それぞれの場所で戦いが始まる中、風見鶏本陣でも戦いが始まろうとしていた。
小猫はリアスの目を見つめる。
「部長、下がっていてください」
「え!?」
小猫の言葉にリアスは驚いた。
「風見鶏で修行して、清隆先輩には勝てませんでした。でも、今回は勝ちたいんです。だから、お願いします。やらせてください」
小猫の必死の訴えにリアスは退くしか出来なかった。リアスに続き、心配そうに見つめるアーシアも下がる。
小猫が一歩踏み出すと同時にリアスは後退していった。
「なぁ、みんな「わかってますよ、清隆さん」え?」
清隆が3人に言おうとするとそれを遮るように葵がしゃべる。
「清隆さんの言いたいことわかってますよ。どうせ「俺も一人で戦わせて欲しい」って言いたいんでしょう?」
「ウッ!?」
清隆は図星を突かれる。
「清隆分かりやすいですから」
「うむ。単純バカともいうな」
「グハッ!」
清隆はさらに二人の追い打ちをくらう。
「まぁ、いいですよ。私たちは。ねぇ、サラさん、杉並先輩」
葵が二人に言うと二人は静かに頷いた。
「ということらしいですよ、清隆さん」
「皆、ありがとな」
清隆は3人にお礼を言って下がらせる。
そして、清隆と小猫は対峙する。
「こうやって、ガチで勝負するなんて久しぶりだな」
「そうですね」
その言葉と共に小猫は猫耳と尻尾を生やし、猫又モードとなる。
清隆も小猫に呼応するように桜を展開させる。
「やっぱ、小猫にはその姿が似合ってるよ」
「……」
小猫は軽蔑するような目をして清隆から一歩下がった。
「いやいや、変な意味で言ったんじゃない!ただ、なんていうかさ。その力の流れが小猫らしいって感じがしてさ。まぁ、いいや。そろそろ、始めるか」
清隆はさらに両手両足に桜を纏わせる。
「……勝ちます」
「行くぜ!!」
二人が同時に駆け抜ける。
「「ハァァ!!」」
二人の拳が中央で重なる。あまりの威力に周りにいた人物たちも少し後ずさる。
そして、二人も少し距離を取る。
「つぅ、やっぱり小猫の力は強いな」
「それを平然と相打ちにする先輩もどうかと思います!!」
小猫は駆け抜け、清隆に接近戦を挑む。
清隆も小猫に答えるように接近戦で戦う。
お互い相手の攻撃全てをクリーンヒットしないように常に体に魔力を纏っていた。
しかし、攻撃が一発当たるごとに鉄球同士がぶつかり合うような音がし、見ているものは気が気ではなかった。
「小猫、さすがに強いな。そろそろ、力を使っていくぞ!」
清隆もその言葉と共に一気に加速する。
「テリャァァァ!!」
清隆の回し蹴りが小猫を吹き飛ばす。
両手でガードしたが、あまりの威力に吹き飛ばされる。
(ガードしたのにしびれてくる。……すごい)
そして、それに追い打ちをかけるように清隆が攻撃を繰り返す。
そして、徐々に小猫が劣勢、清隆が優勢になっていく。
「……」
小猫もとうとうしゃべる余裕がなくなる。
「ふぅ。小猫もすごいけど、やっぱり相性の問題も少しはあると思うぜ。そろそろ、終わらせる!」
清隆が駆け抜け、小猫のそばまで行って小猫に向かって拳を振り上げる。
しかし、その瞬間に清隆に大量の魔力が襲う。
清隆は片手を犠牲に自分を守る。
「グアァァァァ!!」
「先輩!!」
小猫の悲鳴も上がる。
その魔力の正体とはリアスの消滅魔法だった。
「ハァハァ、クソがぁ」
清隆はリアスを睨みつける。
「悪く思わないでね、葛木。小猫もごめんなさい。これはゲーム。負けられないのよ」
リアスが近づこうとする。其処に杉並たちの攻撃が加えられるが、リアスの消滅魔法の前では無力だった。
「小猫、下がりなさい。あとは、私に任せて」
「……」
小猫はリアスを睨みつける。
「小猫、これは主の命令。今回だけは聞きなさい」
「下がっとけよ、小猫」
動こうとしない小猫に清隆が言う。
「油断した俺が悪いんだ。みんなも下がってろよ。心配すんな、片腕なくても負けはしねぇよ」
清隆もなんとか立ち上がる。
しかし、その顔は明らかに無理をしているときの顔だった。
そして、絶対に諦めていない顔でもあった。
「その意気込みは褒めてあげる。でも、あなたにグリーンウッドほどの力は無い!!」
その言葉と共にリアスから、消滅魔法が放たれる。
「クッ!?」
清隆はすぐにその一撃をよける。清隆にとって消滅魔法はかなり相性が悪かったからだ。桜を創造する清隆にとって創造しては消滅させられては魔力の無駄でしかなかったからだ。
