ハイスクールD×D 桜物語   作:孤高の桜

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最後の灯火 命の対価

「ハッ!」

 

 

清隆が現実の世界に戻ってくる。

 

 

「葛木(さん)!!」

 

 

清隆が目覚めるとすぐにリアスとアーシアが駆けつける。

 

 

「ん?あ!兵藤は!」

 

 

「イッセーなら、あそこの二人と戦闘中よ」

 

 

清隆の言葉にリアスが答える。

 

 

リアスの指さした方向に清隆は視線を向けるとそこで咲夜と瑚太郎が戦っている姿が見える。

 

 

「グレモリーさんたちはとにかく兵藤が帰ってこられるように彼のことを思い続けてください。みんなの想いはきちんとかれ彼に届いています」

 

 

「葛木、彼らは一体何者なの?」

 

 

リアスは一番の謎を清隆に聞いた。

 

 

「分かりません。ただ、味方ということ以外は。それよりも、俺は二人の援護に行きます」

 

 

クイクイ

 

 

清隆がそう言って3人の下に行こうとすると袖が誰かに引っ張られた。

 

 

「……先輩」

 

 

引っ張ったのは小猫だった。

 

 

「小猫……」

 

 

「イッセー先輩をお願いします」

 

 

清隆はゆっくりと小猫の頭をなでる。

 

 

「大丈夫。あいつはもうじき帰ってくるよ。じゃぁ、あいつのことを思っていてくれ」

 

 

清隆はリアス達にそう言い残し、3人の下に走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「咲夜!瑚太郎!」

 

 

「清隆(君)!!」

 

 

清隆と咲夜・瑚太郎が合流する。

 

 

「すまない、遅れた。兵藤の様子はどうだ?」

 

 

「先程から、攻撃が少し弱くなっています。先程までは、二人で戦っても勝てない程度の力があったはずなのですが、今ではどちらか一方だけでも十分相手に出来ます。そして、清隆君が帰ってきたということは成功したと受け取っても構いませんか?」

 

 

清隆の質問に咲夜が答えた。

 

 

「あぁ、兵藤が頑張ってる。向こうもそろそろゲームエンドみたいだ」

 

 

「グアァァァァァァァァァ!!!」

 

 

イッセーは自らの鎧に手をかけ始める。

 

 

「そうみたいですね」

 

 

「ん?何が起こるんだ?」

 

 

二人の言葉に瑚太郎のみがついていけなくなっていた。

 

 

「真・覇龍が崩れるんですよ」

 

 

「「真・覇龍?」」

 

 

咲夜の言葉に清隆と瑚太郎が首を傾げる。

 

 

「えぇ。赤龍帝と白龍皇は覇龍又はジャガーノート・ドライブと呼ばれる禁じ手が禁手と別に存在します。それでも、十分危険なのですが今までの彼の状態、人間の形に近い龍のことを真・覇龍又はジャガーノート・フルドライブとも言うんです。人間の皮を被った龍ですね」

 

 

「でもよ、そんだけすごい力なのにどっから魔力が出てくるんだ?」

 

 

瑚太郎の何気ない質問に咲夜の表情がこわばる。

 

 

二人も咲夜の反応からなんとなく察した。

 

 

「もしかして、自分の命なのか?」

 

 

「え、えぇ。真・覇龍とは自分の全てを投げ出し、全てを手に入れる絶対に触れてはいけない禁じ手。どんなものでも手に入る。その代償は自分の命です」

 

 

「……な」

 

 

「清隆……」

 

 

「ふざけんな!なんであいつが死ななくちゃいけないんだ!」

 

 

清隆は咲夜の首元をつかむ。

 

 

「じゃぁ、何か!俺達はこのままあいつが苦しんで見ていることしかできないのか!」

 

 

「お、おいおい、落ち着けって清隆」

 

 

「これが落ち着けるか!せっかく、大切なものに気がついたんだぞ、あいつは!これから成長していくって時に何であいつが死ななくちゃいけないんだよ!畜生!」

 

 

清隆は跪いて小さく叫ぶ。

 

 

それを咲夜はそっと清隆の目線まで顔を持っていく。

 

