本陣side
「みんな、大丈夫かな」
「そんなに心配しても仕方ないわよ」
清隆が心配そうに呟くとリッカが答える。
「でも、兄さんじゃないですけど心配ですよね」
「え?でも、私の知っている限りみんなはかなり強いと思いますけど」
美琴は皆のことを信頼しきっていた。
「甘いな、美琴。向こうも必死だということがどれだけ危険かわかっていないようだな。グレモリーには負けることは許されず、ソーナには夢への想いがあるのだよ。必死な奴ほど怖い相手はいない。それにグレモリー眷属はとても強い」
「巴の言うとおりだ。赤龍帝の倍加、聖魔剣、仙術といい。かなり強い戦力が揃っている」
静流の言葉に美琴は納得したように頷いた。
そんな会話を少ししていると、そこに居た皆に地震が襲う。
そして、皆が出たはずであろう通路がふさがり、新しく6つの通路ができる。
その光景にそこにいた清隆、リッカ、巴、静流、美琴、サラ、杉並、葵の全員が驚く。
「やばいわね。それぞれのフィールドが分断されているのは間違いないけど、このまま行くとすべてのペアが分断される可能性も出てくるわね。静流、巴、美琴、姫乃は準備をして。杉並、葵、サラの3人は清隆の全面サポートをお願い」
リッカの一言に全員が頷いた。
そして、5人はそれぞれ別の通路に入っていったのだった。
「ハァ、ハァ。あやつの力は化け物か……」
愛紗が呟く。
時は少し遡る。
愛紗達はイッセーと対峙し、かなりの時間を稼いでいた。
しかし、全員が万全の状態ならまだ希望を持つことができたかもしれないが、愛紗と星のダメージは思ったよりも大きく戦闘に影響していた。
「お主ら、まだいけるか?」
星はシャルル、ティアナ、スバルに問う。
「私はまだ少しだけ余裕あるかな」
「結構きついかもしれません」
「あと、クロスファイヤーを1、2回が限界ってところです」
シャルルは少し余裕そうに言い、スバルは少しきつそうでティアナはもうほとんどの魔力を使っているようだった。
シャルルはかなり皆をシールドでカバーしたりしているが、もともと魔力があるためそこまでの披露は見えなかった。しかし、元々の魔力量が少ないスバルとティアナの二人にとってはかなりきついのだ。
「へへ、俺だって修行してかなりの時間を禁手でいられるようになってんだ。お前らには負けねぇよ!」
『boost』
さらにイッセーの魔力が上がる。
「仕方なしか。星、我々もやるぞ」
「うむ。この状況をひっくり返すにはそれしかなさそうだな」
二人の魔力も増加する。
「まって、二人とも!今の二人じゃ体が持たない!」
「心配するなシャルル。我々が危険になれば、すぐにリタイアさせられるだろうからな」
「愛紗の言うとおりだ。我々は死ぬわけではない。それにこの戦いは負けられないのだ。なら、本気で行くしかあるまい」
二人はお互いに一度目を合わせ、走ってくるイッセーを見る。
「我々は仲間の為に―――――!!」
「友の想いの為に―――――!!」
「『禁手』!!」
愛紗は黒き武装を身に纏い、星は白き武装を身に纏う。
「『魔龍騎士の武装』!!」「『聖龍騎士の武装』!!」
二人の禁手にイッセーも足を止め驚く。
「行くぞ!赤き龍の担い手!我々の想いの昇華、とくと見よ!!」
「我々の想いは主と仲間と共にある!!ハァァァ!!」
イッセーも危機を感じ、片手に魔力を溜める。
「ドラゴンショット!!」「煉獄・一閃!!」「レイジング・レイ!!」
3人の魔力が交差する。
ティアナとスバルを守るようにシャルルも結界とシールドをかなりの数になるまで展開させ、二人を守る。
轟音がそのフィールドに鳴り響いた。
そして、煙が晴れるとそこには無残な姿で倒れ、今まさに消えようとしている愛紗と星の姿があった。
イッセーはまだ立っていた。
「ハァ、ハァ、今のはかなりやばかったな。だが、これでこのフィールドはチェック成功って感じだな」
「そんな、あの二人のあの威力を食らって鎧が剥がれないなんて」
「今の私たちじゃ、勝てない」
スバルとティアナは絶望する。シャルルは二人を庇うように前に出る。
「あとは、あんた達だけだぜ」
しかし、先ほどとは違い、シャルルの顔に余裕の表情が浮かぶ。
「へぇ、それはあなたの後ろにいる人達を倒してから言うんじゃない?」
「なっ!?誰だ!!」
イッセーはその一言に後ろを振り向く。そこには魔方陣が二つ現れていた。
「おいおい、姫乃。お前と同じフィールドなのか?」
「そうみたいですね、巴さん。多分、人数が減ってきてフィールドの数が減らされているのが原因かと」
