見捨てられた俺と追放者を集める女神さま スキルの真価を見つけだし リベンジ果たして成りあがる 作:腰尾マモル
緊張を抑えながらザキールが待つ南城門前まで歩いていると南城門から1番近い位置にある診療所の外で1人の女性が背を向けて立っていた。
どことなく見覚えのある後ろ姿をした女性は誰かを待っているようでキョロキョロとした後、こちらを振り向き満面の笑みで俺の前まで駆け寄ってきて声を掛けてきた。
「お久しぶりです! ガラルドさん!」
「ヒ、ヒノミさん! レックと一緒に来てくれたとは聞いていたが、ここに居たのか!」
その女性はヒノミさんだった。久しぶりの再会に手を握って喜び合った俺達だったが今はゆっくりと話している時間がない。俺はすぐに別れの言葉を伝える。
「お互い何があったかゆっくりと話したいところだが、今はちょっと急いでいるんだ。また後で話そうヒノミさん」
「私も伝令の兵士さんから状況はお聞きしています。この城門を超えた先にいるザキールという魔人に会いに行くのですよね? だから私はガラルドさんを探していたんです。この箱の中にある物を役立ててもらう為に」
そう言うとヒノミさんは俺の前に細長い箱を差し出した。横幅こそ短いが長さは俺の胸の高さぐらいまである細長い箱を開けてみると中には剣……と言っていいのかも分からない謎の物体が入っていた。
剣の柄こそしっかりしているものの刀身の部分がほぼ透明でガラスを細長い円柱にしたような刃すらない剣だった。俺が「これは何だ?」と尋ねるとヒノミさんが説明を始める。
「この剣は
「別の人?」
俺が問いかけるとヒノミさんはリリスとサーシャの方を見て、にっこりと微笑む。まさか2人がプレゼントしてくれたのかと顔を覗き込むとリリスは体をクネクネさせて照れている。
そして、リリスはこの武器がどういう経緯でつくられたのかを教えてくれた。
「実はコロシアムの後、私とサーシャちゃんでオーダーメイド武具をプレゼントしようと計画していたんです。いつも無茶をするガラルドさんを守りたかったですし、ジークフリートの工場を取り戻せばきっと作れると思いましたので。ジークフリート奪還後はドライアド復興や色んな街への旅でバタバタとしていて製作が渡航までには間に合わなかったんです。なので今ここに武器があるのは後から死の海を渡って武器を運んできてくれたレックさんのおかげですね」
まさか、そんな昔の頃から計画を立てていてくれたなんて思いもしなかった。嬉しくてちょっと泣きそうだ。そんな俺の涙腺へ追い打ちをかけるようにサーシャがお礼の言葉を贈ってくれた。
「仲間でも敵でも、いつも誰かの為に頑張ってくれるガラルド君のことが皆大好きだよ。だから、技術者の皆も喜んで手伝ってくれたの。私達の感謝の気持ち……受け取ってね」
2人の顔を見つめたら涙がこぼれてしまいそうだから俺は深呼吸をして上を向く。上を向いてまばたきをしなければ涙がこぼれないと信じて。
別に泣いたらいけない訳ではないが大事な仲間に涙を見られるのは恥ずかしいのだ。気合を入れてギリギリのところで堪えられた俺は2人に気持ちを込めて礼を伝える。
「皆からこんなに良くしてもらえて俺は果報者だよ。ホントに……ホントにありがとな」
しんみりした空気の中で妙に微笑んでいるレック、グラッジ、ヒノミさんが気になったりもしたが、揶揄われても嫌だから俺は強引に話を剣の特性に戻す。
「教えてくれヒノミさん。この
「アイアンさんによると、どうやら
言葉だけではいまいちピンとこない俺はヒノミさんの言葉に従って刀身の周囲に
それと同時に刀身から微弱な引力の様なものも感じ、砂が刀身から離散しないような工夫も施されているようだ。どうやら特殊な鉱石と技術者たちの加工が不思議な機能を成立させているようだ。
剣は魔力を強く込めれば込める程、回転速度が上がるようだ。早速試し斬りをしてみたくなった俺は
すると、込めた魔力と釣り合いがとれない程に回転力を生み出した剣が冷たく無機質な破裂音と共に岩を粉々にしてしまった。
音速で回転しているのかと思わされる程に強烈な旋回を見せた砂は1度の衝撃でバラバラに散らばり同様に刀身も砕けてしまう。砂も刀身もバラバラになった後、水中に浮かぶ藻のようにフワフワと柄のあたりを漂っていた。
「ええぇぇ! 壊れちまったぞ、大丈夫なのかヒノミさん?」
「問題ないですよ。
なるほど、連発できる都合の良い剣ではないようだ。だから戦闘で使う際もここぞという時に使うようにしておこう。隙を作り出す時や牽制する際は今まで通り、拳と棍で戦うのが良さそうだ。
とはいえ、これはかなり強力な武器だ。魔力を全開に込めたらどれほどの威力を発揮するのだろうか? 楽しみでもあり少し恐ろしくもある。
俺は改めてヒノミさん、リリス、サーシャに礼を言って