ハイスクールD×D 桜物語   作:孤高の桜

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広がる霧

ロンドンAチームside

 

 

「不気味だな…」

 

 

愛紗の声に星と黒歌は頷く。

 

 

なぜ3人かというと、他の静流とゼノヴィアと手分けしているからだった。

 

 

静流の考えた班分けは愛紗、星、黒歌の3人と静流、ゼノヴィアの2人だった。

 

 

静流は自身の班は実力から二人で大丈夫と判断した。

 

 

そして、自分の戦闘と相性のいいゼノヴィアをパートナーと決めたのだ。

 

 

「愛紗、星、聞いてもいいかにゃ?」

 

 

黒歌の声に前を歩いていた二人が振り返る。

 

 

「何だ?」

 

 

「ここってロンドンよね?」

 

 

「そうだが?」

 

 

黒歌の質問に星が答える。

 

 

「私、ロンドンに詳しくないからよくわからないけど、ロンドンってこんなに静かな街にゃ?」

 

 

「「!?」」

 

 

黒歌の一言に愛紗と星が周りを見渡す。

 

 

すると、二人も緊張で気付かなかったがよく見れば人が一人もいなかったのだ。

 

 

「それにだんだん霧が濃くなっているような気がするにゃ。二人とも離れないで欲しいにゃ」

 

 

黒歌は二人を近寄せながら言った。

 

 

黒歌は直ぐに持っていた携帯を取り出し、静流に連絡を入れようとするが直ぐに閉じる。

 

 

「どうした、黒歌!」

 

 

「ダメにゃ。圏外になってる。連絡を絶たれたにゃ。それに敵さんがおでましになったにゃ」

 

 

黒歌は前を向いてそう呟く。

 

 

それに釣られるように愛紗と星も周りを見る。

 

 

そこには黒い仮面の男…ミスターTが複数名立っていた。

 

 

その数は二桁を超えていた。

 

 

「ミスター……T!!」

 

 

「なっ!?なんだあの人数は!?」

 

 

「幻覚じゃないにゃ。全部実体を持ってるにゃ。」

 

 

愛紗の怒りの声と星の驚きの言葉に黒歌が猫耳と二本の尻尾を動かしながら答える。

 

 

「風見鶏の連中だな…。まぁいい。貴様らにはここにいてもらう。ダークネス様の邪魔はさせん!」

 

 

それぞれのミスターTが両手に魔力を溜める。

 

 

「ハァァ!!」

 

 

黒歌が瞬間加速を使い、一人のミスターTの懐に入って氣をまとった拳で吹き飛ばす。

 

 

「やっぱりにゃ。愛紗!星!」

 

 

「黒歌、後ろだ!!」

 

 

「わかってるにゃ!」

 

 

後ろから迫るミスターTの攻撃を後ろを見ずに体を回転させながらよける。

 

 

「な、何っ!?」

 

 

「ハァ!仙拳!」

 

 

そして、片手に氣を溜めて、反撃する。そして、吹き飛ばされたミスターTはやはり霧となって消えていった。

 

 

「これが、黒歌の本気…」

 

 

「強すぎる…。我々ですら全然敵わなかったあいつを複数名倒すなんて…」

 

 

二人は驚きを隠せなかった。

 

 

しかし、二人の後ろにもまたミスターTが迫っていた。

 

 

「二人とも、しゃがむにゃ!!」

 

 

「「っ!?」」

 

 

黒歌がいち早くその存在に気づき、二人に指示を出す。

 

 

黒歌の言葉に一瞬で反応し、二人はその場でしゃがみこむ。

 

 

「水仙砲!!」

 

 

黒歌の両手から氣で固められた水が放たれる。

 

 

その攻撃をミスターTたちはよけることができずに貫く。

 

 

またもや、霧となって消えていった。

 

 

「二人とも、戦闘中に気を抜いたらいけないにゃ!」

 

 

「「す、すまん…」」

 

 

黒歌の声に二人は直ぐに謝った。

 

 

「まぁ、いいにゃ。それにあいつらはただの実体を持った幻覚にゃ」

 

 

「どういうことだ?」

 

 

黒歌はミスターT達を睨みつけながら言う。それに早く反応したのは星だった。

 

 

「ミスターTの実力は二人から聞いたとおり強いと思っていたにゃ。でも、あの大群はそんなに強くないにゃ。それに、一撃入れる事に消えていく。これは仙術の一つ『分身』をうまく変化させている技にゃ。そこに幻覚を入れたりアレンジをしているにゃ。その分、個体ごとの戦闘力が落ちている。このことから考えると本当に私達を足止めするのが目的みたいにゃ…。それに、この霧……。もしかしたら、私たちは既に幻覚に近い空間に閉じ込められている可能性があるにゃ。既に『永遠に訪れない五月祭』が始まっている可能性も…。このことをみんなに伝えないと…」

 

 

「なら、話が早いな。星よ!」

 

