「皆、ここに集まってもらったのは明日の魔法祭への警備と最後の打ち合わせだ」
杉並の言葉で魔法祭の前日の会議が始まった。
そこには初日にあった暗い空気はなく、皆が決意に満ち溢れていた。
「まず、A班は全ての班の中枢を担ってもらう。主に、本部から全ての情報をもらいそれを制御し、それぞれに命令を出す。ここには俺とマロース、、クリサリス、陛下の4人で行う。ここでの指揮権は俺が担わせてもらう」
「「「はい!」」」
杉並の言葉にエリザベスを含めた3人が返事をする。
「つぎにB班。この班は主に風見鶏内での警備にあたってもらう。ここにはガブリエフ、ストラトス、御坂、五条院、江戸川、ランスター、ナカジマ、葛木妹で行なってもらう。御坂と五条院はタッグ戦をしてもらうのであまり大きく行動できない。ここの指揮権は葛木妹だ」
「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」
四季を含めた皆が返事をする。
「最後にC班。この半には主にロンドンの警備をしてもらう。あの禁呪のせいでロンドンは霧の都と呼ばれていたのだからな。もしかしたら、ロンドンに仕掛けてくるかもしれない。ここには、黒歌、中津、愛紗、星、ゼノヴィアで行なってもらう。この班には主に戦闘を中心としたチームを組んでもらう。グループ分けはそちらに任せる。指揮権は中津だ。頼んだぞ?
「…任された」「「「「はい!」」」」
「それから、明日の作戦を言う。敵の情報を分析した結果、最悪のことを考えて―――――」
そして、最後の会議は終了し、騎士魔法祭がついに開かれた…。
「今より、騎士魔法祭を始めたいと思います。皆さん、ぜひ楽しんでいってくださいね!」
エリザベスの掛け声と共に騎士魔法祭が始まった。
「杉並先輩」「杉並君」
杉並の下にサラとシャルルが近づく。二人の目線の先にはエリザベスが他の魔法使いたちと話をしていた。
3人は一応、エリザベスの護衛ということになっていた。
「二人とも気づいているか?」
「はい」「えぇ」
杉並の言葉に二人が頷く。
「ここにきている魔法使いの人数が予定よりも少ないということですよね?」
「あぁ。特に下級の魔法使いの数がだいぶ少ない。先程、連絡を取っても出んのだ」
サラの言葉に杉並が返す。
「つまり、もうすでに禁呪が始まっているという可能性も?」
「まだわからない。だが、後で、上にいる中津たちの状況も聞いてみよう。っと、話しているうちに御坂達の戦闘が始まるようだ」
杉並の視線の先には美琴、巴、イアン、瑠璃香の4人が今まさに戦闘を行おうとしていた。
「まさか、相手が君たちとは聞いたときは耳を疑ったよ、イアンに瑠璃香」
「僕らも立派な騎士ですよ巴さん、今回は勝たせてもらいます」
イアンはそう言いながら右手の中指に指輪を付ける。
イアンは風見鶏でこの指輪をロッドのかわりに使用するようになった。この方がロッドよりも魔法が使いやすかったからだ。
「ふむ。だが、こちらにも心強い見方がいるのだよ?そう簡単に負けはしないさ」
巴はそう言いながら、美琴の頭の上に手を置く。
「緊張しなくてもいい。いつもどおりで十分勝てる。彼の魔法は分かっているだろう?」
そう、二人はイアンが相手だと知るや、直ぐに対イアンの練習も行なってきた。
もちろん、ダークネスへの対策も考えながらだ。
「僕を一年前の僕と同じにしないほうがいい。それに、瑠璃香も十分強くなっている」
「そんな、恐れ多いです。イアン様」
そんな会話をしていると始まりの合図の音が空間の中に響きわたった。
「美琴、お前は作戦通りに瑠璃香を頼んだぞ!」
「はい!」
「瑠璃香、僕は巴さんとやらせてもらう!」
「了解です!」
四人が同時に空間内を駆け出した。
「ハァァ!!」
「よっと」
美琴の電撃を瑠璃香は軽々よける。
「へぇ~。たしかに、主席で戦闘能力がトップというだけありますねぇ」
「よけずに当たればもっとわかるかもよ!」
片手に電気の球を作りそれを瑠璃香に向けて放つ。
「嫌ですよ。だって、ビリビリしそうですし、今後にも影響しそうじゃないですか」
瑠璃香はそう言いながら美琴の攻撃を紙一重でよけていく。
(やっぱりこの人強い。映像だけでなくて実際に見て分かった。この人は、私が本気を出しても敵わない。なら……少し、本気出してもいいよね!)
