見捨てられた俺と追放者を集める女神さま スキルの真価を見つけだし リベンジ果たして成りあがる   作:腰尾マモル

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【第418話】樹白竜との再会

 

 

「ここに来たのはそこまで昔じゃないのに何だか随分と懐かしく感じるな」

 

 ガラルドさんは首を上へ傾けて懐かしそうに呟く。ドライアドから西へ移動すること30分――――僕、レックさん、ガラルドさん、シンさん、リリスさん、サーシャさんの6人は樹白竜(じゅはくりゅう)の洞窟入口に到着した

 

 僕とシンさんだけが初めて訪れる洞窟は自然の魔石による影響で意外と明るく、一本道ということもありサクサクと奥へ進んでいく。

 

 途中、樹白竜(じゅはくりゅう)の幼体と思われる小さなドラゴンが道を塞ぐこともあったけれど、試しに話しかけてみたら会話をすることができた。戦う意思が無い事を僕が伝えると幼体のドラゴンたちは歓迎こそしてくれなかったものの、手出しせずに道を開けてくれた。

 

 それにしても樹白竜(じゅはくりゅう)の幼体は珍しい容姿だ。話には聞いていたけれどドラゴンの体に樹の幹みたいなものが絡みついていて肉体と半同化している感じだ、流石は樹を思わせる名前が付いているだけのことはある。

 

 幼体にジロジロと睨まれながら先に進むこと10分――――奥にある一際広い空間に辿り着く。そこには僕が想像していたよりも大きなドラゴンがうずくまっていた。

 

 間違いなく幼体たちの親であろう樹白竜(じゅはくりゅう)はワイバーン種に近いタイプのようだ。翼の内側には白い葉が生い茂っている。肉体の黒色と体に絡みついている樹木の茶色と白の葉っぱが織りなす姿はガラルドさんから聞いていた通り神々しい。

 

 竜に樹が絡みつき、白い葉が付いているから樹白竜(じゅはくりゅう)――――名は体を表すとは正にこのことだ。シンさんと一緒に樹白竜(じゅはくりゅう)を見上げて見惚れていると樹白竜(じゅはくりゅう)は僕だけに分かる言葉で話しかけてきた。

 

 

――――何用だ、人の子よ。そこにいる金色の髪をした男はかつて私の愛しい子供達を殺した憎き人間だろう? 私の言葉が分かるであろう、そこの幼き人間も私達を殺しにきたのか? ――――

 

 

 ……! 何と樹白竜(じゅはくりゅう)は一目見ただけで僕が神獣と会話できることを見抜いていた。

 

 何か神獣にのみ判別できるオーラみたいなものが出ているのだろうか? 本来は先に協力をお願いするものかもしれないけど、神獣との会話能力を見抜かれた点がどうしても気になった僕は質問する事にした。

 

「教えてください、樹白竜(じゅはくりゅう)。どうして僕が貴方と会話できることが分かったのですか?」

 

 

――――会話能力を見抜けた理由か……それはかつて私が遥か南方の地で人目を避けながら暮らしていた頃、お前とよく似た顔と魔力を持つ男に出会い、話しかけられたことがあるからだ――――

 

 

「それって、もしかしてお爺ちゃん……グラドという名の男ではないですか? 僕はグラドという男の孫でグラッジといいます」

 

 

――――ああ、確かそんな名前だった気がするな、そうか奴の孫だったか。奴は強大な力を持つ人間にしては珍しく私を狩ろうとはしなかった。それどころか人間共に見つからないように別の場所へ移動した方がいいと世話を焼いてくる変わった奴だった――――

 

 

 まさかお爺ちゃんとは縁の無さそうな地で話が聞けるとは思わなかった。相当驚かされたから思考を整理する時間が欲しいところだけど、今はガラルドさん達に樹白竜(じゅはくりゅう)の言葉を通訳するのが先だ。

 

 ガラルドさん達は僕の言葉しか聞こえていない訳だから急にお爺ちゃんの話になって困惑しているだろうし、樹白竜(じゅはくりゅう)の言葉も知りたがっているはずだ。

 

「教えてくれてありがとう樹白竜(じゅはくりゅう)。本当は別の話をする為にここへ来たのですが、思いがけず良い情報を得られました。一旦、仲間達に言葉を訳して伝えるので待っていてください」

 

 

――――待て、グラドの孫よ。お前は何故イナミションを使わない? あれを使えばお前を介さずに私と他の人間が言葉を交わす事が出来るだろう? もしや、使えぬのか? ――――

 

 

「イナミ……ション? そんな言葉は初めて聞きました。詳しく教えてもらってもいいですか?」

 

 

――――私も1度聞いたのみで詳しいわけではないが、確かグラド曰く『魔獣寄せから派生した神獣との会話能力を更に進化させたもの』とのことだ。グラドの近くにさえいれば神獣と人間が会話できるようになる能力だと言っていたな。グラドが言うにはさほど難しい技術ではないらしいが――――

 

 

 難しい技術ではない……と言われてもそもそも僕は魔獣寄せスキルを扱うどころか消し去りたいと願い続けていた人間だ。だから魔獣寄せの特訓なんてした事は無いし、制御といってもピンとこない。とりあえずダメ元でやってみよう。

 

「仲間が神獣と話せるようになる能力ですか……。上手くいく気がしないですが、上手くいかなくても時間をかけて訳せばいいだけですしやってみます。我がスキルよ、異なる種族を繋いでおくれ……イナミション!」

 

 僕は魔術や技の感覚で声を出し、話せますようにと念じてみた。すると、僕のヘソ辺りから水色の弱い光が円状に広がっていき、瞬く間に僕達のいる空間に広がってしまった。半径30メード程の小さい範囲だけど僕達と樹白竜(じゅはくりゅう)に触れる分には充分な範囲だ。

 

 僕は試しにガラルドさんへ「樹白竜(じゅはくりゅう)に話しかけてみてください」とお願いすると、ガラルドさんは生唾を飲み込み話しかける。

 

「俺の言葉が分かるか? 聞こえてるか樹白竜(じゅはくりゅう)?」

 

 

――――ふむ、聞こえているぞ、ガラルドと呼ばれし男よ。どうやらグラッジのイナミションは成功したようだな。では改めて名乗るとしよう。我が名は樹白竜(じゅはくりゅう) ラボレだ。もっとも樹白竜(じゅはくりゅう)と名付けたのは人間らしいがな――――

 

 

 樹白竜(じゅはくりゅう) ラボレさんが名乗ったところで僕達も自己紹介をしつつ、ラボレさんがお爺ちゃんと知り合いだという情報を皆に伝えた。

 

 ラボレさんは僕達の自己紹介を大人しく聞き続けてくれていたが、やはりレックさんの時だけは憎しみが抑えられなかったらしく身も凍るような眼で睨んでいた。本当にレックさんを連れてきて良かったのだろうか?

 

 だけど、レックさんも樹白竜(じゅはくりゅう)の背に乗ってアスタロトに特攻しなければ戦力が減り、勝率が下がってしまうのも確かだ。80%や90%の戦力ではなく、100%を狙った大きな賭けにでなければきっと勝てない相手だろう。だから何とか交渉を成功させたいところだ。

 

 僕は覚悟を決め、頭を下げながらラボレさんにお願いする。

 

「単刀直入に言います。樹白竜(じゅはくりゅう) ラボレさん、僕達に力を貸してください。貴方の背に僕達を乗せて空からシンバードの中央へと飛び込んで欲しいのです!」

 

 

 

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