 

「大丈夫です、清隆君。その為に私がいるんです。一度消え去ったこの命。もう一度咲かせましょう」

 

 

「え?」

 

 

そう言って、咲夜はイッセーの下にゆっくりと歩いている。

 

 

既に、イッセーの体から鎧がほとんどはげておりイッセーのボロボロの体が見え始めていた。

 

 

その咲夜の横に並ぶように瑚太郎も歩いていく。

 

 

「一人よりも二人が確実だろ?」

 

 

「いいんですか?あなたはまだまだ生きられるんですよ?」

 

 

「お前をひとり行かせてさ、おれはすげぇ後悔したんだ。だから、お前一人行かせねぇ」

 

 

「あなたという人は本当にお節介ですね。そんなあなただからこそちはやさんは惚れたのでしょうが」

 

 

「褒めるなよ。それで、最後の勝負はもちろん俺の勝ちだよな?」

 

 

「そういうことで構いませんよ」

 

 

「なんだよ、その含みのある言い方は!」

 

 

二人は笑いながらイッセーに近づいていく。

 

 

そして、二人が両手を倒れているイッセーに近づける。

 

 

既にイッセーの体に鎧はなく昏睡状態となっていた。

 

 

二人はそっと魔力をイッセーに与えていく。

 

 

「な、何しているんだ!二人とも!」

 

 

清隆は叫びながら二人に近づこうとするが魔力による干渉で近づけなかった。

 

 

「お前ら、そんなことしたら自分の命が!」

 

 

二人のしていることを見て清隆は気づいてしまった。

 

 

二人がイッセーを蘇生させようとしていることに。

 

 

人一人を蘇生させるのにどれだけの魔力を必要としているか。そんなものは誰にも予測できない。

 

 

ただ、沢山の魔力としか言えないのだ。

 

 

「リライターの力を使えば赤龍帝の命を救うことができます。我々の力を全て使えば」

 

 

「なら、俺の力も使えばいい!俺の力は有り余っている!」

 

 

清隆は二人に必死に問いかける。

 

 

しかし、咲夜は首を横に振る。

 

 

「あなたが入ってこようとあまり関係ないんですよ。それに、あなたの力はこれから使わなければならない時が必ず来ます。そのときに使ってください」

 

 

「咲夜の言うとおりだぜ、清隆。後悔がないっていうのは嘘になるが、こいつの未来が救えるんだ」

 

 

瑚太郎も咲夜に便乗する。

 

 

「清隆君、我々は既に死んだ身なのですよ。ここで命尽きようとこの世界は回り続けるんです。我々の存在を知る人物などこの世界にいないのですから」

 

 

「それでも!」

 

 

「清隆、諦めろ。俺たち自身にもう時間なんてないんだ」

 

 

清隆が言い返そうとするとき瑚太郎が声に被せ、清隆の反論を止める。

 

 

「清隆、俺たちの意識が戻ったのだって何かの奇跡みたいなもんなんだよ。もともとここには俺たちは存在していないんだ。だから、消えて当たり前なんだ」

 

 

瑚太郎は清隆を諭すように言った。

 

 

「そ、それでも!」

 

 

「清隆君。なら、我々の頼みを聞いてくれませんか?最後の我々の望みを」

 

 

咲夜は一度瑚太郎を見て頷くのを確認し、清隆に言う。

 

 

「この呪われたリライターの力を、この因果を断ち切ってくれませんか?」

 

 

咲夜はゆっくりと語る。

 

 

既に二人の体は少しずつ消えていっていた。

 

 

「この力は呪われた力です。人の想いを全て叶えてしまう。たまたま我々のような人の心に宿りましたが、これが悪人の心に宿れば世界が崩れてしまいかねない。私も瑚太郎君も頑張りましたが、叶いませんでした。ですから、清隆君がこの力を封印してくれませんか?」

 

 

清隆は二人を見る。そして、拳を握りしめる。

 

 

「分かった。俺にしか出来ない事なんだよな」

 

 

「えぇ。リライターであるあなたにしかできません。それに、生半可な覚悟ではできませんし、どんな方法かもわかりません。それでも、お願いします。あ、それと」

 

