見捨てられた俺と追放者を集める女神さま スキルの真価を見つけだし リベンジ果たして成りあがる   作:腰尾マモル

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【第211話】ウンディーネの昔話

 

 

 

「俺とリリスが新しいスキルを? 一体どんなものなのか教えてくれウンディーネさん!」

 

 これまで俺は先天スキルの回転砂しか持っていなかったし、リリスは逆に後天スキルのアイ・テレポートしか持っていない。俺の素材図鑑(マテリアル)もスキルのように便利ではあるが、昔から使えるし鑑定でも表記が出なかったからスキルではない。

 

 新しく発現するとしたら俺は後天スキル、リリスは先天スキルという事になる。どんなスキルなのだろうかとワクワクしながらウンディーネさんを見つめると彼女は驚きの言葉を口にした。

 

「女神を名乗っていて、なおかつ長生きであるわたくしがこんなことを言うのは恥ずかしいのですが、部分的にしか解読できませんでした……。この中で古代文字に精通している人がいましたら力を借りたいのですがどうでしょうか?」

 

「あの~、一応サーシャは古代文字の勉強をしていますけど……」

 

「そうでしたか、ではサーシャさんと一緒に解読を進めてみますね」

 

 2人は相談しながら解読作業を続けた。それにしてもスキル鑑定が完璧に出来る女神ですら読めない古代文字があるとは驚きだ。

 

 『神』という字がついていても神獣と同じように怪我もすることもあれば知識だって最初から備わっている訳ではないんだ。少し魔術などに優れているだけで普通の人間とそう変わりない存在なのかもしれない、リリスみたいに人間より人間臭い女神もいることだし。

 

 2人が解読作業を終えるとウンディーネさんが分かる範囲で説明してくれた。

 

「ガラルドさんの新スキルは『変化』と『起動』という単語だけが読み取れました。いや、それすら間違っている可能性もありますが。リリスさんの新スキルは『何かを取り込む』ような記述がされているようですが、こちらも断言はできません」

 

 女神でも分からないと言っていた状態から幾つか単語の解読が進んだだけでもサーシャは相当お手柄だ。

 

 またどこか別の国に行ったりしてサーシャの知識量が増えれば解読はより進むかもしれない。とりあえず石版だけは預かっておいて今後に備えておこう。

 

 俺とリリスがお礼を伝えるとウンディーネさんは興味深い話をしてくれた。

 

「新スキルのヒントは手に入れられたので日常的に色々と試してみるといいかもしれませんね。それと他国を巡ったり、色んな古文書を読んで古代文字の知識を増やすのもいいですね。各地にいる女神長クラスの女神へ古代文字の教授を願うのもお勧めですよ。それこそ神託の森のサキエル先輩はわたくしよりも知識量が多いです。育てられたリリスさんもサキエル先輩の博識さをご存知でしょう?」

 

「はい、確かにサキエル様は何でもよく知っていました。それと今、1つ気になったのですが、ウンディーネ様はサキエル様の後輩なのですね。過去に直接関りがあったのでしょうか?」

 

「昔、お互い見習い女神だった時はよくお話していました。生まれた年も1年しか差がないですからね。一応サキエル先輩の為にも年齢は伏せておきますが昔から賢くて優しい先輩だったのでわたくしが勝手にライバル視していました。先輩は全く相手にしてくれませんでしたけどね。見た目も先輩の方が背も高くて大人っぽくて綺麗で周りから人気だったので嫉妬が止まりませんでしたよ」

 

 綺麗系と可愛い系の違いがあるだけでウンディーネさんもかなり美形だとは思うのだが、執念のこもった言い方から察するに相当ライバル視しているようだ。

 

 何にせよ大陸北側へ戻ったらヘカトンケイルに顔を出しつつ神託の森に行ってサキエルさんに会いに行くのもよさそうだ。

 

 充分ウンディーネさんに良くしてもらった。そろそろこの場から失礼しようかと思ったその時、ウンディーネさんが「最近のモンストル大陸について少しお話しませんか?」と言い、俺達を引き留めた。

 

 随分ざっくりとした話題を提示したウンディーネさんに耳を傾けると彼女は最も恐ろしい男の名を告げる。

 

「皆さんが接したアスタロトという男、実は少し前に私も接触したことがあるのです」

 

 アスタロトを直に見た者、見ていない者も全員がウンディーネさんの言葉に驚いていた。俺達がどこで出会ったのかと尋ねると彼女は詳細を語りはじめる。

 

「あれは確かカリギュラよりもずっと南西にある海岸を訪れた時でした。わたくしは海岸の水が汚染されているという情報を聞き付け、浄化の魔術で綺麗にするつもりだったのですが、そこで仮面を被ったアスタロトが先に浄化魔術をかけていたのです」

 

「え? アスタロトは浄化魔術まで使えるのか? いや、そもそも悪人だと思っていたアスタロトがそんな事をしていること自体に驚きだが」

 

 俺が驚いた点を告げるとウンディーネさんも同意の頷きを返す。そこからは俺とウンディーネさんでアスタロトについて話を続ける流れになった。

 

「ええ、なのでわたくしは最初の段階では怪しい仮面を被っているものの善人なのでは? と思い近づいて声を掛けたのです。するとアスタロトはわたくしの顔を見て数秒硬直したあと、不気味で恐ろしい言葉を吐きました」

 

「アスタロトはなんて言ったんだ?」

 

「彼は『ほほう、人でも魔人でも神獣でもないのか。新しい材料が手に入りそうだな、悪いが、お前の命を頂いていくぞ』と言い放ったのです」

 

「ウンディーネさんを人間ではないと瞬時に見抜いたのか……それに材料だと? まるで生命を道具として扱う狂科学者じゃないか。まさか仮面で顔を隠したアスタロトの正体はワン・パラディアじゃないだろうな?」

 

 俺の仮説を聞いてゼロは目をかっぴらいて驚いたが、ウンディーネさんはすぐにそれを否定する。

 

「いいえ、それはあり得ないでしょう。威圧感こそ熟練のものを感じましたが首元や手の肌を確認した限り、アスタロトはガラルドさんとさほど変わらない若い男性のようでした。ゼロさんの御父上はそれなりに年齢を重ねている事でしょう」

 

「そうか、まぁいくらワンでも魔人のザキールと知り合いの訳がないか。他に得られた情報は?」

 

「これでもわたくしは審美眼と推察に優れた女神を自称しています。なので自身が女神ウンディーネであることを名乗り、彼の名を聞き出し、質問を投げかけつつ、目に魔力を溜めてアスタロトの分析を始めました。そこで分かった事実は長年生きてきたわたくしでも知らないものでした……」

 

 

 

 

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