見捨てられた俺と追放者を集める女神さま スキルの真価を見つけだし リベンジ果たして成りあがる   作:腰尾マモル

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【第360話】不可思議の種明かし

 

 

 双蒸撃(そうじょうげき)の超爆発で砕けた岩と風の影響により10秒ほど俺の視界が遮られた。ようやく視界がクリアになり視線を爆発地点に向けると、そこには奇妙な光景が広がっていた。

 

 本来なら爆発によって半球状に削られた断面が見えるはずなのだが、削られた地面の中には蜘蛛の巣のように張り巡らされた岩の通路が数えきれない程に広がっていたのだ。

 

 蜘蛛の巣といっても通路が糸の様に細いわけではなく、人間が数人横並びで歩けるほどに広い。さらに爆発がギリギリ届かなかった地下深くのエリアには300匹程度のリザードマンが待機しており、真上にいる俺達を見上げている。

 

 これらの事実から推測できるのは恐らくアスタロト陣営は魔獣を隠しておくことができ、尚且つ人間に見つからないよう移動させることが可能な地下空間を作りあげているということだ。

 

 だが、いくら魔人が死の扇動(クーレオン)で魔獣をコントロールできるといってもここまで大掛かりな工事が出来るものだろうか?

 

 答えを見つけたと思った矢先に新たな疑問が増えてしまった。そんな状況に困惑していると、サーシャが削れた岩場の欠片を手に持ち、急いで俺のところまで駆け寄る。

 

「ガラルド君! これを見て。壊れた岩場の欠片をよくよく確認してみるとうっすら光属性と地属性の魔力を感じるの」

 

「って事は俺達が歩いてきた地面は部分的に幻術的な魔術が施されていたという事か?」

 

「そういう事だと思う。だから爆発を起こす前のサーシャ達はスカスカになっている空間の真上で戦っていたってこと。一方、リザードマン達は自分達だけが知っている隙間を昇って地表に出ることで増員していたのだと思う。いや、もしかしたら敵陣営だけがすり抜けられる仕組みを施してあるのかも……」

 

「どちらにしても手の施された空間なら、ここみたいな空間はそれほど多くないだろうな。魔獣にこんな芸当をさせるのは難しいと思うしな。恐らく光魔術と地魔術に長けた魔人が長期間かけて仕込んだものだろうな。この事実をすぐに全軍に知らせないと」

 

 俺は朝からずっと一緒に走ってきた伝達兵に情報と仮説を伝えてもらうことにした。しかし、俺が伝達兵の前に来たところで突然、禍々しい形をした氷の斧が横から高速で飛来し、俺と伝達兵の間の地面へと刺さる。

 

 斧の飛んできた方向へ顔を向けると、そこには肩で息をするブロネイルの姿があった。奴らにとって地下空間の存在を全軍に知られる事態は相当マズいと焦っているのだろう。ブロネイルは一層血走った目で俺を睨んで叫ぶ。

 

「人間風情がここまで手こずらせやがって……。倒しても倒しても湧いてくるリザードマンで上限の見えない恐怖を与えてやりたかったのになぁ……。まさか、地面ごと丸々吹き飛ばすとは滅茶苦茶な奴らめ……。お前達は絶対にここから移動させはしない。地下空間の存在を知った者は1人残らず殺してやる! まずはガラルド、お前からだ!」

 

 ブロネイルは紳士的な態度を忘れてしまったようで荒々しい口調に似つかわしい突進を繰り出してきた。ここは必ずブロネイルを倒し、拘束して、情報を聞き出してやりたいところだ。

 

 俺は向かってくるブロネイルに対して両方の拳を構える――――しかし、今度は横からソル兵士長が飛び出してきた。ソル兵士長は剣先をブロネイルに向けつつ俺に背を向けると、指示を出してきた。

 

「ガラルド殿はお疲れでしょう。ブロネイルの相手は私と兵士達にお任せください。それよりガラルド殿は下から上がってきているリザードマンの殲滅をお願いします。総数が分かったとはいえ、手の焼ける数ですからな」

 

「お、おい! 大丈夫なのかソル兵士長? ダメージを負っているとはいえ相手は魔人だぞ? 俺が相手した方が……」

 

「魔人族は確かに強いです。ですが、我々の統率の取れた対魔人戦術を見ていただければ、貴方に安心してもらえるはずです。それでは互いに敵を倒した後でお会いしましょう!」

 

 自信満々に言い切ったソル兵士長は「対魔人の陣 展開!」と叫び、向かってきているブロネイルを迎えるように自らも走り、向かっていった。

 

 ブロネイルの底力がどれ程のものか分からないが、それでも奴はザキールと同じ魔人だ。俺とレックとグラッジが動けなくなる程の死闘を繰り広げたザキールと同じ魔人族なのだから心配でたまらない。だが、今は彼らを信じるしかない、俺は俺のやれることをやろう。

 

 

 

 俺は双蒸撃(そうじょうげき)によって丸く削られた空間へ勢いよく飛び込み、蜘蛛の巣のように張り巡らされた岩の通路へと降り立つ。少し遅れてサーシャとグラッジも通路へ降り立ち、一部の兵士達もリザードマンを倒すべく降り立った。

 

 俺はブロネイルの相手をしているソル兵士長に代わり、降りてきた者達へ指示を出す。

 

「少しでも早くリザードマンを全滅させてソル兵士長の援護に行くぞ! 体力・魔量の残っている者は俺の後ろへ続け。疲弊している者は上から遠距離攻撃に専念するんだ。リザードマンは1匹1匹が強くて数も多い。だが、前線が敵の動きを抑え、後衛が高さのアドバンテージを活かして遠距離攻撃を決めれば必ずや勝てるはずだ! さぁ、俺に続け!」

 

 そこから俺は通路を降りながら一撃一殺の勢いで次々と魔獣を倒し続けた。疲れているグラッジは自己判断で後衛に回り、サーシャのアクセラで回復を受けながら属性ナイフの投擲で前線を援護してくれている。

 

 俺の後ろに続く兵士達はお得意の風魔術でリザードマンの群れを押し返し、後衛の兵士達は風と重力を活かした素早く鋭い矢を大量に放ち続けて、勢いよくリザードマンを倒している。

 

 彼らの風魔術を主体とした完成された攻めは小隊・中隊規模の人数ならば大陸最強クラスの集団だろう。この動きが出来る兵士団は部分的にみればシンバードの兵団より一枚二枚上回っていることだろう。彼等が味方で本当に良かった。

 

 そんな頼もしい兵士達の援護で高密度の攻撃を続けた俺達は10分もかからずに8割近い数のリザードマンを倒す事が出来た。

 

 視界には映っていない更に下の空間から増援が来る可能性はあるが、双蒸撃(そうじょうげき)で地下空間が露呈した際にブロネイルは相当慌てていたから増援が来る可能性はかなり低いだろう。

 

 俺は「残りは兵団の皆で倒し切ってくれ、俺はソル兵士長の応援に行く」と言い残し、兵士達にリザードマンの殲滅を任せる事にした。

 

 気が付けばかなり降りていた地下空間の通路を俺は縦横に飛び回って外へ出た。すると、前方には大きな竜巻の中でブロネイルと互角に戦うソル兵士長の姿があった。

 

 

 

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