくことができない。お前達に小猫の気持ちが分からない限りな」
「お前たちに出来ない事を清隆がやり遂げた。最後まで清隆に任せるのが得策だ」
リッカ、巴、静流の順で答える。
「な、何の事を言ってるのよ!」
「そのままの意味よ。小猫は今が一番大事な時期なの。あなた達には絶対に邪魔させないわ」
5人の討論に周りも少しずつ気になり始めた為、リアスとイッセーは舌打ちをして、3人から離れた。
「あとは、清隆次第ね。巴、杉並に連絡入れておいて」
「了解した」
「小猫、いいのか?」
小猫と一緒に走って出ていった清隆は一度後ろを振り向いて、誰もいないことを確認して止まり、小猫に尋ねた。
「……」
「小猫?」
「……うぅ」
清隆はすぐに察した。小猫は泣いているのだということに。
「小猫……」
清隆はゆっくりと小猫を後ろから抱きしめる。
「泣きたい時は泣いとけ。ほんとはグレモリーさんともっと話したかったんだろ?ごめんな、俺たちに付き合わせて」
よく考えれば分かる事なのだ。約1ヶ月の間、会うことが出来なかったのだから。寂しくない訳がないのだ。しかし、それは許されないことも小猫は理解していた。
小猫は清隆に抱きつき、声を出さずに泣き続けた。
それから数分後、小猫は離れると尻尾を出して清隆の後ろに視線を移す。
その視線に清隆も気づき、後ろを振り向くがそこには何も居なかった。
「どうした?」
「今、黒猫がいました。それにあの感覚……。お姉さまです!」
小猫はすぐに走り出した。清隆もそれを追いかけるように走り出す。
「黒歌お姉さま!!」
小猫を追いかけるとそこには黒い着物を着た色っぽいお姉さんと猿?のような人物が立っていた。
「まさか、会場に紛れ込ませた黒猫一匹でここまで来てくれるなんてお姉ちゃん感動にゃー」
「おいおい、もしかしてその後ろにいるのは噂の『桜の守護者』じゃねぇのか!?これはびっくりだぜぃ」
「お前は誰だ?」
「俺っちは美猴って言うんだぜぃ。おっと、話してるうちにグレモリー眷属も来たみたいだねぇ」
その言葉に後ろを振り向くと息を切らしているリアスとイッセーがいた。
「お前ら!何してんだ!!」
「小猫ちゃんが心配だからに決まってんだろうが!!」
「バカ野郎!なんで来るんだよ!クソっ!」
清隆は直ぐに小猫の方を向いた。
小猫もすぐに清隆を見て、アイコンタクトを取りすぐに両者は頷いた。
「黒歌~。帰ろうや。どうせ俺っちたちはあのパーティに参加できないんだし、無駄さね」
「そうね、帰ろうかしら。ただ、白音はいただくにゃん。あの時に連れて行ってあげられなかったからね♪」
「連れて帰るのはお姉さまの方です!」
黒歌の言葉に小猫が反論する。
「どういう意味にゃん?」
黒歌は不思議そうに小猫に尋ねる。
「もう、お姉さまを一人にはしません!すみませんが、連れて帰らせてもらいます」
「何を言ってるか意味が分からないにゃん」
「そうよ、小猫!黒歌を連れてはいk「うるせぇ!てめぇは黙ってろ!!」っ!?葛木!?」
小猫の言葉の意味が分からず、リアスも小猫を止めようとするが清隆が一喝する。
「黒歌、お前は風見鶏が保護させてもらう」
「お前、誰にゃ?」
「俺は葛木清隆ってんだ、よろしくな。話を戻す。お前は俺たちが保護する」
「清隆先輩の言うとおりです。お願いします!風見鶏に来てください!そして、一緒にまた暮らしてください、お姉さま!!」
「ッ!?馬鹿なこと言わないで。私ははぐれにゃ。白音達と一緒に暮らすなんて出来る訳無いにゃ」
