ハイスクールD×D 桜物語   作:孤高の桜

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『王』として 譲れぬ不屈の想い

「美琴、ごめんね。こんなに危ない状況で」

 

 

「別にいいわよ。これぐらい。アスナ、あなたは後ろに下がってなさい」

 

 

「なっ!?」

 

 

美琴の一言にアスナは驚いた。

 

 

「あなた、相手は『女王』よ!二人で行った方がいいに決まってるじゃない!」

 

 

「ごめん、同じ雷系統使いとして譲れないのよ。だから、お願い。今回は譲って欲しい」

 

 

アスナは美琴の目を見つめる。

 

 

美琴もアスナの目を見つめ返した。

 

 

「ハァァ」

 

 

アスナの口から大きなため息が出る。

 

 

「危ないと判断したら助けるからね?」

 

 

「ありがとね、アスナ」

 

 

アスナはそう言いながらフィールドの端の方に歩いて行った。

 

 

「待ってくれるなんて、悪魔にしては優しいじゃない」

 

 

「私達を悪魔という一括りにしないでくださらないかしら?」

 

 

「私から見たら、別にそれほど違いなんてないのだけど。それに」

 

 

美琴は体に電気を帯電させる。

 

 

「私は正直言ってあなたたちが心の底から許せないのよね!」

 

 

さらに電気に光を纏わせる。

 

 

「それは雷光!?」

 

 

「何言ってんの?これは雷光じゃなくて、電光よ。電気と光。違う系統の二つの魔力の融合。『電光化』とも言うのよ。まぁ、私が付けたんだけどね」

 

 

美琴は朱乃を睨みつける。

 

 

「なんで、小猫を放置したのよ……」

 

 

「何の事ですの?」

 

 

「何で!小猫をあんなになるまで放置したのよって言ってんのよ!!」

 

 

美琴はコインを上空に弾く。

 

 

その動作に朱乃も危険を感じ、雷光を溜める。

 

 

「あなた達がきちんとしないから!清隆さんが苦しんでるのよ!『超電磁光砲』!!」

 

 

「何の事を言っているかわかりませんわ!!」

 

 

二人の攻撃が中央でぶつかり合う。

 

 

雷光と電光。二つの力が交わる。

 

 

結果は相打ちだった。二つの力はお互いにダメージをぶつけた。

 

 

「……も……のに」

 

 

「ハァハァ、さっきから何を言ってますの!私達だって知らなかったんですのよ!」

 

 

「こんなにもあなたは強い!なのに、どうして気付けないのよ!」

 

 

美琴は朱乃に向けて電光を放つ。

 

 

それを朱乃は片手で払いのける。

 

 

「ハァァ!!!」

 

 

美琴はその瞬間に朱乃の懐に潜り込んだ。

 

 

そして、電光を纏わせた拳を朱乃の腹部に叩き込む。

 

 

「グフッ!」

 

 

乾いた朱乃の声が聞こえると同時に朱乃は吹き飛ばされる。

 

 

「絶対にあなたたちは許さないわよ」

 

 

その言葉を聞いて、朱乃も立ち上がる。

 

 

「あなた達が現れてから全てが狂った。あなた達の『王将』である破滅の運命を背負っている葛木清隆の存在によってね!」

 

 

朱乃も叫んだ。

 

 

しかし、美琴も止めなかった。

 

 

「何が破滅よ。馬鹿らしい。未来のことなんてどうなるかわからないじゃない!それなのにあなた達は今を生きている黒歌と小猫をまた引き離そうとしている。それだけは絶対に許されないのよ!!」

 

 

「何を言ってますの!黒歌さんのせいで小猫ちゃんがあんなふうに自分を追い詰めてしまったんですのよ!なのに、なぜ二人をくっつける必要があるんですの!!」

 

 

「家族だからに決まってんでしょうが!!家族が離れて暮らすなんて間違ってんのよ!そんな簡単なこともわからないの!!」

 

 

美琴の家族が一緒に暮らすことが当たり前という言葉に朱乃が反応するかのようにさらに怒る。

 

 

「ふざけないで!小猫ちゃんには私たちグレモリー眷属がいますわ!」

 

 

美琴も朱乃の言葉にさらに怒りを覚える。

 

 

「何言ってんのよ!小猫がどれだけ黒歌のことを想ってるか知らないくせに!小猫の想いを語るんじゃないわよ!もう、あなた達だけは許さない!小猫の想いを!黒歌の想いを踏みにじろうとするあなた達は絶対に倒す」

 

 

美琴は全ての魔力を、想いの力を片手に集める。

 

 

「何も知らないのはあなた達の方ですわ!!」

 

 

朱乃も雷光を片手に溜める。

 

 

「撃ち抜け!『電光石火』!!」

 

 

「私は負けられませんの!!」

 

 

二人の魔力は先程の比にならないほどの爆発を生んだ。

 

 

その魔力は二人をう包み込むように広がっていき、徐々に収まっていく。

 