ここから、リアスの一方的なゲームが始まってしまった。
小猫side
清隆先輩との戦いを邪魔されて私は部長に対して怒りを覚えてしまった。
それでも、仕方なかった。
私は黙って、アーシア先輩の下に帰り、清隆先輩と部長の戦いを見た。
圧倒的に清隆先輩が不利だった。
清隆先輩は私達の為に戦ってくれている。
私はこんなところで見ていていいのだろうか。
でも、清隆先輩は本気で戦えばいいと言っていた。
だが、もう私にはわからなかった。ここまでして、私が貫きたいものが。
その時、ふと私は自分の中に二人の自分がいることに気がついた。
グレモリー眷属としての小猫とお姉さまと共にいたいと願う白音の存在。
二人の相入れることのない自分の想いが私の内で交差する。
清隆先輩を見ているだけなんてできない。
それでも、私は部長の『戦車』。部長に攻撃をするというのは『はぐれ』になるということだ。
どうすればいいのか私にはわからない。
すると、私の胸ポケットの中が光り出した。
なかから取り出すと、それはゲーム開始前に清隆先輩がくれたお守りだった。
開けることに少し罪悪感があったが気になり開けてしまう。
中から出てきたのは、桜の花びらだった。
それを見た瞬間、修行の時に聞いた清隆先輩の言葉を思い出した。
『ん?もし、二人の大事な人が対立しまったとき自分がどっちにつくか?ん~。どうだろうな。どっちについても絶対後悔すると思うんだ。俺は』
『でも、どっちかって言われたらどっちを選びますか?』
『もちろん両方救うっていう選択肢はないよな』
『はい』
『ならさ、自分の思うようにすればいいんじゃないか』
『自分の思うようにする?』
『そう。自分のしたいようにするんだ。その時の自分がどうしたいか。だって、その時にならなきゃわかんないだろ?』
そうだ、私のしたいことをするんだ。
今後のことを考える前に、今の私がしたいことを。
今の私がしたいことは……。
そんなの決まってる!
小猫sideout
「ハァハァ、さすがにやばいな」
「なかなか、粘るじゃない。でも、これで終わりよ。葛木!」
(やべえな。予想よりも小猫との戦闘で受けたダメージが残ってやがる。それにあの時受けた消滅魔法のダメージも。このままじゃやられちまう。でも、金色桜を使って倒してもソーナさんが来た瞬間アウトだ。どうする!)
清隆が考えている間にもリアスの魔力はどんどん溜まっていく。
そして、リアスの魔法が放たれる。
しかし、その攻撃が清隆を捉えることはなかった。
清隆が目を開けるとそこには猫又モードで一生懸命自分を守っている小猫の姿が映った。
リアスもそれに気づき、直ぐに攻撃を止める。
小猫は辛そうな表情を浮かべていた。
小猫の腕を見ると、少しやけどをしているように見えた。おそらく、リアスの魔力に小猫の魔力が耐え切れなかったのだろう。
「小猫!一体何してるの!!」
「何してるんだ、小猫!!」
その光景に驚いたリアスと清隆が怒鳴る。
「私は、グレモリー眷属の戦車『塔城小猫』。でも、黒歌お姉さまの妹である『白音』でもあります」
小猫は黙々と語る。
「ふたつの交わることのない想いに惑わされたのもまた事実です。でも……」
小猫はリアスを見つめる。
「私は、清隆先輩が傷つくのを黙って見ているだけなんてできません。私たち姉妹の為にこれだけ頑張ってくれている先輩を見ているだけなんて!私にはできません!!」
小猫は清隆に貰ったお守りを握りしめる。
「もう、迷わないって決めたんです。自分の想いに嘘をつかないって誓ったんです。二度と、この手を離さないってお姉様に言ったんです。だから!」
小猫は震える手を握りしめる。
「『白音』として、清隆先輩を守ります!」
まるで、小猫の想いに答えるかのように小猫の持っていた清隆のお守りから桜の花びらが溢れ出した。
小猫の想いに答えた桜が表した答えとは……
そして、清隆の待ち望んでいた放送がフィールド上に鳴り響く……
清隆は語る……
『友』という言葉の重さを……
そして、レーティングゲームは終わりを迎える……
しかし、風見鶏の戦いはそれだけでは終わらなかった……
次回「『友』の重さ」
答えやがれ、サーゼクス・ルシファー!お前達のせいで黒歌と小猫がどれだけ苦しい思いをしてきたか!お前の無能さが!悪魔のルールが!自分勝手さが!黒歌達を傷つけたんだ!