ハイスクールD×D 桜物語   作:孤高の桜

65 / 93
黒き想い

清隆に追い出されて、すでに1時間が経過しようとしていた。

 

 

さすがのリッカも心配せずにはいられなかった。

 

 

自分を追い出した時の清隆の顔がいつもの無茶をするときの顔だったからだ。

 

 

「すみません、本当にすみません。私が不甲斐ないばかりに……」

 

 

シークヴァイラはリッカ達が追い出されてから今の様にずっと風見鶏のメンバーに謝り続けていた。

 

 

そして、遂にドアが開く。

 

 

すぐにリッカがその部屋に入ると清隆が血まみれで立っており、地面や天井、壁には真っ黒なシミができていた。

 

 

1時間ほど前には真っ白だった部屋が今では全てが黒く塗りつぶされたかのような状態だったのだ。

 

 

「清隆!!」

 

 

直ぐに清隆に寄り添う。

 

 

清隆はリッカの姿を見ると一度だけ微笑み、そのまま意識を手放すかの様に倒れた。

 

 

「リッカ!!清隆は無事なのか!!」

 

 

「先輩!!」

 

 

巴と小猫の悲痛な声が部屋に鳴り響く。

 

 

直ぐに黒歌も近づき、清隆の様子を見る。

 

 

「命に別状はなさそうにゃ。でも、氣が全然安定していないにゃ。これは徹夜になりそうにゃ。リッカ、個室をひとつ用意してもらえるかにゃ?」

 

 

「えぇ、分かったわ。小猫はd「私もここに残ってお姉さまのお手伝いをします。先輩が苦しんでいるのに帰る事なんて私はできません!」分かったわ。グレモリーには私から伝えておくわ」

 

 

リッカは直ぐに走り出す。

 

 

血まみれの清隆を黒歌は見る。

 

 

「絶対死なせないにゃ。必ず戻すにゃ」

 

 

そう黒歌が呟いたとき、シークヴァイラが部屋の様子を見て血塗れの清隆の姿が目に映る。

 

 

「そ、そんな……。いや、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

 

シークヴァイラは狂ったかのように叫ぶ。

 

 

「巴!アガレスをお願いにゃ」

 

 

「任された!」

 

 

巴はシークヴァイラを連れていく。

 

 

「白音、徹夜を覚悟するにゃ」

 

 

「もちろんです、お姉さま」

 

 

その数分後にリッカが帰ってきて、そのままひとつの小部屋に清隆は搬送された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……んぅ……」

 

 

清隆が目覚めるとそこは見知らぬ部屋で寝ていた。

 

 

「ここは……?どこだ?」

 

 

清隆はゆっくりと上半身を起こす。

 

 

「俺は、確か……」

 

 

清隆が前の記憶を取り戻そうとすると布団の横に眠っているリッカと黒歌と小猫の3人の姿が目に入った。

 

 

「そうだったな。確か、アガレスさんの眷属を治療してそのまま意識を失っちまったんだよな……ミイラ取りがミイラになっちまったな」

 

 

そうつぶやいた瞬間にリッカが目を覚ます。

 

 

そして、目覚めたリッカと目が合う。

 

 

「き、清隆ぁぁぁぁ!!」

 

 

「うぉう!?」

 

 

リッカが突然清隆に抱きついてきたのだ。

 

 

「リ、リッカさん!?」

 

 

「バカバカバカバカ!!どうして無茶をするのよ!どうして私の前からいなくなろうとしたのよ!もぅ、誰も失いたくないのに……」

 

 

「リッカさん……」

 

 

清隆も優しく、ゆっくりと抱きしめ返した。

 

 

その数分後に黒歌達も目を覚ます。

 

 

二人にも清隆は泣きつかれた。

 

 

清隆は二人に謝ることしかできなかった。

 

 

その後、巴とシークヴァイラの二人もやってきて昨日何があったのか話すように言われた。

 

 

「俺が昨日したのは想いの吸い取りです」

 

 

「想いの吸い取り?」

 

 

リッカですら聞き慣れない言葉にリッカは清隆に聞き直した。

 

 

「その通りです。アガレスさん「シークヴァイラで構わないわ」え?」

 

