見捨てられた俺と追放者を集める女神さま スキルの真価を見つけだし リベンジ果たして成りあがる   作:腰尾マモル

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【第297話】村長の人間性

 

 

 

 死の山のアジトから空を飛んで移動していたディザールとシルフィはアジトを出た翌日の夕方前にペッコ村に到着した。

 

 シルフィはディザールの背中から降りると、シルフィが住んでいた家を指差してこれからの事を提案する。

 

「私は自分の家に帰ったらそのまま休むことにするね。ディザールは村長の家でゆっくりしてきて。明日の朝になったら私も村長の家に行くから」

 

「あれ? 僕と一緒に村長の家に行かないのか?」

 

「……私抜きで村長と積もる話をしてきなよ。親子水入らずじゃないけど、その方が色々と話せることもあると思うし」

 

「そうか、気遣ってくれてありがとう。それじゃあ、また明日な」

 

 ディザールはシルフィと別れると早速村長の家へと向かう。村長宅へ向かっている途中、村人がいきなり帰ってきたディザールに驚いている様だった。だが、村人は誰もディザールへ話しかけてはこない。

 

 ディザールを嫌っている村人がいたのは確かだろうけど、ここまで接触を避けられているのは妙だ。それに村人の視線は嫌いな奴に向けるものではなく、どこか憐れみのようなものを感じる。

 

 ディザールも村人の視線に気づいているようで早歩きで村長宅に向かっている。到着したディザールは入口をノックすると最初に姿を現わしたのは村長の妻だった。

 

「あっ……帰ってきていたのね、ディザール。おかえりなさい」

 

「ただいま、いきなり帰ってきてすまない。村長と話をしたいんだけど奥にいるかな?」

 

「……落ち着いて聞いてディザール。夫は少し前に亡くなってしまったの」

 

「えっ……」

 

 村を旅立つ前はすこぶる元気だった村長が亡くなっているなんて。この事実は過去を覗き見ている俺ですら声を失うほどに驚かされた。ディザールは髪をかき上げて少しの間俯き、詳細を尋ねると奥さんは説明を始める。

 

「実はディザール達が村を出てから暫く経った頃、牢に閉じ込めていたカッツ達が病気になったの。もちろん夫はすぐに治療してあげようと医者や治癒術師に声を掛けたわ。だけど医者たちは悪事を働いたカッツ達を治療しようとはしなかったの、報いだと言ってね」

 

「もしかして村長はカッツ達を治すために……」

 

「ええ、1人でずっと治癒魔術を掛けていたわ。夫は『カッツ達は罰を受けて反省している途中なんじゃ、死なせるわけにはいかん』と言って、私が止めても聞く耳を持ってくれなかったの。結果カッツ達は治ったわ。だけど連日魔術を使い過ぎて弱っていた夫に追い打ちをかけるようにカッツ達の罹っていた病気が感染しちゃってね。年老いてるうえに衰弱状態だった夫に病は耐えられなかったみたいでね。他の人が治す暇も無く、あっさりと亡くなってしまったの……」

 

「……」

 

 ディザールは言葉にできないぐらい悲観に満ちた顔をしている。シルフィが良かれと思って里帰りさせたというのに訃報が待っているとは。ディザールは呪われた宿命でも背負っているのだろうか?

 

 俺の横で見ているサーシャとグラッジは不幸すぎる過去に涙を流し、リリスは険しい表情で唇を噛みながら見つめている。

 

 ディザールは「教えてくれてありがとう。行ってくるよ」と呟き、足先を外に向ける。

 

「待って、ディザール! 一体どこに行くの?」

 

 奥さんが尋ねるとディザールは光の宿っていない目で行き先を告げる。

 

「カッツ達のところさ。色々と聞きたいことがあってね」

 

 ディザールは奥さんと別れてから一直線に村の西端へと歩いて行った。今まで記憶の水晶でペッコ村の色々な場所を見てきたが、西端は見た事がない。

 

 西端には何十年も放置されているようなボロボロの大きな木造の集会所があった。ディザールは中に入り、地下へ続く階段を降りている。

 

 集会所は灯りが無いから凄く暗くて分かり辛い。地下を降りてみるとどうやら左右に牢屋が並んでいる構造のようだ。右前方一番奥の牢屋にはうっすらと灯りが点いていて、そこがカッツ達の捕らえられている牢屋のようだ。

 

 ディザールはカッツ達のいる牢から少し離れた地点で魔人の姿へと変化し、ローブを深く被って正体を隠していた。どんな狙いがあって魔人に姿を変えたのだろうか?

 

 全く予想がつかないままディザールはカッツ達が入っている牢の前に行き、柵越しに話しかける。

 

「罪人カッツと手下どもよ。お前らに聞きたいことがある。お前達が牢の中で病気になった際、村長以外の医者・治癒術師が助けてくれなかったというのは本当か?」

 

「あ? お前は誰だ? 何で俺の名前を知ってやがる? しかも、御大層にローブで姿を隠しやがって怪しいったらないぜ」

 

 カッツはディザールを陥れようとした日と変わらず、ふてぶてしい態度を取っている。だが、そんなことはお構いなしにディザールは話を続ける。

 

「いいから私の質問に答えろ。私は村長の最期を知りたいのだ」

 

「お前は村長の知り合いか? まぁいい、どうせ暇だから答えてやるよ。お前の言う通り医者や治癒術師は俺達を見捨てようとしたんだ。俺達が悪人だから助けたくないというのもあっただろうが、それ以上に病気を移されたくなかったんだろうな。ったく……それでも人の命を守る仕事に就いているのかよって言いたくなるぜ。結果、村長に病が一点集中してしまった訳だしな」

 

「一点集中……そうか、それじゃあ仮に村長を含めた複数の人間で順番にお前達を治療していたら村長は助かっていたという事か?」

 

「ああ、俺達が罹っていた病は接触時間が長くなれば、それだけダメージが蓄積していく病らしいからな。お前の言う通り順番に持ち回っていれば助かっていたはずだぜ」

 

「分かった。それじゃあ次はカッツ達のことを聞かせてくれ」

 

 ディザールは一層声を低くし、改まってカッツの方を見つめる。一体カッツ達の何を知りたいのだろうかと疑問が湧く中、ディザールは奇妙な質問を投げかけた。

 

 

 

 

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