 

咲夜は何かを思い出したかのように懐から二つの指輪を清隆に投げる。

 

 

その瞬間、咲夜の腕も消えていく。

 

 

「私が、過去に遺跡から見つけたものです。いつか、あなたの望みを叶える為に必要かもしれません。もう、私には必要ありませんから」

 

 

「ありがとう、咲夜」

 

 

「清隆!」

 

 

瑚太郎が清隆の名前を叫ぶ。

 

 

「絶対に守れよ。お前の大切な人を。大切な場所を。大切な想いを。大切な約束を!」

 

 

「任せろ!瑚太郎!」

 

 

その言葉を最後に二人はそれぞれかけらとなりその場から消えていく。

 

 

その場には清隆とイッセーが残される。

 

 

「う、うぅ?」

 

 

ゆっくりとイッセーが目を覚ます。

 

 

「兵藤!」

 

 

「ん?葛木?俺は……」

 

 

イッセーが周りを見渡す。

 

 

「帰って、来れたのか?」

 

 

イマイチ現実感がないように呟く。

 

 

「イッセー!」

 

 

すると、其処に遠くからリアスとその仲間たちが飛んでくる姿が見えた。

 

 

「ぶ、部長!アーシア!」

 

 

イッセーも皆の下に走っていく。

 

 

「何とか、なったみたいだな」

 

 

清隆も体から緊張が抜けたのかその場に座り込む。

 

 

「……畜生」

 

 

清隆の瞳から涙がこぼれ落ちる。

 

 

清隆の目には白い指輪と黒い指輪が映る。

 

 

「清隆……」

 

 

どこから現れたのかリッカが清隆の前に現れる。

 

 

「ッ!?リッカさん…。み、皆!」

 

 

清隆が直ぐに周りを見渡すとどこにも仲間たちの姿が見当たらなかった。

 

 

「大丈夫。私が、全員風見鶏の病院に送っておいたわ」

 

 

「そ、そうですか。ありがとうございます」

 

 

清隆も少し安心する。

 

 

「見た感じ皆かなりのダメージを受けているけど命には別状はないと思うわ」

 

 

「リッカさん、ひとつ聞いてもいですか?」

 

 

「何よ?」

 

 

清隆はリッカを見てつぶやく。

 

 

「俺、また大事なもの失ってしまいました」

 

 

清隆はゆっくりと話す。

 

 

「芳乃の力って何なんですか。大事なものを守ための力なのに守れなかった」

 

 

「清隆……」

 

 

リッカはゆっくりと清隆の顔を上げさせる。

 

 

「清隆、あれを見てみなさい」

 

 

リッカが指さした先を清隆は見る。

 

 

そこには仲間達に囲まれて笑いあっているイッセー達の姿があった。

 

 

「あなたが守ったのよ、彼らの笑顔を。彼らの想いを。そして、あなたが繋ぎ止めたのよ。彼らの絆を、ね」

 

 

「……リッカさん」

 

 

ゆっくりとリッカは清隆を抱きしめる。

 

 

「確かに、清隆は大事なものを失ってしまったかもしれない。それでも、それ以上の物をあなたは守りきった。それにあなたが生きてくれるだけで私たちは笑顔になれる。生きていてくれてありがとう」

 

 

リッカの目からも一筋の涙がこぼれ落ちた。

 

 

清隆はその言葉を聞くとゆっくりと意識を手放した。




一つの物語にピリオドが打たれた……


しかし、そのピリオドは新しい音楽を奏でるための区切りでしかなかった……


清隆達に再び平和が訪れる……


だが、清隆たちの知らないところでは新たな物語は既に始まっていたのだ……


そう、ダカーポの様に永遠を繰り返し続けていた……


そして、少年が闇に堕ちることですべての物語は交差する……


これは、全てを捨てた少年と全てを守り抜く少年の……


始まりの序章……


次回「闇の誕生」


さぁ、最後の終わりを始めますか……。お前は全てを守り抜くことができるかな?芳乃を受け継ぎし『葛木清隆』……
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