 

そこには、倒れている朱乃の姿と血みどろの美琴の姿が残った。

 

 

朱乃は無言のまま魔法陣に包まれ、その場からいなくなった。

 

 

「が、がった……」

 

 

その言葉と共に美琴は跪いた。

 

 

すぐにアスナが駆けつける。

 

 

「美琴!?美琴!!返事しなさい!!」

 

 

「ハァハァ、やった、わよ?勝った……」

 

 

美琴は満足そうな顔を残してその場から消えた。

 

 

「美琴……。貴方の想いは受け取ったわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、はじめしょうか」

 

 

静流の前には椿姫と桃、草下の3人がそれぞれ構えていた。

 

 

「悪いが、お前たちじゃ私には釣り合えない……」

 

 

静流が僧侶の二人に瞬間的に接近する。

 

 

そのあまりの速さに二人は追いつけなかった。

 

 

「な、なにこの子の速さは!?」

 

 

「速すぎて見えなかった!?」

 

 

「当たり前だ。薬品によって、身体能力は通常の数倍にまで強化しているのだから……」

 

 

そして、二人は鎌鼬に巻き込まれるかの如く切り裂かれる。

 

 

二人は魔法陣に囲まれその場から立ち去る。

 

 

「……あとは、お前だけだ」

 

 

静流はさらに2本のナイフを構える。

 

 

「私は会長の『女王』です。ここであなたに負けるわけにはいきません。シトリー眷属『女王』椿姫参ります!!」

 

 

椿姫は言葉と共に静流に向けて走る。

 

 

瞬間、静流も同様に駆け抜ける。

 

 

「「ハァァァ!!」」

 

 

二人の武器が中央で交差する。

 

 

しかし、力の差は明らかだった。

 

 

椿姫が一撃を出そうとする前に静流は両手のナイフで4連撃は攻撃してくる。

 

 

よって、椿姫は守るしか道がなくジリ貧となっていってしまう。

 

 

(これが、魔法使いの中でもカテゴリー5と呼ばれるトップクラスの力ですか!)

 

 

「お前、少し強い。でも、やっぱりまだ弱い……」

 

 

「クッ!?」

 

 

静流のナイフに気を取られ、腹部に横蹴りが椿姫を襲う。

 

 

その一撃で椿姫が後退する。

 

 

それを好機と見て、静流は止めを指しに行く。

 

 

「今です!『追憶の鏡』!!」

 

 

「……その程度の壁は私には聞かない」

 

 

静流はその鏡を切り裂く。しかし、その瞬間静流はすぐにその場から退く。

 

 

すると、先程まで静流の居た場所が鎌鼬にでもあったように切り裂かれる。

 

 

「外しましたか……」

 

 

「今のは……。カウンター系の鏡か」

 

 

すぐに状況から静流は椿姫の力を分析した。

 

 

「ならば、割らなければいい事」

 

 

静流はナイフを握り直すと、細かい動きで椿姫を追い込んでいく。

 

 

(やばい、普段ならもう少し動けるのに愛紗のダメージが今になって響いてくる)

 

 

だんだんと動きに差が出始め、椿姫に静流の攻撃が次々と送り込まれる。

 

 

そして、とうとう椿姫は跪いてしまった。

 

 

その姿を静流は見下げる。

 

 

「……負けました」

 

 

「……ん」

 

 

静流は静かに椿姫に手を差し伸べた。

 

 

「え?どうして?」

 

 

椿姫もその行動に意味が分からなかった。

 

 

「向こうも終わる。だから終わりだ」

 

 

静流はリッカ達の方を見て、そう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静流達が戦闘を行っている時、リッカたちも戦闘をしていた。

 

 

「さすがですね。風見鶏は」

 

 

「それほどでもないわ。今回は新人たちを全員連れてきて、本当の悪魔たちの力を味わってもらいたかったの。おかげで、7人もやられちゃってるわ。想定内とは言え、やっぱり辛いわ」

 

 

「7人?やられたメンバーがわかるんですか?」

 

 

「まぁね、それは私の力でね。でも、あなたたちの力も賞賛に値するわ。風見鶏にはもちろん来てくれるのよね?」

 

 

リッカの言葉にソーナは微笑んだ。

 

 

「行ってもいいのなら行かせてもらいます」

 

 

「そうこなくっちゃね。じゃぁ、そろそろ、終わらせましょうか」

 

 

「えぇ。リッカさん、私の水芸。とくと披露しましょう!!」

 

 

ソーナの周りから水が噴出される。

 

 

「面白いわね、水芸だなんて。なら、私は風芸とでも行きましょうか」

 

 

リッカは両手に風を集め、ソーナと対峙する。

 

 

「行きます!ハァァ!!」

 

 

ソーナは水をカッターのように飛ばしてくる。

 

 

「なら、私も行くわよ!ハァァ!!」

 

 

