見捨てられた俺と追放者を集める女神さま スキルの真価を見つけだし リベンジ果たして成りあがる 作:腰尾マモル
「なんて攻撃だ……殺されるかと思ったよ……」
試合に勝ったシンは場外にいるグラッジを見つめながら言った。一方、グラッジは負けて悔しそうではあるものの、自分の身体に纏う魔力を見つめながら確かな手応えと反省を呟いていた。
「負けちゃったうえに制御もまだまだだけど、
グラッジは得たばかりの技術を忘れないように夢中で確認しているようだ。そんなグラッジを見ていた俺とフィルとシンはグラッジを労う為に近くまで駆け寄った。シンは右手を差し出し、グラッジに握手を求める。
「楽しい試合をありがとうグラッジ君。最後の攻撃は特に凄かったね。まさかモーデックを貫通して後ろの場外の壁まで削るとは思わなかったよ。もし、俺が避けられていなかったらと思うとゾッとする」
「あ、ありがとうございます。こちらこそ学びの多い試合が出来て良かったです。シンさんが僕を鍛える為に適度に手を抜いて、新たな技を作り出すきっかけを作ってくれて本当に嬉しかったです」
「確かに途中までは手を抜いていたが、君が
「
火の循環なら膂力、水の循環なら攻撃の感知や読み、風の循環なら素早さ、地の循環なら耐久力だったはずだ。光と闇属性についてはそもそも使える人が少ないから
あの時は確かゼロを除いたガーランド団の中で最初に
いや、今は思い出に浸っている場合ではない……分析を進めよう。俺のレッド・モードも言わば火の循環を極限まで高めた技であり、かなりの能力向上を望めた訳だが、グラッジが本当に複数の
グラッジが『フィルさんにもガラルドさんにも負けない』と宣言していたのが本当になるかもしれない。もし、そうなったら仲間としては頼もしい限りだ。だが、1人のライバルとしては焦る気持ちが湧いてくる。俺も精進しなければ。
グラッジの説明を受けたシンは首を縦に振りながら技の威力に納得しているようだった。続いてシンは技の名称について問いかける。
「もう1つ気になった事があるから教えて欲しい。戦いでは
「僕がもっと修練を積めば可能かもしれません。今はまだ火と地の循環を利用した打撃技・
「……やれやれ、発展途上なうえに向上心まで強いとは。年寄り国王様は安心して玉座に座っていられるよ。いや、むしろこれだけ有望な若者がいるなら引退してもいいぐらいだな、はっはっはっ!」
シンに辞められたら大陸が傾きかけないのだが……。恐ろしい冗談は止めてほしいものだ。
とはいえ、シンの言う通りグラッジもフィルも本当に頼もしい限り。俺は本当に仲間に恵まれている。
稀有な能力を持つうえに頭のキレるサーシャ、かつての力を取り戻しながら益々頼もしくなるリリス、俺と均衡する力を持つフィルとグラッジ、クローズに対抗できる学者脳を持つゼロ、頼もしい技術力を持つシルバー、力・知恵・器すべてが尊敬できるシンとシンバード領の仲間達、そして新たに仲間へ加わったシリウスとダリアの面々、彼等と同盟国の仲間たちがいればきっとどんな敵にだって勝てるはずだ。
試合を繰り広げた4人はそれぞれの健闘を称え合い、観戦していた仲間達から賞賛の言葉を貰い、今日のところは解散となった。
明日からはいよいよ本格的に最終決戦の準備を進めていかなければならない。試合以上に気を引き締めていかなければ。