見捨てられた俺と追放者を集める女神さま スキルの真価を見つけだし リベンジ果たして成りあがる   作:腰尾マモル

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【第364話】束の間の休息と大探索

 

 

 魔人ブロネイルとリザードマンの群れに勝利した俺達は夕陽が消えかかる頃に南東軍の野営地へ到着した。今日は移動や戦闘に大忙しだったから少しでも早く休みたいところだが、寝る前に話し合っておかなければならない事がある。

 

 それは今後のブロネイルの扱い、そして明日のアジト探索についてだ。俺とサーシャとグラッジとソル兵士長は野営地の中心にあるテントに集まり、話し合いを進めた。

 

 結果、ブロネイルはこのまま戦争が終わるまで南東軍が拘束し続ける事に決まった。下手に下山してイグノーラへ運ぼうとしても、道中敵軍に襲われる可能性もあるからだ。それに手元に置いておけば人質として交渉のカードになるかもしれないという狙いもある。

 

 とは言ってもアスタロト軍がブロネイルの命を何とも思っておらず助けに来ないとも限らないが……。

 

 

 

 クローズのアジト探索については明日の昼過ぎに行う事となった。敢えて朝ではなく昼に行う理由は今日の疲れをしっかりと癒して万全を期す為である。

 

 クローズのアジトが見つけられてクローズとアスタロトが居たならば、その時が俺達にとっての最終決戦となる可能性がある。だから体力全快の状態で挑みたい。

 

 アジト探索は俺、サーシャ、グラッジ、ソル兵士長とソル兵士長の部下を中心とした南東軍兵士たち200名で行う事に決まった。地下空間を掘り当てるには人手が必要になるし、リザードマンの時みたいに魔獣に囲まれる可能性もある。ゆえに中規模の精鋭で探索する流れになったわけだ。

 

 俺達が話し合いを終えたところでサーシャがパンっと手を叩き、お開きの言葉をかける。

 

「それじゃあ明日に備えて、もう休もうか。グラッジ君は特に一生懸命走ったり戦ったりして頑張ったからゆっくり休むんだよ? それと明日からはもう怖い顔をしちゃだめだからね!」

 

「ご、ごめんなさい。明日は冷静に頑張ります……」

 

「うんうん、グラッジ君はやっぱり笑顔でいなきゃ。ガラルド君も明日はザキール、アスタロト、クローズと因縁だらけの相手と接する可能性があるからしっかり休んでおいてね。ソル兵士長も明日はよろしくお願いします。急な探索についてきてもらうことになって本当にありがとうございます」

 

 俺とソル兵士長はサーシャの言葉に頷きを返し、みんなそれぞれのテントへと帰ってぐっすりと眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 ブロネイルとの戦闘から一夜明け、俺は半日近く眠り続けてからようやく目を覚ます。体からはすっかり疲れが抜けきり、テントに差し込む朝の光が心地いい。俺は隣でまだ眠っているグラッジを起こさないようにゆっくりと起き上がり、外へ顔を洗いに行く事にした。

 

 すると野営地に作られた簡易水場にサーシャの姿があった。俺は顔を洗っているサーシャの横に行き、朝の挨拶を交わす。

 

「おはようサーシャ、昨日はよく眠れたか?」

 

「おはようガラルド君。昨日は眠りにつくのは早かったけど度々目を覚ましちゃったよ。やっぱり緊張しているのだと思う。ガラルド君はちゃんと眠れた?」

 

「俺はバッチリだぜ。アスタロトだろうがクローズだろうが、纏めてかかってこい! って感じだ。とは言ってもアジト探索で遭遇するとは限らないし、戦いになってもレストーレ頼りなところはあるけどな、ハハハッ」

 

「確かに遭遇するとは限らないよね。正直サーシャは今回のアジト探索でアスタロトとクローズに遭遇する確率は低いと思ってるよ。ザキールに遭遇する確率はそこそこ高いと思うけど」

 

「ん? どうしてアスタロトとクローズに遭遇する確率が低いと思うんだ?」

 

「もし、アスタロトとクローズが死の山の戦争に参加しているならもっと派手に動くと思うの。個の力で合理的に人類側の司令塔を潰しにくる気がするから。あの2人の個の力は奇襲を成功させて即撤退させるぐらいのことは出来そうな気がするから。正直、今回の戦争は多少のイレギュラーはあったけれど、それを差し引いても全体的に上手くいきすぎていると思う」

 

 確かにサーシャの言う通りだ。想定よりも魔獣の数が少なかったことに加えて、ほとんど被害を出さずにブロネイルを掴まえることが出来ている。それに地下空間の存在まで知る事が出来たから順調にいきすぎていると思う。もし、アスタロトとクローズが死の山にいないのならどこに行っているのだろうか?