リッカも風をカッターのように飛ばしてソーナの水とぶつからせる。

 

 

しかし、力は圧倒的にリッカの方が上だった。

 

 

ソーナの水はその場で散らばり、リッカの風がソーナを襲う。

 

 

それが、10回程度まで続き、ソーナは息を切らし始めた。

 

 

「ハァハァ。これだけの力を使っているのにやっぱり勝てないのね」

 

 

「まぁ、風見鶏にくれば修行ぐらいも手伝えるからすぐに強くなれるわよ。で、どうする?静流達ももう終わったみたいだけれど」

 

 

リッカの声に仲間達の方をソーナが向くと椿姫は悔しそうにソーナを見ていた。

 

 

「チェックメイトなんですね。私たちは」

 

 

「えぇ。そうね」

 

 

リッカの言葉を聞いてソーナは立ち上がる。

 

 

「それでも、私はシトリー眷属の『王』です。例え、どのような無様な姿を晒そうと投了だけは許されません!私を信じて付いてきてくれた仲間の為にも、これからも私と共に歩いてもらう為にも!ソーナ・シトリーと共に歩んでよかったと、共に歩みたいと笑って言ってもらうために!だから最後まであがかせてもらいます!この力尽きるまで!!付き合ってもらいますよ!『飛車』リッカ・グリーンウッド!!」

 

 

ソーナは両手に水の魔力を溜める。

 

 

「そう。あなたの想い、覚悟。受け取ったわ。あなたの想いを評して最後ま付き合ってあげる。カテゴリー5の魔法使い『孤高のカトレア』リッカ・グリーンウッドがね!!」

 

 

すべての力を出し尽くすようにソーナはラッシュをかける。それはもう、上級悪魔の姿とは思えない無様な姿だった。

 

 

ソーナも理解はしていた。リッカの圧倒的な力の前に勝ち目などは最初からなかったことを。

 

 

しかし、ソーナはそれでも諦めず全ての力を出し尽くした。

 

 

とうとう、魔力を出し尽くしたソーナは跪く。しかし、目だけはリッカを見続けていた。

 

 

「今度こそ終わりよ。もう、あなたには魔力が残されていないわ」

 

 

「ま、まだです。……私は、『王』です……。たとえ何があろうと負けることは許されない……」

 

 

「会長!!」

 

 

ソーナが立ち上がろうとするところに椿姫が抱きつく。

 

 

「……椿姫?大丈夫ですよ。まだ……立てますから」

 

 

「もういいんです。もう、いいですから!会長はよくやってくれました!私達『シトリー眷属』は全員会長に付いていきますから!」

 

 

椿姫は泣きながらソーナに訴える。

 

 

「何を……言っているんですか?まだ、私の……意識は健在です。だから、終わっていませんよ?例え、チェックメイトをかけられようと……無様な姿を晒そうと……私がいれば突破口が必ずあります。だから……私を信じてください」

 

 

その言葉と共に椿姫はソーナの顔を見る。

 

 

すると椿姫は気づいた。ソーナの意識がもうほとんどなく光に包まれていることに。

 

 

「おやすみなさい、会長。あなたの夢を笑った者達にもきっと会長の想いは伝わったはずです」

 

 

椿姫の言葉を聞いた瞬間、背負っていた重荷が外れたかのようにソーナは意識を手放した。

 

 

その瞬間アナウンスが流れる。

 

 

『ソーナ様の投了を確認しました』

 

 

ソーナがその場から消え、椿姫も消えようとする。

 

 

「勝ってくださいね、グリーンウッドさん。会長の想いの為にも」

 

 

「当たり前よ、必ず勝ってみせるわ!」

 

 

リッカは天井を見上げる。

 

 

その横に静流もやってくる。

 

 

「ソーナの姿を見て、まだ笑う上級悪魔がいてみなさい!私が!カテゴリー5『孤高のカトレア』リッカ・グリーンウッドが必ず冥界ごと滅ぼす!例え、望まれなくともね!ガキの夢を笑う世界なんて滅ぼしてあげるわ!文句があるなら私のもとに来なさい!魔王を敵にまわそうと!神を敵にまわそうと!私が絶対に滅ぼす!」

 

 

「……リッカに同意だ。私も本気を出して冥界を滅ぼす」




戦いはついに終盤を迎えようとする……


対決するのは風見鶏『王将』葛木清隆とグレモリー眷属『戦車』塔城小猫……


師である清隆に小猫は猫又の力を使う……


しかし、二人の決闘は無情な魔法によって終わりを告げる……


そして、清隆が傷つく中、小猫は本当の自分について考える……


グレモリー眷属としての小猫……


黒歌の妹としての白音……


相反する二人の自分がいることに気づく……


そして、小猫は決意する……


次回「『眷属』としての小猫 『妹』としての白音」


自分のしたいようにするんだ……


自分の想いに嘘はつかない、もう迷わない、二度と大事な人の手を離さない……


そう、私は決意したではないですか……

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