「静流……」
静流は意識を失っている。
清隆はゆっくりと頭をなでる。
「こんなになるまで戦ってくれたんだな。こんなにボロボロになってまで」
清隆は静流の言葉を思い出す。
『いつか、今回の事件の償いをしたいんだ。みんなに本当の仲間だと認めてもらうために』
それは、レーティングゲームをする前に言っていたセリフだ。
「お前はとっくに風見鶏のメンバーだよ。風見鶏は仲間を拒むようなことはしねぇよ」
清隆はゆっくりと周りを見る。
書き換えたおかげか周りにいるみんなの魔力反応がいつもよりも敏感にわかる。
「みんな……」
(ダメだ……。ここで怒りに囚われちゃ。落ち着くんだ)
「グガァァァァァァァ!!!」
イッセーが叫ぶ。
清隆はゆっくりとイッセーの前に立つ。
「……すぐに終わらせるから」
静流に向けてそうつぶやく。
「行くぞ、兵藤。みんなの想いを受け入れやがれ!!」
清隆は桜弁の剣を握り締め、イッセーの下へ駆け抜ける。
人間の領域を遂に超えてしまった清隆の戦闘力は今のイッセーとほぼ同じと言えるほどまで上がっていた。
「ハァァァァ!!」
「ガァァァァ!!」
清隆は桜弁の剣で斬りつける。
それをイッセーは篭手で簡単に防ぐ。
(なんていう硬さなんだ。どんだけ斬っても壊れる気配がない)
攻防ではお互いが拮抗してしまっている。
「ハァァ!」
清隆がイッセーの腕をはじき飛ばす。
そして、イッセーに斬り付ける。
「グガァァァァァァァァァァ!!」
しかし、イッセーもただでは斬られなかった。
イッセーの拳が清隆を捉える。
「グフッ!」
『boostboostboostboost』
篭手から機械音が流れる。それと同時にイッセーの傷が塞がる。
しかし、そのスピードは先程よりも明らかに遅かった。
(剣が効いているのか?だが、どうやって、元に戻す?これじゃ、どっちかが死んでしまう)
『清隆君、聞こえますか?』
(ッ!?その声は咲夜か!?)
清隆はイッセーと戦いながら咲夜と会話をする。
『はっきりと伝えます。今のままでは赤龍帝の宿主を助けることは絶対に不可能です』
(そんなのわかっている!なら、どうすればいいんだ!!)
『さくらから聞きました。あなたは他人の深層心理の世界に入り込むことができるとか』
(まぁ、できるが。でも、あれの副作用は俺自身が眠りについてしまう。それじゃ、一瞬で俺が死んじまって助けることなんてできない)
『大丈夫です。今のあなたはリライターです。願ってください。我々を。我々をそちらの世界に送り込んでください。さくら達の様に元々そちらの世界の住人にはできないでしょうが、我々ならなんとかそちらの世界で形を保つことができます』
(でも、俺が意識を失っちまったら『ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇ!』……お前は?)
『俺は瑚太郎って言うんだ。以後よろしくな。いいか?俺と咲夜がなんとかしてやるって言ってんだ!俺たちを信じろ!俺たちはリライターだ。どんなに不可能なことでも書き換えることができるんだよ!』
(……分かった。二人のことを信じる)
清隆はイッセーと一旦距離をとる。
「俺の想いに……。みんなの想いに答えやがれ!『金色桜』!!」
清隆は一気に金色桜を展開させる。
たくさんの桜が二つの影と投影する。
そして、そこから二人の男性が姿を現す。
「久しぶりだな、こうやって二人で戦うのは」
「そうですね。あの戦い以来ですか」
リライターの先駆者である瑚太郎と咲夜が姿を現した。
「清隆君、私と瑚太郎君で彼の動きを止めます。その隙に彼の深層心理の世界に潜り込んでください。私の考えが正しければ、彼はとても危険な状況ですが魂までもが死んでいるわけではありません。なぜなら、彼の姿がまだ人間に寄っているからです」
「でも、俺が入っちまったら二人とも消えてしまうんじゃないのか?」
「あぁ、そのことなら心配ない。俺たちリライターは独立した力で動くことができるんだ。だから、心配するな」
清隆の質問に瑚太郎が答える。
「瑚太郎君の言うとおりです。なので、私達が隙を作らせます。その隙に彼の深層心理に飛び込んでください」
その言葉を合図に二人がイッセーの下に駆け抜ける。
清隆は3人の戦闘を見て隙を見つけようとする。
二人の戦闘力はイッセーよりも低いだろう。
しかし、二人の抜群の反射神経とコンビネーションでイッセーの攻撃を紙一重で捌いていく。
