見捨てられた俺と追放者を集める女神さま スキルの真価を見つけだし リベンジ果たして成りあがる   作:腰尾マモル

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【第188話】大嘘の誓い

 

 

 

「レック、俺はレナ達を助けてくれたことだけではなく祖国や大陸の事を思って動いているお前が罰せられるのは嫌だ。だから、ここは1つ共同で嘘をつかないか? ガーランド団が得た有益な情報は『帝国第四部隊と協力して得る事ができた』という話にしてしまえばいいんだよ。その手柄を持ってモードレッド達に許してもらおうぜ」

 

 俺が突然持ち掛けた『嘘の報告をする』という提案にレックは声を失って驚いていた。数秒の沈黙が場を支配したあと、最初に口を開いたのはサーシャだった。

 

「本気なのガラルド君? それは帝国どころか大陸各国に嘘をつき通すことになるんだよ? 大丈夫なの?」

 

「幸い今、話している内容はガーランド団の一部とレックだけしか聞いていない。あとは政治的に関わったグラハム王やソルさん達にさえ話を合わせて貰えばなんとかなるさ。それにイグノーラの民衆はガーランド団の細かい動きまでは把握してないはずだし、帝国第四部隊の事は街の危機に駆け付けてくれた英雄のように思っているはずだ」

 

「……確かにそうかも。だけど、ドライアド代表としてこれだけは言わせて。この嘘をついてレックさんを守るとしても、主軸となって活躍したのはガーランド団って伝えさせてもらうよ? じゃないとお人好しのガラルド君は手柄をほとんどレックさんに譲ってしまいそうだから」

 

 信用されているのかいないのかサーシャは俺に釘をさしてきた。実際のところ手柄を多めに譲ろうとしていたからサーシャの懸念は正解である。思考が完璧に読まれていて少し恥ずかしい。

 

 それにしてもサーシャはどんな時も冷静で賢い子だ。大陸南側を旅して得た情報は値千金どころの話ではない。人々の未来を左右しかねない重要な情報だ。

 

 この情報をどうするかで魔獣から大陸を守れるかが決まるぐらいだ。情報を持って帰るということは大陸中の国々から大きな評価を得ることに繋がる。だからこそ為政者であるサーシャは譲れる実績のラインを明確にしたいわけだ。

 

 俺はサーシャの出した条件に頷いたあと、リリスにも同意を求める。

 

「ってことで、リリスもそれでいいか?」

 

「私はガラルドさんについていくだけですので賛成ですよ。グラッジさんもそれでいいですか?」

 

「僕はガーランド団に所属しているわけでもなければイグノーラの為政者でもないので何も言える立場じゃありません。それでも意見を言わせてもらえるのならガラルドさんの優しさに賛成です。それに帝国第四部隊が救世主であることは事実です。一個人としては街に銅像を立ててあげたいぐらい称えたい存在ですよレックさんは」

 

 リリスがナチュラルにグラッジに問いかけていて俺も何も違和感が覚えなかったが、そういえばグラッジはガーランド団に所属する人間ではなかった。

 

 この戦争が片付いてもずっと一緒に冒険したいけれど、もしかしたらこの戦いでお別れなのかもしれない。そう考えると途端に辛くなってきた。

 

 だが、センチメンタルになっている場合ではない。今は今後の事を話し合っておかなければ。俺は再びレックの方へ向き直り『手柄を分け与える作戦』を実行する事を伝える。

 

「そういう訳だから心配しなくてもいいぞ、レック。お前は俺達を助けたんだから俺達もお前を助ける。大船に乗ったつもりで大陸北へ帰ろうぜ、と言っても未だに帰り方は決まってないがな、アッハッハッ」

 

「笑い事ではないぞ……だが、ガラルドの器のデカさには頭が上がらないな……ありがとう、本当にありがとう。ガーランド団の優しさに甘えさせてもらう事にする」

 

 レックは俺に釣られたのか、それとも安心したのか今日一番の笑顔で握手を求めてきた。その手を握り返し、俺達は『大嘘の誓い』を果たすこととなった。

 

 

 とりあえずレックと俺達が大陸の北側へ帰る際の流れは決定した。とはいえ帰ってから帝国の偉い人間に対して『どのようにしてワン・パラディアが作り出した魔力砲などの兵器を所持する事が出来たのか』を問い詰めればいいのだろうか……。考えるだけでも緊張する。

 

 いや、帰る帰らないの話をする前に俺達はまずイグノーラの危機を救わなければ。それができなければここで命を散らすことになる。何とかして魔獣群を退けなければ、その為には1秒でも早く回復して前線で頑張っている兵士と民衆に合流しなければいけない。

 

 俺とグラッジとレックはサーシャのスキル『アクセラ』で体力回復を受け続けた。診療所の外ではずっと人間と魔獣の声があがっていて戦いの激しさを感じさせる。

 

 10分、20分と時間が流れて、ようやく少しぐらいなら戦えそうな程に回復してきたところで突然外から聞こえていた人々の声が聞こえなくなった。

 

 一体何があったのかと慌てて診療所の外に出ると伝令の兵士が俺達に近況を伝えてくれた。

 

「ガラルド様、グラッジ様、ご報告です! 我々は間もなく魔獣を殲滅しきれるかというところまできたのですが、突然、青の魔人ことザキールが高い位置から声の届く高さまで降りてきたのです。そして奴はグラハム王を人質にとったまま『ガラルドを連れてこい!』と怒鳴っているのです……」

 

 どうやら兵士と民衆は遂に勝利目前のところまでがんばってくれたようだ。遂に……遂に勝利が目前まで迫ってきたのが本当に嬉しい限りだ。だが、既に敗北濃厚なザキールが今更俺達の前に現れて何をするつもりなのだろうか?

 

 考えられるのはグラハム王の命と引き換えに何か要求してくるあたりだろうか? しかし、魔獣寄せを持つグラハム王の命はむしろ魔獣側にこそ必要なものであり殺す訳にはいかない存在だ。戦争における大事なファクターなのだから、そんな取引をしてくるとも思えない。

 

 ザキールには元々『イグノーラを滅ぼす』任務と『俺を父親のところに連れて行く』任務があった。前者は失敗に終わった訳だから俺を連れて行く任務だけでも達成したいのかもしれない。

 

 もし、そうならザキールに近づかない方が良いのだろう。だが逆に言えば俺が近づけばザキールも地上に着地せざるを得ない訳だからザキールを捕縛する唯一のチャンスかもしれない。

 

 俺は自分の考えを仲間達に伝えると一番消耗しているリリスが「私も最後を見届けさせてください」と言って、ついてくることになった。

 

 結果、俺、リリス、サーシャ、グラッジ、レックの全員でザキールが待っている南城門前まで歩いて行くことになった。

 

 

 

 

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