白音の言葉に一瞬動揺するが黒歌は直ぐに平常心を取り戻した。しかし、清隆はその一瞬を見過ごさなかった。
「心配するな。黒歌はもう悪魔から、冥界から逃げなくてもいい。俺たちが守る、小猫が守る、風見鶏が必ず守る!だから―――――」
「うるさい!うるさいにゃ!お前ら何も知らないくせに、殺すにゃ!!」
黒歌は体から霧のようなものを展開させる。
「これはっ!?小猫!!」
「わかってます!」
清隆はすぐに桜を展開させ、小猫も猫又モードに入る。美猴は上空のドラゴンと対峙するために上空に飛んでいった。
しかし、何も知らないリアスはその場で跪いてしまう。
「部長!?」
「心配するな小猫。お前は自分の想いをぶつけてこい!」
清隆は直ぐにリアスに近づく。
「だから呼ばなかったんだよ、お前ら。クソッ、じっとしてろよ」
「桜野郎、何してやがる!」
「治療だボケ!お前は黙ってろや」
清隆はリアスに魔力を送り込む。少しだがリアスの顔が落ち着いてきているのがわかる。
「あなた、これを狙ってたの……?」
「なんの事やら。俺は禍の団じゃないからな。わかんない。ただ、こうなるかもとは思っていたけどな」
「黒歌ははぐれよ。犯罪者なの。これは悪魔の問題なのよ。あなた達には関k『パチン!!』ッ!?」
リアスの声を遮るようにリアスの頬を清隆は叩いた。
「てめぇ!部長に何しやがる!」
「まだ分かんないのかよ!小猫の想いを!黒歌の想いを!だから、お前達には任せられないんだ!」
「ど、どういう意味よ!」
「表面上の事実しか見ない、上司の言うことしか聞かない。お前たちは真実を見ようとしない!だから、俺たちが動かなくちゃいけないんだろうが!お前らは邪魔だ。ここで見ていやがれ!」
清隆はリアスとイッセーに結界を張り、小猫達の下に走っていった。
「へぇ、なかなか猫又の力を使いこなせるようになってきてるにゃ」
「……」
黒歌の声を無視して、小猫は黒歌と戦闘をしていた。
「無視は少し悲しいにゃ!」
「グッ!?」
黒歌の拳が小猫を捉え、距離が開く。
「……私はずっとこの力が嫌いでした」
「なぜにゃ?」
小猫は俯いたまま話し始めた。
「お姉さまがこの力でご主人様を殺したからです」
「ッ!?そ、それは」
「それからの私は地獄でした。目の前の全ての悪魔が信じられなくなりました。皆に罵られ続けました。はぐれの妹というレッテルも付けられました」
「……」
小猫の言葉に黒歌も苦い顔をする。
「そんな時、部長が拾ってくれたんです。それから、私は変わり続けることができた。少しずつ、心を開けるようになった。それでも、この力は使えなかった。そんな時、清隆先輩達と出会ったんです。そして、全ての真実を知りました」
「な、なんの事にゃ!」
「お姉さまが私を守るために罪を被ったこと。そして、お姉さまは冤罪だということ。事実は主が下僕である私たちを売買していてそれをお姉さまが止めた。そして、相手の自害。だから、帰ってきてください。お姉さま」
小猫は涙を流しながら黒歌に言った。
「もう、戻れないにゃ。私ははぐれ。誰にも認められない「そんなことはねぇ!!」え?」
黒歌の声を遮るように清隆が現れる。
「たしかに冥界にお前の居場所はないかもしれない。なら、風見鶏に来い!小猫もそれを望んでるんだ!いいか、さっきも言ったが、もう無理をする必要はないんだ。お前は小猫の姉なんだろ?なら、一緒にいてやらないでどうするよ。小猫がそれを望んでるのにお前が否定する理由なんてないだろ?」
