ハイスクールD×D 桜物語   作:孤高の桜

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五条院巴VSミスターT

「五条院巴……だと。貴様はさきほど殺したはず。なぜ……」

 

 

ミスターTが少し考える。すると何かに気づく。

 

 

「なるほど……。幻覚か。いつから……」

 

 

「答えてやる義理はないよ。それよりも、3人はここからすぐに皆の下に向かってくれ」

 

 

「で、でもここに巴さん一人に「御坂様、行きますよ!」オーデットさん!?」

 

 

美琴の言葉を聞かずに瑠璃香が引っ張っていく。

 

 

「ここにいても我々では彼には手も足も出ない。むしろ、巴さんの足枷になってしまいかねません」

 

 

美琴は瑠璃香の言葉を聞いて反論できずにそのまま3人でその場を後にした。

 

 

「3人が出ていくまで待ってくれるなんて優しいところもあるじゃないか?」

 

 

「そんなこともない。ここで倒そうが向こうで倒そうが変わりないのだからな」

 

 

「そうか、まぁいい。お前には聞きたいことが沢山あるんだ……」

 

 

巴はゆっくりと拳を握りしめる。

 

 

「この拳に我が全ての想いを乗せて……」

 

 

巴の二つの拳に魔力が凝縮されていく。

 

 

「フン、面白い。だが!」

 

 

ミスターTの姿が消え一瞬のうちに巴の前に現れる。

 

 

そして、ミスターTの拳が巴を襲う。

 

 

しかし、その攻撃をすべて巴はよける。

 

 

「遅すぎる!」

 

 

巴の拳がミスターTの腹部にクリーンヒットする。

 

 

「グハッ!」

 

 

ミスターTはよけきれずにそのまま後退してしまう。

 

 

「お前は私から命よりも大切な人たちを奪った。多分、清隆は許しはしないだろう。だが、私は自分を制御できそうにない」

 

 

巴は加速し、ミスターTに接近する。

 

 

「「ハァァァァァ!!」」

 

 

お互いの拳が空を切る。

 

 

お互いがお互いの攻撃をよけながら攻撃を繰り出す。

 

 

その攻防に先に焦りを感じ始めたのはミスターTだった。

 

 

「な、何が起こっているんだ!?なぜ、貴様は私の攻撃をよけられる!」

 

 

「よける?あぁ~、そんな『空間をねじ曲げる魔法』は私には効かないよ」

 

 

「ッ!?」

 

 

ミスターT一の一瞬の驚きの隙に巴の攻撃がクリーンヒットする。

 

 

「ハァハァ、なぜ私の魔法が効かない……」

 

 

「舐めるな。私がどれだけの死線をくぐり抜けていると思っているんだ?初めて戦う相手に無防備に戦う訳がないだろう?それに貴様が愛紗達と戦った時の状況を聞いていたよ。重力や空間系の魔法だということはすぐに理解した。だからこそ、私の周りにはそういう私への干渉系の魔法をシャットダウンする魔法を発動しているのだよ」

 

 

「なるほど……。素晴らしい。そこまでたどり着いたのは貴様が初めてだ。なら、その栄誉をたたえて、貴様には私の本気の本気で相手をしてやろう」

 

 

ミスターTの体に黒い魔力が煙のようになり、まとわりつく。

 

 

「なんだ、この魔力は…。吐き気がするぞ…」

 

 

「行くぞ、五条院巴。見せてやる。本当の闇を…」

 

 

ミスターTの腕から黒い触手が飛ばされる。

 

 

「そんなもの!」

 

 

巴はその攻撃を足に魔力を溜め、高速移動でよける。

 

 

「無駄だ。これは闇……。逃げることなぞ出来はしない」

 

 

触手から更に触手が次々と生えていき、巴を襲う。

 

 

「なら、すべて切り刻むまで!見せてやる我が親友の技を!」

 

 

巴はさらに足に魔力を溜め、空中に飛ぶ。

 

 

「馬鹿め!空中では逃げ場なぞない!」

 

 

ありとあらゆる方向から黒い触手が巴を襲う。

 

 

「逝くぞ、風神・鎌の舞姫!!」

 

 

巴は超高速の蹴りをすべての方向に放つ。

 

 

その攻撃の速さに空気が揺れ動き、斬撃のように飛んでいく。

 

 

巴がゆっくりと着地する。

 

 

それはまるで風を操るリッカの姿そのものであった。

 

 

そして巴の周りには黒い触手の残骸がバラバラと落ちていく。

 

 

「今のを全て切り裂いたというのか……」

 

 

「風見鶏は清隆とリッカのツートップのチームじゃない…」

 

 

巴はゆっくりと言葉を紡ぐ。

 

 

「個々の想いの拠だ。それ故に皆の力は進化し続ける。風見鶏を舐めるな!」

 

 

「クックック、ハッハハハハハハ!!」

 

 

巴の言葉にミスターTは突然笑い出した。

 

 

「何がおかしい?」

 

 

「あぁ、別におかしくない。だが、いいのか?風見鶏にそれほどに一騎当千の魔法使いがいるとは思えなくてね。だが、君もまだまだ甘い」

 

 

「なっ!?」

 

 

巴を囲むように巨大な魔方陣が突如現れる。

 

 

「最初から貴様を舐めてはいない。むしろ、切り裂くとそう思っていたからこそのこの魔方陣だ。ここからが本当の闇への誘いだ」

 

 

「ぐ、グアァァァァァァァ!!!」

 

 

巴は突然その場に座り込んでしまう。

 