 

「あぁ!」

 

 

二人はすぐさま禁手を発動させる。

 

 

「どのみち、超えなければならないのなら超えるまで」

 

 

「我々も同じ相手に二度も負けるわけにもいかないのでな。黒歌、ここから急いで出て、皆に伝えるぞ!」

 

 

二人はミスターTの分身たちの中に飛び込む。

 

 

「ハァ。それは私のセリフにゃ…」

 

 

黒歌も釣られるように二人の後ろを追いかける。

 

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロンドンBチームside

 

 

3人がミスターTに襲われている中、ゼノヴィアと静流も静かに行動を起こしていた。

 

 

「静流よ、気がついているな?」

 

 

「…当たり前だ。霧が……」

 

 

二人は、気がついていた。

 

 

自分たちの周りの霧が濃くなっていることに…。

 

 

「…それに、人がいない」

 

 

「携帯やシェルも圏外になっている。静流、どうする?」

 

 

「ウム。この状況なら最も考えられるのは敵の奇襲…。だが、それよりも私たちは攻めることにする。……っ!?ゼノヴィア、少しここで待っていてくれ」

 

 

「なっ!?静流!?」

 

 

静流は何かに気づき、そのまま、壁を蹴って上空に飛んでいってしまう。

 

 

そして、静流は建物の屋上にたどり着く。

 

 

「ッ!?……あれが夢幻城」

 

 

静流の目の先には巨大な城が浮遊しているのが見えた。

 

 

「あそこにダークネスが……」

 

 

静流はその場からゼノヴィアのいる場所までまっすぐに落ちる。

 

 

「どうしたのだ、静流よ。突然上に登っていって」

 

 

「目標変更だ。このまままっすぐに行く。その上空に夢幻城と思われる城が存在していた」

 

 

「それは本当か!」

 

 

ゼノヴィアの言葉に静流は頷いてみせる。

 

 

「だが、その前に…」

 

 

静流は周りを見渡す。

 

 

「こいつらを片付けなければ…」

 

 

ゼノヴィアと静流は自分たちの周りに現れたミスターT達に自分たちの武器の刃を向けた。

 

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はじめまして、私の名前はミスターT。そして、さようなら。五条院巴。まずは一人……次は誰だ?」」

 

 

巴の胸をミスターTの腕が貫いた。

 

 

「グフッ!……貴様ッ!!グァァァァ!!」

 

 

巴がミスターTを睨みつけ、その腕を握ろうとするとミスターTの腕が巴の胸から抜かれ、大量の血が流れる。

 

 

「ッ!?貴様ぁぁぁぁ!!ッガハッ!」

 

 

イアンが巴の下に駆け寄ろうとした瞬間、ミスターTがイアンの背後に回り、背後から殴り飛ばす。

 

 

「こ、これは!?」

 

 

そこに居た杉並ですら驚きを隠せなかった。

 

 

今までいた風見鶏の騎士達の姿が黒い霧のようになり、消えていったのだから。

 

 

「残りは風見鶏の生徒とお前たちだけだ。お前たちにも分けてもらうぞ……。その想いとやらを」

 

 

ミスターTはゆっくりと杉並に手を伸ばす。

 

 

しかし、杉並にミスターTが触れようとした瞬間その場からまた杉並も白い霧のようになり消えていく。

 

 

「な、何が起こっている!?」

 

 

ミスターTが驚く。

 

 

「ハァァァァァ!!!」

 

 

ミスターTはあまりの殺気にその場を退く。

 

 

すると其処に大穴があくような一撃が放たれる。

 

 

「な、誰だ!!」

 

 

すると、ゆっくりと舞っていた煙が晴れていく。

 

 

「おいおい、先程お前が殺した女の声と名前も思い出せないか?」

 

 

そこから黒髪の少女が姿を現す。

 

 

そして、後ろにひとりの少年と二人の少女も姿が見えていく。

 

 

さらに倒れているであろう死体も白い煙のように消えていく。

 

 

「なら、教えてやろう。お前の記憶に刻み込むがいい。お前を倒す魔法使いの名を!私の名前は……」

 

 

ゆっくりと拳をミスターTに向けていく。

 

 

「五条院巴。風見鶏公式新聞部『金将』だ!」

 

 

その瞳にはミスターTへの怒りの想いが込められていた。




『出来損ないの魔法使い』……


それが、私のガーディアン時代のあだ名だった……


全てが嫌だった……


自分の存在を否定する周りが嫌いで……


周りに無視される自分の存在が嫌いで……


何よりも、あの人を助けられなかった自分を恨んでいた……


清隆たちと出会い、私の想いは変わったと思ってた……


でも、私の中の闇はまだ居続けていたんだ……


私が存在するから皆は傷ついていくのだろう……


次回「五条院巴VSミスターT」


闇紡ぐ禁忌の魔術の力に……


巴の過去の想いが目を覚ます……


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