「それでも!そんなことしたら、白音に迷惑が「かかりません!!」白音……?」
小猫は一歩ずつ黒歌に近づいていく。
「私は、昔の自分を恨んでます。なんで、お姉さまを信じなかったのかと。なんで、お姉さまを探すことを諦めていたのかと。だって―――――」
小猫は黒歌の前まで歩きそこで立ち止まる。
「どれだけの年月が過ぎようと、どれだけ姿が変わろうとお姉さまのことが好きだという気持ちが変わることはないのだから!」
「白音!!」
「お姉さま!!」
小猫は黒歌に抱きついた。そして、黒歌も小猫を抱きしめる。
「黒歌。お前は本当にいいのか?このまま逃げ続けても。こんなにも自分のことを想ってくれている妹がいるのに」
清隆は笑いながら黒歌に問う。
「本当に私を匿ってくれるにゃ?」
「心配するな。お前は絶対に傷つけさせない。小猫が悲しむ姿を見たくないからな」
黒歌はその言葉に涙を流した。
「お姉さま?」
「ありがとう、本当にありがとうにゃ……」
黒歌は涙を流す。
「まぁ、しばらくは風見鶏に所属してもらう予定だけどな。ついでによかったらさ」
清隆は黒歌に『銀将』と書かれた将棋の駒を見せる。
「俺たち公式新聞部の『銀将』になってくれないかな?なってくれるだけでかなり話も丸く収まるんだけど」
「私に選択肢はないにゃ。どうすればいいにゃ?」
「どっちかの手の甲を出して」
黒歌は左手の甲を見せる。
そうすると、吸い込まれるようにその駒が入っていき、黒歌の甲に『銀』と刻まれる。
「ごめんな」
「別にいいにゃ。それよりなんでそこまでして私たちの事を?清隆にはメリットはないはずにゃ」
「お前ら……。本当に姉妹揃って同じ質問するな。いいか?俺はただの偽善者なんだ。目の前で悲しむ友達を見ているだけなんて出来ない。たったそれだけなんだ。っと、お客さんが来たみたいだな」
空間が歪みそこから一人の男性が現れた。
「おやおや、帰りが遅いと思ったら美猴もいっしょとは。それにあなたは『桜の守護者』さんではありませんか。まぁ、いいでしょう。ここはもう危険です」
男性が黒歌に近づこうとするのを小猫が遮る。
「お姉さまは行かせません!私たちと共に帰るんです!」
「そのとおりだ。悪いが、黒歌は俺たちが預からせてもらう。黒歌は俺たちの銀将なんだ」
「何を勝手な「まぁまぁ、それぐらいにしようぜぃ」美猴……?」
上空で戦っていた美猴が姿を現した。
「もともと、俺たちはそれぞれの目的で集まったに過ぎないんだぜぃ。それに黒歌が笑顔なんだ。それいいじゃないか。おい、『桜の守護者』」
「何だ?」
「もう、黒歌を泣かせてやんなよ。そいつの闇を取り除いたのはお前だぜぃ。っと、なんかやばそうなんで俺たちは帰るぜぃ」
「な、話はまだ―――――」
そう言い残し、二人は違う空間に消えていった。
「これで、一つ目の壁は突破。次の壁はっと。いいタイミングだな」
「葛木!!」
「桜野郎!!」
リアスと赤い鎧を身に纏ったイッセーが姿を現した。
再び紡がれた姉妹の絆……
そこに現れたのは現魔王『サーゼクス・ルシファー』……
サーゼクスは罪を語る……
しかし、風見鶏も黙ることはなかった……
黒歌を守る為に……
小猫を守る為に……
大切な仲間を守る為に魔王と対峙するのは最強の魔法使い『リッカ・グリーンウッド』……
次回「錆びていく絆」
上級悪魔や最上級悪魔に発言権がなくなる可能性があるって言ってるのよ……