見捨てられた俺と追放者を集める女神さま スキルの真価を見つけだし リベンジ果たして成りあがる 作:腰尾マモル
「さあ、どうだろうね? 兄弟とはいえザキールの考えている事は分からないよ。でも、今のザキールについて教えられることが1つだけあるよ。それは、
崩壊した宮殿の瓦礫の下でフィルが驚きの事実を口にした。
そういえばフィルが
冷静に考えればドライアドより西に遠征していたはずのフィルが東方のシンバードに駆けつけられるのはおかしい。クローズの案内も無しに
フィルは植物を寝袋のようにして仲間達を優しく包み込んで浮かせると、外にいるディザールの様子が見えるように瓦礫の隙間の前まで運んであげた後、更にザキールの話を続ける。
「ザキールは結局僕を運んでくれた理由を教えてくれなかったけど、ディザールが
フィルの動きについては分かったけれど、ザキールの探し物とは一体何なのだろうか?
ディザールが
もしかしたらディザールは
倒れていた間も話を聞いて状況を理解していたリリス達は今、各々がとれる精一杯の行動を起こし始める。グラッジは手慣れた手つきで出血した仲間達に包帯を巻き、リリスは俺とグラッジとフィルとレックに傷を癒す回復魔術を唱え、サーシャも同様に仲間達へアクセラを施し、魔量とスタミナの回復を早めてくれている。
リリスとサーシャの行動から察するに彼女たちは俺とグラッジとフィルとレックしか戦える人間がいないと判断し、残る魔量を全て前衛の4人に使うと判断したのだろう。この判断が意味するのはリリスとサーシャはろくに動けず、シンは実質リタイヤだという事実だ。
ネメシスが巨剣を振るった時、シンが一際モーデックに魔力を込めて俺達を守ってくれた事はうっすらと覚えている。シンは王の鏡であり人の鏡でもあると再認識させられたわけだ。
そしてサーシャは俺、グラッジ、フィル、レックの顔を順番に見つめて背中を押す言葉を掛けてくれた。
「悔しいけど、もうサーシャは杖を握る力も無いの。だから残りの魔量は全部アクセラに使って、未来をガラルド君達に託すよ。リリスちゃんもそうだよね?」
「はい、悔しいですけど私はもう歩けません。ですが、まだ魔量だけは残ってます。回復魔術とアクセラは私達からのバトンです。皆の力でディザールを止めましょう」
俺達は互いが互いの目を見て頷き、体と魔量の回復を待つことにした。今、出て行ってもろくに戦えないだろうし、話し合いをしたがっているザキールの邪魔にもなるだろう。
俺達は瓦礫の隙間から外を見つめ、ザキールがディザールと接触する時を待ち続けた。ネメシスを暴れさせていたディザールはザキールの足音が近づいてくるのを察知すると動きを止めてザキールに語り掛ける。
「ふぅ……ふぅ……ザキール……なのか? どうしてお前がここにいる? シンバードの連中を人質にとり、お前とブロネイルを拘束から解放した後、知らぬ間にお前だけが勝手に
今のディザールの言葉を聞いて気付いたことがある、それはディザールの視力がかなり低下しているという事実だ。ザキールがかなり近い位置にいるにも関わらず、確信の持てない言い方をしていているからだ。
それに吹き飛ばされた俺達の場所も分からずに手あたり次第周りを破壊している点からも想像以上に暴走している様子が伺える。そんなディザールを見て心配になったのかザキールは気遣いの言葉をかける。
「アスタロト様、今は俺の話より先に尋ねたい事があります。今の貴方は吸収の霧の影響で興奮状態のようですが、まともに話せる状態でしょうか?」
「フンッ、いらぬ気遣いだ。普通の兵士……いや、モードレッドレベルの戦士ですら吸収の霧は致命傷になり兼ねないが、僕の体は奴らと次元が違う。吸収の霧で多少興奮状態になろうとも頭は働くし、死ぬこともないはずだ。僕はさっさとガラルド達を探して殺さなければならない。話は手短に頼むぞ」
「……アスタロト様はシンバードで拘束されていた俺やブロネイルを助けてくれた訳ですが、それは俺達を心配してくれたからでしょうか? それとも単にシンバードに俺達が捕らわれていたから結果的に助けられただけでしょうか?」
「役立たずのお前等なぞ助けに行く訳がないだろうッ! 僕はシンバードを占領して、
「…………」
俺はザキールと血で血を洗う戦いを繰り広げてきた仲ではあるが、流石に気の毒になってきた。以前の戦いでもザキールは自身の存在意義に悩んでいたようだしディザールの言葉が相当効いているせいで沈黙しているのかもしれない。
俺はディザールの自分本位なところに腹を立てていたが、それと同時に『
ここにきて更にディザール達の謎が深まるばかりだが、ザキールは計画の事などお構いなしに質問を続ける。
「……アスタロト様はダンザルグがどうなったか、ご存知ですか?」