咲夜は武術を巧みに利用し、瑚太郎はオーロラに輝く剣でイッセーにダメージを与えていく。
そして、明らかに咲夜がわざとらしく隙をつくる。
そこにイッセーが拳を振り上げる。
その拳はまっすぐと咲夜に向けられるが間一髪のところで瑚太郎がオーロラブレードで防ぐ。
「今だ、清隆!!」
瑚太郎の一言がかかる頃には既に清隆はイッセーの背中を貰っていた。
そして、ゆっくりとイッセーの背中に手を当てる。
これが風見鶏で清隆の手に入れた新しい夢見の魔法の仕方だった。
対象者の体に手を当てることにより、相手の深層心理の世界に潜り込む方法。
そして、清隆が意識を失ったところを咲夜が直ぐに担ぎその場を離れる。
咲夜はリアス達に近づき、言い放つ。
「詳しい説明はできませんが清隆君をよろしくお願いします。清隆君は必死で赤龍帝の宿主を止めようとしています」
「あなたたちは一体、何者なの?」
リアスは突然現れた昨夜に問うた。
「私たちですか……。そうですね、彼なりに言うなら『地球救済ハンター』とでも名乗っておきましょうか」
そう言い残し、咲夜は瑚太郎とイッセーの下に戻っていった。
「地球救済ハンター……」
リアスがその言葉をもう一度口にする。
「部長……」
アーシアがリアスの横に立つ。
その顔には心配の表情が写っていた。
「今は信じましょう。彼は、私達の知らないところでたくさんの人たちを救ったらしいわ。だから……」
リアスはそっと、眠っている清隆の手を握る。
「お願い、葛木。私達の大好きなイッセーを取り戻して」
リアスの言葉がグレモリー眷属の皆の心の中に響きわたった。
「大丈夫ですか、瑚太郎君」
「あぁ、やっと来たか。遅すぎるぞ」
咲夜が到着した頃には既に瑚太郎の体に傷が多くついていた。
「それにしても、あいつは何者なんだ?なんで、こんなになってるんだよ?」
「今の彼は、欲の権化でしょうね。ひたすら強さを求めている」
「グルルルルル」
イッセーはゆっくりと二人に近づく。
「『強さ』か……」
瑚太郎が自分を見るような目でイッセーを見つめる。
「あの時、俺はちはやを助けるために自分の限界を超えた。あの時、お前が助けてくれたんだよな」
「えぇ、そんなこともありましたね」
「あの時、俺は思ったんだ。俺が弱いから、ちはやたちを傷つけちまったって。でもさ、だからって、周りを傷つけていい理由にはなんねぇ」
「全くです。それでも、人は力を求めてしまう。決して、大事な人の涙を見たくないから」
「大切な人が涙を流す姿なんて見たくねぇもんな」
瑚太郎はゆっくりとオーロラブレードを構える。
それに釣られるように咲夜も拳を握りしめる。
「そうですね。私自身も分かっていたはずなのに。暴走だけはしてはいけない。では、最後の勝負をしませんか?」
「勝負?」
瑚太郎が聴き直す。
「えぇ。あの時は引き分けでしたが、今回こそが最後です。どちらが清隆君の帰ってくるまで、赤龍帝の宿主にダメージを与えられるか。そして、立っていられるか……」
「おもしれぇな。いいぜ、その勝負。俺たちの最後にふさわしいじゃねぇか。俺たちの成長のまとめみたいで」
その言葉を最後に二人はイッセーと対峙した。
最後の時を過ごすかのように。
清隆の訪れたイッセーの深層心理の世界にいたのは歴代の担い手たち……
彼らは語る……
この世界は愛を否定し、力を求めると……
彼らの力に防戦一方となる清隆の心にひとりの少女の言葉が脈打つ……
それはちっぽけな約束……
その言葉に追い打ちをかけるようにたくさんの想いがイッセーの心を通じ、清隆の心に届く……
それと同時期、眠っていたイッセーの心にも皆の想いが木霊する……
次回「繋ガレシ絆」
今、すべての想いが桜を起点に繋がる……
で、また話はだいぶ変わるんですけど、次章をオリジナルにするって前に言ってたじゃないですか。で、だいぶ構想みたいなんができたんでその章の予告みたいなんを作ってみたんですよ。それって、次話とは別にこれの次に出すべきなのか、それともこの章が終わって出すべきなのか少し悩んでます。俺の知ってるSSはどっちもどっちだったんで。なんで、すぐに出して欲しい!なんて、もの好きな人は感想か、メッセージで送ってください。そうですね、7人以上になったときにその日か次の日くらいに出したいと思います。それと、やはり感想は欲しいなぁ。批判は勘弁願いたいけど…。まぁ、そんな簡単に7人もこないだろう……