見捨てられた俺と追放者を集める女神さま スキルの真価を見つけだし リベンジ果たして成りあがる   作:腰尾マモル

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【第391話】人類の頂上決戦

 

 

「どうだ? 素晴らしい魔力だろうガラルド。今のレックは帝国の技術をふんだんに詰め込んである。つまり『変化の霧』を取り込んだ究極の人間兵器だ。シンバードと戦う覚悟が持てない優しい弟は自我を奪い、私が使ってやらなければならないからな」

 

 今のレックが俺達を認識できないほどの放心状態となり、尚且つ凄まじい魔力を纏っている理由が分かった。レックは戦争が始まる前からモードレッドによって無理やり変化の霧を使われていたのだ。

 

 手紙を書いている時のレックはモードレッドに利用されることを予測していたのではないだろうか? しかし、責任感の強いレックなら利用される前に自害してしまいそうな気もするが……モードレッドに尋ねよう。

 

「……レックの状態は理解できた。だが、責任感の強いレックなら変化の霧を取り込まされる前に自害……もしくは自分の身体を戦えないぐらいまで潰しそうな気がするが……。お前はどうやってレックを今の状態にまで仕上げたんだ?」

 

「流石はレックの親友だな、よく分かっている。実際、私が変化の霧を取り込ませようとした瞬間レックはナイフを取り出し自身の喉を貫こうとした。だが、レックの自害よりも私の制止の方が僅かに早くてな。レックが死んでしまう前に変化の霧を取り込ませて自我を失わせることに成功したのさ。これでレックは自害する意思は持てず、ミストルティンで自由に操ることができる優秀な戦士になったわけだ」

 

「弟にそこまでさせて、心まで壊し、挙句の果てには圧力で操る人形にまで仕立て上げたのか……お前は正真正銘のクズ野郎だな。殺せるもんなら殺してやりたいよ」

 

「殺す……ではなく殺してやりたい……か。そこで殺すと言えないところがガラルドの弱さだ。戦うなら殺す気で戦った方がいい。もっとも私とレックの2人を相手にまともな戦いになるとは思えないがな」

 

 モードレッドは自信を持って言い切ると、鞘から剣を取り出してこちらへ向けた。そして、余った手をレックの背中に添えるとミストルティンを発動し、戦闘開始の合図を告げる。

 

「さあ、人類の頂上決戦を以て大陸の未来を占おうではないか。いくぞガラルド……そして、全てを破壊するのだ、レックよ」

 

「グルルウゥゥッ!」

 

 レックは人間を辞めた呻き声をあげると俺に向かって一直線に突進を繰り出してきた。まだ事実を受け入れられていない俺を容赦なく殺しにくるレックが堪らなく恐ろしい……そのせいで反応が遅れてしまった。

 

 レッド・モードの発動も構えも遅れる俺。レックの剣で斬られてしまうと覚悟した瞬間、俺の前にグラッジが飛び出し、レックの剣を氷の盾で受け止める。

 

「しっかりしてくださいガラルドさん! 今はとにかくレックさんを鎮めて元に戻してあげないと!」

 

「だ、だが、ここまでの暴走じゃ元のレックには……」

 

「やれることをやるしかないでしょう! ガラルドさんの心が折れると全員の士気に響きます。意地でも希望を持って、強がってくださいよ!」

 

 グラッジの言ってる事はもっともだ。また俺は心を乱してしまい、仲間に危機を救われてしまった。精神的な失態は今回で卒業にしなければ。とにかく今はシンを守りつつ、レックを止める事が先決だ、早速俺は全員に指示を出した。

 

「みんな聞いてくれ。敵の数は僅か2人だが、その強さは桁違いだ。だからシンはモーデックで上に逃げて待機、リリスとパープルズはシンの護衛だ。前衛は俺とグラッジ、サーシャは後衛でのサポートに徹してくれ!」

 

 俺の言葉を受けて各々が動き出し、シンは仲間と共にすぐさま上空へと避難する。これでひとまず大丈夫そうだがレックと鍔迫り合いをしていたグラッジは千色千針(せんしきせんしん)を発動しているにもかかわらず踵を地面にめり込ませて、レックに押されている。

 

 分かってはいたが馬鹿げた膂力だ。あのパワーで更に魔術なんて使われたら堪ったもんじゃない。すぐにグラッジを助けなればと棍で横から殴りかかるとレックの肩に当たる直前で俺の持ち手に金属の衝撃が響き渡った……モードレッドがフォローに入ったのだ。

 

「ガラルド、私も混ぜてくれないか?」

 

 モードレッドめ、大事な戦いだというのに楽しそうに呟きやがって……。だが、離れた位置から即座にフォローに入る奴の強さは本物だ。まともにやり合っていたら重い一撃をもらって一発で戦闘不能にさせられそうだ、慎重に戦わなければ。

 

 依然として押し合っているグラッジは「レックさんは僕が抑えます、ガラルドさんはモードレッドを!」と叫び、レックとの戦いに集中し始めた。ここはレックを信じて俺がモードレッドを止めなければ。

 

 一瞬にして『グラッジVSレック』『俺VSモードレッド』の図が出来上がった。サーシャには様子を見てもらいながら適宜サポートをしてもらおう。俺は一旦後ろへ跳び、ゆっくりとレッド・モードを練り上げるとモードレッドに向けて拳を構える。

 

 一方、モードレッドは俺ではなく何故か上空のシンに目線を向けてブツブツと呟きはじめる。

 

「あれだけ上に飛ばれて瞬間移動持ちのリリスにまで守られていてはシンを殺すのは難しそうだな。加えてシン個人の力も相当なものだ、後回しにせざるを得ないな。まぁ、ガラルドもシン程ではないがシンバード軍の核となる男だ、殺せばシンバード軍にとって致命傷レベルの損害を与える事はできるだろう」

 

 思考の整理を終えたモードレッドは視線をゆっくりと俺に向け直すと再び剣を構え、こちらに向かって走り出した。

 

「さあ、戦いを楽しもうではないか、英雄ガラルド!」

 

 

 

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