美琴は瑠璃香と少し距離を離れる。
「どうしました?猛攻撃は終わりですか?
「もっと強くなりたい…」
「え?」
美琴は体に電光を纏う。
「『電光化』!!」
美琴は一気に魔力をふくれあがらせる。
その圧倒的な魔力に瑠璃香ですら驚く。
「クッ!これは凄すぎです。カテゴリー4でも十分やっていけるだけの魔力です。でも、私もイアン様の従者です。負けませんよ!」
そのまま、瑠璃香と美琴は肉弾戦を始める。
最初はお互いの力は拮抗していた。
しかし、少しずつ美琴が圧倒し始める。
「ハァハァ。さすがですね、美琴さん。あなたならもしかしたら近いうちに魔法使いの歴史に名を刻むことができるかもしれません」
「そりゃ、どうも。でも、そろそろ、終わりにしたいんだけど…?」
美琴はファイティングポーズをとる。
「えぇ、そうですね。本番を始めたいですし。では!」
瑠璃香の右腕に黒と白の刻印が刻まれる。
「見せてあげましょう!私の本気を!」
瑠璃香は体中に魔力を広め、高めていく。
「そう…!?なるほどね!行くわよ!」
美琴は瑠璃香の下に駆け抜けた。
「こうして、巴さんと魔法をぶつけ合うなんていつ以来でしょうね」
「フム。確か、君が一年生の時に私に喧嘩を売ってきたときではなかったか?」
イアンが重力系の魔法で巴の動きを制限しながら会話をする。
イアンの重力系の魔法の中をを巴は無理やり動く。
「さすがですね、巴さん。その剛力、また力が上がったんじゃないですか?」
イアンが巴の接近を回避しながら魔力弾を打ちながらそう言う。
「イアン君こそなかなか重力の力もでかくなっているぞ。風見鶏の入学時とは大違いだな!」
「グフッ!」
巴の力にイアンが押し負け、遂にイアンにクリーンヒットが入ってしまう。
しかし、重力操作で力を逃がしたイアンはすぐに立ち上がる。
「さすがに、クリーンヒットはもらえないか」
「クッ、やっぱり強いですね。巴さんは。これが、本当の戦いならどれだけ嬉しかったことか」
「あぁ。…ん?イアン、瑠璃香が本気を出したようだぞ?」
巴の一言に美琴と瑠璃香
「もう少し、巴さんと戦っていたかったが仕方ないか…」
イアンが魔力を上げていく。
それに応えるように巴も魔力を上げていった。
イアンは瑠璃香の下に、巴は美琴の下に化成するために走って向かった。
結果は巴と美琴の勝利で幕を閉じた。
しかし、一番疲労が大きかったのは美琴だった。
初めて、観衆の前での戦闘に緊張などもあり、かなりへばってしまっていた。
「ハァハァ、勝てた…」
「お疲れ、美琴。よく頑張ったな」
「すみません、イアン様」
「いや、構わない。僕も巴さんには敵わなかったんだから」
4人が帰ってくると4人の戦闘を見ていた魔法使いが皆が拍手を始めた。
巴、イアン、瑠璃香は堂々としていたが、美琴は驚きに困惑してしまっていた。
すると、一人の男性が四人に近づいてきた。
「実に素晴らしかった。とてもよい試合を観させてもらったよ」
「あの、失礼ですがどなたですか?イアン君たちの知り合いかい?」
巴は後ろのイアン達に聞くが二人とも首を横に振る。美琴の方も見るがすぐに首を横に降った。
「ん?ではあなたh……グハッ!!」
巴が振り向き男性の方に振り返ろうとする巴の胸に男の腕が貫いた。
「はじめまして、私の名前はミスターT。そして、さようなら。五条院巴。まずは一人……次は誰だ?」
男の姿はゆっくりと黒き男性の姿に変わっていった。
ミスターTが魔法祭に現れることにより、自体が急変する……
ミスターTの影響は地下世界だけではなく、地上世界にも与えていく……
そして……
ロンドンが深い霧の世界へ誘われる……
次回「広がる霧」
残りは風見鶏の生徒とお前たちだけだ。お前たちからも分けてもらうぞ……
その想いとやらを……