 

まるで何かに怯えている少女のように……。

 

 

「無駄だ。この魔術はそのなかにいる対象人物の心の闇を無理やり引きずり出すものだ。禁術『輪廻の理』。どれだけ、貴様が強かろうとその魔術が発動すればもう何もできまい」

 

 

「やめてくれ!やめてくれぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

巴の絶叫がその場に鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巴side

 

 

そういつからだっただろうか。

 

 

私に魔法の才能がないと自覚し始めたのは。

 

 

そうだ、ガーディアンにいたときに灯花と出会った時だ。

 

 

あの圧倒的な力の前にひれ伏すしか出来なかったんだ。

 

 

私にはなんの才能もない。

 

 

そう告げられ捨てられた。

 

 

力がないから…。

 

 

だから、私の許嫁一人守ることもできなかった。

 

 

私には何もない…。

 

 

何も手に入れることができない…。

 

 

どんなに頑張ってもどうすることのできない事実。

 

 

私が何かを望むことは間違っているのだろうか…。

 

 

『あなたには才能がないわ』

 

 

……やめてくれ。

 

 

『そんなの魔法使いとしても魔術師としても屑よ』

 

 

……やめてくれ。

 

 

『出来損ないが。もう来るんじゃねぇ』

 

 

やめてくれぇぇぇぇ!!

 

 

そんな目で見るな!

 

 

私をそんな目で見ないでくれェェェ!!

 

 

『あなたが何かを望むなんて間違っている。出来損ないのあなたが…』

 

 

目の前に私が現れてそう告げる。

 

 

『だからあの人も死んだ。あなたが弱いから』

 

 

それでも、私は!

 

 

『いい加減諦めろ。お前が全て悪い。お前の存在が全て悪いんだ』

 

 

 

……ッ!?

 

 

私が全て悪い……?

 

 

『そうだ。お前が全て悪いのだ』

 

 

私は……

 

 

そう思ってしまったとき、一枚の桜が私の目の前を通り過ぎた。

 

 

『あなた、綺麗な黒髪ね。もしかしてジャパニーズ?』

 

 

誰だ?私に話しかけてくるのは……。

 

 

『もしかして、魔法使い?なら、風見鶏に用かしら?』

 

 

これは……過去の記憶?

 

 

『へぇ、忍者の家系の生まれなんだ。でもなんで魔法使いに?』

 

 

止めてくれ。そんな期待した目で私を見るな!

 

 

私は無意識にその過去の記憶を取り除こうとするが全然離れない。

 

 

『魔法が苦手でもいいじゃない』

 

 

お前に何がわかる!

 

 

お前はいったい誰なんだ!

 

 

『あなたにはまだまだ可能性があるじゃない。そんな簡単に諦めていいの?』

 

 

うるさい!うるさいうるさいうるさい!!

 

 

自分に何かがひつこくまとわりついてくる。

 

 

『どれだけあなたが拒もうと私たちはあなたを否定しない!』

 

 

……え?

 

 

その力強い言葉に一瞬だけ心を奪われてしまう。

 

 

『あなたがどうであれ、周りがどう言おうと私たちは絶対にあなたを否定しない!あなたが帰る場所を求めるならここに帰ってくればいい!!そう―――――』

 

 

最後の部分だけが聞き取れなかった。

 

 

気が付けば自分の周りには桜の花がいくつも舞っていたのだ。

 

 

そうか……お前だったのか…。

 

 

私を導いてくれるのは……。

 

 

『な、なんだこの桜は!』

 

 

目の前の私は突然のことに困惑しているようだ。

 

 

私はいつだって皆に甘えてばかりだな。

 

 

『こんなところ、あなたには似合わないわ……』

 

 

そう言って金髪の少女は私に手を差しのべる。

 

 

「あぁ、行こう。我が親友『リッカ・グリーンウッド』!!」

 

 

そう手を掴んだ瞬間、リッカの姿は消え、目の前にいた私も周りの闇ごと消えていく。

 

 

さぁ、帰ろう。私の帰るべき居場所『風見鶏』に!!

 

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、次は先程逃げた風見鶏の連中か「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」ッ!?」

 

 

ミスターTが部屋から出ていこうとすると突然の叫び声に振り向く。

 

 

そこには闇に取り込まれているはずの巴の姿が見えた。

 

 

しかし、先ほどとは明らかに違った。

 

 

まるで、闇が光に浄化されているようだったのだ。

 

 

「な、何が起こっているんだ?……まさか!?『輪廻の理』が崩れているいうのか!?」

 

 

すると、徐々に闇が晴れていき、ゆっくりと巴が立ち上がる。

 

 

「ひどい悪夢だった。最悪の目覚めだ。だが、思い出せたこともあった…」

 

 

巴の瞳にはミスターTの姿が映る。

 

 

「私を助けてくれたリッカを、清隆を次は私が助ける番だ。風見鶏の、私たちの絆を舐めるな!」

 

 

巴の拳に緑の魔力が灯った。

 

 

 

 




大切な仲間を取り戻すために拳を振り上げる巴……


それに相対するのは大切な人達と明日を迎える為に全てを捨てたミスターT……


二人はそれぞれの大切な時間を取り戻すために……


自らの時間を天秤にかける……


自分の時間を拳に宿し……


自分の時間で傷を癒す……


二人はすべての時間を大切な人達の為に捧げる……


次回「それぞれの守るもの」


この世界で最後…。最後を飾るにはふさわしいだろう。風見鶏、葛木清隆、そして……リッカ・グリーンウッド…
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