 

「私のことはシークヴァイラと呼んで欲しいの。ダメかしら、清隆さん?」

 

 

「え?俺は別にそっちが構わないならいいけど。で、なんでみんなは俺を睨むんだ?」

 

 

「何でもないわ」「何でもない」「清隆はいつもどおりだと思ってにゃ」「先輩はいつもの先輩らしいです」

 

 

清隆の質問に返ってきたのは容赦ない言葉の嵐だった。

 

 

「は、はぁ。まぁいいや。それで、シークヴァイラの眷属のみんなの傷口にあったのは負の感情の塊だったんだ。それに加えて何か特別な力が作用していたように見えた。そう、想いの力を弾き飛ばすような何かの力が。それに俺が気がついたのは俺の桜が弾き飛ばされた時です」

 

 

皆はその時のことを思い出す。

 

 

「あの時、なぜか俺の想いの力だけが弾き飛ばされた様な感覚に陥ったんです。それに俺は不思議に感じ、もう一度桜を近づけました。俺の想いの力を極限まで減らした想いの『器』だけの桜を」

 

 

「それが原因であの桜が黒くなったの?」

 

 

「そのとおりです。器しかない桜はどんな想いも吸い取ってしまう。そう、それがどれだけ黒い想いでも。そして吸い取って分かったんです、黒い想いを。吸い取るだけなら皆にいてもらったほうがいい。でも、そんなわけにはいかなかった。かなりの黒い想いを吸い込むということは皆にも被害のいく可能性があった。だから、皆を無理やり外に追い出したんです。本当にすみません」

 

 

清隆が皆に謝る。

 

 

みんなも清隆のことをよく知っていた為、それ以上は誰も何も言うことはなかった。

 

 

そんな時、清隆の病室にサーゼクスとディオドラが姿を現した。

 

 

「やぁ、清隆君。調子はどうだい?グリーンウッドさんから話は少し聞いたよ。無理したみたいだね」

 

 

「えぇ。まぁ、シークヴァイラさんの眷属の皆さんの命がかかっていたのでね」

 

 

「皆は助かりそうかい?」

 

 

「えぇ。清隆のおかげで命に支障はないようよ。もう少し療養すれば直ぐに前のような生活ができるようになるわよ」

 

 

「なっ!?」

 

 

サーゼクスの質問にリッカが答える。

 

 

その言葉に驚いたのはディオドラだった。

 

 

直ぐに周りの視線に気づき、冷静さを取り戻した。

 

 

「すみません。あの力は僕のコントロールの出来ないところで勝手に動いてしまうんです。それで、たまたまレーティングゲームの時に力が少しだけ漏れてしまったようなんだ。そのせいで君たちにも迷惑をかk「ふざけてんじゃねぇよ」ん?どういう意味だい?」

 

 

「ふざけんなって言ってんだ。あの力が暴走?そんなもんお前ら悪魔にはわからなくても俺には分かるんだよ。想いの力を専門にしている俺にはな。あの力は暴走ではなく故意に仕組まれたものだ」

 

 

「つまり、僕がアガレスの眷属を殺そうとしたと?」

 

 

「違うのかよ。お前は、シークヴァイラの眷属を殺そうとしたんだ」

 

 

「たかが人間風情が調子に乗るのも大概にしなよ。そんな証拠どこにあると言うんだい?」

 

 

明らかに怒気を含ませて、ディオドラは清隆に問う。

 

 

「今まで、悪魔の皆を俺は見た。グレモリーさんを筆頭としたグレモリー眷属、ソーナさんを筆頭としたシトリー眷属、シークヴァイラを筆頭としたアガレス眷属。その3つの眷属の使う魔法に想いの力はさほど関わってない。お前はどうなんだ?」

 

 

「僕もそんなしょうもない事はしないよ」

 

 

ディオドラは清隆をあざ笑うかのように答える。

 

 

「そうか。ならおかしいな。俺の感じた想いは何だったのかな?」

 

 

「そんなもの僕は知らないな。っと、そう言えば、僕がここに来た理由は分かってるかい?」

 

 

ディオドラの突然の話題転換に皆は首をかしげる。

 