 

 俺達は九十魔日(きゅうじゅうまじつ)八十魔日(はちじゅうまじつ)が重なる日に戦争を仕掛けたのだから、アスタロト達が魔獣を引き連れてどこかの町を攻めている可能性も考えられなくはない。

 

 だが、そんな魔獣の大移動があれば死の山の南北に準備をしてきた同盟陣営が魔獣群の移動に気が付かない事はないと思う。

 

 今は別に何か行動していて後から死の山の戦争に参加するつもりなのだろうか? 色々な可能性を考えてしまって頭がパンクしそうだ。死の山の戦争を無事に終えられても今度は帝国の件もある。悩みが無くなる日は当分先になりそうだ。

 

 サーシャと色々な可能性について話している内にグラッジも水場にきて挨拶を交わし、俺達はテントに戻って食事と準備を済ませてからソル兵士長の元へ向かった。

 

 ソル兵士長の周りには既に武装を済ませた兵士達200名が待機しており、近づいてきた俺達に敬礼を返してくれた。俺達はソル兵士長みたいにイグノーラで偉い役職についている訳ではないのだから大勢からビシッと敬礼をされると何だかむずがゆく感じてしまう。

 

 そんな俺達を見ていたソル兵士長は早速俺に話しかけてきた。

 

「おはようガラルド殿、いや、もう昼になっているな。しっかり体を休めることは出来ましたかな?」

 

「ああ、バッチリだ。兵士達もしっかり準備を整えてくれたようだし、早速行くとしようか」

 

「そうですな、早速参りましょう。皆の者! 今回の探索はただの探索ではない。戦争の行方を左右する重要な任務になるかもしれん、心してかかる様に。それでは出発だっ!」

 

 

――――オオォォォ!――――

 

 

 兵士達の気勢で一際熱を帯びた俺達はクローズのアジトがあった場所へと出発した。

 

 クローズのアジトがあるはずの場所はかなり近い位置にあって野営地から北に10分ほど歩けば着くはずだ。短い距離だったこともあり道中何もトラブルがないまま俺達はクローズのアジトがあったはずの場所へ到着した。

 

 サーシャは黒猫サクを合わせれば3回目の現地到着ということもあり、誰よりも念入りにこの場所を調べている。過去視で見た風景と今見ている風景の違いを呟きながら周囲を歩き回ったサーシャは何かを閃いたようで俺のところへ駆け寄ってきた。

 

「聞いてガラルド君! 多分、アジト周辺の地形が直径10キード以上は変えられているよ。過去視で見た時よりも全体的に大地を盛られている感じなの。だから当てずっぽうで掘って地下空間を探していたら7,8日はかかってしまうと思う」

 

「それはちょっと長すぎるな……だけど、サーシャは何かを思いついたような顔をしていたよな? 何か良い策を閃いたのか?」

 

「うん! 元々過去視で何度も見ていたアジトの入り口はマグマ滝の裏に隠れてあったよね? ってことはザキールが幻影魔術でアジトの上に質量込みの大地を重ねるにしてもマグマの存在は無視できないと思わない? だからサーシャ達が今、立っている地表の温度を調べて熱くなっているポイントはマグマの付近だと思うの」

 

「なるほど、いくら魔人やアスタロトでも高熱量、高質量のマグマは軽く扱えないだろうな。出来る事と言えば精々地面を削ってマグマの流れるルートを変える事ぐらいだろうな。逆に言えばマグマの熱を検知して穴を掘り、地下空間にあるマグマさえ見つけられれば上流を辿る様にアジトを見つけられるって訳だな」

 

「そういうこと! まぁアジトの位置を変えられていたら元も子もないけど、これだけ地形を変えているということは隠したいものがあるって事だよね。絶対アジトはあると思う。あとは大人数で熱くなっている地面を探すだけだよ」

 

 サーシャの指示に従い、200人越えの大所帯が一斉に地下マグマの熱を探し始めた。水属性魔術を使える者が均一に作った氷を地面に置き、溶ける早さの違いから地面の温度を測る事で広範囲を調べる流れが出来上がり着々と調査を進めている。

 

 全員が地下マグマの熱を探し始めてから2時間後、兵士の1人が「こちらへ来てください、熱の強い帯状のエリアを発見しました」と教えてくれて、俺達は現場へと駆け付けた。

 

 ソル兵士長の指示の元、兵士達はすぐに地面を掘り進め垂直に直系3メード、高さ20メード程の穴を開けた。すると穴の奥から喉の焼けそうな熱気が込み上がる。

 

 湧き上がってくる煙で穴の奥が見え辛いが下にマグマがあることは間違いなさそうだ。俺達は穴を超えた先で落下しないように魔砂(マジックサンド)の階段を作り出し、ゆっくりと下へ降りていく。

 

 たった20メードの移動ですら嫌になるほどの暑さだ。我慢しながら下に続く穴を超えると、目の前に凄まじい光景が現れた。ソル兵士長は目の前の光景を見つめながら物憂げにつぶやく。

 

「これは……厄介な溶岩洞窟(ようがんどうくつ)ですな……」

 

 

 

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