「まぁ、いい。あえて、挨拶をするなら風見鶏『金将』五条院巴だ、赤龍帝」
「同じく風見鶏『金将』葛木姫乃です」
現れたのは、鬼姫を構える姫乃と魔力を拳に纏わせている巴だった。
「ね、ねぇ、シノン。あの人すっごくやばくない?」
「……怖い」
アスナとシノンの二人の前方には金色の雷を纏っているリアスの『女王』である姫島朱乃の姿があった。
すると、朱乃もアスナとシノンの存在に気がついた。
彼女の羽は悪魔と堕天使の羽がそれぞれあった。
涙に濡れた瞳に冷たいものを載せて異様なオーラを朱乃は漂わせていた。
「この忌まわしき力を……憎き力を彼の目の前で使うことで克服しようと思っていたのに……」
朱乃は片手をアスナとシノンのいる方向に突き出す。
「ゆるさない……」
その瞬間、雷光とも呼べる様な一撃が二人を襲う。
アスナは放たれる瞬間危険を察知し、当たる寸前のところでよける。
しかし、シノンはよけることが間に合わず、その一撃が直撃してしまう。
すると、シノンは力尽きるように跪いてその場から消える。
「一匹残ってしまいましたか。ですが、もう終わりですわ」
普段のアスナならよけれるだろう。
体調は悪くない。先程の戦いで少し魔力を消費しているが、それはなんの問題もない。
問題なのは今の朱乃の雰囲気なのだ。
その圧倒的なプレッシャーの前でアスナの体は震えきっていた。
「な、何なの。体が動かない。魔法がかかっているわけでもないのに。これが、本物のプレッシャーなの?」
アスナの声が全く聞こえていないかのように静かに朱乃は歩み寄ってくる。
そして、その距離が10メートル程まで縮まる。
「あらあら、逃げないなんて潔いのね」
(逃げたいのに逃げることができないのよ)
そして、ゆっくりと先ほどと同じように片手をアスナに向ける。
「直ぐに倒れないでくださいね。ゆっくりと、この力の餌食になってもらいます」
そして、朱乃から雷光が放たれる。
それがアスナを包み込む。
その一撃は見ているものは完全にアスナの心配をしていただろう。しかし、朱乃は違った。
「あらあら、誰かしら。私の邪魔をするのは」
アスナを包み込むように朱乃と同じような雷光を纏う者がいた。
「あ、あなた。どうしてここに?」
「そんだけボロボロで助けられて最初の一言がそれって。まぁ、いいわ。私もこの悪魔に用があるの」
「あなたは一体誰ですの?」
「私?私は風見鶏公式新聞部『桂馬』の御坂美琴よ。悪いけど、ここであなたは倒させてもらうわ。リアス・グレモリーの『女王』!」
美琴は朱乃を指さしながら言った。
「会長、どうしました?」
「とてつもなく、嫌な予感がするわ」
シトリー本陣では運良く帰ってこれた椿姫と桃を含め、ソーナと草下の4人がいた。
すると、目の前に魔方陣が現れる。2つも。
そして、そこから二人の魔法使いが現れる。
その二人を見た瞬間、ソーナ以外の3人は青ざめた表情をつくり、ソーナはため息を吐いた。
「あなたたち二人が、本陣に来るなんて反則じゃないんですか?」
ソーナの言葉に二人は目を合わせた。
「まぁ、いいんじゃない?運が悪かったってことで」
「そーだな。リッカ。誰の相手をする?」
「私は、ソーナの相手をやらせてもらおうかしら。静流にはほかの3人を任せるわ」
「リョーカイだ」
「ということで相手してもらうわよ、ソーナ。風見鶏『飛車』リッカ・グリーンウッド、参る!」
「同じく風見鶏『角行』中津静流……行く!」
静流は親指を立てて返事をした。
現れた二人とはカテゴリー5の魔法使い『孤高のカトレア』ことリッカ・グリーンウッドと同じくカテゴリー5の魔法使い『体内薬品製造機』こと中津静流だった。
そして、風見鶏本陣にも敵がついにやってくる。
「うむ?向こうから来てくれたようだぞ。同士葛木よ」
「えっと、この魔力は」
「グレモリーさんのものですね」
杉並、葵、サラの順で言う。
「あぁ、それにこの感じの魔力は―――――」
4人の見つめる先にリアスと小猫の姿が現れる。
「葛木、あなたを倒しに来たわ」
「清隆先輩。今度こそ、倒します」
戦いはついに総力戦を迎える……
戦闘を行うのは姫乃・巴と禁手状態のイッセー……
イッセーの言葉は姫乃の逆鱗に触れてしまう……
そして、姫乃は自らの封印を解き放つ……
その力は姫乃が恐れたお役目の力……
それは鬼の解呪……
次回「姫乃の本気 解き放たれる鬼の力」
今からするのは戦闘ではなく、ただの虐殺です。だから、私から言えることはただひとつ……
死なないでください……