 

「あっ!レーティングゲーム!!」

 

 

シークヴァイラは思い出したかのように叫ぶ。その言葉に皆も思い出した。

 

 

「よく覚えてるじゃないか。で、王である君がそんなズタボロで予定通り出来るのかい?まぁ、化け物ばかりいるそっちだと大丈夫だと思うけど?破滅の守護者さん?」

 

 

ディオドラは挑発するように言った。

 

 

「てめぇ「止めなさい、清隆」リッカさん?」

 

 

清隆が怒りをあらわにするとそれをリッカが静止させる。

 

 

「心配しなくて結構。あなたたち程度清隆が負傷を負っていても居なくても関係ないわ。むしろハンデで丁度いいんじゃない?なんなら駒の量も同じにしてあげるわよ?確か、あなたはマックスだから王を除くと39個分ね」

 

 

「何だと?」

 

 

「サーゼクス、予定通りにレーティングゲームは行うわ。明後日の夜に39個分の駒で相手をしてあげるわ」

 

 

「そんなにハンデをつけてもいいのかい?」

 

 

サーゼクスはリッカに聞き返した。

 

 

「えぇ。今決めちゃいましょうか?まず、飛車9角行7金将5銀将4香車3桂馬2歩兵1だから……、私、静流、巴、シャルル、黒歌、愛紗、星、杉並、葵、サラでいいわ1つ少ないけれどハンデとして受けとってね」

 

 

「私も参加するにゃ?」

 

 

「まぁ、形だけ出といてくれればいいわ」

 

 

「そんなことして負けた後に言い訳とかしないでくれよ?魔法使い」

 

 

ディオドラは再び挑発するようにリッカに言う。

 

 

「え?あなたこそここまで来たら言い訳できないわよ?それとルシファーにも頼みたいことがあるのだけれどいいかしら?」

 

 

「何かな?」

 

 

「出来ればでいいのだけれど他の若手のメンバーには見せないで欲しいの。多分見ても今後の参考にもならないと思うから」

 

 

リッカはサーゼクスに頼み込んだ。

 

 

その光景に風見鶏の皆も驚きを隠せなかった。

 

 

「か、構わないが」

 

 

サーゼクスもその光景に驚いていた。

 

 

「まぁ、化け物ばかりの君たちでも僕には勝てないよ。せいぜい、ゲームでは楽しませてくれよ?破滅の守護者に魔法使い達。そろそろ、行きましょ、サーゼクス様」

 

 

そう言い残し、ディオドラとサーゼクスはその場を去っていった。

 

 

「だ、大丈夫なんですか!?」

 

 

小猫も事の重大さに気づいていた。

 

 

そう、人数が少なくなるとソーナやグレモリーたちとのようになってしまえば明らかに不利なのだ。

 

 

「まぁまぁ、落ち着け小猫。リッカ、勝算は?」

 

 

小猫を落ち着かせ、リッカに巴が聞く。

 

 

「ダイジョーブだ。負ける可能性はない。むしろ、リッカがあいつを殺してしまわないか心配だ」

 

 

巴の質問に答えたのは窓から突然入ってきた静流だった。

 

 

「え?どういう意味ですか?」

 

 

「明らかにリッカはキレている。見てみろ、誰の言葉も耳に入っていない」

 

 

清隆が聞き、静流がリッカを指さして答える。

 

 

見ると、リッカは拳を握り締めていた。

 

 

「あいつ……芳乃の力を破滅ですって。絶対に許さないわよ……。見せてあげるわ。本当の化け物の力を」




遂にレーティングゲーム当日となる……


清隆の傷は癒えることなくゲームは開始される……


仲間を傷つけられ……


自分の想い人を傷つけられ……


想い人の家族を傷つけられ……


今、『孤高のカトレア』が戦場に姿を現す……


その力はその名のとおり孤高の力……


他者を近づけさせない圧倒的な力がディオドラとその眷属を襲う……


次回「孤高の力 全てを切り裂く禁呪」


分かった?芳乃や黒歌以上の化け物の存在を。これが本物の化け物の力よ。二度と、私の大切な人たちの前に現れないで!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。